こんにちは。デザイナーのもーりーです。
みなさんは、ネット印刷業者を利用したことがありますか? 僕は以前、よく使っていました。ただ、Web業界に来てからは、印刷業者に発注すること自体が少なくなったんですよね……。最近だと、2018年に「LIGの年賀状」を発注したのが最後ではないでしょうか。
今回は、記事広告を通した冊子制作の機会をいただき、ネット印刷業者を久しぶりに使ってみました。その結果から申し上げますと、とても良かったんです! そこで今回は、ネット印刷業者に依頼するときの納品までの流れや、発注した感想を包み隠さずお伝えします。
今回は「LIGのWeb制作実例集」の冊子を作りました! 印刷をお願いしたのは、印刷通販「アルプスPPS」です。
- アルプスPPSの紹介
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今回素敵な実例集制作を実現してくれた印刷会社。「安くても高品質」「お客さま視点でのサービス拡充」をモットーに、他社とは一味違う印刷通販を実現する印刷通販サイト。印刷通販のシステムに、印刷の下請けで40年間培った技術力と経験値を導入。印刷のプロフェッショナルや印刷コンシェルジュが、お客様のお問い合わせに全力で対応してくれる「安心電話サポート」や、各工程の熟練スタッフがどんなに難しい要望でも相談に乗ってくれる「信頼の5つ星コンシェルジュ」など、安心かつ信頼して任せられる対応力が魅力。
目次
冊子作成の過程
印刷業者を選ぶとき、「この会社に発注したい」と思う理由は人それぞれでしょう。「忠実に色を再現してくれるから」「値段が安いから」「入稿から仕上がりまでが早いから」「サポートが丁寧だから」「印刷紙や加工方法の種類が豊富だから」など、いろいろと考えられます。
今回は、選ぶときに役立ちそうな「アルプスPPS」を利用した感想を踏まえ、入稿用データの作り方からお伝えできればと思います。
デザインのコンセプト決め
今回制作するのは、LIGの潜在顧客に配るための「Web制作実例集のパンフレット」です。まずは、そのデザインを決めるために、企画書を作りました。
▲ブランディング・キーワードの説明①
企画書では、表紙デザインやキャッチコピー、中面デザインを決めるために、「ブランディング・キーワード」を設定しています。それが“「おもしろい」だけじゃない/2面性/表と裏”。
▲ブランディング・キーワードの説明②
このブランディング・キーワードは、「Web制作にも注力している」ことをアピールするために設定しています。いわずもがな、LIGは「おもしろ系ブログ」で有名になった会社です。「イケてるWeb制作」にも力を入れているのですが、それは意外と知られていないんですよね。
このブランディング・キーワードをもとに、キャッチコピーやデザインを決めています。
▲冊子の中面案
ちなみに表紙と中面の大枠イメージもラフ案として落とし込んでいます。
入稿用データを作成
つづいて、企画書をもとに印刷会社に渡す「入稿用データ」を作っていきます。
今回、デザインやレイアウトは主に「Illustrator」を使って作成し、画像は「Photoshop」を使って加工しました。Illustrator上に画像を貼り付けてPDFに書き出し、PDF入稿しています。
ちなみに、入稿用データを作成するとき、気をつけたほうがいいのは次のことです。
①カラーモードを「CMYK」、広範囲の黒は「リッチブラック」に設定
カラー印刷の場合、Illustratorのドキュメントのカラーモードは「CMYK」に設定しましょう。Web制作の場合は「RGB」に設定しますよね。でも、それを紙の印刷でも行なえば、色ズレが起きてしまいます。CMYKの設定は必須です。
また、広範囲を黒で塗りつぶすときは、「リッチブラック」に設定しておきます。「CMYK」のうち「K=黒」で広範囲を塗りつぶすと、ピンホール状の色抜けができたりします。そうならないように、「C」「M」「Y」を5%ずつくらい入れて、絶妙に色を配合することで、「リッチブラック」として深い黒を表現するのです。
②文字のアウトライン化
「アウトライン化」とは、フォントデータを図形化する作業です。こうすれば、印刷会社で取り扱っていないフォントでも、意図したとおりに印刷されます。ただ今回は、PDFにフォントデータを埋め込む「PDF入稿」なので、アウトライン化はしていません。
③画像解像度に注意
解像度が低いデータを印刷すると、モザイク状に粗く印刷されてしまいます。そうならないように、350dpi程度とドット密度の高い写真と画像を用意しています。
④十分な文字の大きさや線の太さにする
文字が小さすぎたり、線が細すぎたりすると、うまく印刷されません。線は「黒0.3pt」以下を使わないようにしましょう。
⑤オーバープリントの設定は解除
「オーバープリント」とは、あるカラーの上に、別のカラーを重ねて印刷することです。そう設定されたオブジェクトは、「黒色が透ける」「印刷されない」「色が変化する」などになります。そうならないよう、PDFを書き出す前に、オーバープリントのチェックは外しましょう。
「アルプスPPS」から入稿前にベストな提案が来た
▲データ入稿前に第三者と文字校正している様子
入稿後、納品までの流れは次のとおりです。
- デザイン原稿を入稿
- 色校正
- 印刷・後加工
- 納品
この流れのなかでアルプスPPSから、入稿前に印刷紙や加工方法について提案をいただきました。もちろん印刷内容にもよりますが、スピードだけを重視するネット印刷会社を利用すると、印刷紙はあらかじめ指定したものとなり、印刷会社から提案されないことがほとんどです。一方、アルプスPPSでは、こちらが送ったラフを見て、それにマッチする印刷紙や加工方法を提案してくれたんです……!
