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カードゲームのプロって生きていけるの?業界を牽引する2人に聞いてみた。(前編)

紳さん


カードゲームのプロって生きていけるの?業界を牽引する2人に聞いてみた。(前編)

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こんにちは。ライターの紳さんです。

僕はマジック・ザ・ギャザリング(通称:マジック、MTG)というカードゲームが大好きで、過去にLIGでもマジックについての記事を書きました。

簡単に言うと、「世界で最も流行っているカードゲーム」です。日本でもかなり人気のゲームなので、実際にプレイしたことがある方も多いかと思います。

 

興味がある方は、こちらの公式動画も是非ご覧ください。

初心者向けのゲーム講習会(ティーチングキャラバン)をLIGのオフィスで開催した様子です。可愛い子供と綺麗なお姉さんがマジックをプレイしている稀少映像。

 

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ところで、マジックにはプロプレイヤーが存在するという事実をご存知でしょうか?

カードゲームと聞くと一般的には「ただの遊び」という認識が強いかと思いますが、一方でマジックを競技として捉え、それに携わることで生計を立てている方もいらっしゃるんです。

 

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行弘 賢さんはマジックのプロプレイヤーの1人。

2012年にスペインのバルセロナで行われたプロツアー(世界大会)で4位に入賞するなど、日本を代表する実力派プレイヤーとして知られています。

定期的にニコニコ生放送などでプレイ動画を配信し、情報発信についても精力的です。

 

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アイアンワークス合同会社でCEOを務める若山 史郎さん。

カードゲームに特化したwebメディア「Dig.cards」を立ち上げ、現在はスポンサーとして行弘さんのプロ活動を支援しています。

若山さんはいわゆる「競技プロ」ではありませんが、このゲームの魅力に取り憑かれた人間の1人。高田馬場にある日本最大級のトーナメントセンター、「晴れる屋」の立ち上げにも携わった方です。

カードゲーム業界にとても詳しく、マジックをエンターテイメントとして盛り上げるためのあらゆる活動を行っています。

 

 

この御二方にマジックやカードゲームのことについて色々と聞いちゃいます!

今回は前編として、競技プロプレイヤーとしての観点から行弘さんに様々な質問に答えていただきました。

 

マジックのプロって生きていけるの?

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-ぶっちゃけ、マジックのプロって収入はどれぐらいあるんですか?

どストレートな質問ですね(笑)

実はプロといっても色々あるんです。僕の場合は大会の賞金以外に、マジック関連の執筆のお仕事や、スポンサーから支払われるお金(プロ活動に対する手当と、働いた分の給料)が主な収入になります。

スポーツの世界でいうと「実業団」に近いものがありまして、「マジックの競技だけをやり続けて食っていける人」というのは、日本ではほとんどいないと思いますよ。

マジックは最近話題になっているe-sportsのように、大会の上位賞金が高額なわけではないんです。プレミアムイベントであるグランプリの優勝金額が1万ドル(約106万円)、プロツアー(世界大会)が4万ドル(約424万円)。どちらも簡単に優勝できるものではありません。

その代わり、プロツアーに参加するための渡航費は主催側が持ってくれたり、通年で優秀な成績を残すと、大会に参加するだけで報酬が貰えるようなシステムがあります。一攫千金というよりは、継続的にプロとしてゲームに関わり続けるという事に重点が置かれている体制になってるんです。

僕の年収でいうと、一般的なサラリーマンの平均と同等、それよりもやや低いぐらいですかね。

 

-どうして、プロになろうと思ったんですか?

学生時代からとにかくカードゲームが大好きで、「カードゲームで食っていく」という意識よりも「カードゲームに携わる仕事がしたい」という想いが強かったんです。プロになる前はカードゲームショップで働きながら大会に参加するという日々でした。ずっと自分が好きなことに関わりながら生きていくのが理想だったんです。

なんだかんだ、生きていくことはできます(笑)

 

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-自分がスポンサードされるという話を聞いて、どう思いましたか?

