相手はだれか?(ターゲット意識)
前述したとおり、文章は読み手がいてはじめて成り立つものです。読者(ターゲット)がはっきりしないままに文章を書くと、だれにも届かない文章になりがちです。
その文章はだれに向けて書いていますか? 実際に読む相手が決まっているときには、その人が文章を読むところを想像してみてください。
エントリーシートであれば「人事担当者」へ。企画書であれば「上司・取引先」へ。記事であれば「読者」へ。ラブレターであれば、「好きな人」に向けて書いていますよね。このように、だれに届けたいのかを必ず想定してください。上司なのか部下なのか、男性なのか女性なのか、スイーツ好きなのかそうでないのか……。相手によって書くべき内容は変わってきます。上司なら読み終わった後、なんと言いそうでしょうか? 後輩にわかりにくい専門的な言葉を使っていないでしょうか? 相手を意識をするだけで、より届く言葉を選んで書くことができるはずです。
また、記事の執筆やお客様へのチラシなど、具体的に相手が目の前にいない場合は、どんな人に読んでもらいたいのかを想定しましょう。想定しているターゲットに近い友達がいれば、その友達に向けて書いてみるのもいいかもしれません。もし思い当たらなければ、届けたい相手はどんな人なのか、具体的に思い描いてみましょう。
- その人はなにを望んでいるか?
- その人の興味関心はなにか?
このあたりを具体的に想定すればするほど、相手に届く文章になります。好きなもの、興味関心、願望などがわかれば、どの言葉を選びどんな比喩表現で伝えれば良いかも浮かび上がってくるはずです。
大事なのは、だれか一人を濃厚にイメージすること。その人のハートにがっちりばっちり届けば、その人に似ている属性の人にも必ず届くはずです。近くの一人にも届かない文章は、結局だれにも届かないことを頭の片隅に置いてもらえればと思います。
何を伝えたいのか?(目的意識)
意識するポイントの2つ目は「何を伝えたいのか?」、つまり文章の「目的」です。
企画書なら「やってみようと思ってもらえること」。エントリーシートであれば「自分に興味を持ってもらうこと・一緒に働きたいと思ってもらうこと・役に立つと思われる」こと。付き合ってほしいという旨のラブレターであれば「想いを伝え、OKをもらうこと」などことが目的となるでしょう。
目的を果たすために、相手にわかりやすいように書くのは大前提。(文章そのものをわかりやすいものにするためのポイントは前回書いているので、ぜひ読んでみてくださいね。「文章力を向上させて、伝わる文章を書くために気をつけたい5つのポイント」)
基本的には伝えたいこと・目的は一つに絞り、“一つの文書(記事)にワントピックのみ”を意識してみてください。あれこれ詰め込みすぎては「なんか色々書いてあったけどよくわからなかった」ということになりかねません。読み終わったあとに、読者が「この文章は○○が××であることが書かれていた」と一言で答えられるような文章を目指しましょう。
「伝えたいのはなにで、なんのための文章なのか?」をいつも意識するようにしてください。
どうなってほしいのか?(反応・行動)
最後は「それを伝えてどうなってほしいのか?」という読者の反応・行動への意識です。他人に向けて書く文章には「伝えたい想い・意図」があり、それに対する「欲しい反応」があるかと思います。 その反応を引き出せる文章になっているかどうかを、書いている間は都度振り返ってみてください。
相手の反応を予測しながら文章を書けば「ここは『例えばどういうこと?』と突っ込まれるな……」や「『え、行ってみたい! どうやって行けばいいの?』と聞いてくるかもしれないな、加筆しよう……」など自分の文章に対して、客観的な視点を入れ込むことができます。相手の反応を引き出すためには、時にはこだわっていた文章表現なども削っていくことが必要になるかもしれません。
欲しい反応から逆算し、これを読んだ相手がなんと言ってくれるか?と想像力を働かせながら文章を書いてみてください。とても難しいことですが、欲しい反応も細かく思い描ければ思い描けるほど、人の心を動かす文章になっているはずです。