『映画ドラえもん のび太の新恐竜』と、Webディレクターの仕事について

『映画ドラえもん のび太の新恐竜』と、Webディレクターの仕事について

中野 慧(ケイ)

中野 慧(ケイ)

こんにちは。エディター兼ディレクターのケイ(@yutorination)です。(↑の写真は、本記事の書き手の僕ではなく、Webディレクター/マネージャーのジャックさんです)

突然ですが、みなさんは映画はご覧になるでしょうか。僕は毎月1日の「映画の日」と、14日の「TOHOシネマズデイ」は映画料金が安くなるので、その日に合わせて映画館に足を運ぶようにしております。

コロナ以降は一時的に映画館が閉鎖になり、営業再開後も新作公開が少ない状態が続きましたが、最近観た作品のなかでは『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』がめちゃくちゃ良かったです。原作を読んだことがなかったのですが、これは最近注目されている概念、「シスターフッド」の物語であることを知りました。100年以上前の原作に現代性を持たせる工夫が素晴らしいです。

シスターフッドとは
ウーマン・リブの運動の中でよく使われた言葉で,女性解放という大きな目標に従った女性同士の連帯のこと。(コトバンクより引用)

そして7,8月といえば夏休み映画なわけですが、本来であれば春休み公開予定だった『映画ドラえもん のび太の新恐竜』が今月から公開されており、そちらを鑑賞してきましたのでご紹介したいと思います。

『映画ドラえもん のび太の新恐竜』公式サイト

「ドラえもん映画」のざっくり基礎知識

映画の中身に入っていく前に、近年のドラえもんについて簡単に記したいと思います。まずは基本的なことではあるのですが、避けては通れない「ドラえもん声優問題」についてです!

のぶ代なのか、わさびなのか問題

ドラえもんといえば、2005年にメイン声優の一斉交代がありました。特にドラえもん役が大山のぶ代さんから水田わさびさんに変わった点については……僕と同世代から少し上を中心に「ドラえもんはのぶ代でなければ見れない」という意見をよく聞きます。(以降、敬称略)

たしかに僕も、以前はそう思っていました。

ですが、これはドラえもん界隈ではよく言われることなのですが、「要は慣れ」です。僕がおすすめしているのが、わさドラの劇場版を1作通しで鑑賞すること。

TVシリーズ1話だけだと慣れないかもしれませんが、劇場版を1作観終わると慣れます。

また、のぶドラにもわさドラにも両方にいいところがあると思っているのですが、違いを一言で言うと、僕は「のぶドラは領導者、わさドラは友達」だと考えています。

のぶ代時代のドラえもんは、のび太よりもやや立場が上というか、偉大なる領導者様というか、敬愛する将軍様というかそういう雰囲気がいい意味で出ていました。

一方、わさドラは、もうちょっとのび太たちと同じ目線というか、子どもであり友達である、という雰囲気が出ているのが、かわいらしいなと感じます。

『のび太の恐竜』『のび太の恐竜2006』から『のび太の新恐竜』へ

ドラえもん映画――以前は「大長編ドラえもん」と言われていましたが――のシリーズのファンであればご存知かと思いますが、このシリーズでは「恐竜」がとても重要な存在として、繰り返し描かれてきました。

なんといってもドラえもん映画第1作、その後の漫画・TVアニメ・劇場版の方向性すら決定づけることになったのが、1980年公開の映画第1作『のび太の恐竜』です。もう40年も前の作品なんですね。

さらにこの作品以降、

  • 『のび太の宇宙開拓史』
  • 『のび太の大魔境』
  • 『のび太の海底鬼岩城』
  • 『のび太の魔界大冒険』
  • 『のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)』
  • 『のび太と鉄人兵団』

と傑作が続き、これら初期7作は「神7(セブン)」と言われています。(稲田豊史『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』より)

そして2005年に声優交代があり、直後に映画版ドラえもんで『のび太の恐竜』がリメイクされて『のび太の恐竜2006』として公開され、その後の「神7」を中心とした一連の過去作リメイク――『のび太の新魔界大冒険』、『新・のび太の宇宙開拓史』、『新・のび太と鉄人兵団』など――へとつながっていったわけです。

