こんにちは、LIGブログ編集部です。こちらはWebライティングに関する全10回のシリーズ記事です。
さて、Webライティングに興味のある方なら、誰でも一度は「Webメディアと紙媒体の違い」について考えたことがあるのではないでしょうか。
実際、LIGブログ編集部でも、WebにはWebの、紙には紙のやり方があると感じています。そこで今回は、“Webライターならこれだけは理解しておきたい”という4つの違いについて学んでいきましょう。
両者の違いを知れば、より効果的なWebライティングができるようになるはずですよ!
▼目次
1. 掲載できる情報量の違い
紙とWebのライティングにおける大きな違いとして、真っ先に挙げられるのは「字数制限」です。しかしWebライターとして意識しなければならないのは、そのさらに上となる「掲載できる情報量の違い」についてです。
a. 紙メディアの情報制限
紙メディアは決められた枠(紙面)の中で、どの情報(文字・写真・図表その他すべて)を、どういうバランスで配置するかが厳密に定められています。
そのため、文字数に関する制限は特に厳しく、オーバーは絶対に許されません。字数不足も、数文字レベルでしか許されないという場合がほとんどでしょう。
同様に、写真や図表なども掲載できるスペースおよび種類が限られているため、厳選したものしか用いることができません。
つまり“いい記事”に仕上げるためには、膨大な情報のうち要点をいかに無駄なく伝えられるか、という“余計な部分を削る”ための職人的なスキルが要求されることになります。
b. Webメディアの情報制限
一方、Webメディアでは、あまり厳密な情報制限は存在しません。もちろん記事の目安となる字数範囲は指定されるでしょうし、ベースとなる情報の配置も定められているでしょう。
しかし、情報掲載量に“紙面”という物理的な制限のかかる紙と違い、Webは画面を下に伸ばすことでいくらでも掲載情報を増やすことができます。
この違いは非常に大きく、たとえば単純に「内容が濃いから、今回は文字数を多くしよう」という対応が可能となります。しかしそれ以上に、文章では伝えづらいような情報についても、
- 写真を入れる
- グラフや図表を入れる
- 要点を箇条書きでリストにする
などの文章以上に意図を伝えやすい表現方法を、画面に占める割合を気にすることなく活用できるという利点があります。
あわせて、
- 詳細や関連情報についてはリンク先で紹介
とすることで、それらの解説や要約について、余計な字数や手間を割く必要もなくなります。
c. 両メディアの自由度の違い
このようにWebメディアは表現に関する自由度が高いのですが、その反面、読む側も簡単に別のサイトに移動したり途中で読むのをやめたりすることができるという特徴があります。そのため、文章の書き方は“最後まで読み飛ばされないようにする”ことを最大限に意識した上で、言い回しなどはできるだけシンプルなものとしておく必要があります。
一方紙メディアは、記事が掲載された雑誌が既に読者に購入されている状況のため、そこから読まれないという心配がほとんどありません。だからこそ“興味深く読んでもらう”“読み終えた後の余韻を楽しんでもらう”ような文章を書くことが重要となります。
そういう意味では、読んでいて心地の良いリズム感など“文章本来が持つ魅力的な表現方法”に関しては、紙メディアのほうが実は自由度が高いといえるかもしれません。
2. ライター個人の集客責任の違い
ライターが記事を書く以上は、当然読者を集める(=集客する)必要があります。しかし「掲載雑誌の購入」が読んでもらうための大前提となる紙メディアの記事と、検索結果やシェアなどから「自由に無料」で読めるWebメディアの記事とでは、集客に関するライター個人の責任が大きく異なります。
a. 紙メディアの集客責任
記事は、掲載誌が購入された後、はじめて読者に読まれるものとなります。つまり、読まれるか・読まれないかの大部分は雑誌が売れるかどうかにかかっています。その一方で、どの記事がどれだけ売上に貢献したか、というのは(よほど社会的な反響でも呼ばない限りは)ハッキリとはわかりません。
漫画などのように「作品名」あるいは「作者名」で読者が購読判断するような基準があれば、単行本売上などの指標で貢献度をある程度算出できます。しかし“ライターの名前で判断して雑誌を買う”という人はほとんどいないでしょう。
