セブではたらく(インターン)
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2019.11.24
#9
デザインのプロセス

ブランディングのフレームワーク!USAMI式ブランディング戦略「ODEN」をわかりやすく紐解いてみる

もーりー

みなさまこんにちは。デザイナーのもーりーです。

最近は春と秋がない印象で、すっかり寒々しい日々が続いていますね。

今回はブランディングについて『USAMIのブランディング論』という本をもとにお話ししていきます。

特にその中で出てくるブランディング戦略図。通称「ODEN」にスポットライトを当てたいと思います。ブランディングの全体像がざっくりと理解できるので、少しの間お付き合いいただければと思います。

 

今回の記事の実践編として……
印刷会社「アルプスPPS」様にもご協力いただいて制作した「LIG Web制作実例集」の企画書の作成にもとても役立ちましたので合わせてご紹介いたします。



 

USAMIのブランディング論について


USAMIのブランディング論』という本は2016年に発行された、ブランディングディレクターの宇佐美清さんが執筆した本です。

簡潔な文章でブランディングについてを端的に示してくれていて、ブランディングの入門書としては最適な本ですので、ぜひご一読をと思いご紹介させていただきます。

「ODEN」戦略図の全体像

ODEN」とは宇佐美清さんがブランディングプロセスの一貫性を確認するために作った、ブランディングの全体戦略図のことを指します。

下記がその概要になります。

宇佐美さんは本書の中で、ブランディング戦略構築に求められるもっとも重要な要素は一貫性と答えています。

以下引用になります。

戦略は、はじめに言ったような「コンタン」である。つまり、極端を言えば戦略はチーム(時には個人)の論理、いわば持論である。客観性を持ちつつも、一貫した論理に基づいたチームのコンタンであり、しかも今までとは違ったアイデアを生み出さなくてはならない。だからこそ、戦略は一貫性を欠いたときに、それを指摘され信頼性をなくし、もろくも崩れ去る。そのことを考えたときに、矛盾が一見してチェックできる全体的な戦略図がいると考えた。これがODENである。

宇佐美清(2006年).USAMIのブランディング論,84ページ.

 

「ODEN」は5つの要素で構成されています。

「ODEN」を構成する5つの要素
  1. BENEFIT(ブランドの価値)
  2. INSIGHT(顧客の本音)
  3. BRANDING IDEA(ブランドを伝えるアイデア)
  4. BRAND PERSONALITY(ブランドのトーン&マナー)
  5. BRAND PERCEPTION GOAL(ターゲットに思ってもらいたいこと)

次の節では順にこれらを説明していきます。

 

1. BENEFIT(ブランドの価値)

BENEFIT(ベネフィット)とはそのブランドを好きになってもらうための価値のことです。
※宇佐美さんは著書の中で、ブランディングのことを「ブランドのことを好きになって買ってもらうこと」だと説明しています。

ベネフィットは大きく分けて2種類あります。

2種類のベネフィット
  • 機能ベネフィット
  • 情緒ベネフィット

以下でその詳細を説明します。

 

機能ベネフィット

機能ベネフィットとは商品に存在する機能のことを指します。

  • もともと製品につくりこまれた製品の機能の価値
  • その製品は競合とどこが違っていて、そのことがターゲットにどんなベネフィットをあたえているか
  • そのブランドは私にどんないいことをしてくれるか

機能ベネフィット

その製品の性能を数値化して表せるような事柄や、便利であることを端的に表したものが機能ベネフィットです。

たとえばスマートフォンならば、「商品Aと商品Bでメモリに1GB以上の差があるから商品Aを購入する」というような判断基準になるものです。

 

情緒ベネフィット

情緒ベネフィットとはその商品は自分をどんな気持ちにしてくれるかということ。そのブランドの商品を購入することで、人間の感情を揺さぶれるかを示す価値のことです。

たとえばApple製品は使っているだけで普段の生活が一変するような感覚を抱かせたり、Louis Vuittonの鞄は使っているだけで他者から一目置かれるような感覚を抱かせたりするなど、機能以外での面で差別化できる価値を持っています。

