こんにちは! Webクリエイタースクール「デジタルハリウッドSTUDIO by LIG(以下デジLIG)」運営の清水です。
クリエイターの転職に必須の「ポートフォリオ」ですが、耳にしたことはあるものの、一体なにを載せるのか、おさえるべきポイントは何なのかまとめて知りたい! という方も多いと思います。
今回はそんな方に向けて、クリエイティブ業界で必須のポートフォリオ制作の基本から注意すべきポイントをまとめてご紹介します!
目次
ポートフォリオとは
そもそも「ポートフォリオ」とは何か、あらためて確認しましょう。
ポートフォリオは、自身のこれまでの実績やスキルセットなどを紹介する、いわゆる「作品集」のようなものです。ただし、ただの作品集ではなく、これまでの経歴や強み、制作実績をかけあわせてまとめる必要があります。
今後クリエイターとして名刺代わりに使用していくものとなり、就・転職活動では、ポートフォリオをもとに評価され、個人で仕事を受ける場合でも案件を依頼するかどうかの判断材料となります。
実は、採用の7〜8割はポートフォリオで決まるといわれるほど重要視されています。とくに未経験の場合は、質の高いポートフォリオを作れるかどうかが勝負の分かれ目になります。
【全職種共通】ポートフォリオの基本要素と評価ポイント
さっそくですが、ポートフォリオの5つの基本構成要素をみていきましょう。それぞれで見られているポイントもご紹介しますので、要チェックです!
- ポートフォリオの基本要素
-
- 自己紹介
- スキルセット
- 作品紹介
- 制作過程
- 将来像
※掲載すべきコンテンツ(項目)ではなく、要素の紹介です。実際に制作する際にはそれぞれ複数をミックスして掲載する場合もあります。
自己紹介
【評価のポイント】あなたの人柄や強み
これまでの経歴(経験した業務など)や受賞歴、得意なこと、クリエイターとして大切にしていることをまとめましょう。
必須ではないですが、趣味も載せると人柄が伝わりやすいですね。面接で共通の話題として盛り上がることもあるようです。
また、クリエイターとして大切にしている考え方については、できるだけ具体的にまとめられるよう意識しましょう。「ユーザー目線のデザイン」など抽象的な表現になりがちです。
「〇〇だから△△」というような形で、ロジック立てて文章を組み立てられると説得力があり、自分の価値を印象付けることができます。
スキルセット
【評価のポイント】現時点での対応可能範囲、あなたの強み
- 使用可能なツール(業界標準のソフトウェアなど)
- 習得している技術や言語
- 得意分野や専門性
- キャリアを通じて獲得した知識やノウハウ
- ビジネススキル(プロジェクト管理、クライアントコミュニケーションなど)
スキルレベルを示す際は、抽象的な評価(例:★★★)ではなく、具体的な制作例や成果を示すことで、より正確に力量を伝えることができます。
とくに未経験の方は、自己紹介で伝えた経歴や強みとかけあわせてお持ちのスキルを紹介できると、転職の可能性が広がります。
作品紹介
【評価のポイント】掲載されている作品のレベルと多様性
各作品について、以下の情報を含めましょう。
- あなたが担当した範囲(企画、制作、編集など)
- 各工程の制作期間
- 使用ツールや技術
- 作品の種類や目的
- クライアント名(自主制作/学校課題)
制作期間も添えることによって、どの程度の時間でどういったアウトプットができるのかなど、生産性や効率性を伝えることも可能です。
また、数がすべてではないですが、最低でも8作品は載せるようにしましょう。
とくに未経験の方はスクールの課題を載せることもあるかと思いますが、自分が採用担当だったときに、課題だけ載せている人と自主制作を多く載せている人だったらどちらがより印象が良いか考えてみてください。未経験こそ、いろいろな制作にチャレンジして掲載しておくと意欲も伝わりやすいです!
制作過程
【評価のポイント】あなたの思考プロセスと問題解決能力
これまでの実績について、なぜその完成物になったのか、背景説明をする必要があります。具体的には以下の点を説明しましょう。
- プロジェクトの背景や目的
- 直面した課題とその解決方法
- コンセプトの立案プロセス
- 制作過程での重要な決定とその理由
- 成果の検証方法と結果
自分が苦労したところや気に入っているポイントを伝えるのではなく、クライアントがどういった課題を抱えていて、それをどう解決するための制作物なのかなど、自分が携わった作品について言語化できるようにしておきましょう。
採用担当が知りたいのは、あなたの思考プロセスと問題解決能力です。入社後、同じように課題解決ができるかどうかを判断したいのです。
将来像
【評価のポイント】あなたの成長性と組織への貢献可能性
将来どうなりたいかということだけの要素を掲載するわけではありません。自分が今できることを具体的に伝え、それによって採用担当が将来像を想像できるようにすることが重要です。
「こうなりたいです」「これを目指します」だけよりも、「これができます」「こうしてきました」という書き方のほうが採用後の姿を想像しやすいですよね。
とくに未経験・実務経験が少ない方ほど、将来の展望をメインに書いてしまいがちですが、これまでに身につけてきたことも意識して伝えるようにしてみましょう。
【職種別】ポートフォリオ作成のポイント
続いては、上記の基本要素に加えて、職種別の含めるべき要素やポイントをお伝えいたします。
Webデザイナー
Webデザイナーの仕事範囲は会社によって異なります。デザインだけを担当する場合もあれば、コーディングまで行う場合もあります。制作会社では、主にデザイン領域のみを担当することが多いです。
基本要素にプラスして、以下のような要素が必要になってきます。
- ビジュアルデザインのスキル(レイアウト、色使い、タイポグラフィなど)
- ユーザーインターフェース(UI)デザインの能力
- レスポンシブデザインの実装例
以下の記事も参考にされてください。
【デザイナー転職】採用されるポートフォリオとは?プロが徹底討論!
フロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアは、Webサイトやアプリの見た目と機能を実装する役割を担います。
ポートフォリオには以下のような要素を入れていきましょう。
- HTML、CSS、JavaScriptのコーディング例
- フレームワーク(React、Vue.js、Angularなど)の使用経験
- パフォーマンス最適化の実績
- クロスブラウザ対応の経験
- バージョン管理(Git)の使用
- レスポンシブデザインの実装例
- アクセシビリティへの配慮
可能であれば、GitHubのリンクも含めて、コードの質を直接見てもらうのも良いでしょう。
Webディレクター
Webディレクターは、Web制作における全体的な進行管理や、クライアントとのやりとりを担当します。
とくに以下のような点をアピールできるとよいと思います。
- プロジェクト管理のスキル(具体的な手法やツールの使用例)
- クライアントコミュニケーションの成功例
- チーム管理や調整能力の実例
- 予算管理の経験
- SEOやアナリティクスの知識
とくに未経験の方は、実務経験がほとんどないぶん、課題スケジュール管理やクライアントワークのスケジュールや進行管理で工夫した部分などをまとめてアピールすることも大切です。
ディレクション経験者は、以下のように担当範囲を受注前と受注後に分けて明確に示しましょう。
- 例)
- 受注前:新規顧客開拓、顧客折衝、コンペ資料作成、プレゼンテーションなど
受注後:市場調査・分析、要件定義、ワイヤーフレーム作成、関係部門との連携など
UI/UXデザイナー
UIデザイナーは使いやすいインターフェースを設計する仕事です。Web、アプリが主流ですが、概念的に分野に縛りはありません。
UXデザイナーはコンサル的な考え方に近く、マーケティング視点でどのようなサービス改善を行っていくかをデザインしていく役割です。分野もWebだけではなく、オンライン・オフライン境なく考え提案し、実施していきます。
UIデザイナーに関しては、基本的にはWebデザイナー同様、UXデザイナーに関してはWebディレクター同様と捉えてみるとわかりやすいかと思います。
ただ、両者とも数値改善などメインに考えるため、担当したもののビフォー・アフターをしっかり掲載することで変化した数字をしっかり印象付けることも重要です。
なぜこの設計にしたのか、企画・設計にロジックが伴わないといけないのはほかの職種とも同じですが、数字が大きく関わるぶん、より説得力があるようにわかりやすくまとめていく必要もあります。
たとえば以下のような情報を入れ込んでいきます。
- ユーザーリサーチの方法と結果
- ペルソナ設定とユーザージャーニーマップ
- ワイヤーフレームとプロトタイプの作成プロセス
- A/Bテストの実施例と結果
- 改善前後の比較(数値データを含む)
- アクセシビリティへの配慮
グラフィックデザイナー
印刷物メインでチラシやパッケージ、ロゴ制作やエディトリアルデザイン(書籍のデザイン)など幅広いデザインを担当します。
以下がポートフォリオのポイントです。
- 多様な制作物(ロゴ、パッケージ、ポスター、書籍など)の例
- 印刷技術の知識と活用例
- モックアップの使用
Web同様、制作背景を言語化してまとめる必要があります。また、実際に印刷されている作品の現物を持っていけないぶん、ポートフォリオの中で、モックアップ(制作したデザインを合成して制作するビジュアルイメージ)を作って入れ込むなど、自分が制作したデザインが実際にどのような形で使用され、どんな印象になるのかなど採用担当者がよりイメージしやすい工夫が必要です。
印刷物のデザインは、画面上での見栄えと実物の印象が異なることがあります。そのため、可能であれば実際の印刷物を用意したり、高品質な紙のポートフォリオを作成したりすることで、採用担当者に触れてもらえるようにすると良いでしょう。
動画クリエイター
企業プロモーション動画や映画など、さまざまな映像コンテンツの制作を行います。
基本要素にプラスして、ポートフォリオに含めるべき要素は以下です。
- 使用機材やソフトウェアのリスト
- 制作時間と予算(可能な範囲で)
- 視聴者の反応や効果(再生回数、エンゲージメント率など)
編集のほかに自分で撮影もおこなうクリエイターがいます。
撮影、ディレクション、絵コンテ制作、編集、ライティングなどどこを担当したのかわかるように記載し、制作にかかった時間やどういった層がターゲットなのかも合わせて記載しましょう。
ポートフォリオとしては、YouTube再生リストにまとめたり、リール動画(制作実績をまとめたダイジェスト動画)、follioやMATCHBOXといったポートフォリオ作成サービスを利用してまとめる方が多いです。
非公開などで再生リストにまとめていくことであれば、今すぐにでも始められると思うので、未経験で転職を目指す方は、ここから始めてみるのもおすすめです!
