湖からこんにちは。
野田クラクションべべーです。
さて、これまでフィンランド・サウナ旅を続けてきたわけですが……
フィンランド初日にまさかのハプニング。男性専用のアングラなサウナに行ってきた。
男女共用&24時間営業のセルフ式サウナ「Sompa Sauna」は、心も身体も温まるエピソードが詰まった場所でした。
サウナで温まったあと飛び込むのはバルト海!?ヘルシンキからフェリーで30分、夏限定の「Lonnna Sauna」が楽園すぎた。
中世ヨーロッパの町並み。エストニアの首都タリンにある「KALMA SAUM」は、老舗感溢れる通好みのサウナだった。
今回は、サウナのなかのサウナ“スモークサウナ”をご紹介したいと思います。
スモークサウナと聞いてもどんなサウナなのかわからないですよね。
簡単にいうと、煙突のないサウナ小屋のなかにストーブを置き、薪で石を温めて部屋全体を温かくして楽しむサウナのことです。「え? 煙突がないなかで、薪燃やしたら一酸化炭素中毒になるっしょ?」と思われる方もいるかと思います。もちろん、そのまま入ったら危険です。なので、十分に温めてからドアや換気口を開けて換気します。そのあと、壁についたススなどをきれいにしてから楽しむのがスモークサウナです。
換気をしたら、温度が下がると思われるかもしれないですが、一度しっかりと温めると2時間〜5時間ほどは温かさが続きます。ときたま、熱した石に水をかけて蒸気を発生させるロウリュをはさみ、体感温度を上げて楽しむのです。
ただし小屋をちょうどいい温度に仕上げるためには、6時間〜7時間かけてゆっくり小屋を温めないといけません。もし早く温めようとして大量に薪を入れたら、どうなると思いますか? 火花が散って小屋が燃えてしまいますよね。フィンランドの人は、燃えてはまた建てて……を繰り返し、今の時代にまで文化を残してきたそうです。
現代では、煙突をつけることで排煙が可能になり、電気ひとつで暖かくなるようなサウナができたことで、スモークサウナのような面倒でリスクがあるサウナは需要がなくなっていきました。
それでも、現代にスモークサウナは現存しています。なんでなのか。
それは、フィンランドの人にとって、スモークサウナが生活の一部であり、なくてはならないモノとして捉えられているからです。
サウナができた理由を考えたのですが、すごい単純だと思いました。「寒いから暖を取らないといけない、死ぬ」ってことがすべてなのかなと。
暖を取るための温浴方法は国によって種類もさまざまです。日本だったら、火山が多いから砂風呂という地熱を活かした温浴方法がありますよね? フィンランドの場合は、薪を燃やして小屋を温めるという方法だったわけです。つまりサウナは人々にとって「生きていくために必要不可欠」なものであり、森林の多いフィンランドの地ではスモークサウナという形が適していたのかもしれないという話です。
父親が薪をくべて部屋を温めている間に、母親は川で洗濯をし、子どもたちは犬と元気よく遊ぶ(個人的見解が含まれています)。小屋が温まったら、父の号令のもとみんなで集まって暖を取り、小屋の中で肉を燻したり、お湯を沸かしたり……サウナはカラダを温める以外にもさまざまな役割を果たしていました。サウナのように高温の場所は菌が死滅するため、衛生上よいとされていて、地域によっては、子供を産むときや人が死んだときにも使っていたりしたそうです。
サウナ単体で考えたら効率は悪いけど、効率が悪いからこそ、その時間を楽しむことが本当の贅沢なんじゃないかと思いました。
と、スモークサウナへの“愛”が止まらなくなったので、へルシンキから30分〜40分ほどで行ける「Kuusijärvi Sauna」へ向かうことにしました。
ヘルシンキからバスで30分……都心から近いスモークサウナへ
ヘルシンキ中央駅の③の「738K,739」のバスに乗って向かいます。ターミナルは迷いやすいので注意。
近くにチケットを買う券売機があるので、そこで「region two-zone」チケットを購入。
こんな感じのペラペラなチケットが出てくるので、それをなくさないように持っておきます。