 

どちらが大事かというと一概には言えませんが、商品担当者やクリエイターはその商品の市場カテゴリーやフェーズによって、どちらを訴求しなければいけないタイミングかを考えなければなりません。

 

2. INSIGHT(顧客のインサイト)

INSIGHT(インサイト)とは顧客の本音を指します。自分でさえ気が付いていないこと、言われてみて初めて「あぁ、たしかにそうだね」と思いつくことです。

以下引用です。

人は意識してものを言ったり、行動するのは100のうち5〜10程度だと聞いたことがある。人間は心の奥底にいつもたくさんの本当の気持ちを眠らせて生きている不思議な生き物だといえる。インサイトがわかれば、どうやってブランディングすればいいのか、ターゲットの本音とブランドのもつ価値(ベネフィット)をどうつなげていけばいいのかがわかる。

宇佐美清(2006年).USAMIのブランディング論,17ページ.

 

そのインサイトも大きく分けて2種類あります。世代インサイトカテゴリインサイトです。

世代インサイト

世代インサイトとはターゲットの世代に共通したインサイトです。同世代の人々の生き方や世間に関する考えなどについて共通する本音のことです。

世代インサイトは、新聞 / 雑誌 / その他書籍 / 各企業 / 研究機関が発表する調査資料などから日常的に情報を収集して、そこからキーワードを探り出していきます。

 

カテゴリーインサイト

もうひとつが、ブランドが属するカテゴリーに関するインサイトです。クルマ / シャンプー / 生命保険 / 家電量販店 / チョコレートなど、それぞれのカテゴリーに関して共通する、さまざまな本音のことを指します。

カテゴリーインサイトを知りたいとき、世代インサイトのように便利な資料はなかなか手に入りにくいのが現状です。そのため独自の調査が必要になっていきます。アンケートやインターネット調査などの定量的なものだけではなく、人の日常的な態度や振る舞いから観察していく定性的な調査も必要になります。

 

3. BRANDING IDEA(ブランドを伝えるアイデア)

BRANDING IDEA(ブランディングアイデア)とは、そのブランドを好きになってもらうアイデアのことです。別名「マザーアイデア」とも呼びます。

以下引用します。

つまり、母のように多くを生み出す大きなアイデアで、そのブランドに関するあらゆるコミュニケーションの中心にくる。TVCFとweb、PRではターゲットも、伝え方も変わる場合がある。しかしながら、伝えなければならない内容は1つの方がコミュニケーションとして効率が良く、効果も大きい。キャンペーン全体で伝えるメッセージは1つに絞り込む。この中心にくる1つのメッセージがブランディングアイデアである。この考えは自転車のハブ(真ん中)とスポーク(放射状)に似ていることから、ハブ型コミュニケーション戦略と読んでいる。この考えではあらゆる媒体は常に平等に扱われる。

宇佐美清(2006年).USAMIのブランディング論,64ページ.

ひと言で言えば、ブランドからの提案があるキーワードです。伝えたいことは1つに絞り、その主語は「そのブランド」になります。

そのブランドが何をしてくれるのか、そのブランドが持つ何かが何をしてくれるのかを短くわかりやすく明解な言葉で書くことです。重要なのは「何をしてくれるか」であり、提案でなければいけません。

ターゲットに対して何を与えてくれるのか。その提案がどんなことを引き起こすのだろうかといった役割を示さなくてはいけません。

 

 

 

実践編:「LIG Web制作実例集」では……
「LIG Web制作実例集」の企画書でも、BENEFIT(ブランドの価値)とINSIGHT(顧客の本音)の2つの接点を考察し、BRANDING IDEA(ブランドを伝えるアイデア)を導き出しました。

「LIGは高品質なWebサイト制作を行うクリエティブ集団」というBENEFITと、「クライアントの面白い(interesting)ものを期待する」というINSIGHTの接点から、「おもしろだけじゃない/2面性/表と裏」というBRANDING IDEAを提案しています。






 

