営業の枠から飛び出せ!
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2019.06.24
#6
ブランドづくりの話をしよう

ブランドづくりの話をしよう#5「都会で培った経験を、田舎の美しい景色の中で活かす話」

ゆっち

長野の片隅からこんにちは! ゆっちです。

野尻湖オフィスのある長野県信濃町。のどかな田園風景にポツリとある、イタリアンレストランが賑わっています。

 

田畑に囲まれた大自然! そのなかに、県内外からも多くのお客さんが来る、おしゃれなお店があります。

 

どうです? おいしそうでしょ? ……実際何を食べてもおいしくて、私もよくここを訪れています。

一見、不利な立地に思える場所で成功するには、どんな秘訣があるのでしょう?

今回は「NICOLI PIZZA&PASTA」の草野さんご夫婦にお話を伺いました。

NICOLI PIZZA&PASTA
ジェネラルマネージャー 草野 竜太さん
シェフ 草野 佑奈さん
2017年11月にオープン。東京の有名イタリアンレストランで培ったノウハウや技術を活かし、その土地の美味しい食材で作るパスタやピザをメインに提供している。
https://nicoli.shop/

 東京の修行生活から、田舎へ

ゆっち:おふたりとも、東京の有名店で修行されていたんですよね。最初から料理の道に進もうと思っていたんですか?

佑奈さん:私、子どものころの夢は歌手でした!

竜太さん:僕は音大卒なんです。

佑奈さん:音楽は今も、ふたりとも好きなんです。人を笑顔にする仕事をしたい! と学生時代に思っていたのですが、音楽で生活してくのは難しいかな……と感じるようになりました。

ほかに人を笑顔にできる仕事って何かな? と考えたとき、信濃町の実家が農家を経営していたのを思い出したんです。おいしい野菜たちが料理に変身して、食べてくれた人を笑顔にするって素敵だなって思ったんですよね。

 

佑奈さん:私から熱望した甲斐もあって、実家のトモウモロコシを扱っていたイタリアンレストランに就職しました。

竜太さん:一緒のお店で働いていました。社会経験・料理修行のために東京の有名レストランを選んだっていうのもありましたが……。

佑奈さん:毎日毎日、怒られましたし、長時間労働で……。「料理でたくさんのお客さんを笑顔にしたい」という思いで就職したのに、忙しさに追われて作業的になりつつあって。そのころから、いつか自分でお店を持って、お客さんとの会話を大切にしながら料理を提供したいな! と思うようになりました。

ゆっち:お料理の世界って営業時間外も掃除や仕込み、調理の腕を磨いたり……かなりハードそうですもんね。そんな環境から独立(開店)するのは、難しかったのでは?

佑奈さん:それが……いつかはお店を持ちたいと思っていた矢先に、父から「いい土地が見つかったから帰っておいで」と打診があったんです。

竜太さん:お義父さんは行動力の塊というか……(笑)。娘(佑奈さん)を思ってくれての話ですが、突然で、驚きました。

佑奈さん:そのとき、ふたりで暮らしていたアパートの契約更新のタイミングでもあったんですよね。「一緒に(信濃町に)行かない?」と誘ったら、快諾してくれて。

ゆっち:竜太さんはご出身が愛知県で、佑奈さんと同じ東京のレストランで修行されてましたが、突然の移住・独立となるわけですよね。不安はなかったですか?

竜太さん:チャンスだ! と思いましたし、迷いはなかったですね。身を固める上でも、お店を持つのも、このタイミングしかない! 知らない町に飛び込んでみよう! と思いました。

覚悟が決まったからか、お店のコンセプトやクリエイティブも、スッと浮かんできましたね。

 
▲店内は白を基調とし、無垢の材木とアイアンの照明がアクセントとなっている

佑奈さん:その後、東京のお店を辞めて、ふたりで信濃町に住んで1年半くらいは長野のお店を巡って研究して、店舗やメニューの構想を固めて開店準備をしていきました。

竜太さん:いま思うと、東京で培った経験が役に立っていると実感します。食材を厳選しおいしいものを提供するだけでなく、お店自体のコンセプトや経営まで、全体を俯瞰して考えることができました。

佑奈さん:東京のお店のときは2時間で130人前のパスタを調理したこともありました。……忙しかったですけど、スピード感や集中力も身につきました。

竜太さん・佑奈さん:あとは、なにがあっても動じない! と思える度胸も(笑)。

ゆっち:東京の有名店で修行してきたからこそ、一流のものを身近に感じ、ピークタイムだけでなくさまざまな状況をくぐり抜けてこられたんですね。

 「いいもの」を見極められるか? が大切

ゆっち:お店づくりやメニューにこだわりはありますか?

