LIGのメルマガ、はじめました!
LIGのメルマガ、はじめました!
2020.09.19
#9
LIGちゃんねる

『激動の昭和史 沖縄決戦』と、フロントエンドエンジニアの生きる道

中野 慧(ケイ)

こんにちは。エディター兼ディレクターのケイ(@yutorination)です。(※アイキャッチの写真は本記事の書き手の僕ではなく、フロントエンドエンジニアのドリルさんです)

LIGではクライアントのWebメディア/サイトの編集・運営サポート、コピーライティング、それとLIGのYouTubeチャンネル「LIGちゃんねる」の制作を担当しています。

さて最近は毎週土曜日に1つのコンテンツを取り上げて紹介してきましたが、先々週、ジャンプで連載中の漫画『チェンソーマン』を取り上げた際に、Slackで弊社社長の吉原ゴウより下記のようなメッセージが来ました。

 

 

これは、要は社長からの圧力であると考えられます。

しかし僕は “反権威”をモットーに掲げておりますので、権力には積極的に立ち向かっていかねばなりません。

ということで今回は「ジャンプ」や現代から遠く離れ、1971年に制作された鬼才・岡本喜八監督の大作戦争映画『激動の昭和史 沖縄決戦』をテーマに書いてみたいと思います!

Amazon Primeで観ることができますよ!

※ちなみに、社長はなんか『呪術廻戦』推しのようですね。去年、ハロウィンにかこつけてこんな記事を書いてます。この記事、執筆者がCTOのづやさんってことになってますけど、おそらく社長がづやさんをいじる目的で書いてますね。LIGブログはこういう罠が仕掛けられてるのでくれぐれも注意してください。づやさんは「LIGの良心」と(僕の中で)言われており、こんなやべーやつではないと思います(たぶん……)。

『シン・ゴジラ』と岡本喜八

2016年夏、『新世紀エヴァンゲリオン』で知られる庵野秀明監督(以下敬称略)の実写映画『シン・ゴジラ』が公開されました。ほぼ同時期の『君の名は。』がヒットしすぎたため、やや陰に隠れた感はありましたが、『シン・ゴジラ』も興行収入は80億円を超えており、たくさんの人が鑑賞したのではないかと思います。

この『シン・ゴジラ』に、写真だけ登場する「牧悟郎」という謎の生物学博士がいますが、この写真は、実はかつての邦画界の名監督、岡本喜八の写真なんですね。

庵野秀明は、岡本喜八本人との対談のなかで下記のように語っています。

 『日本のいちばん長い日』とか『沖縄決戦』は何度も何度も何度も見てるんですよ。一時期、絵コンテやっているときのBGVにしてまして、BGVのつもりが、ついそっちのほうを見て、ああ、三時間つぶしてしまったということになるんですが(笑)。
『沖縄決戦』は、僕が生涯で一番何度も見た映画なんです。のべ百回以上見てますね。

(岡本喜八『しどろもどろ 映画監督岡本喜八対談集』ちくま文庫、2012年、211ページ、太字引用者)

『日本のいちばん長い日』も『激動の昭和史 沖縄決戦』も、岡本喜八が監督した作品です。『シン・ゴジラ』は、岡本喜八の映画の強い影響下でつくられているわけです。という入り口から興味を持ちまして、『日本のいちばん長い日』『激動の昭和史 沖縄決戦』も観てみたので、今回取り上げてみた次第です。

『日本のいちばん長い日』について

で、まず『日本のいちばん長い日』(1967年)について。これは1945年、太平洋戦争で日本がもうにっちもさっちもいかなくなって、降伏をどうやって決めて、そして8月15日の玉音放送――「耐え難きを耐え〜」というやつです――に至ったか、というお話です。

そしてあまり一般には知られていないかもしれませんが、この終戦間際に実は、陸軍の青年将校たちが皇居周辺でクーデター未遂事件(宮城事件/きゅうじょうじけんと読みます。戦前は皇居のことを「宮城」と言っていたんですね)を起こしていました。このクーデターが成功していたら、歴史が大きく変わっていたことでしょう。そうした終戦時の様子を描いた同名の半藤一利のノンフィクションを原作とし、1971年に公開された映画が『日本のいちばん長い日』です。

基本的に、東京の政府と軍部、天皇とのあいだでどんなやりとりをして降伏まで至ったかの話なので、戦争映画といえども戦闘シーンはかなり少ないです。どちらかというと、会議をやってるシーンが多いですね。

これは『シン・ゴジラ』にも通じるところがありますが、戦争の現場ではなく、とにかく会議、会議、会議。LIGふうにいえばMTG、MTG、MTGです。それが、若干のコミカル(というかアイロニカル?)な味付けをもって描かれています。やたら血気盛んな陸軍将校の描かれ方も、ややオーバーな感じはあります(とはいえ、まだ戦争の記憶も色濃く残る60年代の映画ですから、観客には「あるある」として受けたのではないか、と推測します)

しかも、いくら会議しても、なかなか決まらない、決められない。意見の一致を図ろうとして、時間ばかりがイタズラに経過していく、と。今でもよく見る光景な気がしますね。外国がどうなのかまではわかりませんけれど、なんだかすごく日本的だなぁ、と思ったりします。あとは、「空気」が物事を支配している感じも、なかなか身につまされます。

