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2020.02.07
#2
花咲く地方創生

Twitterで話題の地方PRサイト「みさとと。」を制作したSHIFTBRAINさんに話を聞いてきた!

花ちゃん

こんにちは、デザイナーの花ちゃんです!

地方創生に関するブログの連載をしています。

前回は、地方創生の手法や事例、さらに実際に私が携わってきた案件をご紹介しました。

第二回目は、私がすごく心を惹かれた地方自治体のプロモーションサイト「みさとと。」についてご紹介します。たまたまTwitterでお見かけしたのですが、とにかく奥行きとスクロールの滑らかさ、イラストのインパクトがすごいんです!

一度見たら絶対忘れない……こんなサイト、どうやって作ったんだろう……。

どうしても気になってしまったので、「みさとと。」を手掛けた制作プロダクション「SHIFTBRAIN(シフトブレイン)」の山本真也さんに突撃インタビューをしてきました!!

ico 山本真也(まさや)さん株式会社SHIFTBRAIN クリエイティブディレクター。今回、美郷町のブランディングの一環で制作されたWebサイト「みさとと。」をはじめとする、クリエイティブの企画・ディレクションを担当。笑ったときに眉毛が八の字に下がるところから、優しさがにじみ出ている。

島根県美郷町魅力再発見プロジェクト「みさとと。」とは?


みさとと。——島根県美郷町魅力再発見プロジェクト

2019年10月に公開された、美郷町(みさとちょう)という島根県にある人口4,600人ほどの小さな町のプロモーションサイト。制作物はWebサイトだけでなく、役場職員の名刺、タブロイド判の新聞の配布(町内全戸)や写真展の開催をはじめ、今後もさまざまな展開が予定されている。FWA、Awwwards、CSS Design Awardsなど数々の賞を受賞。

クライアント:島根県美郷町
CD/CW:山本 真也
P/PM:津留 正和
AD:藤吉 匡
De:及川 昇、羅 明
Motion Designer:西山 順一
TD:鈴木 丈
FE:安田 祐平
BE:安友 裕秋
PM:柴野 元
W:HEAPS
Ph:西部 裕介
Il:Studio Tipi

「みさとと。」を制作することになったきっかけ

花ちゃん:「みさとと。」を制作することになった経緯を教えてください。

山本さん:僕らからアプローチをしたわけではなくて、2018年の12月にメールでご依頼をいただきました。

花ちゃん:何かきっかけがあったのでしょうか?

山本さん:2018年11月に美郷町の町長が変わったのですが、その際に初めて、美郷町出身者でありながら、キャリアのほとんどは東京で仕事をされていた方が就任されたんです。

花ちゃん:ということは、これまでは美郷町の中でお仕事をされている方が代々務められていたんですか?

山本さん:そうですね。今回、その新しく就任された町長の旗振りのもと、町外への情報発信に力を貸してくれるパートナーを探されていたようでした。

花ちゃん:どうやって見つけたんでしょうか? もしかして「Web制作 イケてる」で検索したとか……?

山本さん:(笑)。そういう調べ方もされたかもしれないですが、かなりいろいろな制作会社から、現場の皆さんが議論を重ねてうちを選んだくださったそうです。選定プロセスもすべて現場に任されていた、と聞いています。

花ちゃん:たくさんの制作会社のなかから「ここだ」と決めてくださるのは、とても嬉しいことですよね……!

山本さん:でも、こういった行政の案件はそんなにやったことがなかったので、まず見つけてくれたことが奇跡だと思います。

「何かご協力できることがあるのなら、お話を伺いたいです!」とお返事をしたら、その1~2週間後に、美郷町役場の企画推進課という部署の課長補佐とその部下の方が、東京にある弊社まで来てくださって。

花ちゃん:わざわざ、島根県から!?

山本さん:そのフットワークの軽さや熱意、スピード感にすごく感激しましたし、それが今回のご依頼をお受けした大きな動機ですね。

花ちゃん:メンバーはほかにもいらっしゃったんですか?

山本さん:今回のプロジェクトの役場側のメンバーは企画推進課がリーダーではありますが、その他のあらゆる課から、若手で勢いのある方が一人ずつ選出されていました。

花ちゃん:行政関係は縦割りが強くて連携が取りづらいと聞いたことがあるのですが……。やりづらさはありましたか?

山本さん:実際はぜんぜん違って、どんな無茶なお願いをしても、すぐにパッとやってくれました。それは、僕らにとってもすごくありがたいことでしたし、そのチーム編成をされたのは、町長だったと思うんですけど、町長の先見の明があったんだなと思いますね。

「世界一のホームページを作ってください」

花ちゃん:地方創生のクリエイティブってその土地を利用したインスタレーションや特産物のパッケージが多いイメージですが、どうして今回はWebサイトだったんですか?

