今、セブで一番勢いのある建築プロデューサー「モトキウエダ」が、新たにLIGフィリピンの新オフィスを手がけていると聞き、編集部では急遽インタビューを試みた。有名大学の建築科を中退した後、30代でフィリピンに渡り花開いた「建築プロデューサー」としての才能。彼が今、考えていることの本質を探る。
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―― こんにちは。今、何をやられているんですか?
ふふ。これは窓の想像をしているんです。
―― 窓の想像、ですか?
はい。ここに大きなガラスがはめ込まれる予定なんですが、こうやって手を当てることで「さもそこに窓があるように感じる」んです。
―― 今回、LIGフィリピンではオフィスを移転されるということですが
はい。社員数も80名ほどになってきたので、今のオフィスでは人が入りきらないんですね。なので、新しいオフィスを作ることになったのですが…ふふ。また僕が担当することになってしまいました。まぁ、僕しかいませんからね。LIGフィリピンで建築をプロデュースできる人材は。
―― 机に拘っていると聞いたのですが
弊社は多くのエンジニアを抱えています。なので彼らが働く上で机のクオリティは非常に重要です。具体的に言うと机の天板が水平かどうか。例えば机が垂直だったらどうですか?パソコンはおろか、文房具も携帯も机に置くことができませんよね?なので、机の天板は水平であることが絶対条件なんです。
―― 床も拘っていると聞きました
以前の記事「飲食店をやるなら押さえておきたい、店舗設計で絶対に必要な5大要素」でも触れたのですが、建築で重要な5大要素というのがあります。具体的には「屋根」「壁」「窓」「階段」「床」なのですが、今回とくに「床」にはこだわりました。
まず、今回のオフィスは2階にあるので床が無いと社員が1階に転落して死にます。そうなると、どれだけ優秀なエンジニアでもパフォーマンスが出せないんです。これは経営上のリスクだと思っていて、それを解決するために、しっかりとした床を作った、ということです。
―― 同じように壁、窓にも拘っているんでしょうか
もちろんです。たとえばこの箇所は、大きなガラスが入るので窓と壁を兼ねているんですね。
―― 今はまだ、ガラスが入っていないんですよね
です。なので、うっかり寄りかかると1階に転落して死にます。これは経営上のリスクだと僕は考えているので、ここにはしっかりと頑丈なガラスを入れる予定です。
居心地の良いオフィスは麻薬と同じ!?
―― このオフィスのコンセプトを聞かせてください
レトロフューチャーというコンセプトなんですが、いわゆる70年,80年代の人たちが思い描いた未来からインスパイアされた内装にしようと思っています。近未来的だけれど、どこかレトロな感じもする、そんなような内装に仕上げる予定です。
―― オフィス内装にこだわる理由はなんですか?
セブの中でも人材の獲得競争は起きています。その中で単純に「カッコいいオフィスで働ける」というのは、そこで働く人達にとって大きなインセンティブなんですね。なので、お金と手間はかかりますが、しっかりとしたオフィス環境を用意したいと思っています。
―― 快適なオフィス環境で人材獲得を有利に、ということですか?
そうです。それ以外にもたとえば「Mac book pro」を支給するというのも重要です。安いWindows機しか使ったこと無い人にMac book proを支給すると、その快適さ、爽快感の虜になってしまうんです。快適なオフィスとツールで授業員の満足度を上げて離職率を下げる狙いがあります。快適だから離れたくない……という状況をつくるのが僕の仕事ですね。
―― まるで中毒のようですね
そうですね。快感度が高いというところだけを見れば、快適なオフィス環境やMac Book Proは何かへの依存症状と同じなのかもしれないですね。
―― アーティストとしても活動されているモトキウエダさんですが、何か依存経験などはあるのですか?
ふふ。僕はそういったことは一切無いんですよ。
―― でも、タバコはよく吸ってますよね
はい。タバコは昔から吸っています。あと、コーヒーも好きです。
―― それは中毒、依存しているというわけではないんですか?
違うと思います。唯一、僕が「依存している」と感じるものがあるんですが、ふふ、それ聞いちゃいます?
―― 教えてください
ふふ。ご存知の通り僕は知的好奇心が旺盛なんですよ。なのでwikipediaにめっちゃハマっています。読み始めると止まらなくて。次々とリンクをたどって記事を読んでいると、気がついたら朝になっている、なんてことがよくあります。なのでしいて言えば wikipediaholic(wikipedia中毒)という事になるのかもしれません。
―― ありがとうございました
こちらこそ、ありがとうございました。
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今回、編集部ではLIGフィリピンの新オフィス建築現場を取材した。それを通じて、建築プロデューサーモトキウエダの考えていること、ひいてはフィリピンにおける建築の未来について触れることができた。新しいオフィスが完成するまでのあいだ、引き続き取材を続けたいと思っている。
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