こんにちは。エディター兼ディレクターのケイ(@yutorination)です。LIGではクライアントのWebメディア/サイトの編集・運営サポート、コピーライティング、それとLIGのYouTubeチャンネル「LIGちゃんねる」の制作を担当しています。(アイキャッチの写真は本記事の書き手の僕ではなく、アカウントプランナーのイチローさんです)
ところでみなさんは「スター・ウォーズ」シリーズは好きでしょうか? 僕は小学校3年生のとき、たまたまエピソード5『帝国の逆襲』をテレビで観てハマり、その後、1999年からのエピソード1『ファントム・メナス』公開以降は、すべてリアルタイムで鑑賞しました。毎回、オープニングの「ジャーン!!!」が鳴った瞬間に、自動的に脳内の採点で5億点を叩き出す体質になっています。
そんななかで最近、久しぶりに「スター・ウォーズ」ぐらいハマったのが、欧米では大ヒットしたTVドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』でした。今回はこの作品について、できるかぎりネタバレなしで、魅力を紹介してみたいと思います。
▼日本語の公式情報は、スターチャンネルのWebサイトが非常に詳しいです!
『ゲーム・オブ・スローンズ』2020年8月31日(月)第一章レギュラー放送開始!| BS10 スターチャンネル
『ゲーム・オブ・スローンズ』とはなにか
『ゲーム・オブ・スローンズ』は、アメリカのケーブルテレビ局HBOが2011年〜2019年にかけて制作したTVドラマシリーズです。グローバルには社会現象ともいえるヒットとなりましたが、「日本ではそこまで受けてない」というのが大きな特徴だと思います。
世界的に大ヒットしたシリーズものといえば「ロード・オブ・ザ・リング」、「ハリー・ポッター」シリーズ、『アイアンマン』『アベンジャーズ』をはじめとした「MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)」などが頭に浮かびますが、これらはすべて日本でもヒットしました。そんななかで『ゲーム・オブ・スローンズ』に限っては日本ではそこまで受けていないというのは、なかなか面白い現象だと感じます。
ざっくり言うとどんな話なのか
ネタバレを回避してざっくり言うと、中世ヨーロッパ風の、暴力が支配する弱肉強食・優勝劣敗の過酷な世界で、「鉄の玉座」をめぐって色んな人たちが入り乱れて覇権争いをするお話です。
魔法とか空想上の生物とかゾンビ的なやつとかが出てくるのでファンタジー色が強いかと思いきや、意外と策謀、物理的な暴力、権力とかが効くので、完全なファンタジーよりは三国志とか大河ドラマ、つまり「歴史モノ」寄りです。諸葛孔明とか呂布とか曹操とか、信長、家康っぽいキャラとかがたくさん出てきます。三国志や戦国時代のお話と違うのは、男性キャラに負けず女性キャラも(知略・武力ともに)かなり強い、というところでしょうか。
『ゲーム・オブ・スローンズ』の「長さ」について
『ゲーム・オブ・スローンズ』が話題になり始めたのは2011〜2012年頃でしたが、日本では当初、ケーブルテレビの「スターチャンネル」でしか放送されておらず、2010年代半ばからようやくHuluやAmazon Primeといったサブスクリプションサービスでも視聴できるようになりました。ちなみに僕がちゃんと見始めたのは、2018年になってからです。
そう、『ゲーム・オブ・スローンズ』は全8シーズン73話あり、1話あたり1時間前後あるので、とにかく長いのです。1話60分としても完走するのに73時間かかる計算ですからね。
試しに、一般的な映画・アニメ・ドラマなど他の映像作品の一般的な長さと比較して、表に整理してみました。
(※分数、話数、時間は平均的なものを採用してます。)
1話あたりの分数 | 話数 | 完走に要する 時間の合計 |
|
---|---|---|---|
映画 | 120分 | (1作) | 2時間 |
日本のアニメ (1クール) |
24分 | 13話 | 5.2時間 |
日本のドラマ (1クール) |
47分 | 11話 | 8.6時間 |
韓国ドラマ(『愛の不時着』『梨泰院クラス』を参考) | 70分 | 16話 | 18.7時間 |
ガンダム/プリキュア/仮面ライダー (1シリーズ) |
24分 | 50話 | 20時間 |
NHK大河ドラマ | 45分 | 50話 | 37.5時間 |
NHK朝の連続テレビ小説 | 15分 | 156話 | 39時間 |
ゲーム・オブ・スローンズ | 60分 | 73話 | 73時間 |
ゲーム・オブ・スローンズ、
長っ・・・・!!
