【イベントレポート】地方でWebクリエイターとして働くのって、ぶっちゃけどうですか?

【イベントレポート】地方でWebクリエイターとして働くのって、ぶっちゃけどうですか?

Ten Tanaka

Ten Tanaka

こんにちは! デジタルハリウッドSTUDIO by LIGの運営担当の天(@10TEN10TAN10)です!

デジタルハリウッドSTUDIO by LIGとは
株式会社LIGとデジタルハリウッドが業務提携をしてはじめたクリエイター養成スクールのこと。Webデザイナーや動画クリエイターを目指す方向けのカリキュラムを展開している。現在、上野と池袋にて受講生を募集していて、無料説明会は毎日開催中!

みなさんは移住にどんなイメージを持っていますか?

新型コロナウイルスの影響で、リモートワークが身近になり、地元に帰る人や移住を考える人も増えてきたのではないでしょうか。

本日は、10月6日に開催した「先輩移住者に聞く!地方でWebクリエイターとして働くのって、ぶっちゃけどうですか?」のイベントレポートをお届けします!

登壇者紹介

ゲスト

ico シンス株式会社 代表取締役 越水 大輔 氏1981年生まれ、神奈川県川崎市出身。現在は福岡在住。大学卒業後、国内最大手の証券会社へ入社。2011年、まったくの未経験からWeb制作を独学しフリーランスとして独立。2016年に法人化。福岡で中小企業向けにホームページ制作とWebマーケティングの事業を行っている。

モデレーター

ico 株式会社LIG 林 隼平入社前は、Web・エンタメ業界に従事し、スポーツ、テレビ、ラジオ、ネットコンテンツなどさまざまなジャンルのディレクションを担当していた。フリーランス活動期間も経験したあとに、LIGに入社。現在は教育事業部に所属し、サービス・事業企画、マーケティング業務などスクール運営全般に携わっている。

トークショー

なぜ証券マンからWebクリエイターになろうと思ったのか?


越水:証券マンからWebクリエイターへの転身は、周囲に比べると異色のキャリアでした。親族に自営業が多く、学生時代から将来起業したいと思っていたんです。まずは営業力と、投資や金融の知識を身につけられる証券会社に入社したんです。ベンチャー企業の経験も必要だと思い短い期間勤め、その後、もう一社営業系の会社へ入社しました。

キャリアを重ねていくなかで進むべき方向性がわからなくなってしまった時期もありましたね。そのときは「自分が本当に続けられることはなんのなのか」を小学生の頃まで振り返ったんです。

ペイ:だいぶ振り返りましたね……!

越水:そうですね(笑)。振り返ると、ノートに漫画を描いたり、面白い話をして人を笑わせたりするのが好きだったことを思い出したんです。あとはWebのコンテンツを見るのも好きだったので、WebやITの業界でデザインや企画をしてみたいと考えるようになりました。

ペイ:自分のキャリアを歩んできて、一周回ってはじめて見えた進路だったんですね。

越水:とはいえ、Webデザイナーを目指したのが20代後半で……。実際にデザインのお仕事を受けてみたんですが、これまでしっかりやってきた方々にはかなわないと感じました。ただ、仕事をしていったなかで、自分はコーディングの方が得意と気づいたんですね。そこからはWebコーディングに力を入れ、フリーランスになった経緯があります。

ペイ:自ら得意なことを見つけていくのは大切ですよね!

独学でWeb制作を学ぶために大変だったこと・工夫したことは?

ペイ:越水さんは独学と伺いましたが、学習で大変だったことはありますか?

越水:最初は業界に知り合いもいなかったんですよね。HTMLやCSSといった言葉の意味も知らなかったし、Javaと、JavaScriptは同じものだと思っていました。ちょっとしたことでつまずくことが多かったんです。本当は、身近に質問できる人がいることが理想だなと思います。

ペイ:独学で進める場合は、アドバイザーがいてくれると心強いですね……!

越水:習得が加速したのは、さまざまな勉強会で先輩クリエイターにつまずいた点について質問できるようになってからですね。

ペイ:なるほどですね。僕が運営に携わっている「STUDIO by LIG」というWebデザインスクールでは、受講生が自由にトレーナー(現役クリエイターが務めている)に質問できる仕組みになっています。その機会を上手に活用する方法はありますか?

