システム開発を外注するメリット・デメリットは?会社選びの注意点も解説

システム開発を外注するメリット・デメリットは?会社選びの注意点も解説

Koji Murata

Koji Murata

システムを自社開発しようにも「エンジニアが採用できない」「開発のノウハウがない」とお困りではありませんか?

日本ではIT人材が不足しており、今後ますますエンジニアの採用は激化することが予測されます。そこで注目されるのが、「システム開発の外注」です。

今回は、国内外でシステム開発支援やエンジニアの採用・育成経験を10年以上もつ私が、システム開発を外注する際のメリット・デメリットや、会社選びの注意点まで解説します。

システム開発の外注を検討中の方はぜひ最後までご覧ください。

システム開発を外注するメリット

システム開発を外注するメリットには、以下のものがあります。

  • エンジニアの採用・育成をしなくても開発ができる
  • システム開発の状況に応じて柔軟な対応ができる
  • 自社エンジニアのリソースを必要な開発に充てることができる
  • 戦略や構想段階から任せることができる

それぞれ詳しく解説します。

メリット①エンジニアの採用・育成をしなくても開発ができる

日本のIT人材は不足しており、2030年には70万人不足すると言われています。このような状況の中、特に中小企業ではエンジニアを採用することがかなり厳しい状況です。

システム開発会社に外注をすれば、エンジニアの採用や育成をせずとも、すぐに開発を進めることが可能です。よって「短期間でスケールしたいが、採用がうまくいかない」「作りたいものが決まっているがリソースが足りない」といった課題を解消することができます。

メリット②システム開発の状況に応じて柔軟な対応ができる

長期的にシステム開発を進めていく場合、時期によって必要なリソースにばらつきがでることもあります。

内製化する場合、必要なリソースを必要な時期にだけ確保する、ということがどうしても難しいのが現状です。

外注であれば、状況に応じて人数を徐々に増減させたり、相性が合わない場合はメンバーの交代ができたりと、柔軟な対応ができるようになります。

メリット③自社エンジニアのリソースを必要な開発に充てることができる

普段クライアントとやりとりする中で、「新規事業や新規開発を自社エンジニアに任せたいが、既存システムの拡張開発などでリソースが足りない」という悩みをよく伺います。

このような場合、既存のシステム開発を外注する体制を作ることができれば、新規開発に自社エンジニアのリソースを使えるようになります。結果として、会社全体の成長に繋げることができるでしょう。

メリット④戦略や構想段階から任せることができる

外注というと、「一部の開発だけを切り取って依頼する」というイメージを持っている人もいるかもしれません。

しかし実際は、コンサルタントが関わり戦略構築や構想段階からの支援ができる開発会社もあります。

「開発したいサービスのイメージはあるけど、どんな市場でどう競合と戦っていけばいいのかわからない」という企業や、「ビジネスの壁打ち相手となるパートナーがほしい」という企業にとっては大きなメリットとなります。

システム開発を外注するデメリット

一方で、システム開発を外注すると以下のようなデメリットも生じてきます。

  • 内製化よりもコストが高くなる可能性がある
  • 自社開発と比較してノウハウがたまりにくい
  • コミュニケーションコストがかかる

それぞれのデメリットについて、詳しく解説します。

デメリット①内製化よりもコストが高くなる可能性がある

企業や案件にもよりますが、外注する分、内製化と比較してコストが高くなる傾向があります。また、金銭的なコスト以外にも、業者選定や方針のすり合わせ・プロジェクト進行中の管理などの、時間的なコストもかかります。

デメリット②自社開発と比較してノウハウがたまりにくい

システムを外注する場合、ノウハウを蓄積しにくいというデメリットがあります。もし、継続的に外注するつもりであれば問題ありませんが、将来的に内製化をしたいと考えているのであれば、これは特に留意しておきたいポイントです。

システム開発会社のなかにはシステムをパッケージ化しており、一部分をカスタマイズして納品する企業もあります。このような場合、システム内部はブラックボックス化されており、ノウハウを蓄積することが特に難しくなります。

デメリット③コミュニケーションコストがかかる

3つめのデメリットは、自社開発と比較してコミュニケーションコストがかかるという点です。

システム開発は複雑であり、自社開発でもなかなか上手くいかないことがあります。例えば業務系システムを開発することを考えてみたときに、現場の業務をまったく知らないエンジニアに現場の課題感や要件を伝えるのはとても難しいはずです。

そのためシステム開発を外注するとなれば、より密にコミュニケーションをとる必要がでてきます。

要件定義フェーズ以外にも、外注する場合、このようなズレの修正やその確認といった外注管理をする必要性があるというのもデメリットといえるでしょう。

なお、上記はシステム開発の外注時に発生する一般的なデメリットを挙げています。海外のエンジニアを活用する場合は、上記とは異なるのメリットやデメリットも生じます。具体的な内容は以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。

システム開発会社の選び方

ここからはシステム開発を外注するメリット・デメリットを踏まえ、外注先の選び方を3つのポイントで解説します。

  • 外注できる範囲を確認する
  • 実績を確認する
  • 信頼できるパートナーであるか見極める

選び方のポイント①外注できる範囲を確認する

システム開発会社には、主に以下の工程を依頼することができます。

戦略・企画 顧客ニーズをヒアリングし、システム開発の方針を立てるためのコンサルティングを行う。
設計・開発・テスト システムに実装する機能の設計から、実装、実装後のテストまでを行う。
リリース 開発したシステムが利用できるように環境を整える。
運用・保守 リリース後のシステム運用や、保守を行う。

