こんにちは。
野田クラクションベベーです。
さて、フィンランドでサウナ巡りをしてきた経緯をお届けするこの連載。前回は「ハッテン場サウナ」をご紹介し、この旅がとてつもないスタートだったことを改めてお伝えしました。
フィンランド初日にまさかのハプニング。男性専用のアングラなサウナに行ってきた。
そして続く今回ご紹介するのは、ボランティアのみで運営されているという「Sompa Sauna(ソンパ・サウナ)」というサウナです。
場所はこちら。
Sompasaari(ソンパサリー)という埋め立て地エリアの海沿いにあります。
ヘルシンキ市内からタクシーもしくは自転車などを使っていくと行きやすいです。ただ、帰りはタクシーを拾うのが難しいので、時間に余裕を持って行ったほうがいいですね。
ボランティアで運営されているため、値段は無料で、24時間営業。誰かがサウナ小屋を温めていることもあれば、そうじゃないときもある。ちょっとイレギュラーなサウナです。
ヘルシンキ市内には色々なサウナがあるのですが、雑誌「Coyote」のサウナ特集を読んで、ここは絶対に訪れたいと思っていました。なにより、背景が素晴らしいんですよ。
そもそも2011年に閉鎖された港の小屋に、1人の男性が、サウナストーブを持ち込んでサウナを作ったことがきっかけでできたコミュニティなんです。つまりは「趣味」からはじまり、仲間が増え話題になり、このカルチャーをよりいいものにしていこう! という動きになったんです。その後、フィンランド政府に対して賃貸契約を結び正式にパブリックサウナとして活動しているそうで、どれだけすごいことか……。
すべての建物が、ボランティアで持ち寄ったモノでできていて、お金をかけてやることはまずないそうです。しかも、フィンランド政府からも活動に対して評価をしていて、5,000€(日本円で約72万円)の寄付金などをもらったこともあったそうです。※2018年7月現在のレート、1€=144円で計算。
実際に訪れてみると、全裸のおじさんが薪を切っている場面からはじまりました。勇ましすぎる。
※こちらのサウナは男女共用で、水着の着用の有無も本人たちの自由というのがフィンランド流だそう。
「moi(モイ)!」とフィンランドの挨拶をすると、「ちょうど温めているから良かったら入っていきな」と言ってくれました。
サウナ小屋は完全に手作りです。コンクリートの上に木の箱を乗せただけのような不安な見た目とは裏腹に、中はしっかりと温かくて驚きました。
ストーブは電気式ではなく、薪式。これは日本ではなかなかお目にかかるることはできないものなので、めちゃくちゃ感動しました。温度はちょっと高めでしたが、裸のおじさんが薪を入れながら調整をしてくれて、だんだんとまろやかな状態に。
フィンランド式サウナのことを改めて説明すると、写真に写っている「サウナストーン」と呼ばれる石を温め、そこに水をかけることで蒸気を発生させて、体感温度を上げ発汗させるという仕組みです。
石を温める方法としては「電気」と「薪」が主にあります。他にもペレット(木くず)を燃やして温めることもあるそうです。
電気式と薪式のメリット・デメリットを整理するとこんな感じです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
電気 | ・ボタン一つ押せば温かくなる ・管理が楽 |
・パワーはやや弱め ・どこにでもある |
薪 | ・パワーが強力 ・熱が柔らかい ・サウナの源流 |
・定期的に薪をくべないといけないから運用が手間 ・入手経路や量によるが、薪代が高くつく可能性もある |
基本的に日本で「薪式」がないのは、都市部だと煙が問題になってしまうからで、「電気」を使うしかないケースが多いんですね。
ここのサウナは、セルフロウリュ(自分で、サウナストーンに水をかける行為)が可能で、バルト海で汲んできた水をかけるスタイルです。ジュワッとサウナストーンに掛けられた海水が蒸気となり、口で息をすると塩の香りがなんともたまらない。
サウナを楽しんだあとは、バルト海にダイブ。体感は13度くらいでしっかり冷たい(季節によって変動あり)。プカプカと浮かんだり、泳いだり、好きなようにリラックス。マジで気持ちいいです。
まとめ
薪、小屋、ストーブ、サウナストーン、椅子、バーベキューコンロなど、すべてボランティアで集められたものばかり。遊びに来るお客さんもみんな自由で、薪を切ったのに入らないで海を眺めている人もいれば、お弁当を持ってきてサウナに入ったあとにランチをしたり、全裸でベンチで気持ち良さそうに寝ていたり……。
フィンランドの人にとってサウナは、生活に欠かせないものなんだと改めて実感しました。
日本では銭湯の数も右肩下がりに減少しているのと同様に、フィンランドでも公衆サウナ(パブリックサウナ)が減ってきています。家庭用サウナが普及していく反面、公衆サウナにわざわざ入りに行こうと思う人も少なくなっているからだそうです。残念。
僕自身もお風呂がある家で育ち、近所に銭湯がなかったため、サウナ・銭湯にハマるまでは、ほとんど行きませんでした。
今では銭湯・サウナの魅力にどっぷり浸かり、癒やしを求めていくことはもちろん、近所の方とあいさつを交わして、なんでもない会話をすることが楽しみになりました。知らない人同士が、裸同士で話し合える空間って貴重です。
趣味からはじまり、それに共感した仲間がボランティアで作り上げ、カルチャーとしてフィンランドのヘルシンキに存在するのが「Somapa Sauna」です。
北欧への旅行の際は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
- 詳細
- 名前:Sompa Sauna(ソンパ・サウナ)
住所:Sompasaaren laituri, 00540 Helsinki, フィンランド
時間:24時間
定休日:不定
備考:すべてがボランティアでの運営なので、サウナ小屋が温まっていることもあればそうじゃないときもあります。また、お金は「気持ち」をお支払いするようなシステムになっています。すべては自己責任となっていますので、よろしくお願いします。