さらに今年2020年、ドラえもん誕生50周年記念ということで改めて「ドラえもん映画」を要所要所で支えてきた「恐竜」というモチーフに回帰した、というわけですね。

『新恐竜』について

今回の『新恐竜』は、一昨年公開の『のび太の宝島』の監督・今井一暁、脚本・川村元気のタッグで制作されました。川村元気は言わずもがな現代日本映画のヒットメーカーで、新海誠監督の『君の名は。』『天気の子』のプロデュースも手掛けています。

ドラえもん×恐竜×川村元気ということで、一体どんなものなのかという期待が高まっていたわけですが、実際に僕が観賞してみたところ、とても複雑な感情を抱きました。

ここからはネタバレを最低限にしつつ『新恐竜』を振り返ってみたいと思います。

最新の科学的知見を取り入れた描写が見どころ

これは神7などの旧作にも言える点なのですが、最新の科学的知見が盛り込まれています。「恐竜は本当に絶滅しちゃったの?」という子供が抱きがちな疑問への回答を、夢と科学的知見の両方を重ね、魅力的に提示している点は良いなと思いました。他にも6600万年前の自然環境だったり、恐竜絶滅の原因となったとされる隕石衝突の描き方には、「へーそうなんだ」と思わせられる箇所がたくさんあります。

ちなみに近年、ドラえもん映画の興行収入は過去最高レベルに到達しており、直近2作はなんと50億を超えています。主題歌に有名アーティスト、脚本に有名作家を起用したり、親世代の思い出の作品をリブートしたりと様々な工夫をしているからだと考えられますが、今作においても「親世代ホイホイ」が機能しており、『恐竜』『恐竜2006』で人気を博したあのキャラクターがいいところで登場したりします。

気になったところ(1)自己責任主義の内面化

気になった点は、一言でいえばネオリベラリズム/自己責任主義が極めて深く、作品世界に埋め込まれているという点です。

のび太が育てる二匹の恐竜「キュー」と「ミュー」のうち、ミューは飛べるけどキューは飛べない、それが「のび太が逆上がりができない」ということと重ね合わせられているわけです。

「飛べる」「逆上がりができる」ということが「一人前」になるための通過儀礼として設定されていて、そのためにキューものび太も努力をするわけですね。のび太なんかは一時、キューに対して完全にスパルタ親と化してしまっていました。

一方、15年前の『恐竜2006』を改めて観賞したところ、のび太は

「僕がこんな目に遭うのもドラえもんが道具を貸さないからだ!」

という衒(てら)いのない他責思考を展開していました。

これは『新恐竜』でのプロテスタンティズム的な努力するのび太にはない、旧作ドラえもん全体を貫く大変重要な考え方です。自己責任主義/ネオリベラリズム/自責思考が私たちの間にすっかりインストールされてしまった現在、新鮮な響きを持って伝わってきます。

僕は『新恐竜』がきっかけになって見返した、旧作のび太の「全部ドラえもんが悪い」という思考に、改めて深く感銘を受けました。

気になったところ(2)かわいい子には旅はさせない?

旧作『恐竜』『恐竜2006』では、タイムマシンが壊れてしまったことにより、子どもたちだけで北米から日本までの長大な距離を旅しなければいけませんでした。

一方、『新恐竜』ではそのような無理はさせず、箱庭のなかで物語が展開されているだけです。

そもそも中生代に降り立った時点で、「空気の状態が現代と違うし危険だから」という理由でドラえもんから子どもたちに専用の衣服が支給されるなど、至れり尽くせりの待遇で「冒険」をします。

そしてやはり気になったのが「怖い敵がいない」ということです。

旧作では、「恐竜ハンター」と、金にものを言わせて残酷なものを見たがるお金持ちのおっさんが普通に怖いです。そして恐竜ハンターは、お金持ちのおっさんに「人間狩りをしましょうよ」と持ちかけ、逃げるのび太たちをハントさせたり、競技場に追い込んでティラノサウルスに食べさせようとしたりするんですね。でも、『新恐竜』にはそういう「怖い敵」のシーンがありません。

