おつかれさまです。ひどい人見知りエディターのハマです。
現在は、LIGMOという外部メディア運用チームにおいて、ライターさんの書いた記事の編集などを担当しております。
幸いにもLIGMOでやりとりしているライターさんの品質は高く安定しているのですが、以前の仕事の中では……色々な問題が起きた経験があるのも正直なところです。
そこで今回より、そんなWeb編集の現場で起きた、ちょっぴり憂鬱な事例を一つずつ紹介していきたいと思います。
Web編集者の憂鬱(1)企画案とはまったく異なる原稿が届いた
※ありのままの現状をなるべく書いていきたいところですが、個人や企業が特定されないように、内容については大幅に改変してあります。あくまで一つの参考例として、お読みいただければ幸いです。
事例
ある日、「一見さんお断りの某小料理屋」をテーマにした原稿の編集依頼が取引先の出版社から届きました。
早速読んでみると、あら不思議。「一見さんお断り」の要素はまったく描かれておらず、いわゆる通常の取材記事になっていました。そこで出版社の担当者からライターさんに確認してもらったところ、「一見さんお断りじゃなかったようです。ひとまず取材はしてきましたが、どうしましょうか」とのこと。
担当者の方は「かなり頑固で怖い店主らしいが何とか交渉して取材してみたい、との意気込みを買って執筆をお願いすることにしたのに」と嘆いておられました。
感想
「嘆きたいのはこっちのほうだよ」と言いたくなる気持ちは押さえつつ、最初に思ったのが「ライターさん。それは取材する前に言うべきでしょ」ということでした。
というのも、取材してしまったあとで今さらご協力いただいた店舗様に「すみません。なかったことにしてください」と言うのはなかなか難しいわけです。なかには「いつ記事が公開されるんだろう」と楽しみにされている店舗もありますし、ましてや「かなり頑固で怖い店主」との情報が事前に刷り込まれてしまっているとなれば、なおさら憂鬱でしょう。
当然、この企画は「一見さんお断りのお店」という点に価値があったはずで、それがなくなったとなれば再考が必要です。それにも関わらず、取材を断行されては困ってしまいますね。ましてや取材というのには費用が発生するわけですから、当初の予定と変わるのであれば事前に連絡を入れるというのは、最低限のマナーなのではないでしょうか。
もしかして、締め切りも近いし改めて取材するのも面倒だし、あえて言わないで提出してきたんじゃないだろうか。あるいは、記事の公開スケジュールがギリギリであることを知り、「どうせボツにはできないだろう」と足元を見てきたんじゃないだろうか。そういった疑心にも現場は包まれましたが、そんなことを言っていても前には進めませんし、性格を悪くこじらせてしまうだけです。
悲嘆に暮れていたはずの担当者の方も、「再取材やボツはスケジュール的に厳しいので、編集で何とかしてください!」とそこだけは妙に力強くおっしゃられたので、わたしもすでに書き上げられた原稿を何とか活かす方向でアイデアを考えることにしました。
反省
今回の事例の原因についてライターさんの質の問題と言ってしまえばそれまでなのですが、「とりあえず取材してしまっても、あとでなんとかなるだろう」と思わせてしまったほうにも責任があるのではないかと思いました。
たとえ取材済の原稿であってもダメなものはダメ。公開スケジュールがどうであろうと再取材やボツもありえるし、それらで発生する店舗側への説明はもちろん、下手をすればクライアント側への謝罪まできちんとやっていただく可能性だってある。そういった厳しい姿勢を見せることができず、どこか馴れ合いになってしまっていたとしたら大問題です。なぜなら、この記事は出版社でもライターでも編集者でもなく、クライアントのために作るべきものなのですから。当たり前ですが。
少なくとも、企画案に変更点が生じたならば、必ず事前に連絡をしてもらうようにする。言うまでもないことですが、言うまでもないことだからこそしっかりと言語化して、ルールとして徹底する必要があるのかもしれないなと反省しました。
まとめ
原稿執筆というとどこかクリエイティブで特別なイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれません。実際、クリエイターっぽさを前面に押し出すライターさんがいるのも事実です。ただ、実は当たり前のことを当たり前のようにできるかどうかで記事の品質が左右される面も大きいのではないかと思います。
もしかしたら、今回の記事を読んだライターさんからは「わざわざ、こんな当たり前のことを記事にしなくたって」と怒られてしまうかもしれません。ただ、まさに言わなくても済みそうなところで意外と問題が起こっているのがWeb編集の現場なのではないか、と個人的には感じています。それでは、また次回に。
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