こんにちは、LIGブログ編集部です。こちらはWebライティングに関する全10回のシリーズ記事です。
さて、突然ですが質問です。「あなたは、自分の書く文章が読みやすいと思いますか?」
これに対する回答は人それぞれだと思います。ただ、Webライティングをおこなう上で注意したいのは“自分が読みやすいと思う文章=他人がWebで読みやすい文章”ではないという点。
Webライターとして記事を書く以上、常に意識しなければならないのは「Webで記事を読む、自分のことを直接は知らない人(=読者)」です。
あなたの記事は、読者を無視したひとりよがりの読みにくいものになっていませんか?
読者はどんな人で、どんな風に記事を読むのか、どんな文章を読みやすいと思うのか、しっかりと考えられていますか?
今回は、Webの記事原稿で注意しなければいけない4つのチェックポイントについて、初心者も経験者も一緒に振り返ってみましょう。
▼目次
1. 自分の記事は第三者の目線で評価するクセをつけよう
あなたが「Webメディアに記事を書いてみたい!」と思ったキッカケは何でしょうか?そこにはおそらく、これまで自身のブログやSNSなどで情報(=記事)を発信し、たくさんの「いいね!」を獲得してきた成功体験があるのではないでしょうか。
だからこそWebライティングにおいて最初に意識しておかなければならないことは、自分の書いた記事を客観的に、第三者の目線で評価することです。以下、このことについて掘り下げていきます。
a. 「仲間の評価」と「世間の評価」は違う
「世界中の人に情報を発信できる」というのはWeb業界ではよく聞くフレーズですが、よほど素晴らしい内容でない限り、個人で書いたものは結局自身の(特にSNS上の)友達にしか読まれることはありません。だからあなたが今まで得られてきた評価も、基本的には仲間内での評価、ということになります。
例えばあなたが映画を見て、「これはなんて素晴らしい映画なんだ!思わず泣いてしまった!」というようなブログを書いて、SNSで拡散したとします。すると、普段のあなたが映画を見ても絶対泣かないというイメージが強い人であればあるほど、友達からの「いいね!」は集まることでしょう。
しかしあなたを全く知らない人がそのブログを読んだとき、果たして「いいね!」を押されるような内容になっているのでしょうか。客観的に見ると“あなたが泣いた”こと以外は何も中身がない、という記事になっていないでしょうか。まずは「いいね!」されているのは記事の内容なのか、あなた自身なのか、という評価の質を客観的に見極めることが大切です。
b. 「あなたを知らない人」にとって、価値がある記事が書けるか
無意識のうちに「いいね!」を求めてしまうことは人間なら当たり前のことですが、Webライターとして記事を書く上で“友達からの評価を得やすい”ような文章上のクセは、意識的に抜いておく必要があります。
例えば“クラスで一番面白い”と言われていた芸人志望の子がお笑いの世界に入っても全くウケをとれない場合、単純に内輪ウケするネタ以外をつくる実力がなかった、ということになるでしょう。
Webライターもこれと同じで、「あなたを知らない人」に対して書いた記事が、評価されるレベルにあるかどうかを常に意識するようにしましょう。
特にライティングを始めたばかりのうちは、いわゆるおもしろ要素は一切考えず、HowTo要素を徹底的に書いていくのをお勧めします。なぜなら“これが誰かの役に立つかどうか”という、客観的かつ明確な視点で評価がしやすいからです。
2. Webの記事は全部読まれるものではないと知っておこう
「Webメディアに記事を書きたい!」と思っているあなたは、相当熱心なWebメディアの読者でもあるはずです。しかしそんなあなたでも、Webの記事を全文読む、ということはほとんどないのではないか、と思います。一般的に、Webは目が疲れやすく、そして情報量が多すぎるため、記事は最初から斜め読みされる運命にあるからです。
a. Webは読むのが疲れる媒体だと認識しておこう
Webの読みづらさ、特に目の疲れの原因としては、雑誌などと比べ「視認性」が低い点があげられます。
視認性とは
目で見たときの確認のしやすさ。デザインや人間工学の分野において、背景に対し色や形が際立っていたり、文字が大きくてわかりやすかったりする度合い。
(出典: コトバンク )
そもそもデザイン以前の問題として、パソコンやスマホの画面(=記事が掲載されている媒体)を見続けると、単純に目が疲れてしまいます。