そういえば、『アンパンマン』のやなせたかしさんが、著書『わたしが正義について語るなら』でこんなことを言っていました。

面白さというのは、恐怖とかそういうものと紙一重のところにあります。パラシュートでいきなり空から下りた場合、地上に下りると笑ってしまうのだと聞いたこともあります。無事に着くと笑うんですね。ジェットコースターもそうです。

『新恐竜』では、旧作にあったようなエゴにまみれた「怖い大人」が登場せず、出てくるのは単に子どもたちを見守る「正しい」大人たちでした。

そう、すでに述べた「科学的な考証の正しさ」や「自己責任主義の内面化」とも相まって、『新恐竜』は全体的に「正しさ」に溢れているように感じてしまったのです。児童文学として果たしてこれでいいのかというのが、気になった点として大きくあります。

他にも「歴史」への向き合い方など、気になる点が多数ありましたが、やはり藤子・F・不二雄先生の描いていたのび太の「全部ドラえもんが悪い」というしょうもなさがキレイに消去されてしまっており、「この先のドラえもんもこの路線で行くのだろうか……」という不安を惹起させられる仕上がりとなっていました。

……という感じでしたが、なんとドラえもん映画の過去作はほぼすべてAmazon Prime Videoで観ることができます! あの幻の作品『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』ですら観れるんですね。今回の『新恐竜』を観た方にはぜひ、わさドラ版『恐竜2006』も観てみてほしいです。旧作とリブート作を行ったり来たりするのもいいですし、F先生没後の完全新作にも面白いものがけっこうあります。

では、今週のLIGちゃんねるで公開した動画3本をご紹介します!

それでは、LIGのYouTubeチャンネル「LIGちゃんねる」で今週公開した動画3本を紹介していきたいと思います!

Webディレクターの仕事ってどのへんが大変?:ジャック(Webディレクター/マネージャー)

今週登場するのは、Web事業部のマネージャー/Webディレクターであるジャックさんです!  社内ではひょうきんなキャラクターとして知られているのですが、あまり社外にそのことが認知されていないと感じていたので、今回出演してもらいました。

月曜公開の1回目は、LIGでもたくさんのメンバーが活躍している「Webディレクター」という仕事について教えてもらっています。

「すごいWebディレクター」の条件:ジャック(Webディレクター/マネージャー)

水曜公開の2本目は「じゃあできるWebディレクターってどういう人なの?」ということを聞いていました。社内のWebディレクター職の人たちの参考にしてもらいたい、そして他職種の人たちに「Webディレクターの仕事」について理解を深めてもらえれば、と思ったりしております。個人的には、後半に出てくる「人権〜」のくだりがユーモラスで面白いなと思っています。

マネジメントで密かに気をつけていること:ジャック(Webディレクター/マネージャー)

そしてジャックさんは、Webディレクターとして活躍しつつ、マネージャーとしてもたくさんのメンバーのマネジメントをしています。社内でとても人望のあるジャックさんですが、その理由について迫ってみたく、この質問を投げてみました。

まとめ

というわけで今週のLIGちゃんねるには、マネージャー/Webディレクターのジャックさんに登場してもらいました!

引き続き、恐竜を発見すべく勉強に勤しむのび太を見つめるドラえもんのような、生暖かい目で見守っていただければ幸いです! よろしくお願いいたします。

「LIGちゃんねる」はこちらから
(チャンネル登録、ぜひお願いします!🙇‍)

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エディターのケイです。 これまでWebや書籍の編集・ライティングをやってきました。 政治・宗教・野球の話が得意です。 アイドルと一緒にネット番組に出たこともあります。 現在は「暴力」というものについて、 理論的な理解を深めるべく日々研究しています。 知識欲や考える力の強い人たちとチームを作って、 よいコンテンツを世の中に出していく仕事をしたいと思っています。

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