越水:自分で調べてみてわからない部分をトレーナーさんに質問するのが良いんじゃないでしょうか。自分が独学だったこともあり、、みんな、必死に情報を集めればなんとかなると思っています。とくにこの業界にいて素晴らしいなと思うのは、Web上の企業やプロモーションサイトなどはすべて先輩デザイナーが作った作品で、それを自由に見ることができることですね。ソースコードも見ることができるし、情報を拾おうという姿勢さえあれば、いろいろな教材が転がっていますよ。

ペイ:自分で調べる力は絶対に必要なスキルですよね。学習で工夫した点はなにかありましたか?

越水:工夫したのは、技術書をたくさん読みその手順どおりになぞる、という作業を自分に合う専門書に出会うまでやっていたことです。何冊か取り組んでいくうちに、知識が結びついてだんだん理解できてきます。最近だと有料ですが質問に答えてくれるサービスもあるので、前述したとおり気軽に質問できる環境を作ることも大切です。

福岡で仕事を獲得するために取り組んでいることは?

ペイ:移住のきっかけはなんだったのでしょうか?

越水:妻は福岡の出身で、子育てのことを考えて移住しました。でも自分自身は知り合いがいない状況で。当時はYouTubeなども一般的ではなかったので、イベントや勉強会に積極的に参加したりしていました。加えて、ブログやTwitter・Facebookを活用して、自分が体験したことや今から会社としてやりたいことの発信をしていました。この発信をきっかけに、イベントの主催者さんや福岡の方とつながることができたんです。アウトプットすることが、イベント主催者さんのためになり、そのイベントに参加できなかった人たちのためにもなり、結果的に名前を覚えてもらうなど、自分のためにもなりました。

ペイ:発信を続けることで、実際にお仕事につながったんですか?

越水:はい。自分の存在を知ってもらう営業活動を主にSNS上で行っているようなものです。知らない人に発信するというよりは、知っている人に、毎日毎日、顔と名前を見てもらうというイメージで実施しています。身近なところから自然とお仕事をいただけるようになりました。

会社員・フリーランス・経営者 それぞれの良いところ大変なところは?

越水:どの働き方が良いというのはないと思うんです。なので、人によって感じることは変わってくるとは思うので……個人的なお話しをします。

会社員

メリット ・分業、役割がはっきりしている。
・専門職に集中して深堀りできる。
・安定感がある。
・失敗も含めて楽しめる。
・チームでお仕事できる楽しさがある。
デメリット ・自由度が低い。
・会社の方針によってやるべきことが変わる。

フリーランス

メリット ・自由度が魅力。コントロールができる。
・やっただけ自分に返ってくる。
・前のめりに取り組める。
デメリット ・自由だけど、労働集約である限りは動かないと入ってこない。自由を求めたのに、仕事に追われて自由がなくなっている人を見かけることがある。
・常にお仕事がないと不安。
・お仕事を抱え込みがち。
・孤独。一匹狼になり、分かち合いの場がない。
・24時間体制(とまではいかないですけど笑)、睡眠時間削りがち。

経営者

越水:メリット・デメリットが一緒くたなので、なんとも言えないんですが……(笑)。

いかに社員が働きやすい環境はなにか、お客さまに提供できる価値はなにか、を考えています。関わっているみんなが幸せになる状況を考えていかないといけないのが、大変だけど楽しいところです。

メリット ・大変だが圧倒的に成長できる。
・理想の働き方やチームづくりを追求していく楽しさがある。
デメリット ・資金繰りの不安が大きい。
・難しいことも多い。

ペイ:会社員・フリーランス・経営者のすべてを経験されたなかで、どの働き方が一番楽しいと感じましたか?

越水:今が一番楽しいです! フリーランスの頃より責任は重くなりましたが、自分のためだけではなく、誰かのためにという思いが強く、今のほうが純粋に仕事に向き合えていると感じます。

東京と福岡、働く場所としてのメリット・デメリットは?