▲実際の提案メール
まず、LIG側のラフを確認したアルプスPPSから、「水彩風のきれいでシンプルなデザインなので、趣向を凝らすよりも、紙質で勝負したほうがいいのではないか?」と提案いただきました。さらに、「ざらついていたり、マットな印象を与えたりする印刷紙が合うのではないか?」とアドバイスをもらい、「ぬくもり感」「プレミアム感」「特殊感」という3パターンを提示してもらったんです。
連絡のやりとりは、印刷について初心者のディレクターにおまかせしましたが、「印刷の手順」や「スケジュールの進み方」について、電話でもフォローしてもらいながら、わかりやすく教えてくれたそうです。
意思疎通に力を入れてくれるので、「刷り上がった印刷物のイメージが違う」とはならず、安心して進められるなと感じました。
印刷紙と加工方法を選ぶ
後日、アルプスPPSは3パターンの印刷紙のサンプル(冊子)を送ってくれました。しかも、「追加でサンプルを送ります」という連絡が来て、20冊のサンプルを段ボールに箱詰めにして送ってくれたんです。
それらを1冊ずつ手に取って、真剣に選んだ結果、 触った感じがザラザラとしていて温かみを感じ、デザインとの親和性が高そうな「ぬくもり感バージョン」の印刷紙に決定。黄色みがかったアイボリーのような紙色も、デザインとマッチするだろうと感じました。印刷紙を実際に見ながら検討できたおかげで、選びやすかったです。
特殊加工として、表紙のしずくマークの上に、透明なニスを厚く盛る「UVニス厚盛り加工」を依頼していますが、その際にもアドバイスをもらいました。
実は、中面のページにも、しずくマークがあるんです。そこにも加工をお願いしようと思ったところ、「そうすると、加工部分に厚みが出て、閉じたときに見栄えが悪くなるし、跡が付いてしまいます。表紙だけのほうがいいかもしれませんね」とアドバイスしてもらいました。
そんなふうに完成後のことも考慮してくれて、「他社とは一味違うネット印刷会社だ」と感じましたね。
色校正で仕上がりイメージを入念にチェック
デザイン原稿を入稿すると、印刷会社から色校正として見本が戻ってきます。
色校正とは、本印刷する前に“色の最終チェック”をすることです。ときには、何十万枚もの印刷物を刷ることがあります。にもかかわらず、イメージとは違う色味で刷り上がってしまえば、すべて刷り直しになるわけです。そうならないように、色校正は大事な工程です。
アルプスPPSでは、「簡易校正」「プリンターカラープルーフ」「本機校正」という3種類の色校正があります。そのなかでも、今回は本印刷とほぼ同じ印刷結果を得られる「本機校正」を依頼しました。
色校正をするとき、僕は次のようなポイントを意識しています。
- ①色見本をあらかじめ用意しておく
- まずは、イメージに最も近い色味のデザインを、会社や自宅にあるプリンターで出力しておきます。これが色見本になります。そうすれば、イメージとは違う色校正が出てきたとき、色見本を一緒に送り返して「これと同じ色味にしてください」と指示すれば、印刷会社と認識合わせできるわけです。
- ②「特色」を使う
- イメージどおりの色を指示したいときは「特色」を使うのも手です。特色とは、CMYKでは再現しづらい、彩度の高いパステルカラーなどの色を表現するため、特別に調合された専用インクのことです。「DIC」や「PANTONE」などとも呼ばれます。それらのカラーチップは「DICカラーチップ」としてあるので、それを色見本として印刷会社に返送するのです。
色校正のとき、イメージと違えば修正指示を行ないますが、アルプスPPSから受け取った色校正はイメージとかなり近かったのでその必要はありませんでした。色校正と一緒に、UVニス厚盛り加工された表紙の見本も送っていただきました。
完成した冊子は、こだわり派のデザイナーでも納得の仕上がり
そしてついに! 完成した冊子が納品されましたー!
