こんにちは。野田クラクションベベーです。
何本にもわたりご紹介してきたフィンランドのサウナ。
お父さんは薪を焚べ、お母さんは洗濯と料理。サウナの原点「スモークサウナ」に感じたフィンランドの原風景。
中世ヨーロッパの町並み。エストニアの首都タリンにある「KALMA SAUM」は、老舗感溢れる通好みのサウナだった。
サウナで温まったあと飛び込むのはバルト海!?ヘルシンキからフェリーで30分、夏限定の「Lonnna Sauna」が楽園すぎた。
今回は、2012年に創業されたばかりのパブリックサウナ(公衆サウナ)である「クルットゥーリ・サウナ」をご紹介したいと思います。
「クルットゥーリ・サウナ」とは
「クルットゥーリ・サウナ」の場所
まず場所はこちら。
フィンランド・ヘルシンキの港沿いに位置していて、アクセスはちょっと悪いですが、タクシーを拾えば中心街からでも「12ユーロ(1,800円くらい)」で行くことができます。目の前は原っぱと公園っていう最強シチュエーション。
人々が集まるサウナ
「クルットゥーリ・サウナ」のクルットゥーリはフィンランド語で「文化」という意味。
日本人でデザイナーのツボイ・ネネさんと、フィンランド人で建築家のトイヴォネンさんが運営されています。“人々が集まる場所を作りたい”という想いで作ったとのこと。
サウナを作った2012年当時、フィンランドの若者を中心にサウナ文化を広めようという動きがあったそうです。
1960〜70年代に建てられた、サウナが付いていない古いマンションに住む若者たちは、日常的に「ALRA SAUNA」や「Kotiharjun SAUNA」などのパブリックサウナに集まって疲れを癒やしていたそう。パブリックサウナは若者たちのコミュニティ形成の場として重要な役割を持っていたのでした。そんな時代のニーズに注目して作ったのが、クルットゥーリ・サウナだということです。
また、クルットゥーリ・サウナは、入浴だけでなく人々の学びの場にもなっています。今後どうやってサウナ文化というものを発展させていくのかを考え、学んでいけるようなピロティ的な空間も用意されていました。学生を招いての講義も行われているそうです。
個人的にも共感するところがあり、サウナはひとつのコミュニティになりうる存在だと思っています。現に温泉や公衆浴場はそういった役割をしています。
ただ、日本では、なぜかサウナだけが少し違う存在に受け取られている気がします。それは単に「オヤジ臭い、暑苦しそう」というイメージばかりが先行していて、本来の“Sauna”の形を体験できる場所がないからなのでは? と感じてしまいます。
エコなサウナ
めちゃくちゃコンセプチュアルなクルットゥーリ・サウナですが、環境面にもやさしい設計になっているんです。その理由は、オーナーであり建築家のトイヴォネンさんが、フィンランド環境省のプログラムにも参加しているほどのエコの専門家であること。
たとえば、ペレット(木くず)を燃やして作ったサウナストーブの熱を、温水シャワーや床暖房として利用したり、建物の上にはソーラーパネルを作ったりと、さまざまな工夫がされています。
エネルギーはできるだけ無駄にせず、必要なエネルギーはぜんぶ自分で作るスタイルって、すごくないですか?
「クルットゥーリ・サウナ」のルール
営業時間は、水曜日から日曜日の16時〜21時(最終入場20時)。月曜日と火曜日は定休日なので、ご注意を。
いくつかルールがあるので守ってくださいね。
- ルール
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- サウナ室には水着着用やタオルの持ち込みは厳禁(入り口で配られるお尻に引くタオルはOK)
- 写真撮影は禁止
- アルコール飲用禁止(フィンランドでは室内に持ち込めるところが多い)
- 3人を超えたグループでの来場は禁止
- 体を拭くタオルは自分で持ち込んでください
サウナ室の中へ
サウナ室の写真が撮れなかったので、ここから先は文章で説明していきます。
入り口でお金を支払い、お尻に引く用のタオルを借ります。その後、ロッカーに行き洋服を脱いで、シャワーを軽く浴び、サウナ室に入ります。
ロッカー→シャワー→サウナという形になっています。おそらく女子サウナの方も同じでしょう。
シャワールームにはオーガニックのボディーソープはあったのですが、シャンプーはなかったので、髪を洗いたい人は持参してください。僕は、フィンランド人の方にシャンプーを借りて、北欧の香りを頭に纏いました。
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身を清めたら、サウナへGO。
サウナ室は、コンクリートの階段の上に木のベンチがあり、5人〜7人ほどが座れるゆったりとした空間。ペレットで燃やした温かみは、これまで行ったサウナの中でもダントツにまろやかで、ぬくもりに包まれているような感覚にさせてくれます。もちろん、ロウリュは可能ですが、石にかけるときは、ゆっくり……そぉ〜っと入れてくださいね。
驚きなのが、普通ロウリュをするとサウナストーンに水を掛けた瞬間に熱がバシバシ伝わるのですが、ここではジワジワとカラダを包み込むように熱波がきます。
一般的にサウナストーブって、石がむき出しになっていることが多いのですが、クルットゥーリ・サウナのものは鉄に覆われていて石はむき出しになっていないんですよ。だからロウリュをしてもいきなり熱がブワッと広がらず、ジワジワと身体を温めてくれる仕組みになっているのかな〜っと思いました。(あくまで個人的な見解です。)
ロウリュをしてもゆっくり長く入れるような設計になっていて感激。サウナってステキだな……とあらためて噛み締めました。
サウナのあとは、バルト海の天然水風呂にザブン。もう、これが最高なんですよ、ほんと。
泳いだりプカプカ浮かんだりを繰り返しながら青空を見上げると……サウナの価値観がガラッと変わりますよ。
まとめ
もちろん日本のサウナにもいいところはたくさんあります。どういったコンテンツがユーザーの心を掴めるのかを模索をした結果、テレビを導入したり、カプセルホテルと一体化したり、24時間営業を行なうようになったのだと思います。最近では、ロウリュサービスをしたり、セルフロウリュができたりする場所も増え、フィンランドのサウナ文化の良い部分を取り込んでいこうとする動きもあります。
ですが、「クルットゥーリ・サウナ」での時間もまた格別なものでした。
自分と向き合うのもよし、考えごとをするのもよし、会話を楽しむのもよし。サウナはそういった自由な空間であるべきだと思います。閉鎖的で人と人との関係性が希薄になりがちな今だからこそ、パブリックサウナのようなモノが必要だとも思うのです。
- クルットゥーリ・サウナ
- 名称:Kulttuuri Sauna
住所:Hakaniemenranta 17, 00530 Helsinki, フィンランド
営業日:水曜日〜日曜日
営業時間:16時〜20時
定休日:木曜日、金曜日
電話:+358 40 5169690
ホームページ:http://www.kulttuurisauna.fi