越水:お客さまから直接受けるパターンと、他の制作会社さんからお仕事を受ける下請けのパターンに分けてお話しします。

下請けの場合、東京の単価は福岡の1.5〜2倍です。東京は、大きな企業さん相手など知名度が高い仕事に携われるのも面白さだと思います。

直請けの場合ですが、弊社では地場の案件を受けたい思いもあって、事務所から半径5キロ以内のエリアに絞っています。福岡の街が小さいということもありますが、東京との比較はちょっと難しいですね……。

ペイ:クライアントが東京だと大手の企業さんが多いのと、福岡では地場のお客さまが多いというところでイメージの違いはありますか?

越水:福岡・東京にかかわらず、中小企業を対象にするのか、広告代理店のような大きな会社を対象にするのか、目指す方向によってやり方が変わってくるかと思います。福岡は人間関係でお仕事が決まることが多いかもしれません。「運用も含めてしっかりつきあってほしい」という会社さんがすごく多いという印象です。

ペイ:働く環境は、東京と比べてどうですか?

越水:オフィスは中心街から少し離れた、東京でいう代々木公園のような大きな公園の近くに構えています。東京にいたときよりも気持ちにゆとりができて、今の環境にとても満足しています。

東京と福岡、住む場所としてのメリット・デメリットは?

越水:それぞれ比較したときの印象ですけど……

東京

メリット ・ビジネス、アートなど各分野の第一線で活躍している人が集まっているので、刺激がある。
・イベントが多い。
・効率重視でスピード感がある。
デメリット ・生活費が高い。
・人が多すぎる。

福岡

メリット ・ご飯が美味しくて、安い。
・生活コストが低い。
・街がコンパクトで移動コストが低い。
デメリット ・イベントが少ない。

越水:子育について考えると、やはり移住したことでのびのびとたくましく育てることができ、美味しいものもたくさん食べられる環境はとても良かったと思っています。

ペイ:お話しを聞いていて、ちょっと地方に移住したくなってきてます……(笑)。

逆に、地方移住を決断したときに、ここは気をつけたほうがいいぞ、というポイントはありますか?

越水:気をつけたほうがいいのは、「田舎暮らしにあこがれている」というパターン。田舎や古民家に住みたいと考えている場合はお試し移住をしたほうが良いです。田舎での生活は想像以上に大変で、建物の修復などで住むまで大変なこともあります。僕の場合は妻と結婚して、何度か福岡に来ていたので、なんとなく雰囲気は掴んでから移住できています。さらに言うと、何人か知り合いを作るかキーマンを見つけてから来たほうがいいでしょう。

地方へ移住して働くことの将来性や、地方のWebクリエイター市場はぶっちゃけどう?

ペイ:コロナ渦で地方移住希望者も増えて、これから地方のクリエイター市場は発展していくのでしょうか?

越水:こういう時代なので、住む場所を自由に選ぶ生き方は増えていくと思います。環境を変えてみたい! と思っている方は大いにチャレンジしてほしいですね。

ペイ:実際LIGのメンバーも、新潟に移住したり、奈良に帰省したり、軽井沢と二拠点生活したり、かなり自由になってきました……! 成り立ってしまうのが、目からウロコです……。

越水:人の繋がりさえあれば仕事は入ってくるので、そんなにハードルは高くないですね。ただ、現地の人と関わっていくにはある程度覚悟をもって取り組まないと、移住する意味もなくなってしまいます。信頼関係や人間関係ができるまではクラウドソーシングを並行しつつ、だんだん地域のお付き合いからの仕事にシフトしていけたらいいと思います。

ペイ:実際に、地方のクリエイター市場は伸びていきそうですか?

越水:地方のほうが、Webクリエイターという人材が不足しているため、活躍できる場は多いですね。クリエイティブの力を求めている人は多いのに、いい人に仕事が集中してしまっている状態です。コロナ禍の影響もあり、ますます加速していると思います。会社であったり、街やコミュニティに対して自分が貢献できる余地が多く、自分が人の役に立っている実感を得られますよ。

ペイ:できる人が増えていくと、もっとこだわりたい・価格を抑えたいなど、ニーズのバラエティさも生まれますよね。そういった意味では、Web制作って、町おこしに繋がりえるんですか?