もちろん良い記事を揃えないと雑誌は売れないので、編集部は読者アンケートなど何らかの方法で貢献分析を行います。しかし基本的には、コンセプトなどを含めた編集部の全体方針に読者が共感するかどうか、に雑誌の売上は左右されます。
そういう意味で、集客責任を持つ編集部のイメージに合致する記事が書けるかどうかが重要となり、紙媒体においてはライター個人には直接的な集客責任はほとんどないといえるでしょう。
b. Webメディアの集客責任
記事には「PV」などの明確に集客を計測できる指標が存在するため、Webメディアではライター個人に直接的な集客責任が求められます。その主な集客経路は以下の2つとなります。
検索経由による集客
掲載誌自体を購入してから読むしかない紙メディアと異なり、Webメディアの場合はTOPページから記事を読む(≒紙媒体でいう購入)よりも“検索から訪れる読者”をどれだけ獲得できるか、が重要となります。
ちょっとしたライティングの違いでこの検索結果からの集客には大きな差が生まれます。だからこそ、ライター個人による集客力の差はより明確なものとなります。
SNS経由による集客
「購入」という高いハードルのある紙メディアと異なり、Webメディアで記事を読んでもらうハードルは「クリック」だけです。だからフォロワーなど、自身の“ファン”の人数が多ければ、ライターとして“発信力を持っている”といえるでしょう。
FacebookやTwitterなどで自分で拡散をおこなえば、それだけで集客ができるからです。
また、いわゆる“バズ”が起きれば、シェアやリツイートによって多くの集客が見込めるようになります。メディア側も単純な文章力だけではなく、そういう数値で計測できる発信力を期待して仕事を依頼するケースは今後も多くなると考えられます。
c. 集客責任のメリット・デメリット
数字がハッキリしてしまう分、Webのほうがより「数字の取れる書き方」を意識しなければならず、いわゆる“いい文章”からは遠い記事になってしまうことが多いです。特に検索からの集客を意識したSEOライティングには、慣れないうちは違和感があるかもしれません。しかし、
- 過去記事などがリンクから簡単にまとめて読める
- 記事を読んだ後で気軽にフォローできる
- SNSやブログなどから、記事と関係のない情報でもどんどん発信できる
というような点から、同じ署名記事であってもWebメディアのライターのほうが自身のファンは作りやすいと言えるでしょう。
3. 記事が掲載されることの「権威」の違い
「○○新聞や雑誌の△△で記事を書いた」と「□□というサイトで記事を書いた」というのでは、世間の評価はまだまだ前者のほうが高いでしょう。もっと単純に、自分が友達に自慢したい、と思うのも前者ではないでしょうか。やはり記事が掲載されることの「権威」については、現状では紙メディアのほうが上であるかも知れません。
どんな仕事にも共通して言えることですが、やはり手間のかかったものほど完成度の高さ、つまり商品に対する信頼度は上がっていきます。メディアだって例外ではありません。Webメディアと比べ、1つの記事が公開されるまでの工程で「編集」や「校閲」など、数多くの人の目が入ることになるのが紙メディアです。
記事は多くの人に磨かれることで、客観性が強まり、信頼度が高まっていきます。具体的には以下の4つのポイントが、紙メディアとWebメディアとの現在の権威の差を生んでいるように思います。
a. メディア側の責任の差
たとえライターの署名記事であっても、一旦掲載してしまえば“そのメディアを代表する見解”として記事が扱われてしまうのが紙メディアです。掲載までにあらゆる手間をかけなければならない大きな理由の1つでしょう。
一方、Webメディアの多くは、編集以外の工数をそれほどかけることがないのも事実です。ライターの個性という主観性を大事にしたWebの記事は、いろいろな切り口があって面白いのですが、基本的にはそのメディアを代表した見解となることはありません。
もちろん掲載に対する責任はメディア側にありますが、スタンスとしてはあくまでも個の集合(いろいろなライターの意見を載せただけ)ということになってしまいがちです。
自由な主張として掲載される分、「○○に載った!」ということの説得力はどうしてもWebメディアのほうが弱くなってしまいます。
b. 記事の書き直しの発生有無の差