時刻表的なものは見当たらなかったのですが、旅の最強アプリ「Google Maps」で現在地からKuusijärvi Saunaを結んであげると……
ルートを表示してくれる上に、
「何番のバスに何時に乗ったら何時に着くよ」と教えてくれます。ただし、日本のバスみたいに「次は〜〇〇、次は〜〇〇、お降りの方はお手元のブザー……」みたいなアナウンスはないので、常に地図アプリでバスの動きを見ておいたほうがいいです。近くにきたら、バス停の名前を見て「Kuusijärvi」と書かれているところで降りましょう。
SIMフリーじゃない、Wi-Fiが近くにない……という場合は、事前にネット環境が整っている場所で、時間をいくつか調べてスクリーンショットしておくといいですよ。
個人的な意見ですが、SIMフリーのスマホと「Google Maps」、「Google 翻訳」のアプリがあれば、たいていのことは乗り切れると思います。
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「Kuusijärvi Sauna」に着いたら、「KAHVILA KAFE」という看板の場所を目指しましょう。ここで受付をしてリストバンドをもらい、いざサウナへ。この施設がすごいのは、スモークサウナを10ユーロ(約1,300円)ほどで楽しめるということ。冒頭でも熱く語りましたが、スモークサウナは非常に準備が大変です。火の調整をするのだって、職人技。それが、低価格で経験できるのは本当にすごいし、フィンランドに行ったら体験して欲しいスポットのひとつです。
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こちらが、スモークサウナ。見た目からいかつい……。小屋は、サウナだけではなく、シャワールームと更衣室、貴重品を入れるロッカーなどがあります。なので、リストバンドをもらったら、着替えずに現場へ直行しましょう。
今回は貸し切りではないので、サウナ小屋のなかの写真は撮れませんでした。なので、文章で説明していきますね。
スモークサウナレポート(画像なし)
サウナは、男女混浴(水着着用)のタイプ。部屋は広めで、最大で13人くらい入れる設計。スモークサウナの営業時間は13時〜なのですが、僕たちが行ったのは14時頃で、かなり熱々の状態でキープされていました。時間が経つにつれて温度は下がってしまいますが、ロウリュで体感温度を上げて楽しめるので無問題です。
さっそく中に入ると、ブワッと広がる燻煙(くんえん)の香りが、鼻孔を刺激します。もうすでに、ヘブンに逝きそうになります……。
扉の前には巨大なサウナストーンが真っ黒になるくらい温められていて、これでロウリュしたらどんな熱波を感じれるのか想像しながら最上段へ。サウナは、上に行けば行くほど熱くなるのですが、Kuusijärviの最上段は想像以上の暑さで、お耳が千切れるかと思いました。
くれぐれも気をつけて欲しいのが、ベンチには日本みたいにサウナマット的なものはないため、直に座ると火傷します。思わず、「アツっ!」と声を出してしまい、フィンランド人の子供に笑われ、木で作られたサウナ板を渡されました。
そんなトラブルもありましたが、もちろんサウナ小屋は無音。温度計、12分計などはいっさいなく、誰ひとり言葉を発することもありません。照明はかなり暗く、静謐な時間が流れます。
ときおりロウリュをしてくれるのですが、その作法が美しい。熱々のサウナストーンに、ゆっくり、まんべんなく、水をかける。そうすると、じんわりと部屋全体に熱波が広がります。スモークの香りとロウリュの音がサウナ室全体を優しく包み、まるで僕たちを祝福してくれているかのよう。まさにユートピア。
この10分という時間のために、小屋を何時間もかけて温め続けるって素敵じゃないですか。効率化は確かに大事なことです。ただ、無駄な時間と思える時間こそ大事にしていきたい……。そう思える体験はそうそうないと思うし、サウナからそんなメッセージを受け取れるとは、サウナに出会ったときには微塵も思っていなかったです。最高。
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水浴びレポート(画像付き)
