「振替休日」と「代休」の違いを完全理解しよう!

「振替休日」と「代休」の違いを完全理解しよう!

Mami Onishi

Mami Onishi

皆さんこんにちは。経営企画室のきゃしーです。

今日は「振替休日」と「代休」の違いについて完全理解していただきたいと思います。

皆さんは振替休日と代休の違いはなんだと思いますか? どちらも仕事をお休みすることなのはなんとなくわかりますが、明確な違いをしっかり説明できる方は意外に少ないのではないでしょうか。

振替休日と代休はとても似ていますが、似て非なるものです。似ているからこそ制度がわかりづらく、明確に把握しておかないと意図せず法律違反になることがあります。

そうならないためにも、振替休日と代休の違いを、ポイントを押さえてしっかり理解しましょう!

振替休日と代休の違い

振替休日とは

振替休日は簡単にいうと、休日(休暇をとる日)と平日(労働日)をチェンジする制度です。

ふつうの出勤日と休日をチェンジし、本来休むはずであった休日を通常の労働日としてカウントします。そのため、休日での出勤であっても、休日労働に対する割増賃金の支払義務が発生しません。


※図では土日を休日としています(以下の図でも同様の扱いです)

代休とは

代休と振替休日との大きな違いは、代休の場合は「元々休暇に設定している日に働くため、休日労働としてカウントされる」ということです。ですので、休日労働分の割増賃金を支払う義務が発生します。

ただし、代休として平日にお休みした分の給与は、(就業規則に代休は無給とするとの条項があれば)発生しません。実質的には割増賃金分のみが社員に支払われることになります。

振替休日でも割増賃金がかかる場合

経営側としては、「代休は割増賃金が発生するから振替休日にしよう!」と思われるかもしれませんが、振替休日をつかっても割増賃金が発生する場合があります。

そもそも割増賃金がどういう場合に発生するかは、以下の通り。

労働基準法では、1日8時間、1週40時間を法定労働時間と定めています。
(中略)
使用者(会社)は、(中略)労働基準監督署に届出をした場合は、法定労働時間を超えて労働させることができます(これを「時間外労働」といいます)。
(中略)
時間外労働をさせる場合、「割増賃金」の支払が必要になります。時間外労働に対する割増賃金は、通常の賃金の2割5分以上となります。例えば、通常1時間当たり1,000円で働く労働者の場合、時間外労働1時間につき、割増賃金を含め1,250円以上支払う必要があります。
(厚生労働省HPより引用:Q.法定労働時間と割増賃金について教えてください。

つまり、1日であれば8時間を超えたところから割増賃金がかかり、1週間であれば40時間を超えたところから割増賃金がかかります。

これが振替休日とどう関係するかというと……

振替日が同じ週内の場合

もし振替休日を「同じ週内で取得」していれば、労働時間は40時間のままなので、割増賃金が発生しません。

振替日が別の週の場合

「翌週以降で取得」した場合は、1週間の労働時間が48時間と、8時間分を超過して勤務しています。結果として、時間外労働分である8時間分の割増賃金がかかってしまうのです。

このため、振替休日を利用する場合は、できる限り近接した日の平日(労働日)を振り替えることが望ましいとされています。

振替休日や代休のためすぎに注意

そもそも労働基準法上の正しい処理は「休日出勤した場合は休日出勤に相当する賃金を支払う」。これが大前提です。

しかし、休日出勤は割増賃金もかかりますし、すべてをその処理で行うと、会社としてもお金がかさんで大変です。そこで、休日出勤した日の代わりに平日(労働日)をお休みしてもらうことで、賃金を相殺することができますよ、という特例処置が「振替休日」と「代休」という制度です。

平日(労働日)に社員にお休みしてもらうことを前提に許された制度ですから、それが消化できずにたまっているというのは労働基準法違反となります。

おわりに

振替休日と代休の違いについてお話ししましたが、制度をよく理解せずに運用している会社も多くあるのではないかと思います。

まずは制度をしっかり理解し、次の段階としてはそれをいかに勤怠ルールとして運用にのせるか、そこが大切になってくるかと思います。それと同時に、社内に休みを取りやすい仕組みをつくっていけるといいですね。

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1978年生まれ。新卒で明治安田生命にて一般事務を経験。その後DTPデザイナーに転職。結婚、妊娠、出産を経て税理士法人のバックオフィス業務全般を担う。LIG入社後は人事労務のスペシャリストとして勤怠給与、制度設計、評価報酬、研修など、現在も人事のみに限らず人生経験を活かして幅広く業務を担当している。

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