システム開発会社と一口にいっても、どこまでできるかは会社により異なります。例えば戦略などの上流工程からできる会社もあれば、要件通りにプログラミングをするだけの会社などさまざまです。

会社選びをする際には、まずはじめに自社が求める業務範囲を明確にし、それにあった外注先を選ぶようにしましょう。

選び方のポイント②システム開発会社の実績を確認する

外注先を選ぶときは、やはり実績を確認することが大切です。システム開発会社のなかには、Webサービスの開発が得意な会社、アプリ開発が得意な会社など、得意領域がそれぞれあります。

作りたいシステムに近い実績があれば開発がスムーズに進みやすいです。逆に作りたいシステムに近い実績がない場合、納期遅延やバグの発生、場合によっては開発費用が追加でかかってしまう可能性もあるため注意しましょう。

選び方のポイント③信頼できるパートナーであるか見極める

必要な技術や実績を持っている会社が複数あった場合、次に大切なのは「信頼して議論できるパートナーかどうか」です。プロジェクトが開始すれば、頻繁にコミュニケーションをとることになります。

実際に開発を進めるプロジェクトメンバーと面会をして、信頼できるパートナーであるかを確認してください。もし商談時に同席がない場合は、面談を申し出ることをおすすめします。

外注の失敗事例から学ぶ注意点

失敗事例から、システム開発を外注するときの注意点をみていきましょう。システム開発を担当したことがない方からするとびっくりするかもしれませんが、システム開発では以下の失敗が頻繁に起こります。

対策方法も合わせて紹介するので、チェックしておきましょう。

安いシステム開発会社に外注した結果、納品されなかった

「そんなことあるの?」と思うかもしれませんが、価格重視でシステム開発会社を選んだ結果、悪い会社に当たり発注したシステムが納品されないということはよくあります。

品質も担保したい場合は、複数の相見積もりをとり、極端に安い会社に頼むことは避けましょう

また、商談のときにできるといっていた開発が、いざ蓋を開けてみたらできなかったということも稀に発生します。これは営業担当の知識や経験不足が主な原因であることが多いです。

商談時に「持ち帰って回答します」という発言が多い営業担当の場合は注意しましょう。

見積もりより費用が高くなった

これまたよくあるのが、最初の設計で不備があったり要件が固まっていないことで、あとから追加の開発費用として請求されるパターンです。

とはいえ、最初から完璧に開発要件が固まっていることも少ないと思います。この場合は、契約を受託開発ではなく、準委任契約にしたり、アジャイル開発にすることをおすすめします

アジャイル開発とは
アジャイル開発ではイテレーションと呼ばれる1〜4週間程度の期間内で一つの機能を開発・リリースしていきます。イテレーションの期間は開発チームによって設定が変わります。※アジャイル開発ができる会社はこちらで紹介しています。

プロジェクトがスケジュール通りに進まなかった

一部の大手企業〜中堅企業では多重下請け構造になっており、指示・連絡が伝言ゲームのようになってしまうことがあります。この場合、開発スピードが遅くなりがちです。

対策としては、提案段階での見積もりの提出スピードを見るようにしてください。提出が遅い会社は、内部で伝言ゲームが起きている可能性があります。また、発注前に体制図を確認しておくと安心です。

外注先に丸投げしてしまった

システム開発を発注したことに安心してしまい、「あとは外注先に任せよう」と丸投げした結果、開発の遅れや想定と異なるシステムが完成してしまった、というのもよくある失敗事例です。

外注先に任せっきりにせず、スケジュールの進捗状況や仕様に問題がないかなど、積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。「専門的なことはわからないから」と遠慮することなく、プロジェクトに入り込む姿勢が大切です。

▼「システム開発の外注はなぜ失敗するのか?」というテーマで、実体験を踏まえたシステム開発の注意点を以下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。

システム開発の外注費用の相場はどれくらい?

システム開発の費用相場は、プロジェクトの規模や開発手法によって大きく異なりますが、一般的には数百万円から数千万円程度が相場となっています。

費用の内訳は、ほとんどが人件費であり、比率は全費用の8割ほどです。プロジェクトの難易度によって技術者に必要なスキルレベルも異なるため、それにより費用にも差が出ます。

費用については、業界や地域、会社によっても異なるため、正確な費用相場を知るには複数の企業に見積もりを依頼することが重要です。

また、システム開発にかかる費用は、開発以外にも、保守・運用費用もあるため、これらも含めて長期的な視点で予算を確保しておきましょう。

システム開発を外注した方がいい場合とは

システム開発を外注するときのメリットデメリットや注意点について解説しました。

システム開発は社内に開発リソースがない場合や、専門性の高い技術が必要な場合に有効な選択肢です。

また、高度なマネジメント能力が求められる大規模なシステム開発の場合も、専門的に行うシステム開発会社に任せる方が安心です。

上記に当てはまる企業様は、おすすめのシステム開発会社や選び方についてもチェックしておくことをおすすめします。

詳細は以下の記事をご覧ください。

また、事業を加速させるためには、内製化して同じ熱量を持ってやっていけるようなエンジニアを採用しなきゃいけないとお考えの経営者さまは、以下の記事もご覧ください。

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Koji Murata
Koji Murata 海外事業部部長 / CODY CEO / LTV Chairman / 村田 浩二

新卒で入社したエン・ジャパン株式会社にて、事業責任者を歴任後、ベトナムで最大手の求人メディアを買収後赴任し、戦略的な事業管理をおこない、新規事業開発・APACでの事業開発後、インドへ赴任。買収した子会社のPMIを実施しながら、4000名規模のIT企業の買収の成功。2020年にGOKIGEN株式会社を創業。2021年よりLIGに参画。2021年10月より現職。

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