こんにちは。編集者・ライター兼ディレクターのケイ(@yutorination)です。
最近は「LIGちゃんねる」のディレクションや制作などをしています。
LIGちゃんねるをご覧いただいている皆様、本当にありがとうございますm(_ _)m 皆様一人ひとりが興味を持ってくださり、チャンネルが成長していることで初めて、続けることができています。
本記事では、最近のLIGちゃんねるの状況や、チャンネル運営にあたって考えていることを書いていきます。
▼前回の記事はこちらへ 最近、YouTubeで「LIGちゃんねる」をやっています
ここ3年のLIGの動画の状況
LIGのYouTubeチャンネルはもともと「Life is Good TV」という名前だったのが、今年の1月末から再スタートして、「LIGちゃんねる」となりました。
再スタート前のチャンネル登録者数は535人でしたが、本記事を執筆している2020年6月30日時点で、83%UPの978人となりました!!!
……「なんだ、そんな数字か」と思われる方も、多いかもしれません。
僕はこれまで編集者・ライターとして記事制作の仕事をしてきたのですが、2018年2月に入社してから約2年あまり、一応LIGのYouTubeチャンネルの数字はずっと見ておりました。そして、ここで明言してしまうのですが、以前は本当に、チャンネル登録者数も再生数もなかなか増えませんでした。
過去3年の、新規チャンネル登録者数は下表のとおりです。
2018年 (1/1-12/31の1年間) |
+304人 |
---|---|
2019年 (1/1-12/31の1年間) |
+89人 |
2020年 (1/1-6/29まで約半年) |
+447人 |
2018年はまる一年がんばって更新していましたが、再生回数、チャンネル登録者数ともに伸びが振るわず、2019年2月には動画の更新がストップしてしまいました。
現在2020年は、半年足らずで2018年一年ぶんの伸びを大きく上回っているので、「やっと成長し始めた……」という感じです。LIGにとって「動画を伸ばす」というのは本当に鬼門なのだと思います。
入社時から課題に感じていたこと
僕は今から2年と少し前に入社して、最初はLIGブログの編集と広報業務を担当していましたが、LIGの出すコンテンツや広報方面で、下記3点の課題を感じていました。
(1) 内輪ネタが多い
(2) 社長の人となりがわからない
(3) LIGにはファンがたくさんいるのに、ファンとの交流が少ない
動画をやるにあたって、この3つの課題に向き合うものにしたいと考えました。
(1) 内輪ネタが多い
ここ数年のエンターテイメントの世界では、
- 「とんねるずのみさなんのおかげでした」
- 「めちゃ×2イケてるッ!」
- 「24時間テレビ」
といったコンテンツに対して「テレビタレント/業界人たちの内輪ネタがうざい」という批判の声がとても大きくなっていきました。
僕も「テレビ的」な内輪ネタに対する社会的な視線の厳しさは感じており、最初にLIGに入社したとき、「この会社は、なんでこんな内輪ネタばっかりやってるんだろう」と思っておりました。当時の僕は「内輪ネタ嫌い」にかけては社内一だった自信があります。
しかし……実際によく観察していると、内輪ネタをやるということは、
- この人たちの仲間になりたい(採用)
- この人たちに仕事を頼んでみたい(受注)
- 社内で誰がどんなことをしているがわかる(インナーコミュニケーション)
というように、定性的にはある程度の力を発揮していると感じました。「内輪ネタ、侮るべからず」なのです。とはいえ、取り扱いをミスると寒くなってしまうので、内輪ネタをやる際には相当な慎重さが必要ですが……。
ここ数年、SEOをはじめとしたWebマーケティングの手法が大きな成果を挙げるなかで、「記事には内輪ネタなど、コンテクスト(文脈)を入れないほうがいい」「初めて来た人でもわかるようなコンテンツにすべき」ということがよく言われています。そして実際に、そういう部分もあると思います。
でも、それだけでは「ファンがつかない」のではないか。そんなことを思いました。
実際、とある超大物お笑い芸人が以前、「内輪ネタが一番おもしろい」という趣旨のことを言っていました。ある程度のコンテクストをつける――慎重な手付きで「内輪ネタ」をやり、内輪にきちんと受け、外側の人たちには「この人たち、楽しそうな人たちだな」と思ってもらえる――そういうことも、今のトレンドとは真逆だけれども、意外と重要なのではないか。
そんなことを考えていて、今のLIGちゃんねるではむしろ「内輪ネタ」を積極的にやっています。
▼内輪ネタの例
うまくいっているかはよくわかりませんが、数字的には以前よりも改善しているので、筋としては悪くないのかな、と思います。
もちろん、内輪ネタの意義を認めて積極的にやることだけでよいわけではなく、そこに何かしらのプラスオンがなければいけませんが、そこは正直まだまだ考え中です。
(2) 社長の人となりがわからない
