Web編集者の憂鬱(2)断定すべきところとすべきでないところがアベコベなんです。

Web編集者の憂鬱(2)断定すべきところとすべきでないところがアベコベなんです。

ひゃくいち

ひゃくいち

おつかれさまです。ひどい人見知りエディターのハマです。

前回の「Web編集者の憂鬱(1)企画案とはまったく異なる原稿が届いたんです。」に続きまして、かつてのWeb編集の現場で起きたちょっぴり憂鬱な事例を、オブラートに包みつつ紹介したいと思います。

Web編集者の憂鬱(2)断定すべきところとすべきでないところがアベコベなんです。

事例

ある日、以下のような表現が多用されている原稿が届きました。

女子ウケを狙うなら、脂っこい中華料理は避けるのが常識ですよネ!

なんと7月からは限定グッズが販売されるとの発表が正式にあったそうです♪

限定グッズのキャラクターは〇〇や〇〇など全5種類……選ぶのが悩ましいですね(笑)

内容はかなり改変してありますが、とあるテーマパークのレポート記事です。
みなさんは、どのように感じたでしょうか。

感想

まず、「中華料理」の事例です。

女子ウケを狙うなら、脂っこい中華料理は避けるのが常識ですよネ!

たしかになんとなく言いたいことは分かりますね。いわゆる「女子」のイメージとして、脂っこい料理は避けるのでしょう。

ただ、「常識です」とまで断定されてしまうと、「火鍋だとか点心だとか飲茶だとかを好む女子もいるわけで、そうとは限らないでしょ」と反論したくなるのではないでしょうか。

書き手側の考え方はあくまで書き手側のものでしかないので、読み手側に理解してもらうためには説得することが必要です。
早く次のパラグラフへ進んでしまいたいからと、起こりうる反論に対する根拠や説明を提示せず、譲歩したりすることもなく一方的に押し付けようとすれば、その原稿の説得力は失われてしまうでしょう。残念ながら「ネ!」という語尾の勢いだけで誤魔化すことはできないのです。

例えばですが、「常識です」という断定表現を緩めて、「一般的には」や「そんなイメージもありますよね」といった表現を使ってみてもいいかもしれません。

次に、「限定グッズ」の事例ですが、こちらは正反対の話になります。つまり、逆に強く断定しないと、説得力が失われてしまうのです。

なんと7月からは限定グッズが販売されるとの発表が正式にあったそうです♪

限定グッズのキャラクターは〇〇や〇〇など全5種類……選ぶのが悩ましいですね(笑)

いずれについても、もう少し時間を掛けて調べさえすれば、言い切ることができるでしょう。たとえば、「発表が正式にあったそうです」とありますが、そこに「伝聞」はいりません。書き手自身が発表を確認していないことが明らかになってしまいます。「発表が正式にありました」と断言しましょう。

また、全部で5種類しかないのに2つだけしか紹介しないというのも不自然に感じられます。残りの3種類についても正式に発表された内容を調べれば列挙することは難しくないはずです。

少し楽をして書きすぎ

いかがでしょうか。どの事例にも言えるのが「少し楽をして書きすぎ」ということです。読者への説得もそこそこに、下調べもそこそこに、どんどん書き進めてしまっている感が否めません。

実際、このレポート記事では他にも、人気アトラクションが紹介されていたのですが、アトラクションの正式名称に使用されている英語の大文字と小文字の区別を書き間違えていたりと、事実情報の確認が甘いことが浮き彫りになっていました。

やっぱりレポート記事ですから、読み手に正確な情報を届けるのはもちろん、取材先にも最大限の敬意を払うべきではないかと思います。せっかくこだわって名付けたアトラクション名が適当に書かれていたら、きっと良い気分はしないでしょう。

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