なので、日本で組織人として働く、またはその道に入っていく人には、昔の話といえども、興味をもって観られるのではないかと思います。

ちなみに『日本のいちばん長い日』はモノクロです。もし見づらいと感じたら、同じく半藤一利のノンフィクションを原作とした2015年版(監督:原田眞人)が公開されており、そちらもAmazon Primeで観ることができますので、おすすめです。

岡本版はもちろん不朽の名作ですが、僕は個人的にはこの2015年版もすごくいい作品だと思っています。終戦時の内閣総理大臣・鈴木貫太郎を山崎努、そして昭和天皇(!)を本木雅弘、とにかく”真っ直ぐ”な青年将校・畑中少佐を松坂桃李が、それぞれ演じています。かなり幅広い世代の、新旧スターの共演ですね。ちなみに、「天皇を俳優が演じる」というのは大変難しいことだと思うのですが、本木さんの演技は大変素晴らしいものだったと感じます。

『激動の昭和史 沖縄決戦』について

さて、そんな感じで、『日本のいちばん長い日』に関しては新旧作を両方とも何度も観ているので何文字でも書けるのですが、今回はじめて『激動の昭和史 沖縄決戦』を観てみました。こちらは言うまでもなく、1945年3月から6月にかけて戦われた「沖縄戦」を描いた作品です。

岡本喜八の評伝『岡本喜八の全映画』には、このように書かれています。

 今、自分は恥じている。沖縄に無関心だったことを。撮影準備に入ったらだんだん恥ずかしくなった――。メガホンを取ることになった岡本喜八はこのような発言をした。これは自分だけではない。あまたの日本人もそうであるに違いない。今こそ、今一度、沖縄の悲劇を私たち日本人は噛み締めなくてはならない。

(小林淳『岡本喜八の全映画』アルファベータブックス、2015年、155-156ページ)

この『激動の昭和史 沖縄決戦』は、そのリアリティを徹底して描いていこうとします。僕自身、この作品を観ることでようやく、沖縄戦というものの一端を垣間見ることができたように思います。

後で調べてみると、沖縄県民の死者は12万人あまり、県民の4人に1人が亡くなったと言われています。そして、米軍兵士も合わせた沖縄戦の総戦没者は20万人にものぼったそうです。

『日本のいちばん長い日』との比較で言うなら、『日本の〜』は基本的に中央=東京の政治家や高級将校たちの話でしたが、『沖縄決戦』は現地の軍参謀、そして名もなき民衆たちの姿が目を惹きます。有名な「ひめゆり学徒隊」も登場します。『日本の〜』と大きく違う点はやはり、戦闘に民間人たちが巻き込まれていく様子が、徹底して描かれていることです。

その一方で、さきほど引用した『岡本喜八の全映画』にはこんな記述もあります。

 ところが、肝心の沖縄県民からの支持は意外なほど得られなかった。予想以上に厳しかった。こんなものじゃない、こんな生ぬるい映画は許容できない、との声が多くあがった。沖縄県民にとってこの戦争はいったい何だったのか、本土に住む日本国民にとって沖縄とはどのような存在なのか、沖縄の戦後の歩み、位置づけを今の日本人はどう捉えているのか。岡本の想いとは別に、こうした問題提起は映画からはあまり見えてこなかった。
(小林淳『岡本喜八の全映画』アルファベータブックス、2015年、157ページ)

映画公開が1971年、そして戦後長らくアメリカの占領下に置かれていた沖縄が日本国に復帰したのが1972年。いまの視点でこの映画を観たら、沖縄戦が日本映画の題材になることは当然のように感じられてしまいますが、公開時はまだまだ「本土」との温度差が大きかったことは想像に難(かた)くありません。

そしてその「温度差」は、いまなお、「本土」と沖縄のあいだに大きく横たわっています。メディアではしばしば普天間基地の問題が取り沙汰されますが、日本社会に生きる我々は、どれぐらい「基地」のことを受け止められているでしょうか。

当然、これを書いている僕も例外ではありません。まだ沖縄に行ったことすら、ないのです。もっと色々なことを知り、沖縄の方々の心に、想像力を働かせられるようになりたいなぁ、と感じます。

コンテンツ制作の観点から

さて、『シン・ゴジラ』が面白い! というところから始まったインプットでしたが、思わぬところに着地しつつつあります。

ちなみに沖縄戦ということでいえば、数年前にメル・ギブソン監督、アンドリュー・ガーフィールド主演の映画『ハクソー・リッジ』 (2016年)は観ていました。戦争描写のリアリティということでいえば、『沖縄決戦』よりも『ハクソー・リッジ』のほうが真に迫るものがあったように思います。

『ハクソー・リッジ』はテーマ性が明確で、「人を救うとはどういうことか」「戦争という巨大な潮流のなかで、個人の意志は貫くことができるか」ということに挑戦した作品でした。ただ、あくまでもアメリカ兵からの観点であり、沖縄の側からの観点ではなかったので、『沖縄決戦』を通じてようやく日本側からの視点の足掛かりを得られたように思います。