そして2番めの課題として、「社長のゴウさんのキャラクターがわからない」。こちらが社外広報/社内広報の双方においても課題である、と認識しておりました。
ここ数年は以前のようなアホな記事をやらなくなっていました。
▼以前やっていたアホな記事 部下の部屋を200万円かけて超オシャレに改造したら、とても喜んでくれました。 部下の部屋でビーチ音楽祭を開催したら、大変なことになりました。 部下の部屋で泡パーティーをやったら、大変なことになりました。
まあこういう記事をやって「パワハラだ」と叩かれたことで、やらなくなっちゃったのかなということを雰囲気で感じています。なんか聞きづらいので正面から聞いてはいませんが。
ちなみに、僕も入社前に上記の「部屋改造シリーズ」などを見て「なんじゃこりゃ」と思っていました。
しかし……実際に入社して、ゴウさんの人となりを知ってからだと、上記の記事は正直かなり笑えます。「それやっちゃダメだろwww」ということをやって「笑い」に変えたがるのが、吉原ゴウという人間の個性なのかもしれません。
▼ちなみに「LIG ゴウ」とGoogle検索すると「パワハラ」とサジェストされる件についてはこちらの動画で検証しました。一個目の動画は完全に社長に対するドッキリとしてやっています。
当初、2018年秋頃に、「社内外から人生相談のおたよりを募って、社長に答えてもらおう!」というLIGブログでの連載企画を立てていました。人生相談に答えて、回答者の人となりを知ってもらう&好感度UPにつなげる、というのは、LIG入社以前に自分が関わった企画でもやっていたことです。
▼こちらの書籍です。最近文庫化もされましたが、とてもいい本なので、機会があれば手に取ってみてください。
しかし……社長の人生相談企画はなんかよくわからんけど動かなかったのと、同時期に当時マネージャーとして在職していたよすけさんが「LIGブログを統括するメディア事業部マネージャーなのに全然記事を書いてない。これでは示しがつかない」という課題を抱えていたので、そちらにスライドして「営業はつらいよ」という人生相談連載に形を変えて行いました。
「人生相談であれば読者のニーズがつかみやすい、コンテンツが作りやすい」ということも、背景としてはあります。
マーケティングデータを見るのもよいですが、コンテンツ企画をするには、読者やファンに直接「どんなコンテンツがみたいですか?」と聞いてしまうのも手です。とはいえ、読者からのおたよりって簡単にもらえるものでもないので、おたよりをもらうための工夫はけっこう地味にしていたりします。
(3) LIGにはファンがたくさんいるのに、ファンとの交流が少ない
これは(2) と関連するのですが、LIGはせっかくLIGブログを通じた一般のファンが多数いるのにもかかわらず、ファンとの交流チャネルがほとんどありませんでした。
BtoBがメインの会社なので仕方ない側面もありますが、僕個人はBtoCのエンタメが好きということもあり、もっとファンサービスをしてもいいのかなと思っておりました。
僕が入社する前ですが、前にはこんなファンイベントもやっています。
なんと応募1,400人超!! LIG初のファンイベント「カレー大感謝祭」を開催しました。
そして2018年末にも、僕が「何かファンイベントやりたい」と言い出したこともきっかけになって、「深夜のトランプ大会」という謎のイベントをやり、深夜にもかかわらず大盛況となりました。
真夜中の移転記念パーティ、リアルタイムレポート!
しかし……
こういう取り組みも、「何のためにやってるの?」という声が社内からあったのは事実です。
実際、シビアに見れば、LIGがつくるコンテンツの究極の目的は「仕事につなげる」なので、受注にも採用にも直接つながらないイベントを手間かけてやっても「あれって意味あったの?」という話にはなりやすいのです。
僕は昔は、「こういうイベントだって数字でははっきり成果測れないけど重要に決まってんじゃん!何でわかってくれないの!?」と勝手に不満を抱えておりました。
しかし今はむしろ、「こんな効果があるんですよ」という「言語化」をちゃんと行って社内にその意義をPRする、ということが重要だと考えています。「自分の当たり前がみんなの当たり前ではない」ということを深く胸に刻みました。
そして、こういったファンサービス的な取り組みを言語化するなら、
- 「なんか意味わからんけど面白そうなことやってるユーモラスな会社」という認知を形成し、将来的な採用や受注に向けた潜在的マーケットを広げる(実際、上記の取り組みはそこそこバズりました)
- ファンとのリアルでの交流を通じて市場感を掴む(イベントに来てくれる方はもっともコアなファンなので、コアファンのニーズを知る)
といった点が意義としては大きいのです。
◇
ちなみにファンイベントはやろうとすると準備がめちゃめちゃ大変でスタッフが疲弊するので、できるかぎり工数を減らしつつ満足度の高いものにする必要があります。そのノウハウや考え方に関しては、別の機会に譲りたいと思います。
動画コンテンツで上記の課題を解決できないか…?