僕はさきほど「2018年からAmazon Primeで見始めた」と書きましたが、実は一度挫折しています。シーズン2の序盤でした。
挫折した理由
原因を列挙したいと思います。
長い
長いです。
主人公が誰なのかわからない
なんか主人公っぽいなこの人、と思ってた人が序盤でわりとあっさり死にました。(若干のネタバレかと思いきや、全体からすればめっちゃ序盤なので、ネタバレではないと判断します)
「え・・・どうすんのこれ・・・」と思いました。
基本的に多くのドラマ・映画は主人公に感情移入しながら観るものだと思うのですが、特に序盤は誰に感情移入していいのかわからず、正直、退屈に感じていました。
○○家とか××家とかやたらたくさん出てきて、関係がわからない
「スターク家」「ラニスター家」「ターガリエン家」とか、〜〜家というのがたくさん出てきて、どの家とどの家がどういう関係なのかが序盤はサッパリわからないので、何の話をしているのか理解ができません。
あと、決して説明的な作品ではないので、ボーッとしてると何が起きているのかわからず置いてけぼりになります。高校の数学で、最初の一次関数の単元でボーッとしてちゃんと理解せずにいたら、1年経って気づいたら微分積分とか三角関数とか複素数平面やっててまるでチンプンカンプンになっていたときのことを思い出しました。
「性」と「暴力」の描写がリミッターとかない
セックス&バイオレンスですね。男女の裸や同性愛、近親相姦などもガンガン出てきますし、人の死に方の描写も容赦ないです。すみません、正直ここは、苦手な人は苦手だと思うので挫折する理由の1つとして挙げてみましたが、僕の場合は「容赦ない描写」が好きなので、そこはむしろ全然良かったです。
一度挫折したのに、その後ハマった理由
とりあえず長いし難しい〜〜〜〜〜と思ってシーズン2の途中で挫折していたわけですが、理解できていないながらも、「何か全然内容はわかんないけどスゲー面白そう」という予感だけは感じておりました。
まあそんな予感があって、あるとき「よし、走り直そう」と思って戻ったんですね。
で、なんとか我慢しながら見続けて、シーズン3の第9話「キャスタミアの雨」というエピソードにたどり着いたときのことでした。
・・・・・・
ええぇーーーっ!!!
えええええ〜〜〜〜〜ッ!!!!!
そ、そんなことになっちくぁwせdrftgyふじこlp・・・・・ッ!?!?!?
となりました。
シーズン3の第9話、「キャスタミアの雨」です。(大事なことなので2回言いました!)
ちなみにGoogleで「キャスタミアの雨」で検索すると、「キャスタミアの雨 反応」「キャスタミアの雨 衝撃」とかがサジェストされるので、何かとんでもないことが起こってる感があります。
「キャスタミアの雨」まで来たら、もうあとは坂を転げ落ちるように最後まで観れました。「次! 次ィー!!!」という感じで最後までいけます。
途中で挫折せずに完走するための秘策
ここからは自らの反省を踏まえ、挫折せずに観ていくためのTipsを書きます。
ネットにある各話解説ブログを読んで理解を深める
ちょうどシーズン3を観ているくらいのタイミングで気づいたのですが、『ゲーム・オブ・スローンズ』はネット上の各話解説ブログがめっちゃ充実しています。僕は1話観終わったら「GOT (※)シーズン○ エピソード○」で検索して出てきたブログを読んで理解を深めていました。意外と見逃しがちな細かな要素が多いので、各話解説ブログはかなり助けになります。ありがとうございます。
人物相関図を参照しながら鑑賞する
相関図は、シーズンごとにネタバレに配慮した相関図が、スターチャンネルのサイトにあります。よくわからないキャラが出てきたらこの相関図を参照しましょう。とりあえずシーズン1の相関図へのリンクを張ります。
相関図 | ゲーム・オブ・スローンズ 第一章 | BS10 スターチャンネル
