Web編集者の憂鬱(3)なんだか似たような内容が繰り返されているんです。

Web編集者の憂鬱(3)なんだか似たような内容が繰り返されているんです。

ひゃくいち

ひゃくいち

おつかれさまです。ひどい人見知りエディターのハマです。

前回の「Web編集者の憂鬱(2)断定すべきところとすべきでないところがアベコベなんです。」に続きまして、かつてのWeb編集の現場で起きたちょっぴり憂鬱な事例を、オブラートに包みつつ紹介したいと思います。

Web編集者の憂鬱(3)なんだか似たような内容が繰り返されているんです。

事例

ある日、「新卒社員が最初の3か月で心がけるべき15のこと」と題する原稿が届き、そのうちの2つのポイントが以下のように書かれていました。

  • いつもより早起きしよう!
  • たった2時間だけ早起きすることでオフピーク通勤が可能になり、無駄な体力が奪われません。実際、オフピーク通勤を心がけている新卒社員は増えているようです。無駄な体力も奪われないのでオススメですよ!

  • 仕事の準備や情報収集を通勤中に済ませよう!
  • その日の仕事に必要な準備を通勤中に済ませてしまえば、仕事の効率はグンとアップします。そのためにも、いつもより少し早い時間の電車に乗ってラッシュを避け、座席を確保しましょう。その日の仕事がスムーズに進むので本当にオススメですよ!

内容はかなり改変してありますが、とあるライフハック系の記事です。
みなさんは、どのように感じたでしょうか。

感想

わたしが最初に思ったのは、「なんだか似たようなことが繰り返し書かれているな」ということです。一つのポイントに整理して統合できるのではないでしょうか。

また、各ポイントの内容の書き方についても、結論部である「無駄な体力が奪われない」や「仕事の効率がアップする」が、冒頭と末尾で繰り返されています。この程度のボリュームの文章内で重複すると冗長に感じられるのではないでしょうか。

これらを踏まえて原文を尊重しながら調整する場合、力不足な一例ではありますが、以下のようにできるのではないかと思います。

  • 2時間だけ早起きしよう!
  • 慣れない通勤ラッシュを避けることができ、無駄な体力が奪われません。2時間も早ければ座席も確保しやすく、その日の仕事に必要な準備もゆったりと済ませられ、よりスムーズに業務を進めることができますよ。

ちなみに、原文の「実際、オフピーク通勤を心がけている新卒社員は増えているようです」については、明確な根拠が得られなかったので省略しました。

反省

今回の事例では、編集からライターさんに執筆依頼をするときに「15のこと」と数を指定してしまったことが、同じ内容を繰り返してでも個数を合わせようとさせてしまった原因だったのではないかと思います。
そこで、それ以来、「◯つのこと」と個数は空白にし、「個数にはこだわらないので、違った切り口のポイントを書いてください。ただ、最低でも3つは欲しいです」などとお願いするようにしました。

また、コンパクトなパラグラフ内における繰り返し表現については、文章の細部まで丁寧に推敲できるタイプのライターさんには、記事の上限文字数をあえて少なめに設け、無駄な表現をより厳しく削ぎ落としていただくようにしました。
一方、文章の推敲が甘く、分量を稼ごうとしてしまうタイプのライターさんには「分量にはこだわらないので、まずは繰り返し表現を徹底的に削ぎ落としてみてください。ただ、最低でも何文字は欲しいです」と、下限文字数を少し甘めに設けるようにしました。

もちろん、それで改善が見られないケースもあります。
そんなときは地道ではありますが、「重複・繰り返し表現」といったコメントを入れた上で一つひとつ削除し、フィードバックを行うことにしました。ただ、残念ながら、それでも改善が見られないケースもいくつかあったというのが実情ではあります。

まとめ

最近、お昼休みにとあるワイドショーを見たのですが、同じ情報を少しずつ違った角度で何度も何度も流しつづける構成に、ある意味で感動しました。
昼食後の時間つぶしにヌボーッと眺めていたわたしにとっては、冗長どころか心地よく感じられたからです。

そのため、「同じことを繰り返すことは絶対に悪い」とまでは断定できないわけですが、少なくとも上記の事例記事を掲載するメディアが想定する読者層はいわゆる「バリバリのビジネスマン」でした。仕事のちょっとした隙間時間に記事を読むわけですから、なるべく重複する情報は削ぎ落としておくべきかと思います。
読者の大切な時間を無駄に奪うことは罪なので。「なら、そういうおまえも罪人だな」と言われませんように。

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