佑奈さん:東京のお店のとき、なかなかお客さまと接点がなかったんです。お店を立ち上げるとなってから、たくさんのお店を回り、どんなお店にしたいか徹底的に話し合いました。そこで、わたしたちのお店では、会話を大切にしようと決めました。来ていただいたお客さまと、ひと言でも多くコミュニケーションでもできるように心がけています。

竜太さん:常にお客さまのことを気にかけ、お話ができそうなタイミングで妻の仕事を引き継いで、コミュニケーションを取ってもらうようにしていますね。ひとりでも多くの方に「来てよかった」「また来たい!」と思ってもらいたいんです。

佑奈さん:SNSも活用しています。私自身、コミュニケーションを取ることが、もともと好きなんですよね。接客するなかで、そしてSNSを活用するなかで感想をもらえることが多くて、元気をもらっています。

ゆっち:接客に対する姿勢が素敵ですね! 私も初めて来たときにお店やお料理もですが、佑奈さんが気さくにお話ししてくれたのをよく覚えています。

佑奈さん:帰り際だけでなく、お料理を持ってきたタイミングで「また来ますね!」と言っていただけることもあって……。

竜太さん:「今度は友達グループを連れてきますね!」とか、その日のうちに、次の予約をそのときにされていく方も多いです。

佑奈さん:2日連続で来てくれる方もいて……喜んでくださっているんだな! と実感しますし、うれしいですね。

竜太さん:ほかのこだわりとしては、できるだけオリジナリティを出して、差別化を図れるよう工夫しています。メニュー名も「おいしそう」と思ってもらえるような名前をつけますし、実際の料理やお店の雰囲気など、五感で楽しんでいただけるように工夫しています。

「いいもの」「心地よいもの」を提供することが重要だとは感じます。共感してもらえるものといいますか……東京にもいたからこそ、その感性が研ぎ澄まされたと思います。

 
▲季節で変わるメニューは、ネーミングにも注目です

 

ギャップから生まれる、贅沢な時間

ゆっち:飲食店だと田舎という立地は不利なのでは? と素人目には思うのですが、お客様はどのような反応をされるんでしょうか?

竜太さん:「どうしてこんなところにレストランが?」と驚いていただけることが多くて。そして、それがわたしたちの狙いだったりするんです。田畑と山しかない場所なのに、オシャレなお店から田舎の風景を楽しめる……一体ここはどこなんだろう? っていう、贅沢な時間や景色を楽しんでもらいたいんです。

ゆっち:ロケーションの良さを最大限に活かしているんですね。そこに加え、東京での経験や知識があるからこそ、田舎でも成功していけるのだと思いました。

竜太さん:そうですね。今、都会で働いていて、いつか田舎でお店を持ちたいと考え、開業する人が増えるといいですよね。経験と良いものを見極める力は、存分に活かせると思います。

▲それぞれの席から、信濃町の景観や山々が楽しめる

 

ゆっち:今後の夢や目標はありますか?

佑奈さん:音楽の活動はしたいな……ってあらためて思っています。一度きりの人生ですし。

竜太さん:えーーー!? そんな風に思ってたんだ?

たしかに、僕ももともと歌手になりたいと思っていましたし、音大も出てるので……それをどこにも出さずにいるのはもったいないかな? と思う瞬間もありますね。

佑奈さん:お店に変化をつけていくことが大切なので、不定期でもよいのでライブができればいいなと思います。あとは、ビアガーデンを開いたり、ドッグランを作ったりもしたいですね。やりたいことは尽きないですし、あたらしいことにどんどん取り組むことで、「NICOLI」をたくさんの人に知ってもらいたいです。

 
▲店名の「NICOLI(ニコリ)」は「笑顔=にっこり」から来ている。訪れると思わず笑みがこぼれるお店になりたいという思いから名付けられた

まとめ

若いおふたりのエネルギーや考え方の裏には、東京で培われた経験と審美眼から生まれた内装やお料理への価値観がありました。田舎にポツリとあるお店……その扉を開けた先に広がる、洗練されたクリエイティブと田舎のまったりとした世界観は「NICOLI」さんならでは。

「また来たくなる、笑顔で帰れるお店」を形づくっている、おふたりのお人柄がとても魅力的でした。

以上、ゆっちでした!

 

\過去記事はこちら/

▼第1回「長野のくらしをハイブランドにする話」


▼第2回「愛され続ける長野のお茶の話」
▼第3回「りんごジャムから年商100億円規模へ。サンクゼールのブランド戦略」
▼第4回「こだわりの商品とPRで、地元からも認められた話」