(おまけ)文字数コントロールのドリル
僕の個人的な好きな小説シリーズのようになってまいりましたが、伊坂幸太郎さんの『重力ピエロ』より引用です。
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春が二階から落ちて来た。(12文字)
書き出しとして出会ったうち、人生で屈指の名文です。これをベースに、文字数を調節してみましょう。
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春という名前の僕の弟が、二階から落ちて来た。(22文字)
こちらはWhoに当たる情報を付け足して、文字数を多くしたパターンです。一方、レトリックだけを用いると、
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春が二階から落ちて来た、一階からじゃなくて。(22文字)
台無しです。伊坂幸太郎さんファンのみなさんごめんなさいごめんなさい。
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春という名前の僕の弟が、バットを持って二階から落ちて来た。(30文字)
さらに、Howに当たる情報を付け足して、文字数を多くしたパターンです。一方、レトリックだけを用いると、
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春がジャジャーンと二階から落ちて来た、一階からじゃなくて。(30文字)
投げないでえええええ、石を投げないでえええええ。もちろんこれは完全な蛇足なのですが、一度でも不要な自分語りをした原稿を納品したり、企画書や報告書、ポートフォリオ・ビジネスメールがわかりにくかったりしたことのない人のみ、僕に石を投げてほしいというか、文章とはとかく内容が薄くなりがちということをご理解いただければ幸甚です。
まとめと僕の大好きな小説の書き出し
いかがでしたでしょうか。繰り返しになりますが、文章の内容の厚みを決める公式は、
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原稿の文字数 = 文章の骨格 × 情報 × レトリック
でした。文章の骨格に当たる文型、情報に当たる6W2Hとレトリックとを一定の文字数の中で上手く組み合わせて、ぜひ「内容が薄い」と言われない文章を書いていただければうれしいです。
僕自身もまた5年目のWebライターとして、社内で後輩の教育を担当する立場として、たくさんの先輩たちと目の前の原稿から学んだことを言語化し、アウトプットしていきたいと思います。
さいごに、僕の大好きな小説の書き出しをご紹介します。
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どっどど どどうど どどうど どどう
⻘青いくるみも吹きとばせ
すっぱいかりんも吹きとばせ
どっどど どどうど どどうど どどう
『風の又三郎』宮沢賢治
ぜんぜん意味がわからないけどなんかいいですよね。文章のクオリティは必ずしも公式通りには定まらないのですが、文章の「内容が薄い」とお悩みの場合はぜひご査収くださいませ。