ちなみにリサーチしていくなかで、ここまで取り上げてきた『日本のいちばん長い日』『激動の昭和史 沖縄決戦』ともに、「東宝8.15シリーズ」という夏休み映画だったことに気づきました。この「東宝8.15シリーズ」は1960年代後半〜70年代にかけて、「邦画御三家」の一角である東宝のドル箱企画だったようです。今の感覚からすると、戦争映画がドル箱シリーズだったというのはやや意外にも思えます。しかし、だからこそ、ある種の優等生的なつくりをしなければならなかった――そういったクライアントワークの縛りのなかでの作品だったようです。

それゆえ、『日本のいちばん長い日』『激動の昭和史 沖縄決戦』ともに、岡本喜八のフィルモグラフィーのなかでは、有名ではあるけれども、やや傍流に位置づけられる作品なのかもしれません。どうも岡本映画の真骨頂はこの2作品にはそこまで出切っていないようです。

どちらかというと、『独立愚連隊』(1959年)、『江分利満氏の優雅な生活』(1963年)、『ああ爆弾』(1964年)、『血と砂』(1965年)、『殺人狂時代』(1967年)、『肉弾』(1968年)、『吶喊(とっかん)』(1975年)、『近頃なぜかチャールストン』(1981)などにこそ、岡本喜八のユーモアとアイロニーが込められている……みたいなんですね。

う〜む、まだまだ先は長いようです。

とはいえ、何かの「コンテンツ」をきっかけにルーツをどんどん辿っていくと、今回のようにシリアスな部分に触れざるをえなくなったりします。それも含めて、コンテンツというものの楽しみだったりするのかな、ということを改めて感じました。

では、今週LIGちゃんねるで公開した動画3本を紹介していきたいと思います!

シリアスに振れたのですっかり忘れそうになりました。本文とは全然関係ありませんが、実は僕が担当している会社のYouTubeチャンネル「LIGちゃんねる」で週3本、動画を更新しています! 

週替りでLIG社員に登場してもらい、1つのテーマを決めてショートインタビュー&LT(ライトニングトーク)形式で話してもらった動画を、毎週月・水・金の朝8時に更新しています。

正直、会社的な目的として設定しているのは「採用」「社内広報」の2つなので再生回数にはあまりこだわっておらず、むしろ「社員に動画での発信に慣れてもらう」という、実験的な企画としてやっております。岡本喜八監督のスケールにはだいぶ遠いですが、とはいえ少しでも見ていただいた方に「面白かった」と思ってもらえるものを目指しています。では今週出した3本を紹介していきます!

WebGLってどういう技術?サイトに実装するメリットは?:ドリル(フロントエンドエンジニア)

今週登場するのは、フロントエンドエンジニアのドリルさんです。僕から見たドリルさんは、まさに「直言居士(ちょくげんこじ)」。相手が誰であろうと、言うべきだと思ったことをハッキリ言うところがすごいなぁと思っています。

ドリルさんはフロントエンドエンジニアとして、特に「WebGL(ウェブジーエル)」という技術を得意としています。僕はWeb制作における技術のことにそこまで明るくないので、これを機会に「WebGLとは何か?」について教えてもらいました。

プログラミングの早期教育について:ドリル(フロントエンドエンジニア)

僕が小学生だった90年代は授業にプログラミングのプの字もありませんでしたが、現在の小学校教育ではプログラミングが重視されるようになってきているようです。英語教育と同様、早期教育を行うべきかは賛否両論があるこのテーマ。ドリルさんはなかなかに自分のオピニオンを持っているタイプなので、現役エンジニアとしての意見を聞いてみました。

エンジニアの「学び」に必要不可欠なもの:ドリル(フロントエンドエンジニア)

僕はエンジニアリングのことに詳しくはありませんが、LIGで働いてきて、エンジニアの間ではどうも「勉強が大事」ということが言われているらしいことは知っています。そこでエンジニアが「学び」に向き合うときのスタンスについて意見を聞いてみました。

うーむ、けっこう深いですね。僕なんかも、編集・ライターとして勉強は日々しているんですが、「これをやらねば!」ということに、もっと時間を使いたい、でもやらない、という状況があります。どうしたもんかなぁと、悩みが深まります。

まとめ

今週のLIGちゃんねるには、フロントエンドエンジニアのドリルさんに登場してもらいました。

前半では、インプットを通じて思わぬところに着地しました。僕としては勉強やインプットは、「義務感でやる」のも「楽しくやる」のも双方なかなかうまくできないので、あくまでも暫定的にですが、「続ける」ということがいいんじゃないかなぁ、と思っております。みなさんは「勉強」や「インプット」にどういうスタンスで向き合っていますか? と投げかけて終わりたいと思います。

というわけで引き続き、LIGのYouTubeチャンネル「LIGちゃんねる」、生暖かい目で見守っていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

「LIGちゃんねる」はこちらから
(チャンネル登録、ぜひお願いします!🙇‍)

また毎週土曜日に、今回のような謎の記事が引き続き更新されていく予定です。

これまでに書いた記事