越水:そうですね。正直、作れてかつ発信までできる人は足りていないです。東京に集中しているのがもう少し分散するといいと思います。東京から離れるのは大きなトレンドになってくると思うので、これから先手を打って動くのも良いと思いますね。

Webクリエイタースクール卒業後にいきなり地方就職って実現可能?

ペイ:STUDIO by LIGのようなクリエイタースクール卒業後に、移住も兼ねた地方就職は実現できると思いますか?

越水:これは十分に可能だと思いますが、会社選びは注意する必要があります。地方のクリエイティブ会社は情報を発信していないところも多く、外からどんな会社かを判断し辛いため、いろいろな情報を集めて慎重になったほうがいいでしょう。

どこも入ってみないとわからないことは多いと思いますが、外部から中の様子が見えたり、Webサイトがしっかり更新されていたりする会社が良いのではないでしょうか。

これから移住したいと思っている人が今から準備しておくべきことは?

越水:コミュニケーション能力を磨くことは大切です。人と関わりたくなくてWebクリエイターというお仕事を選んだという方もいるとは思います。しかし移住を考えるのであれば、対人スキルは磨いておいたほうがいいですね。地域の人たちと関わり、溶け込むためにも、オープンな姿勢で積極的に自分を知ってもらうこと、発信する習慣を身に着けていくことが重要です。

自分の場合は会社を経営するようになってから、地場の中小企業の経営者が集まる勉強会に参加しています。街を車で走ると、よく知り合いに会うようになりました。

ペイ:コミュニケーション能力を高める重要性を感じますね。街を盛り上げ、一緒に仕事をしているぞ! という楽しい気持ちになりますね。

越水:事前にお試し移住したり、その地域に住んでいる人や、積極的に活動をしているキーマンとSNSなどでつながっておくのもいいですね。

あとはどこに行ってもクリエイターとして判断されるのは作品です。こんなモノが作れます! といくら口で伝えても目に見えないものは信じてもらないので、目に見える形でポートフォリオを充実させていく必要があります。知り合った人にすぐに見せられる環境を作ることが大切です。

今後越水さんがチャレンジしていきたいことは?

越水:いま、YouTubeすごい頑張って更新しているんですよ(笑)。

お仕事的には拡大していくより、地域の人たちの役に立てるような、どちらかというと福岡は韓国も近いので海外の企業さんとなにかできたら面白いなぁと考えています。中小企業さんにWebマーケティングをしっかり理解してもらい、最終的にはクライアントの企業さん同士が集まって、成功・失敗事例を共有したりできるような、「シンスコミュニティ」を作りたいですね。福岡の制作会社といえば、シンスという認識をしてもらえるようになればいいですね。

イベントを終えて

私自身、あまり地方に移住するということを考えたことがありませんでした。

今回のお話を聞いて、スキルをしっかり身につけておけば、場所を選ばずに働くのはそう難しくないことなのかもしれないと感じました。地方でもデザインの力は必要とされていて、身につけたスキルとコミュニケーション力、その街を理解する心があれば、心豊かに楽しく働けることを知ることができました。

デジLIGの受講生さんにも「発信は大切だよ!」とお伝えしています。学んだことをメモして、読み返して自分なりに理解して吸収する。自己解決してしまうのではなく、そのメモをSNSなどでシェアすることで、その意見に対してコメントをもらったり、新しい発見につながったり……新たな展開が、発信によって広がっていきますよ。どこにいても今すぐにはじめられる発信を、私も楽しく頑張ろうと思いました!

越水さん、貴重なお時間ありがとうございました!

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ちなみに、STUDIO by LIGの受講生さんは受講期間中すべてのイベントへの参加が無料なんですよ…! すこしでもSTUDIO by LIGに興味を持っていただけましたら、お気軽にお声がけください!

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天でした◎

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大阪市立デザイン教育研究所、成安造形大学卒業後、京都芸術大学院を修了。在学中は芸術学を中心に多くのコンペティションに挑戦し功績を残す。カプセルトイメーカー、キャラクターライセンス事業の広報を経て、2018年にLIGに入社。デジタルエデュケーション部にてクリエイタースクールであるデジタルハリウッドSTUDIO by LIGの運営を中心にキャリアサポートを行う。

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