修飾語と被修飾語は近くにおいてあるか?
修飾語とは「ある言葉を詳しく説明する言葉」であり、被修飾語とは「修飾語によって説明される言葉」のことです。
「修飾語? 被修飾語? もうやだ日本語嫌い」となってしまう方のために、わかりやすい例でご説明します。
修飾語は「いつ、なにが、どのように、どこで」に当たる言葉です。
黄色いワンピースを着た、俺好みの綺麗なお姉さん
「黄色いワンピースを着た」「俺好みの」「綺麗な」は「お姉さん」を詳しく説明した言葉です。これらが修飾語であり、「お姉さん」が被修飾語です。
以下の例文を見てみましょう。
残念ながら、黄色いワンピースを着た、俺好みの綺麗なお姉さんにデートを断られた。
別におかしくないのでは?と感じた人も多いでしょう。でも、 以下のように修正にするとどうでしょうか。
黄色いワンピースを着た、俺好みの綺麗なお姉さんに、残念ながらデートを断られた。
修飾語は「残念ながら」、被修飾語は「断られた」です。この文章では「残念ながら」は「断られた」にかかっていることは一目瞭然ですが、修正後は文章の意味がわかりやすくなりましたね。
修飾語・被修飾語は離れていると「わかりにくい」だけでなく、位置によっては誤解を与えてしまうこともあるのです。
以下の文を見てください。
世界一やさしいさえりさんの文章講座
これでは「世界一やさしい」のが「さえりさん」なのか「文章講座」なのかがわかりません。もちろんさえりさんもやさしいのですが、「そうか、さえりさんは世界一やさしいのか」と思われてしまっては色々困ります。
さえりさんの世界一やさしい文章講座
と修正しましょう。この文の修飾語は「世界一やさしい」。被修飾語は、「さえりさん」ではなく「文章講座」です。
口頭で話すときにはほとんど意識しない点ですが、どの言葉がどの言葉にかかっているのかに注目しながら文章を整理し、「修飾語・被修飾語を近づける」意識をするだけで、「できるなこいつ」と思ってもらえる文章になりますよ。
同じ言葉を繰り返していないか?
「1. 主語・述語はねじれていないか?」で紹介した原稿の一部は、「イメージ、イメージって気取った画伯かよ!」と突っ込みたくなるような文章でしたが、さらに上をいくくどい文章を見てみましょう。 ちなみにこちらも野田クラクションベベーからあがってきた原稿から抜粋しました。
お店の自慢のお酒はたくさん種類のあるラム酒です。その中でもお酒の弱い人でも飲みやすいバテル(680円)はお店の大人気のお酒です。このラム酒は、中にハチミツが入っていてスッキリとした甘さが特徴的なお酒です。
たった100字の文章にもかかわらず、「ラム酒」という言葉が2回、そして「お酒」が4回もでてきます。「お酒、お酒」とうるさいですね。 この文章を主語と述語に注目し、また修飾語・被修飾語にも注目して入れ替えてみましょう。
お店の自慢は、種類の多いラム酒です。その中でも、お酒の弱い人でも飲みやすいバテル(680円)は、ハチミツのスッキリとした甘さが特徴の大人気商品です。
いかがでしょうか?
「ラム酒」も「お酒」もたった1回の表記で済んでしまいました。 同じ言葉は、強調したいときには用いると効果がでますが、短い文章の間に何度もでてきてしまうとリズムの悪い印象を与えてしまいます。
できるだけ同じ言葉を使わないで済むように修正すれば、スマートな印象を与えることができます。
接続詞を入れすぎていないか?
オマケ的な要素ですが、文章を論理的に見せようとするあまりに接続詞を多く入れてしまうケースもよくみられます。
接続詞は入れすぎると硬い印象になり、まどろっこしい印象を与えてしまいます。例えば有名なこのセリフに、接続詞をいれてみましょう。
生きろ。なぜならそなたは美しいからだ。
ああもうばか!台無し!台無し!と叫びたくなりますね。
生きろ。そなたは美しい。
接続詞がなくとも、私たちの頭はきちんと認識できるのです。接続詞を省いても成り立つような文章の場合は、接続詞を省くだけでエレガントでテンポのよい文章に早変わりです。