「紙媒体は縦書きがメインなのに対し、Webは横書きなのが読みにくさの原因では?」とも言われますが、以前に『電車男』という話が2ちゃんねる風の横書き形式のまま書籍化しても大ヒットしたように、必ずしも横書きだからダメというわけではありません。実際、横書きの本や雑誌もたくさん出版されています。やはり画面のチラつきそのものを含めたWebの視認性の低さが原因になっているものと考えられます。
これはどんなに良い文章を書いても、ライター側で解消できる問題ではありません。だからこそ、“そういう媒体に書くのだ”と割り切り、最初から斜め読みありきの形式で記事を書くことがWebライティングの第一歩となるのです。
Webの記事は「F字」型で読まれる
当たり前ですが、横書きの文章は左から右に読まれていきます。紙の場合、左から右に一行読み終えた後、また左に戻って右へ読んでいくという「Z字型」で視線は移動します。
しかしWebの場合、全文読むのではなく“斜め読みで要点をつかもう”という意識が読む側にあるため、後ろの行になればなるほど文字は読まれなくなってしまいます。つまり、
- 最初の1,2行→ちゃんと読む
- 3行目~中盤→行の途中ぐらいまでさっと読む
- 中盤以降~最後→垂直にざっと読み流す
というように「F字型」で視線が移動していくのです。
ポイントは、視線はE字型ではなく、F字型になるという点。一番熱心に読まれるのは冒頭のみであり、読まれる文字量が終盤に増えるということは基本的にあり得ません。
Webの記事は「結論」から先に言わないといけない
先ほどのF字型の話とも関連しますが、大切なことほど先に書くようにしましょう。記事を斜め読みする読者にとって、冒頭にメリットや最も重要なことが含まれていなくては、続きを読もうという気もなくなってしまうからです。
そもそも文章の基本とされる「起承転結」とは、「結」に説得力や意外性を持たせるための小説的なロジックであり、最初から最後まで全文読まれることで初めて効果が発揮されます。
その一方で「結論から先に!」というのは、論文や報告書そしてプレゼンなどでも一般的とされる手順であり、決してWebライティング特有の考え方ではありません。むしろ“文章を書く=小説的なものを書く”という書き手側の固定概念のせいで受け容れがたいだけで、結論を先に書くほうが自然なやり方だと言えるでしょう。
文章を書くのが好きという人(つまり、Webライターになりたい、と思うような人の大半)ほど、結論を先に持ってくるのが苦手な傾向があります。しかしWebライターは、小説ではなく記事を書くことが求められています。構成上「起承転結」ではなく「結」を最初に提示すべし、となるのは、基本的なルールとして押さえておきましょう。
3. Web特有の文章記載ルールに慣れよう
構成上の問題とは別に、Webには独特の文章記載ルールがいくつか存在します。
Webの記事をそのまま印刷して読むと何か違和感が残ると思いますが、それはあくまでもWeb画面で読まれることを前提としているためです。
ここでは、特に代表的とされる2つの文章記載ルールを紹介していきます。
a. Webの記事では説明文代わりにリンクを利用する
Webはクリックすれば簡単に別ページへ移動する構造のため、専門用語などの解説はリンク先に任せる傾向があります。紙媒体では別のわかりやすい単語に言い換えたり、解説を入れながら記事が書かれるのですが、
- 文章の長文化を避ける
- リンク先の記事も読ませる(回遊させる=PVを稼ぐ)
- 検索の関係上、ある程度は専門用語を入れておく必要がある
などの点から、説明文代わりにあえてリンクを用いることは、Webでは必須ルールと言えます。その結果、画面上で見る分には特に気にならなくとも、単体の記事としてみると実は意味がわかりづらい不親切な文章となっていることが多くなります。(印刷時、アンカーテキストだらけだと読みにくい、という見た目上の問題もあります)
b. Webの記事では同じ単語を繰り返す
Webは検索によって記事を発見され、そこではじめて文章が読まれるという構造になっています。そのため、まずは検索でヒットさせたい言葉(=キーワード)を検索エンジンに認識させる必要があります。
特に「あれ」「それ」などの代名詞や略語などをキーワードに対して用いてしまうと、検索エンジンで上位表示されにくくなってしまうという問題が発生します。