これまでのLIGちゃんねるは、メインは「視聴者のおたよりに社長と、観音さん、いなみさんなど社員が答える」というような形式でやってきました。
LIGちゃんねるを通じて社長の露出をとにかく増やすことで、「社長の人となりがよくわからない」という課題に対する解決策としたいなー、と思っています。動画は表情や声、話し方など、記事よりも情報量が多いので、「社長の人となり」については以前よりも社内外に伝わりやすくなったのではないか? と思っていますが、いかがでしょうか。
社長のゴウさん以外にもメンバーをアサインしているのは、単に一人で答えるよりは、何人かでワイワイやったほうが「内輪感が出せる」という理由もありました。まず小さな内輪を形成しつつ、LIGブログなどでもすっかりやらなくなってしまった「内輪コンテンツ」をやっていくための足がかりにしたいな〜、なんてことを考えていました。
そして、直接的に受注を取りに行くというよりは、「おたよりで視聴者からの相談やリクエストに答える」という形式をベースにすることで、ファンとのコミュニケーションを取る場にしようと考えました。
コンテンツにプラスオンしたいのは「エンゲージメント」と「エンターテイメント」
僕はもともと出版・コンテンツ企画・制作の仕事をしており、有料のコンテンツを売ってきました。しかしWeb業界の「オウンドメディア」となると、コンテンツは無料が基本なので、「コンテンツそのものに課金してもらって稼ぐ」という方向にはなかなかいきません。
そう、Web記事やYouTube動画のような「基本無料のWebコンテンツ」を作る際には、意味づけがとても重要なのだと思います。
Webマーケティング的な文脈でいえば、自社Webサイトや自社のYouTubeチャンネルでは、有益な情報を提供しつつリード獲得などを通じて受注につなげるという意味づけが当然、重要になります。コンテンツを通じてCV(コンバージョン)につなげる=コンテンツマーケティングというやつです。
僕もLIGに入ってからは、Web制作や記事広告の問い合わせ獲得を目的とした記事(自分の署名記事ではないですが)を執筆・編集してきました。
それで1記事あたり何十件と問い合わせが取れて、これまで培ってきた編集・ライティング能力が広報・マーケティング領域でも活かせることが数値でも示せたので嬉しかったですが、デメリットがひとつあると思いました。
それは、コンテンツが「これは便利!」「役に立った!」という方向に必ず収斂していってしまう、ということです。そして今、Webで「コンテンツ」といえば、そういう「役に立つ」ものを指すかのような風潮になっています。
◇
一方で、僕個人が最近、コンテンツのもうひとつの意味づけとして重要だと考えている要素が2つあって、一つは「エンゲージメント」です。これはHR界隈で注目されている概念です。詳しい定義についてはGoogle検索でいっぱい出てくるのでそちらに譲るとして、エンゲージメントは組織のパフォーマンスに大きな影響を及ぼすとされています。
たとえば「社長が何考えてるか、どんな人かわからない」とか「役員が冷徹なことばっか言ってなんかヤダ」といった雰囲気になってしまうと、社員のパフォーマンスにも悪影響が及ぶ可能性が生まれます。それゆえ、インナーコミュニケーションを強化してエンゲージメントを高めたほうが社員も会社も幸せになれるはずです(定量的に測定するのはなかなか難しいですが、エンゲージメントを測定するツールなども出てきていますよね)。
要は、コンテンツをエンゲージメントに活かせないか、ということです。
◇
そしてもう一つは「エンターテイメント」です。
コンテンツって、「これは便利!」「役に立った!」だけではなくて、映画や音楽やイベントや……いろんなものを含んでいて、そこで本当に根本にあるのは、ドリカムの曲じゃないですが、「うれしい!たのしい!大好き!」のような「感情」だと思うのです。それは言ってしまえば喜怒哀楽であり、それこそがエンターテイメントではないか……そんなことを日々考えています。
実際、過去LIGブログがメディアとして伸びてきたのも「マーケティング戦略がめちゃくちゃ最先端だったから」というよりも、どちらかというとエンターテイメントと、内輪ネタと、ファンコミュニケーションが大きかったのではないかと、個人的には思います。
「コンバージョン」を意識して追求するのもよいですが、「エンゲージメント」と「エンターテイメント」をブリッジするようなコンテンツ作りができると面白いのではないかと思うのですね。
とはいえ、基本は編集者・プランナーなので上記のような方針を立てたり課題設定などは得意ではあるのですが、
- そもそも動画制作のイロハがわからない
- (動画編集ソフトの)Premiere Proの使い方もまだあんまわかってない
- サムネイル制作も自分でやっているのですがデザインも全然わからない
- 上記すべてに関して、何にどれぐらいかかるのかの見積もりが難しい
といった課題が山積みされているので、そのあたりを改善しながら取り組んでいければと思います。