営業の枠から飛び出せ!
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2019.06.17
#5
ブランドづくりの話をしよう

ブランドづくりの話をしよう#4「こだわりの商品とPRで、地元からも認められた話」

ゆっち

長野の片隅からこんにちは! ゆっちです。

野尻湖オフィスのある長野県信濃町。この地域も田植えシーズン到来です。

 

のどかな田園風景が本当に気持ちよくて、美しい!

この土地に、農業の6次産業で商品の全国展開をする、若手の起業家さんがいます!

6次産業とは
「一次産業としての農林漁業と、二次産業としての製造業、三次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図り、地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取組」のこと。1×2×3=6で、6次産業化としている。
農林水産省「6次産業化の推進について」PDFより

今回は地方の農業で成功するブランディングの裏側を、株式会社ベストシーンの入木さんに伺っていきます。

株式会社ベストシーン 入木 拓朗(いりき たくろう)さん

2017年10月に株式会社ベストシーン設立。信濃町に移住をして農場を営む。減農薬・無農薬で作った米を加工・商品展開をする6次産業をおこなっている。
https://best-scene.jp/shop/

この土地で育てた「米」から独自の商品を開発

ゆっち:信濃町のなかでも田畑に囲まれたのどかな場所ですね。株式会社ベストシーンさんはどんな事業をされているのでしょうか?

入木さん:お米の生産から、その加工・販売を行う「6次産業」をとおして、ユーザーさんにさまざまな商品を届けています。主力の商品としては、大吟醸米麹仕込みの甘酒ですね。発売日の11月22日に「甘酒ヌーボーの日」という記念日を日本記念日協会から取得しまして。それに合わせて東京でプレスイベントも開催しました。

▲大吟醸規格の50%までお米を磨き上げた甘酒。自然な甘みが感じられる、なめらかな舌触りです。

「米を磨く」
清酒製造においては「米を削る」ではなく「米を磨く」という表現を使います。日本酒などに表記されている「精米歩合」はどれぐらいお米を磨いたかの指標で、100%だと玄米(=まったく磨いていない)となります。逆に、精米歩合50%は、ふつうの米粒の半分ほどの大きさまで精米されたもの。純米大吟醸酒、大吟醸酒などは50%まで磨きこんでいます。磨いた米で作ったお酒の味は、「すっきり、華やかな香り、軽い、薄い」という表現になります。
参考:株式会社越後伝衛門 | 米を磨く。精米歩合について

ゆっち:甘酒の記念日って面白いですね。甘酒ブームもありますし、なにより女性に好まれそうですね……!

入木さん:大吟醸と同じくらいお米を磨きあげるので、芯の本当に甘いところでできているんですよ。「甘酒ってクセがあって苦手」という方もいらっしゃるかと思いますが、そういう方にも飲みやすいとの感想をいただいてますね。

ゆっち:……たしかに! 飲んでみると今までの甘酒と違って、風味・味にクセが少なく飲みやすいです。

入木さん:甘酒を作る際に、酒粕を使ったりするものもあるのですが、当社では麹にもこだわっているんです。「飲みやすい」という感想はそこからきていると思います。麹には、味噌や日本酒などつくる目的によって種類が分かれています。当社の甘酒は、大吟醸製法を甘酒に取り入れたことにより、雑味のないスッキリと飲みやすさがあります。また加工米ではなく自社栽培した「ひとめぼれ」を使用しているからこそ、お米本来の美味しさを実感していただけると思います。

酒蔵さんに大吟醸と同じ手法の甘酒づくりの話を持ちかけたとき、「良いお返事はもらえないだろうな……」とも思ったのですが、面白い! 作ってみたい! と前向きにお答えいただけて、できた商品ですね。

 

ゆっち:50%も精米するからこそ、芯の甘みが引き立つんですね。その半分まで削ったお米は、捨てられてしまうのですか?

入木さん:いえいえ、そんなもったいないことはしませんよ。 もともとおいしいお米ということもあり、米粉スイーツ、たとえばロールケーキやフィナンシェなどを開発中です。もっちり感や甘みを引き立てるための配合を日々、研究していますよ。

ゆっち:もっちり感のある米粉スイーツ……いつか食べてみたいです! ところで、これまでご紹介いただいたような、甘酒や米粉スイーツなどのお米を使ったプロダクトを開発するうえで、気をつけていることはありますか?