もちろん同じ単語を繰り返すより、代名詞などを用いるほうが文章もスッキリとした読みやすいものになるのですが、検索エンジンで上位表示されないと、そもそも記事自体が読まれないでしょう。
最近では検索エンジンもだいぶ進化したため、以前ほど露骨な書き方をする必要は少なくなりましたが、紙媒体では典型的な「悪い文章の例」とされる“同じ単語の繰り返し”は、Webでは絶対に避けて通れないものです。
以上の2つは、文章好きの人がWebの記事を嫌う理由でもあります。しかし、繰り返しになりますが、大半の人にとってWebは斜め読みするものです。そしてWebの大切な読者には、人間だけでなく検索エンジンも含まれるのです。だからこそWeb特有の文章記載ルールには、あらかじめ慣れておきましょう。
4. 常にターゲットを意識して記事を書こう
もちろんどんなメディアの記事であっても、ターゲットを意識することは重要です。
しかしながら、“Webは誰もが記事を見ることができる”ことを意識しすぎるあまり、結局誰の興味も惹かない薄い記事を書いてしまうという状態に陥りがちです。それではターゲットが不在になってしまうでしょう。
そこで以下の2点に注意しつつ、ターゲットとなる“誰か”にとって、きちんと役に立つ記事を書き上げましょう。
a. 紙媒体とは入口が違う
Webと異なり、雑誌などの紙媒体は最初からターゲットは絞り込まれています。なぜなら雑誌を買う人、つまり読者は「その雑誌(の内容や方向性)が好き」という人たちに限定されるからです。記事は、媒体側で設定された明確なターゲット像に基づいて“濃い記事”を書くことを目指せばよいのです。
もちろんWebでも、掲載メディアのコンセプトやカラーにあわせた記事を書いていく必要があります。ただし、雑誌の専門性に比べ、Webは総合性が強いメディアです。個別の記事(つまり、Webライターが書く記事)のターゲティングが、雑誌ほどにはメディア側で絞り込まれないとも言えるのです。
自由がある分、自分のほうできちんと「どんな人に読ませたい内容なのか」を明確に意識し、記事を書くようにしましょう。
b. 読者のペルソナをきちんと設定しよう
Webライティングに限らず、ペルソナ設定はあらゆるマーケティング活動で重視されます。しかし「20代後半のOL」などというざっくりすぎる設定では、結局誰もターゲットになっていないことになります。
これは「平均値の人間」をターゲットにしたため、商売で失敗してしまうパターンと似ています。たとえば月収20万円の人たちと月収80万円の人たちがいたとき、平均月収は50万円となります。このとき、「月収50万円」の人たちという“存在しないユーザー”に向けられたサービスは、当然ながら誰からも必要とされません。
何をどこまで設定するかは掲載メディアや記事の内容にもよりますが、基本的には、
- 性別/年齢
- 居住地
- 職業/勤続年数/収入
- 家族構成/一人暮らしor家族と同居
などの「デモグラフィック情報」と呼ばれるものを設定した上で、彼らが、
- どんな生活を送っているのか
- 悩み、不安は何か
- ゴールは何か(どうすればハッピーになるのか)
などを考え、それらを解決するための1つの手段として「あなたの記事」を提供するぞ、という意識で記事を書けば、ターゲットにとっても有益な記事となるはずです。
細かすぎるターゲットの設定には抵抗を感じる、という人もいるかもしれません。しかし、ターゲット以外の人たちにとっても、万人向けの薄い記事ではない“濃い記事”のほうがきっと興味深く読めることでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。もしかすると今回紹介した基礎知識は、あなたが書きたいと思っていた文章とは違う方向を推奨する内容も含まれているかもしれません。しかし、Webの読者は1つの記事を読んでいる途中でちょっとでも“自分には合わない”と思えば、すぐに“自分にとってもっと有益な記事”を検索しはじめてしまいます。
それゆえに多種多様な記事が生まれるのであり、多くのWebライターにもチャンスが訪れるのです。
そして当然ながらチャンスをモノにできるWebライターは一握り。だからこそ記事を書く上で絶対に必要となるこれらの基礎知識は、しっかりと身につけておきましょう。
以上、最後までお付き合いいただきありがとうございました。それでは、また!
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