おいキミ、彼はいったいどこで!?
おいキミ、彼はいったいどこで!?
2019.06.01
#6
元Webディレクター・まっちの途上国スタートアップ奮闘記

カンボジアで半年間仕事して感じた「途上国での働き方」について

まっち

お久しぶりです。まっちです。

去年の10月末からカンボジアに移住して早半年、これまでを振り返って「途上国で仕事をすること」について改めて考えてみました。

▼前回の記事はこちら

結論を先に言うと、途上国で働くことは、万人にオススメできる選択肢ではないと思っています。

人によっては日本だったり欧米諸国の先進国で働いたほうが、ストレスもなく健全に社会人として成長できて、人生豊かになると思います。むしろ、そういった人が大多数だと思います。

上記のように思った理由をいくつか述べていきたいと思います(主にビジネスマンとしての視点です)。

自分より優秀な人を見習って成長できる機会が少ない

当たり前といえばそうなのですが、日本と比べると途上国の教育レベルはいまだに歴然とした差があると感じます。

もちろん、上位の一握りは日本人にも負けない教養やスキルを身につけていますが、そういった人々の多くは家がお金持ちで海外留学を経験しているなど、もともと恵まれた環境で育ってきており、とても特殊な例です。

そうでない、多くのいわゆる中流階級は自国の学校に通うわけですが、以前にもお話ししたとおりそもそもちゃんとした教育を受けてこれなかった教師の方も多いので、どうしても先進国と比べて質が担保できない授業が多いようです(私の実体験でないので、あくまで周りの知人の話を聞いての所感ですが)。

そのため、「物事を考える力」が日本人の平均と比べてかなり差があります。ある程度「考える力」を持った日本人がこちらにきたらみんな「頭が良いデキる人」として扱われます。

そういった背景もあり、「現地スタッフのマネジメント」は日本人が途上国で求められる最も需要あるスキルのひとつです。マネージャー職として現地で働く場合、多くの日本の企業のように上司から日々やたら叱られることも少ないですし、周りの同期と比べられて劣等感を抱えることもないです。それに途上国特有のゆるい感じも相まって、日本の社会人生活がストレスな方にとっては、とても居心地の良い場所に感じるかもしれません。

これは逆に言うと、「自分より優秀な人を見習って成長できる」環境が日本と比べてとても少ないということです。

自分の担当分野で「周りの自分よりもデキる人から盗む」ことは難しいですし、最新の情報もインターネット等で能動的に取り入れていかないとあっという間に浦島太郎状態になります。

特に新卒や社会に出て間もない人は「この人のようになりたい」といった目標にしたい人が周りにいない場合、自分がどう頑張ればどのように成長できるか、うまくイメージすることも難しいと思います。

また、途上国の企業(ここでは駐在員として働く大企業でなく、現地のローカル企業を指しています)ですと、デキる人がいたとしても後輩の教育に十分リソースを割くことができず、目標からモチベーション管理まで自分で設定する必要があることが多いです。これは、想像以上に辛いはず。

上記の考えから、途上国の仕事で「若いうちから裁量権が多く与えられ、圧倒的に成長できる!」といった誘い文句に惹かれても、まずは「本当に自分にとってそこは良い環境なのか、成長できる環境なのか」を一度熟考したほうが良いと私は考えています。

もし、いちビジネスマンとしての成長(=一般企業で稼ぐためのスキル)を求めるのであれば、自分より優秀な人が周りにたくさんいて、かつそんな自分を周りが時間かけて面倒見てくれるだけの体力があるような、日本国内のちゃんとした企業に務めたほうが良いと思います。

急成長を遂げているが、先進的な働き方をしている人はまだ一握り。急成長を遂げているカンボジアだが、先進的な働き方をしている人はまだ一握り。

惰性で生きていける

多くの途上国では、生活費は抑えようと思えば日本と比べて大幅に抑えられる分、無理にたくさん稼がなくても生きていけます。

また、カンボジア人の多くは「お金を稼ぐため」と割り切って仕事している人が多いため、上昇志向を持った人や仕事に達成感を感じる人も少ないです。そのため、あまり頑張らなくても、もっと言えば適当に日々過ごしてても後ろ指さされることもないです。

そんな環境で長い間働いていると、最初はモチベーションを高く持って仕事に取り組んでいても、次第に「そもそも自分はここで何がしたかったのだろう…」と気持ちが迷子になってしまう人も少なくないと思います。

そのため、「なぜ自分はこの場所でこれをやっているか」という問いと向き合って日々を過ごさないと、せっかく途上国に飛び出してもダラダラともったいない時間を過ごしてしまうかもしれません。

先進国より稼ぐことは難しい

日本と比べて平均給与が少ないため、会社として、個人として新しいことに取り組んでいかない限り、日本よりたくさん稼ぐことはその分難しいです。たとえば現地のレストランに勤めても、日本に比べてお客さんが落とすお金が少ければその分売上も給与も低くなります。

「まだその国にない新しい料理を提供する」といった新しい価値を生み出せれば、もしかしたら成功するかもしれません。しかし、そもそも現地人の外食で払える金額が先進国と大幅に差があるため、現実はなかなか厳しいようです。

また、国家間の賃金差を活かして先進国の仕事を受託する、いわゆる「オフショア開発」は長年途上国で成功するための王道ビジネスモデルでした。しかし、様々なサービスが生まれてきている現在で、価格差だけで勝負することはどんどん難しくなってきています。価格ではない、他に勝るポイントやオリジナリティを持たないと競争力は維持できません。

そして、他に勝るポイントやオリジナリティをどれだけ持てるかは、「どれだけ優秀なメンバーを集められるか」に比例してくるので、当然優秀な人材が多い先進国の会社の方が優位性もあります。

と言うわけで、「途上国にはチャンスが溢れている」と言う言葉は、決して鵜呑みにしてはいけない無責任なものだと思っています。お給料もきちんともらえて、さらに教育もしてくれる、ちゃんとした企業でキャリアをスタートすることは、多くの人にとってとても理にかなった選択だと思います。

それでも途上国で働きたい方へ

もちろん、上記はすべて私一個人の考えであり、誰にでも当てはまるわけではないです。ただ、「途上国は決してチャンスに溢れているわけではないし、誰にとっても良い環境というわけでは全くない」とお伝えしたかっただけです。

この話を聞いた上で、「それでも途上国で働きたい」という人は、実際に早めに行動に移したほうが後悔しない人生を送れると思います。結局のところ、本当に向いているかどうかは実際に働いてみないとわからないですし。

ただ、インターネットを始めとして世の中に出ている多くの情報がポジティブな内容に偏っているため、途上国に来てガッカリするところはたくさんあると思います。そんなときでも自分のやりたいこと、なりたい姿を見失わずに頑張って欲しいと思います。

私自身は途上国に飛び出てきたことに後悔はしていません。というより、後悔しないように日々頑張っています。この記事も自戒のために書きました(苦笑)。

これからも「途上国からテクノロジーとクリエイティブで世界レベルのサービスを作る」ことを目標に、ここカンボジアで引き続き頑張っていきたいと思います。

カンボジアスタッフにサプライズで誕生日祝ってもらいました。カンボジア人スタッフにサプライズで誕生日祝ってもらいました。

同じような志を持つ方や、もう少し途上国(私からお話できるのは主にカンボジアですが)について知りたい方は、こちらからエントリーください。ぜひお話ししましょう。