入木さん:お米の消費量って年々、減少しているんです。だからこそ、ご飯を食べる以外にもおいしくお米を消費する方法を考えて、商品開発・展開を行なっています。

あとは、「小分け」にすることで手軽さや使いやすさを意識しています。昨今のスーパーなどは、個包装や小分けの惣菜や調味料なんかも多くて。お試し感覚で購入できる・重いものを持たなくていい……そういった「手軽さ」のニーズに応えられるように、商品のパッケージングについても考えていますね。

 
▲1人前からの個包装だと、手軽に製品を試すことができる

プロモーションしたことで、長野に逆輸入も

入木さん:このリゾットなんですが、実は書店さんに置いてもらうなど、販路を変えて今後売り出していこうと考えています。

ゆっち:書店にリゾット! ……食生活やダイエット本のコーナーに一緒に並んでいたら、思わず手に取ってしまいそうです。おもしろい試みですね。

入木さん:地元産の材料を使うことはストーリーとして引き立ちやすいのですが、それを消費者に伝えるのは難しい。書店さんに置いてもらうのも、消費者に視線を向けてもらうために考えたことです。

企業としての活動や商品と、それを作っている場所(信濃町)のギャップが面白いと、県内の企業さんに注目されることも増えてきまして、イベントの参加や企画に声がかかることが多くなってきました。

地方で産業を起こし、職を生み出す

ゆっち:イベントの参加や企画に積極的とは……パワフルですね! これまでの2年でさまざまなチャレンジをされていますが、事業を展開していく原動力はやはり「農業を守るため」という思いなのでしょうか?

入木さん:いえ、農業というよりは「自分の人生を賭けてなにをやるのか」それを考えたときに、「地方で産業を起こしたい」と思ったんですよね。「都会で働かなくても、都会くらいの収入が地元で得られて、仲間や家族もいる環境で職を生み出したい」と思ったのがきっかけです。

ゆっち:かっこいい志ですね! そのエネルギーが入木さんご自身やベストシーンさんに現れていると思います。

入木さん:都会はサービスも溢れていて、それを受け入れるだけでいいかもしれませんが、田舎だとそのサービスから作り上げていかないといけない。若い方には1から作れる楽しみや熱意を持ってもらいたいですね。地方にいても職がある、やりがいがあるって思ってもらいたいです。

僕も「やったるぜ!」って意気込みで、どうにかやっているところもありますし、そういう気持ちや行動がご縁に繋がっているのかな? と感じます。

ゆっち:1からなにかをつくりあげる場としての、長野の魅力があればお教えください。

入木さん:長野って本当にいい場所なんですよ。資源は多いし、都市部からもアクセスがいい、四季も楽しめますからね。それを活かした活動や事業がもっとできると思っています。

そのカルチャーに飛び込め!

ゆっち:地方で新しいことをはじめる際に、行き詰まるときがあると思います。そういったときは入木さんはどのようなことをしていますか?

入木さん:積極的に、誰かに意見を聞きますね。そのとき、「どういったところに問題があるのか?」「どう思ったのか?」など、具体的に聞くことも大切ですね。周りの助けや巻き込んでいくことで商品開発や事業展開に繋がっていきますよ。

地方に移住する、起業をするなど、新しい土地でなにかをするって大変なことだとは感じます。受け入れてもらう難しさもありますし、その土地独自のニーズと結びつけるのは本当に難しい。

そこではスピード感が大切で、そこで止まるより不安があってもカルチャーに飛び込んでみることが大切なんです。さまざまな人と会って「知ってもらう」きっかけや方法を考え・実行していけば、自ずと広がっていくんだな。と実感しています。

ゆっち:馴染めるかな? と不安になるより、まず行動! ってことですね。入木さんの今後の展望や夢をお聞きしてよいですか。

入木さん:そうですね。会社としてはもっと大きく成長させていかないといけないですし、地方の可能性を広げていきたいです。

僕個人としては、農業を軸足に置きつつも、農業とITのWワークを推進したり、イベントをしたりと、いろいろなことをやっていきたいです。イベントについてだと、田植え体験ってわりとあるコンテンツだと思いますが、私有地内であればそこで農機の運転体験ができると楽しいだろうな、など考えています。

まとめ

移住をして、知らない土地でまったくなにもないところから6次産業を進めていく大変さや、行動力の大切さを感じました。地方でも仕事がある・都市部にいなくても稼げる先駆者になっていきたい! と話す入木さん。閉じこもって考えるより、環境に飛び込んで意見を聞き・取り入れることが大事だと学びました。

なによりも、商品のクオリティが「地方にこんなにいい場所・産業・商品があるんだ」と良いギャップを感じさせるお手本だなと感じました。商品だけでなく、イベントもあわせたブランド体験をつくりだすことで、地方の楽しさ、農業のかっこよさ、働きやすさを伝える活動にこれからも注目していきたいです。

新しいものを作り出す土地としての長野の良さにも気づくインタビューでした。

以上、ゆっちでした!

 

\過去記事はこちら/
▼第1回「長野のくらしをハイブランドにする話」


▼第2回「愛され続ける長野のお茶の話」
▼第3回「りんごジャムから年商100億円規模へ。サンクゼールのブランド戦略」