Kuusijärviに限らずフィンランドのサウナの素晴らしいところは、熱々になった身体を天然の水風呂(湖、海)でクールダウンできることです。
7月の時点で体感温度は19度くらい。サウナ好きの人からするともう少し冷たいほうがいいんだよな……と思うかもしれません。フィンランドに行く前の僕もそうでした。でも、そういうことじゃない……温度とかもうそういうことじゃないと改めて思いました。
大自然の中で、湖に浮かび、空をボーッと見上げ、深く深呼吸。耳まで水に浸かると、湖全体の音が脳内にこだまします。気ままに泳いだり、浮かんでみたり、好きなように自分の時間を楽しむことがどれだけ貴重なことなのかと。
大げさな表現かもしれないですが、“生きてる、本当に幸せ”と心の底から実感できました。夏の暑い時期に、四国お遍路をした際、3日ほどお風呂に入れず、精神的に限界を迎えたときに入った水風呂と同じくらい気持ちがよかったです。
日本にある「サウナ」とフィンランドの「Sauna」はまったく違う文化ですが、それぞれに良さがあります。
都心でガンガンに熱いサウナとキンキンに冷えた水風呂を作り出す日本の技術や熱量は本当にすごいな……と感動します。名古屋にある「ウェルビー栄」のラップランドなんて、フィンランドの「Sauna」を再現するんだ! という熱量が生んだ狂気的なアートでしかないですよ……。本当にすごい……。
そう思いつつも、いつか日本でも自然が豊かな場所でフィンランド式の「Sauna」文化を広められたらいいな……と思ったのでした。
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普段サウナには入らない温泉LOVE派の、LIG代表取締役・ゴウさんもこの笑顔。
これを体験してもらうために、フィンランドまで誘ったかいがありましたね。このあとサウナ→水風呂→サウナ→水風呂→サウナ→水風呂→サウナ→水風呂→サウナ→水風呂→サウナ→水風呂を繰り返し、ヘロヘロになるまで思う存分満喫して、Kuusijärviをあとにしました。
まとめ
ひとことで言うと最高でした。
フィンランドの人にとってサウナはかけがえのないもので、中でもスモークサウナはキング・オブ・サウナとして現代まで名を残してきました。しかしフィンランドの人の中でも、とくに若い人の場合には、一度もスモークサウナを経験したことがないという人もきっと少なくはないはず。それは、時代が変化していく上で仕方のないことなのかもしれません。
効率化は必要なことです。ただ、効率化することで見失ってしまうこともあると思います。サウナは本来、寒いカラダを温めるためにできたものです。当時は生きるために必要だったし、サウナを中心に時間が動いていたくらいのものだったようです。一見、非効率で無駄にも思える時間ですが、その一瞬一瞬が実は無駄じゃないし、その無駄に思える時間が積み重なってはじめて、時間を超えた「本当の贅沢」が生まれるのかもしれません。
サウナのなにが好きかって、仕事、プライベートのことを考えずに、自分自身と向き合える時間が過ごせることなんじゃないかな……とブログを書きながら思いました。聖なる時間というと安っぽく聞こえますが、そういった感覚ではあります。一方的に進む時間に対して、少しだけブレーキをかけて立ち止まれる瞬間というか。だからこそ、人生のサイクルにかけがえのないものになる……。その原体験であるスモークサウナを体験できて、幸せです……。
ぜひ、サウナが好きな人もそうじゃない人も一度体験してみて欲しいと思います。フィンランドを知るにはスモークサウナですよ!
- 詳細
- 名称:Kuusijärvi Sauna
住所:Kuusijärventie 3, 01260 Vantaa, FINLAND
営業時間:電気サウナ 9:00 – 20:00/スモークサウナ 13:00 – 20:00/カフェ 9:00 – 21:00
TEL:+358 10 322 7090
アクセス:ヘルシンキ中央駅から731N、738K、739に乗りKuusijrvi下車(約30分)
URL:http://cafekuusijarvi.fi/