4. BRAND PERSONALITY(ブランドのトーン&マナー)

BRAND PERSONALITY(ブランドパーソナリティ)とはそのブランドがもつ性格のことです。「ブランドキャラクター」とも呼びます。

以下引用になります。

 ブランドの持つ性格は何か、ブランドを人に例えた時どんな人なのかを指している。3〜5の形容詞を使うが、人の性格を示す形容詞を使うことが条件だ。例えば「たのしい」「おもしろい」「まじめな」「ひょうきんな」「きさくな」「正直な」「親切な」・・・・・といった下に「人」とか「性格」を入れたときに成立する形容詞を用いる。

宇佐美清(2006年).USAMIのブランディング論,80ページ.

このブランドパーソナリティは、最終的には広告表現のトーン&マナーと呼ばれる表現全体の空気感あるいは雰囲気の基調になるもので、クリエイティブ部門の実際に表現を考える人たちにとっては重要な要素になる。優秀なクリエティブ部門の人は必ずブランドパーソナリティにこだわる。

宇佐美清(2006年).USAMIのブランディング論,81ページ.

 

ブランディングアイデアから派生した、各種クリエイティブのトーン&マナーの基調になるため、これを決める際にはブランドとターゲットの接点になるブランドパーソナリティをチームでブレインストーミングなどを通して定めると良いです。

 

実践編:「LIG Web制作実例集」では……
「LIG Web制作実例集」の企画書では、LIG・Web事業部のブランドパーソナリティは「“CTO づやさん”しかいない!!」となり、表紙と中ページ(イラスト)で登場いただきました。LIGのボケ担当であるづやさんには、「ふだんは見せない背筋を伸ばしたキリっとした一面」を出していただきました。

 

5. BRAND PERCEPTION GOAL(ターゲットに思ってもらえること)

BRAND PERCEPTION GOAL(ブランドパーセプションゴール)とはターゲットからどう思われたいのかどう認知されたいのかということ。それらをあらかじめ想定しておくことです。

※ パーセプションとは認知知覚の意味です。

以下引用になります。

人に何かを伝えたときにこう思ってもらえるといいな、というのに似ている。そのブランドは今はこう思われているが、コミュニケーションの後では、こう変わる。ビフォア(ブランドの現在)に対するアフター(ブランドの将来)のことで、それはブランディングアイデアという提案によって実現できる。

ブランドパーセプションゴールの設定で大事なのは、欲張らないことである。ブランドの人の気持ちの中の占有率はもともと低い。人はブランドのことなど普段は忘れている。このことを、ブランドの関係者は忘れがちである。ブランド関係者は、常にそのブランドのことを考えターゲットからよく思われたいと、思い続けているからだ。例えば、あるチョコレートのブランドパーセプションゴールをそのブランドの担当者は「おいしさがぎっしり詰まった満足度100%のユニークな味わいのチョコレート」などと書きがちである。こう思ってもらい売り上げを伸ばしたい気持ちは理解できるが、欲張りすぎである。実際には「ユニークな味のチョコレート」が残れば目的は達している。1番伝えたいことを認知してもらうことが、何よりも重要である。

宇佐美清(2006年).USAMIのブランディング論,78ページ.

今までの4項目は「ユーザーにどう思われたいか」「どう好きになってもらいたいか」に直結しますのでその施策がしっかり一貫性をもっているかを、最後のこの項目と照らし合わせてチェックしてみてはいかがかと思います。

 

実践編:「LIG Web制作実例集」では……
LIGはおもしろいだけではない。高品質なWebサイト制作を行うクリエティブ集団」という二面性を持っていることを(潜在)クライアントに感じていただくことが、この実例集の最大の目的です。

まとめ

いかがでしたか。

分厚くて難しい本に手を出して挫折する前に、一度こちらの図を理解した上で「USAMIのブランディング論」を読んでいただければ、ブランディングの概要が理解できると思いますので、ぜひおすすめしたいと思います。

また紹介したい本があれば随時発信していきます。

以上、もーりーでした。

 

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