字幕ではなく吹き替えで観る
これは好みが分かれるかと思いますが、ただでさえ画面に集中してないとわからなくなる難解さなのに、字幕を読んでいる暇がない! と感じ、僕は途中で吹き替えに切り替えました。日本語吹き替えの声優さんたちの演技はたいへん素晴らしいものだったと感じております。
『ゲーム・オブ・スローンズ』の現代性
ここからはできるかぎりネタバレを排しつつ、『ゲーム・オブ・スローンズ』の魅力を挙げてみたいと思います。
男女の戦闘力・権力がフラット
最初のほうでも述べましたが、暴力が支配する弱肉強食・優勝劣敗の過酷な世界ではあるけれども、男性ばっかりが強いわけでもないです。「信長の野望」ふうにいえば統率・武勇・知略・政治のパラメータは男女関係なく、各キャラクターによってかなりバラつきがあります。
日本の大河ドラマでも、『おんな城主直虎』でいえば寿桂尼(演:浅丘ルリ子)は政治においては「めっちゃ強えええ!」という感じでしたし、戦国時代を舞台にした作品ならだいたい高台院(ねね/北政所)や淀殿(淀君/浅井茶々)は非常に強い権力を持っていたりします。
ちなみに『ゲーム・オブ・スローンズ』で最強の戦闘力を持っているのは女性キャラクターです。しかも単純にステータスがチートというよりは、物理的な視点でも「まあ、この人(とその眷属)はそりゃ強いわな……」と感じさせる、ビジュアル的に納得感のある仕上がりとなっていました。
多極的な物語構造
基本は〜〜家どうしの戦いなのですが、そこに宗教共同体や企業的共同体など、様々なアクターが絡んでくるので、現代社会の寓話のように読むことができます。実際、現実でもアメリカや中国などの国家はもちろん強いですが、カトリックの総本山であるローマ教皇庁、ISやハマスなどのイスラム原理主義組織、そしてGoogleやAppleなどの多国籍企業も国際社会において大きな力を持っています。
また、さきほど「主人公が誰なのかわからない」ということを述べましたが、実際にこの物語は主人公が一人ではなく、何人もいます。そして、ルーク・スカイウォーカー=ただ1人の主人公はいないのです。
どの人物も聖人君子ではなく、どこかで間違ったことをしてしまいます。さらに、最初「こいつホント嫌なヤツだな・・・」と思っていた人物が、回を追っていくうちに急に好感度が上がったりします。特定の1人の主人公に感情移入するのではなく、自分の「推し」を選ぶことができるわけです。
- 余談
- ちなみに僕の推しは、普通で申し訳ないですがデナーリスです。自尊心をバッキバキに折られながら、それでも強さと賢さと誠実さで成り上がっていくという。あとはリアナ・モーモント。あんなに小さいのにめちゃくちゃ誇り高い、尊い……と思います。
やや変化球なところでは、トリスタン・マーテルとミアセラ・バラシオンのカップルも好きです。「弱肉強食・優勝劣敗の過酷な世界でここだけ少女漫画」というところが良いなと感じました。退場の仕方も、いい意味でスカッとしました(特にトリスタン)。
「ファンを大切に」ではない作劇
『ゲーム・オブ・スローンズ』といえば、最終第8シーズンの結末が、要はファンの期待するものではなかったため、猛烈な批判を浴び、アメリカではファンによる最終章作り直しの嘆願運動が起こったことも話題となりました。(「ゲーム・オブ・スローンズ 最終章」作り直し求める署名運動、サンサ&ブラン役俳優が苦言 ─ 「単なる無礼」「幼稚な行動」 | THE RIVER)
ファンの望む大団円ではない、しかし、「主人公のいない」物語としてはベストな着地だったと僕は思います。決してファンに「媚びず」に、制作陣が固い意思を持って、物語の本質から逸れずに終わらせたのは、なかなか肝が据わっていたなと。実際、結末に反発を覚える人もいるけれども、それと同じかそれ以上に、この結末に納得している人も多いようです。
なぜ日本で受けていないのか?