ポートフォリオを魅力的に仕上げるための3つのポイント
ポートフォリオをより魅力的に制作するポイントを紹介します! ここをおさえて差をつけましょう!
ファーストビューにこだわる
なんといっても第一印象が肝心です。ここでポートフォリオを開いた人の心を掴めるかどうかがかなり重要なポイントになります。
ビジュアル的なインパクトもそうですが、どんな情報が先にくるほうが良いのか、細かな部分も検討して構成を考えましょう。
こちらの記事も参考にしてください!
スクール生のポートフォリオを現役デザイナーがガチフィードバック!その全貌を公開
制作プロセスの見せ方にこだわる
ポートフォリオ作りで一番大切なのは、見る人の立場に立って考えることです。
忙しい採用担当がポイントをおさえて確認できるよう、長々とした説明文は避けて、企画書のスライドを添えるなど、視覚的にわかりやすく伝える工夫が効果的です。
ポートフォリオは「ラブレター」に例えられることもありますが、「どれだけ相手を思いやり、行動できるか」は課題解決をするクリエイターには欠かせない視点です。ポートフォリオも自分でデザインした制作物なので、見る人をターゲットと考え、見やすさにこだわって作りましょう。
とくに未経験で転職を目指される場合は、自分本位でまとめるのではなく、行きたい会社がどういったクリエイターを求めているのか、会社のWebサイトや制作物などを調査して実績をまとめるようにすると「その会社で活躍する未来」を採用担当者に見せやすくなります。
SNSを運用している場合はリンクを貼る
自己紹介の趣味同様、自分の人となりを知ってもらえるようSNSのリンクを貼る方もいらっしゃいます。
ただし、プライベートな内容ばかり発信しているものはNGです。
学習内容を発信しているSNSやnote、ご自身で撮影した写真をアップしているアカウントや、すでにSNSの運用をしっかりされている方などは、一つの強みのアピールにもなりますので、掲載するのはおすすめです。入社後に任される仕事の幅も広がりそうですね!
ポートフォリオを制作する際の注意点
著作権・個人情報・社外非情報
制作物を掲載する際には、著作権や守秘義務に違反しないよう注意が必要です。
クライアントが関わるぶん、ポートフォリオに掲載して良いかの確認、自主制作や課題であっても素材が著作権を違反していないか必ず確認をしましょう。
またWebサイトやYouTube動画で制作物をまとめる場合、誰の目に触れても問題ないものであれば良いですが、上記のように誰にでも公開できる制作物でない場合は、パスワードをかけたり、限定公開にしたりするなど、アクセスの制限をかけることが重要です。
ページ数は少なくてもOK
ポートフォリオに載せるべき要素の紹介をしましたが、実際に載せるコンテンツとしては、最低限「TOP(ファーストビュー)・ABOUT(自分について)・実績の詳細」があれば問題ありません。
TOPに経歴や大切にしている考え方を載せつつ、制作実績を載せ、そこからABOUTで自分についての詳細に飛べるようにしたり、実績の細かな詳細を確認できるように飛べればOKです。
実は「もっと早くページ数が少なくても良いと知りたかった」という声をよく聞きます。シンプルでわかりやすいポートフォリオのほうが、かえって印象に残るかもしれません。
ポートフォリオの参考デザインを紹介
ポートフォリオの作成にあたって、プロのデザイナーや転職を成功されたスクール卒業生のポートフォリオもぜひ参考にしてみてください!
- Webデザイナー厳選!参考になるおしゃれなポートフォリオサイト16選
プロのクオリティの高いポートフォリオを見て、ご自身の制作に役立てていただければと思います。 - Webデザインスクール卒業生のポートフォリオ作品を16例紹介!
未経験で転職を目指すみなさんのモチベーションアップにつながると思いますのでぜひご確認ください!
まとめ
大前提としてポートフォリオに正解はありません。
ただ、ポートフォリオは何のために制作するのか、誰が見るためのものなのかを考えると必然とおさえるべきポイントが見えてきますよね!
自分を紹介するものではありますが、自分のために作るものではなく、採用担当や自分に仕事を依頼したい人など「見る人」のことを一番に考えて制作することが大切です。自分本位の内容にならないように注意しましょう。
この記事がキャリアチェンジや、さらなるスキルアップを検討されるみなさんの参考になれば幸いです。みなさんのポートフォリオ制作を応援しています!
ポートフォリオ制作に自信がない、もっと魅力的な作品を作りたいと感じている方は、スクールで学ぶのもおすすめです。私たちのクリエイタースクール・デジLIGでは、業界のプロフェッショナルが直接指導し、実践的なスキルを身につけられるカリキュラムをご用意しています。
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