
こんにちは、LIGブログ編集部です。こちらは、「社会人としてのビジネスマナーの基本をもう一度見直したい」と思っている人に向けての全5回のシリーズ記事です。
ビジネスに限らず社会生活全般において、敬語表現というものは非常に大切です。いくら態度で敬意を表していても、敬語がきちんとできていなければ相手に不快感を与えてしまうからです。
そもそも敬語の間違いが多いとビジネスパートナーとして信用されず、それが原因で商談が上手くいかなくなる、ということも十分考えられます。ただ、尊敬語・謙譲語・丁寧語の違いはもちろん、実は敬語ではないのに(まるで敬語であるかのように)用いられるのが慣習になっている言葉の存在など、敬語を正しく使うのは本当に難しいことです。
そこで今回は、間違えやすい敬語の実例50選として、ビジネスシーンで注意しなければいけない言葉や表現の間違った使用例をまとめてみました。これらを参考に、正しい敬語が使えるビジネスパーソンを目指しましょう。
目次
- 上司やお客様に使うのは失礼な言葉・表現15選
- 本当は誤っているにも関わらず、いつの間にか定着してしまった言葉・表現10選
- 敬意の対象が不明確となってしまった言葉・表現25選
- 26. 申されていました
- 27. ご拝受いただければ幸いです
- 28. お客様がお越しになられました
- 29. 一緒に参りましょう
- 30. どこへ参られますか
- 31. ○○様が参られています
- 32. 本日は休みをいただいております
- 33. ○○様でございますね
- 34. あなたが申されたように
- 35. あの件についてうかがっていますか
- 36. どうぞお召し上がり下さい
- 37. 花に水をあげる
- 38. おられますか?
- 39. どうかいたしましたか?
- 40. どちらにいたしますか?
- 41. 上司にも申し上げておきます
- 42. 資料をご持参ください
- 43. お客様をお連れしました
- 44. お求めやすい商品です
- 45. ご注意してください
- 46. おっしゃられる通りだと思います
- 47. これで結構でしょうか
- 48. 明日は来られますか
- 49. ご覧になられる
- 50. ご注文の品はお揃いになりましたか
- まとめ
上司やお客様に使うのは失礼な言葉・表現15選
以下、同僚や後輩に対して使う分には問題ないのですが、目上の人に対して使ってはいけない言葉や表現を紹介していきます。日本語としては必ずしも間違っているわけではないぶん、失礼な印象がほかよりも高くなるもしれません。
1. ご苦労さまです
目下の人に対して用いる言葉で「お疲れさまです」が適切です。
2. 了解しました
敬意のないフランクな表現です。「承知しました」または「かしこまりました」を用いるようにしましょう。
3. しばらくぶりです
「しばらくです」は同僚や目下に対して用いる表現です。たとえば「お久しぶりです」であれば、相手の立場に関係なく用いる表現になるので、失礼にまではあたりません。ただ、敬意を表すうえでは「ご無沙汰しておりました」を用いるようにしましょう。
4. いつもお世話様です
「お世話様です」は、「ご苦労さまです」と同じような使い方で、目上の人に用いるべきではない表現です。「いつもお世話になっております」が適切です。
5. ご一緒します
「ご一緒」という言葉は、対等な関係で使われるものです。目上の人から「一緒にいくか?」と誘われたときには「お供させていただきます」が正しい表現です。
6. 大変参考になりました
「参考」という言葉が“自分の考えを決める際の足しにする”といった表現です。目上の人に対しては「大変勉強になりました」を用いるようにしてください。
7. すいません
「すいません」は「すみません」の口語として定着したため、目上の人に用いるには失礼な表現です。
さらにビジネス上では「すみません」を使うことさえNGという考え方があります。この言葉には感謝と謝罪の2つの意味が込められているため、きちんと「ありがとうございます」「申し訳ございません」と伝えるのが正式、というものです。
8. 私には役不足です
自分の実力より軽いこと、与えられた役目に満足できないことを意味します。能力が足りないという意味では「力不足」もしくは「力量不足」と言わなければなりません。
9. わが社
社内で叱咤激励する際などに使われる言葉であり、外向けに使ってしまうと偉そうな印象を与えてしまいます。「弊社」および「当社」が正しく、それぞれ場面に応じて使い分けをおこないましょう。