できあがりはこんな感じです!
実際に冊子になったものを手に取ると、やはり喜びもひとしおです。厚みや質感もイメージ通りで安心しました! 印刷技術が高いのはもちろんのこと、版ズレも起きていませんし、断裁も綺麗に行なわれています。アルプスPPSでは、きちんと修行した「印刷のプロ」が印刷していると聞いていましたが、それも納得の仕上がりです。
今回制作した冊子の仕様は下記のとおりです。
- 冊子のデータ
- 紙の種類:ぬくもり感のバージョン
紙のサイズ:B5
綴じ方:中綴じ
印刷方法:オフセット印刷
特殊加工の有無:表紙のしずくマークの上に「UVニス厚盛り加工」
紙のサイズはB5を選んでいます。今回のデザインでは、A4だとページ数の割に大き過ぎますし、A5だと小さ過ぎるからです。その中間を取ってB5にしました。B5サイズなら、受け取った人も持ち運びやすいでしょう。
また、納品までは次のような期間で進んでいます。アルプスPPSに最終稿を入稿してから、納品までは(入稿日を除くと)およそ8日間です。スピーディーに進んだ印象ですね。
- 今回のスケジュール
- 9/27:[LIG]デザイン稿提出→紙質提案
10/3:[LIG]データ入稿
10/4:[LIG→アルプス]紙質確定、加工確定の連絡
10/11:[アルプス→LIG]見本納品、[LIG]色校チェック
10/16:[LIG]最終稿入稿、校了
10/24:冊子納品
まとめ:的確なアドバイスと高品質の納品物を求めるならアルプスPPS!
今回、アルプスPPSを実際に利用してみて、十分な提案力があって、信頼してお任せできる会社だと感じました。機械的な対応で納品まで進むネット印刷会社は多々ありますが、アルプスPPSはそうではありません。
LIGは制作会社ということもあり、外部に渡す制作実例集の雰囲気や仕様には、僕たちの仕事が伝わるように、こだわりを持って制作したいと考えていました。アルプスPPSは、僕たちが大切にしたい「制作物のこだわり」を丁寧にヒアリングしてくれて、それにマッチする印刷紙を提案してくれたので好感が持てましたね。
「紙について熟知している、信頼できる印刷会社じゃないとお願いしたくない」と考えるデザイナーは大勢います。そういう人でも、工程ごとにキャリア15年~20年以上のマイスターが複数人在籍しているアルプスPPSには、安心してお任せできるでしょう。
また、メニューにはないこだわり仕様を依頼できたのも利用してよかったポイントです。今回は、表紙にUVニス厚盛加工を依頼しました。それだけではなく、「箔押し」や「特殊紙での印刷」など、アルプスPPSでは訴求力を上げるための凝った仕様の相談にも乗ってくれるんです。
印刷物は、発注者のこだわりが詰まったオーダーメイド商品です。ほかでは「取り扱っていない」「対応していない」と断られるような印刷物でも、アルプスPPSでは品質やスケジュール、予算をバランスよく提案してくれます。
レベルの高いネット印刷会社を探している人は、受注から納品まで熟練スタッフが対応してくれるアルプスPPSに依頼してみてはいかがでしょうか?
メニューにないこだわり仕様が実現できる印刷会社を探しているなら!
おまけ:制作の裏側
今回作ったこの冊子の表紙、弊社CTOのづやさんなのですが
撮影日にとんでもなく短いジーンズを履いていました。
表紙の写真はトリミング位置を限界までがんばりました。