その話がきた当時は、結構、自分がズタボロの状態だったんです。

腰を壊してしまって満足に働くこともできず、マジックの大会でも結果が出せていない時期で… 「もう、田舎(福岡の実家)に帰ろうかな」って本気で思いました。

そんな時に若山さんから声を掛けてもらい、嬉しかったですね。

 

-マジックのプロになって何か変わったことはありますか?

責任感を強く感じるようになりましたね。報酬をもらう以上、勝たなければいけない。プロとして見られている以上、負けるにしても、誰もが納得のいく負け方をしないといけない。

そんなプレッシャーがあったせいか、プレイスタイルが変わってしまったんです。特に「自由な発想でデッキ構築を楽しむ」という自分らしさが出せず、ひたすら硬い選択をしようとした結果、良い成績が残せなくなってしまいまして…

※デッキ…カードの組み合わせの束のこと。プレイヤーはデッキの中のカードを駆使して戦う。

それから「初心に帰る」ということを意識するようにしたんです。固定概念に捉われず、楽しみながら自由な発想で戦うこと。こうすることでデッキ構築やプレイの幅が広がり、また良い成績を残せるようになりました。

 

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-プレイについて、プロとして意識していることはありますか?

相手を不快にさせない、ということが一番ですかね。プロにも色んな考えの方がいますが、自分はお互いに気持ち良く、全力を出し合った末に勝つということが大切だと思っています。

カードゲームはコミュニケーションが第一です。カードを綺麗に並べたり、きちんとした発声でちゃんと意思の疎通をとったり。ギリギリの戦いになると「どうしても勝ちたい」という気持ちが強くなりがちですが、相手を不安定な気持ちにさせてミスプレイを誘発させたりだとか、そういう事態にならないようにしています。

 

それと、デッキ選択の際はTier1を使わないということを意識しています。

※Tier1…カードゲームにおいてはデッキの流行度を表す言葉。プレイヤー達が研究を重ねた結果、環境的に最も優れた戦略を取り入れたデッキのこと。

これはつまらない意地とかではなく、僕がプレイヤーとして世界一を目指すための考え方です。例えば、プロ同士がTier1のデッキを使って戦った場合、最終的にカードのめくり合い、いわゆる運という要素によっての決着になりがちです。

そうではなく、Tier1に有利なオリジナルのデッキを作り、自分の勝つ確率を上げることが正しい選択だと考えているからです。それでも負ける時はありますが(苦笑)

僕のプレイを見てくださる方には、「僕が選ぶデッキは一癖も二癖もある」ということを意識した上で楽しんでいただければ思います。

 

-最後に行弘さんが今後、目指していることを教えてください

今の自分の地位があるのは、マジックのおかげだと思ってます。

だけど、マジックばかりやっていたせいで得られなかったものがあるんです。それは社会人としての経験だったり、ビジネスマナーだったり。

そういった一般的な教養や能力を身につけた上で、カードゲームのプロプレイヤーとして頑張っていきたいと思います。

そして、この世界でまだ成し遂げていないことをしっかりとやる。すなわち「世界一のプレイヤー」になることを目指して戦っていきたいですね!

 

まとめ

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カードゲームの世界、かなり奥が深そうです。遊びとしての面、競技としての面。その魅力に取り憑かれたプレイヤーは世界中に多くいることでしょう。僕もその1人なわけで…

そして、行弘さんのようなトッププレイヤーでも、決して楽な生活をしているというわけではなさそうです。

それでも、自分の好きなことにずっと関わりながら生計を立てるという生き方は羨ましいとも思いますし、このカードゲームの魅力を世界中の多くの人に伝えるためには、こういったプロプレイヤーの力が必要となってくるでしょう。

今後のご活躍、楽しみにしております!

行弘さん、取材へのご協力、ありがとうございました!

 

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次回、若山さんにも色々な質問に答えていただきます!

「モバイルゲームとカードゲーム市場の話」

「マジックをエンターテイメントとして盛り上げるために必要なこと」

などなど、面白い話がたくさん聞けましたので、お楽しみに!

紳さん
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