10. なるほどですね
もともとが「なるほど、そうですね」の省略形だというだけでなく、「なるほど」自体が目下の人に対して使うものです。「おっしゃるとおりです」などの言い回しにしましょう。
11. おわかりいただけたでしょうか
わかりましたか、という意味になり、目上の人に使うには失礼な表現です。「ご理解いただけたでしょうか」などを用いるようにしてください。
12. お座りください
座ってくださいの尊敬表現なので本当は間違いというわけではないのですが、やはり犬のお座りのイメージもあり、ビジネスシーンではNGとされます。「お掛けください」が適切です。
13. どちら様でしょうか
「様」がついているためていねいな印象がありますが、意味としては「誰ですか?」という、目上の人には大変失礼な表現です。会社に訪ねてきたお客様になどは特に使用しないよう注意してください。
14. どうしますか
「どうする」という言葉には敬意が含まれていないため、目上の人に対しては使わないようにしてください。「いかがいたしますか」などを用いてください。
15. させていただいております
「させていただきます」は、基本的には「自分のすることが相手に良い影響を与えるとき」「相手の許可が必要なとき」にのみ使える表現です。「〜いただいております」も同様で、たとえば値上げのお知らせなど、相手が頼んだわけでもない場面での使用は失礼な印象を与えてしまうことも。「しております」が適切です。
値上げの場合であれば「値上げさせていただいております」ではなく「値上げしております」としましょう。
本当は誤っているにも関わらず、いつの間にか定着してしまった言葉・表現10選
本当は誤っているにも関わらず、オフィスやお店・レストランなどを中心に、生活の中で当たり前のように使われ続けた結果、定着してしまった言葉や表現も数多く存在します。ここではその代表的なものを紹介していきます。
16. ~のほう
「ご注文のほう」「商品のほう」など幅広く用いられていますが、単純に日本語としておかしい表現です。以下は、その例です。
× 私のほうで担当いたします → ○ 私が担当いたします
× お水のほうをお持ちします → ○ お水をお持ちします
× 書類のほうをお持ちいたします → ○ 書類をお持ちいたします
17. ~からお預かりします
たとえば「5000円からお預かりします」などは最近では一般的な言葉となりつつありますが、「から」は不要です。「5000円をお預かりいたします」の表現が正しいです。
18. 御社について存じ上げております
「御社について存じております」が正解です。あげる、は持ち上げるべき相手がいるときに使う表現になるため、対象が人であれば「存じ上げている」で問題ないのですが、人以外に対しては使わない表現です。注意してください。
19. お体をご自愛くださいませ
会話ではなく手紙やメールに登場することの多い「自愛」ですが、この言葉に既に「体を大事にする」という意味が含まれています。正しくは「ご自愛くださいませ」が正しい表現です。
20. ~になります
「〜になります」といのは、基本的には物が変化していく様子を表す言い方で、敬語ではありません。「〜に成る」という場合以外は使わなようにしましょう。以下は、その例です。
× お手洗いは、突き当たりになります → ○ お手洗いは、突き当りにございます
× 500円のお返しになります → ○ 500円、お返しいたします
× 会議の資料になります → ○ 会議の資料でございます
21. 各位様
各位自体が皆様を意味します。「○○各位」や「お客様各位」としてください。
22. (役職名)+様
役職に敬称をつけるのは誤りです。「○○社長」または「社長の○○様」としましょう。
23. お名前をちょうだいできますか
「お名前をお聞かせいただけますか」「お名刺を頂戴できますか」が合成されてできた造語です。「お名前をうかがってもよろしいでしょうか」などが適切です。
24. とんでもございません
「とんでもない」で1つの単語なので、これを2つに分けて「ない」の部分だけを「ございません」に変えることはできません。「いいえ、とんでもないです」が正しい表現です。
25. 今お時間よろしかったでしょうか
相手が今話せる状況にあるかどうか聞くのは礼儀ですが、「よろしかった」という過去形ではなく、「今お時間いただいてもよろしいですか」としましょう。
商品はこちらでよろしかったですか、などの確認も同様です。商品はこちらでよろしいですか、としましょう。