もちろん、僕の周囲にも「ゲーム・オブ・スローンズ好き」という人はけっこういます。LIG社員/元社員でも、僕以外に最低4人は知っています。しかし今の韓国ドラマ『愛の不時着』や『梨泰院クラス』のような人気にまでは、なっていないように思います。
これはなぜかと問われても正直、はっきりとした答えはありません。なんとなく感じているのが、たとえば僕はもともと「洋楽」――今ではほぼ死語になっていますが――が好き、要はビートルズやローリング・ストーンズあたりを雛形とするロック音楽やポップカルチャーが好きなのですが、そういう「旧洋楽クラスタ」には刺さっている気がします。
で、こういう人たちは自分も含め、英米――というかアングロサクソン――のポップカルチャーの魂や精神性を、自分のなかに身体化している感じがあります。『ゲーム・オブ・スローンズ』は、その英米のアングロサクソン系ポップカルチャーのOSをインストールしている人には刺さりやすい。ですが、「洋楽」という言葉が死語になっている今、そういう人たちはかなり少数派であり、だからこそ「日本であまり受けない」という状況になっているのではないかと思います。
とはいえそんなOSがなくとも、ちゃんと段階を踏んでハマればめちゃくちゃ面白いので、ぜひ興味のある方は観てみてください!
では、今週LIGちゃんねるで公開した動画3本を紹介していきたいと思います!
というわけで、本文とは全然関係ありませんが、実は会社のYouTubeチャンネル「LIGちゃんねる」で週3本、動画を更新しています!
「オープンな社内報」をキャッチコピーに、週替りでLIG社員に登場してもらい、1つのテーマを決めてショートインタビュー&LT(ライトニングトーク)形式で話してもらった動画を、毎週月・水・金の朝8時に更新しています。記事だけでなく動画での発信に取り組んでいるのは、5G時代を見据えた新たなコンテンツ制作のノウハウを貯めていきたいという意味合いもあります。
では今週出した3本を紹介していきます!
「テレアポ=迷惑行為&つらい労働」説について:イチロー(アカウントプランナー)
今週登場するのは、新人社員でアカウントプランナーとして働いているイチローさんです。彼はこのLIGブログの記事広告の営業を担当しています。電話営業=テレアポという地道な営業活動を展開しているなかで、その意義やつらさについて話してもらいました。
テレアポは現代においていろいろ言われがちではありますが、かつてLIGに在籍していた敏腕マネージャーよすけさんの記事にもあるとおり、「テレアポができる人は営業が強い」と言われているそうです。
営業がつらいと思った瞬間。受付のお姉さんが人間だと認識してくれない、素でつらい。〜テレアポ編〜
物事には色々な側面があるものです。一緒に働いている仲間が取り組んでいることに対して、曇りなき眼で見ていたい、と思います。
新人なのに積極的に取締役のモノマネをする理由:イチロー(アカウントプランナー)
イチローさんが以前、会社の締め会(社員総会的なやつ)で司会を担当した際、弊社取締役で、大変個性的で尖った言動を行うことで愛されているまことさんのモノマネを披露し、「めちゃくちゃ似ている」ということで社内に衝撃を与えました。
記事だとモノマネを再現できないけれど、動画ならできる! ということで、せっかくなので企画のなかに入れ込んでみました。
あと、モノマネをしたことによって意外にもイチローさんはメリットを得ることができたみたいです。何事も、勇気を出して一歩を踏み出すのが大事なようです。
一度起業したのに、改めて会社に就職することにした理由:イチロー(アカウントプランナー)
イチローさんは学生時代まで柔道で打ち込んだのちに、起業をしたのだそう。
「起業してから、改めて会社に就職する」というのはなかなかユニークな経歴だと思い、その経緯について聞いてみました。ここでも話のなかに取締役まことさんが登場するのですが、そのエピソードがなかなかユーモラスで面白いと感じます。
まとめ
今週のLIGちゃんねるには、アカウントプランナーのイチローさんに登場してもらいました。彼はこれから、まさに『ゲーム・オブ・スローンズ』のような弱肉強食・優勝劣敗、生き馬の目を抜くビジネスの世界で、サンサ・スタークのように不屈の闘志で生き抜いていく感じがします。ただ、これからもしすごい営業成績を挙げられるようになったとしても、ジョフリー・バラシオンのようにはならないでほしいと思います。
というわけで引き続き、LIGのYouTubeチャンネル「LIGちゃんねる」、生暖かい目で見守っていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
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また毎週土曜日に、今回のような謎の記事が引き続き更新されていく予定です。
これまでに書いた記事
『映画ドラえもん のび太の新恐竜』と、Webディレクターの仕事について 『チェンソーマン』で描かれる「傷つく」物語、そして新卒でベンチャー企業に入社するということ