文章の内容が薄いときに過不足のない原稿をライティング・編集するためのテクニック

文章の内容が薄いときに過不足のない原稿をライティング・編集するためのテクニック

LIGブログ編集部

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あなたの文章に6W2Hを

さて、原稿の文字数を左右する要素のうち、文章の骨格とレトリックについては説明しました。では、情報とはなにかといえば、それが6W2Hです。読み手に伝える情報というのは、大きく下記のように説明できるでしょう。

  • When(いつ)
  • Where(どこで)
  • Who(誰が)
  • Whom(誰に)
  • Why(なぜ)
  • What(何を)
  • How(どのように)
  • How much(いくらで)

こちらも英語の授業のようで懐かしいです。僕が学生だった頃は5W1Hだったと記憶していますが、現在は6W2Hらしいです。

これが文章でどのように伝えられているのかについて、品川経済新聞さんのニュース記事『田町・芝浦にレストラン「芝浦グリル」 お代わり自由のランチも』を一部引用させていただき、ご紹介します。

 
JR田町駅・芝浦工大芝浦キャンパス近くに6月30日、レストラン「SHIBAURA GRILL(芝浦グリル)」(港区芝浦2、TEL 03-6459-4253)がオープンした。店舗面積は約80坪、席数は120席。店長の矢田亮介さんはオープンのきっかけについて「東京五輪などを見据えて再開発が進む芝浦エリアに注目していた。立地に合う業態を考え、千種グリルの2号店を作ろうと決めた」と話す。コンセプトは「ちょっとした日常のこだわり」

この文章のうち、どこが6W2Hに当たるのかを振り分けていきます。

 
[Where]JR田町駅・芝浦工大芝浦キャンパス近くに / [When]6月30日、 / [What]レストラン「SHIBAURA GRILL(芝浦グリル)」(港区芝浦2、TEL 03-6459-4253)がオープンした。 / [How much]店舗面積は約80坪、席数は120席。 / [Who]店長の矢田亮介さんはオープンのきっかけについて / [Why]「東京五輪などを見据えて再開発が進む芝浦エリアに注目していた。立地に合う業態を考え、千種グリルの2号店を作ろうと決めた」と話す。 / [How]コンセプトは「ちょっとした日常のこだわり」。

情報を伝えるのがニュースの役割ですので、たくさんの情報が丁寧に整理されています。

6W2Hは文章というよりはコミュニケーションの基本であり、読み手に伝える物事そのものです。文章中の6W2Hの頻度が多ければ多いほど、“文章の骨格 × 情報”で定義される文章の厚みがあるということになるでしょう。

原稿の文字数をコントロールするテクニック

ここまで、文章を形作る文章の骨格、情報、レトリックについて説明しました。おしまいに、実践として、原稿の文字数をコントロールするためのテクニックをご紹介します。

 
メロスは(S)激怒した(V)。(8文字)

もう一度、『走れメロス』です。

 
メロスは(S) / 激怒した(V)。必ず、かの邪智暴虐の王を(O) / 除かなければならぬと(C) / 決意した(V)。メロスには(S) / 政治がわからぬ(V)。メロスは(S)、 / 村の牧人(C) / である(V)。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た(V)。けれども邪悪に対しては(O)、 / 人一倍に / 敏感であった。(V)

このように、短文を繰り返して文章を構成するのは、それだけ情報が要求されて難しいのです。一方、冒頭の“メロスは激怒した”のSVの文型の文章にレトリックの技法をふんだんに用いることで、次のような文章になります。

 
メロスはーーーそれは彼にとってほとんど予期しないことで、まったくろくでもないことになった、と言うように、M・J・Qのレコードのリズムにあわせて首を振りながらーーー激怒したかもしれないし、していないかもしれない。それは誰にもわからないことなんだ。
『メロスは「やれやれ」と言った』朽木誠一郎

そうです、『走れメロス』の二次創作です。ゾッとされた向きもあるかと思いますが、懲りずに品詞分解をしてみましょう。

 
メロスは(S)ーーーそれは彼にとってほとんど予期しないことで、まったくろくでもないことになった、と言うように、M・J・Qのレコードのリズムにあわせて首を振りながらーーー激怒した(V)かもしれないし、していないかもしれない。それは誰にもわからないことなんだ。

このように、SVの文型について、文字数はどれだけでも多くすることができます。不出来な二次創作ですのでぜひご笑覧いただきたいのですが、ここでひとつだけ教訓としたいのは、ライターがプロとして納品する原稿、企画書や報告書、ポートフォリオ・ビジネスメールを読んだ相手に「内容が薄い」と思われてしまうと、この『メロスは「やれやれ」と言った』のように、ひとりよがりになっているということです。

何度でも繰り返しますが、ライターは、または相手に伝えるための文章は、自分の書きたいことを好きなように書くものではありません。要素の取捨選択をして、過不足のない文章を相手に伝えるようにしたいものです。

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