紙メディアは一度出荷してしまうと、もうやり直しはききません。誤植はそのままですし、内容に不備があれば別途で訂正記事等を入れなければなりません。
Webメディアも修正や追記を入れる際は「【○月○日修正】」や「【追記あり】」など、それとわかるような補足などを入れますが、やはり紙メディアに比べれば「後からすぐにどうにかなる感」が強いのは否めません。
最悪発行分の回収までしなければいけない紙メディアに対し、サイトからの掲載取り下げで済んでしまうWebメディア、という印象もあるのかもしれません。
いずれにしても、この“間違ってはいけない”というイメージの差が、権威の差へとつながるのではないでしょうか。
c. 見た目の差
単純な話ですが、印刷された状態で完成となる紙メディアのほうが、文章の見た目が美しくなります。画像だけであればWebメディアも負けてはいませんが、ライターにとって大事な文章が「レイアウト」として美しく組まれているのは、圧倒的に紙メディアです。
ブラウザによって段組み(改行位置)やフォント、全体の幅までが変わってしまうWebは“なんだか読みづらい”という印象が拭えません。紙面全体のレイアウトをきちんとデザインする紙メディアには、やはり見た目で劣ります。
d. 再読性の差
気に入った雑誌の記事を何度も読み直すことはあっても、Webメディアの記事を読みなおす、ということはあまりないのではないでしょうか。このあたりは単純に画面の差だけではなく、これら手間の差や記事の濃さによるトータルでの完成度の違いが影響しているのかもしれません。
だからこそ、Web用の記事を書いたときは自分で何度も推敲するなど、自身の「手間」は決して惜しまないようにしましょう。
4. 情報の広がり方の違い
掲載記事の中だけで意見が完結する紙メディアに対し、Webメディアは記事の外へと意見が広がっていく、という大きな違いがあります。この情報の広がり方に関するWebメディアの特性は、まとめると以下の2つになります。
a. いろいろな意見を読むことができる
あるニュースに関して、1人のライターの書いた記事を読んだとき「他の人の意見も読んでみよう」と自然に思えることも、Webメディアの大きな特徴です。
自分の考えに近い意見なのか、全く逆の意見なのか、思いつきもしなかった意見なのか。いろいろな意見を読む過程では、1つのサイト内ではなく様々なサイトを横断することになります。
総合的に色々な意見を読んだ上で、初めて自分の意見を判断する(そのニュースについて考える)という行動フローは、紙メディアにはない特性です。
b. その場で意見を発信することができる
記事を読み終えた直後、自分の生の意見(感情)を発信することができる、というのもWebメディアの大きな特徴です。
記事内のコメント欄、あるいはSNSでのシェアにより、その記事に対する生の感情が広がっていくという現象は、紙メディアでは見られないことです。そしてそれらが盛り上がることで、一層多くの訪問者を呼び込むことになります。だからこそ、Webメディアの扱う記事には即時性が求められます。
もちろんこれらの双方向性・対話性は「炎上」を生むリスクも伴います。記事が最後まで読まれず、途中までの文章を取り上げられ(本来の意図とは違う内容で)批判される場合があるのも、その特徴ゆえでしょう。
こういった背景から、感情を揺さぶられるような主観的でオリジナリティのある記事のほうが、客観的な記事よりもWebでは人気が高くなる傾向があります。そして、それこそがブログ記事を中心としたWebメディアがここまで支持されてきた理由と言えるのかも知れません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。Webメディア向けの記事を書いたことが無い人ほど、どうしても最初は紙メディアに近い考えで記事を書いてしまいがちです。
しかしここまで解説してきたように、両者は似ているようで全く異なる特性を持ったメディアでもあります。もちろんどちらが上というものではなく、それぞれのメディアにあわせた良質な記事を書き分けていくことが大切です。
まずは初心者ほど混同しやすい紙メディアとWebメディアの特性についてしっかりと理解し、Webライティングのためのイメージを膨らませてくださいね。
以上、最後までお付き合いいただきありがとうございました。それでは、また!
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