こんにちは、LIGブログ編集長の朽木(@amanojerk)です。先日schooでWebライター向けにライティングの授業をさせていただいたのですが、そのなかで自作の二次創作小説をアナウンサーさんに朗読させてグッとくるという人としてギリギリの行為におよびました。でもプロの話し手ってすごいんだぜ、声とかキレイなんだぜ。
授業のタイトルは『原稿の文字数を過不足なくコントロールするための文章テクニック』だったのですが、テーマは“自分の文章の内容が薄いときにどうするか”です。みなさんにおかれましても、企画書や報告書、ポートフォリオ・ビジネスメールなどの文章を作成したあとで、見直すと何か言ってるようで何にも言っていないような印象を受けることはありませんでしょうか。
せっかく何かを伝えるために文章を書くのであれば、情報や熱量がギュッと詰まった、過不足のない文章にしたいものですよね。そんなあなたにご紹介したいのが次の公式です。
-
原稿の文字数 = 文章の骨格 × 情報 × レトリック
文章の厚みというのは、このうち“文章の骨格”と“情報”で印象付けられるものだと僕は思います。どのようなことか、今回は過不足のない文章を書くためのテクニックを(前述した自作の二次小説とあわせて)、以下にご紹介させていただきます。
なお、ライティングのテクニックなんて本質的じゃない、とは僕も思いますし、いつもは僕自身、テクニック的なことはあまり意識せず文章を書いています。
しかし、昨今はプロであるはずのライターでも適切な教育を受ける機会がないと嘆くような時代ですので、この記事は独学で詰まることのあるライターさんや、常日頃より文章を書くことにお悩みの方に向けて、感覚的な私見を言語化してご紹介するものです。
原稿の文字数が足りないですか、それともオーバーしますか
編集者としてライターさんの原稿をチェックしていて、よくある問題点だと思うのは下記の3つです。
- メディアのルールを守れない
- 内容が薄い
- 誤字脱字・日本語のまちがいが目立つ
メディアのルールを守れない、誤字脱字・日本語のまちがいが目立つというのは論外として、もっとも困るのが文章の「内容が薄い」という印象の原稿。「内容が薄い」と言われても、具体的にどうアクションすればいいのかがわかりにくいためです。
そもそもですが、みなさんはいつも原稿の文字数が足りないですか、それともオーバーしてしまいますか。ちょっとしたネットコラムであれば、全部で1,200文字が目安のリード文に200文字、本文800文字で締めが200文字みたいな設定がメディアにより設定されますが、その設定に対して過不足のない記事が書けているでしょうか。
ライターさんじゃなくても、企画書や報告書、ポートフォリオ・ビジネスメールにも“なんとなくこれくらい”という文字数の目安があるはずです。
文字数が少ない、多いということについて、まずは事例をチェックしてみます。
- A. 文字数が少ない例
-
我輩は猫である。(8文字)
『我輩は猫である』夏目漱石
- B. 文字数が多い例
-
その猫は自分はこの近くでゴマ(1歳、三毛猫、雌)の姿をみかけたことがあると思うといった。
しかしながら猫はーーナカタさんの立場からすればということだがーーかなり奇妙なしゃべり方をした。(79⽂文字)
『海辺のカフカ』村上春樹
どちらもネコについての文章ですが、受ける印象はまったく異なります。A.とB.では、B.の方が持って回ったような印象を受けるはずです(もちろん、そこがいいのですが)。でも、小説ならともかく、ライターがプロとして納品する原稿や、企画書や報告書、ポートフォリオ・ビジネスメールが村上春樹さん調だと、おそらく伝えたいことが伝わらないと思われます。
ライターは“読み手を意識して文章で物事を伝える仕事”とは、編集者として大先輩の宮脇淳さん(有限会社ノオト代表)のお言葉。自分の書きたいことを好きなように書く仕事ではありません。
では、どのようにすれば、読み手に伝えたいことを伝えるために、過不足のない文章が書けるのでしょうか。