山本さん:そもそもWebサイトを作って欲しいという依頼だったんです。それも「世界一のホームページを作ってください」という。

花ちゃん:世界一! というと、グローバルな感じですか?

山本さん:最初に聞いていた目的は、関係人口を増やしたい、そのために世界一のホームページを作りたいというぐらいでした。うーん、どういうことだろうなーと思って、実際に美郷町に行ってみたんです。それが2019年の1月ですね。

関係人口とは
「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のことを指します。

花ちゃん:美郷町には、どれくらいの期間滞在したのですか?

山本さん:最初は2泊3日くらいの行程で行って、その間ずっと町の人が美郷町の中でもよりすぐりのおすすめスポットを車で案内してくれました。

花ちゃん:とっておきのスポットはありましたか?

山本さん:正直に言うと、特別なランドマークはありませんでした。むしろ目的地に向かう道中の雑談の方が面白くて……。

花ちゃん:どんな内容だったんですか?

山本さん:「食べものの名物は?」って聞いても、たいしたものは出てこないんです。でも、「子どもの頃から食べていて、身体に染み付いているような食べものは何?」って聞くと、いくつか出てくるんです。

あとは「あそこの家に、漁師でもないのに夏になると鮎を捕りまくる釣り名人がいるんですよ」とか。

花ちゃん:川に行くと一人は遭遇しますよね、謎の鮎釣り名人! 実際どういう方なのか気になります……。

山本さん:そう思いますよね。でもそう言うと、「え? なんで?」みたいな顔をするんです。

花ちゃん:面白さに気づいていないってことですか?

山本さん:「あっ、ここだな」と思いました。つまり、せっかく町外の人たちと関係を持っても、中の人たちが自分たちの面白さに気づいていないので、今のままだと語れないんじゃないかということですね。

ガイドブックにも載っていないような、小さな面白さがたくさんある、だけどそれを誰も認識していない、自覚していないことが一番の課題だなと。

花ちゃん:たしかに、中では馴染みすぎてしまって、外から俯瞰して見ないと気づけない面白さってありますよね。

山本さん:「関係人口を増やすのは先々の目的ではあるけども、増やした関係を良質なものにするためにまず、最初の1年は自分たちの意識改革や地ならしをするところから始めましょう」という提案をしました。

誇張でも自虐でもない、美郷町の魅力

山本さん:Webサイトを作っていく過程で、実際に見えてきた課題と僕らにとってもチャレンジだった部分はいくつかあって……。

今回僕らが拾い上げたものは、町の中に存在する小さなものなんです。僕らからするとすごく面白いんですけど、やっぱりそれ自体は素朴なもので、それを大げさに誇張して見せたらいいかというと、そうではないんですよね。

花ちゃん:逆に、自虐するパターンもありますよね。

山本さん:そう、でもそれも何か違う。だから誇張するでもなく、自虐するわけでもない、その前提でちゃんと魅力的にデザインするっていうことがすごく難しかったですね。

花ちゃん:たしかに……。すぐにいいアイディアが出てこないです……。

山本さん:だからこそ、町の人たちとたくさん会うことにしました。その1回1回に目立った成果がなくてもいいんです。多いときは月に2回、長いときは1回の滞在で1週間、とにかく行きました。

花ちゃん:やっぱり、テレカンと実際に行くのでは違いますか?

山本さん:ぜんぜん違いますね。行ったときに、来てよかったなって思うだけではなく、回数を重ねたこと、長い時間を一緒に過ごしたということが、このプロジェクトをじわじわ育ててきてくれた感覚です。

花ちゃん:東京からよそ者が来た、という感じはなかったですか?

山本さん:他の地方自治体の仕事をしたことがある人たちからそういう噂はたくさん聞いていて、もしかしたら、町の人たちに受け入れてもらえないかもしれないという心配はありました。

花ちゃん:何か対策はしたんですか?

山本さん:今回イラストをたくさん作ったんですけど、「シフトブレインのイラストも作っていいですか?」という提案をしました。

つまり、僕らの存在もアイコン化して、愛らしいキャラクターが何かやっているように仕立てたら、やりやすくなるかもしれないと思ったんです。

花ちゃん:! でも、サイト上にはないですよね……?

山本さん:結果的には作りませんでした。行く先々で、「聞いとる、聞いとる、なんでも言ってよ」という反応で、きっと役場の方たちが町の人たちとの関係性の下地を作ってくれていたんだと思います。作ってくださった下地が十分にあったから、なくてよかったんです。本当にみなさん温かかったですね。

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