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#28
働き方インタビュー(経営者編)

「やりきれるか、自己否定できるか、目を輝かせているか」新卒3年目でも新規事業を任せる| リブセンス・村上太一

たか

やりきれるか、自己否定できるか、目を輝かせているか

リブセンス様_記事0001

 
— なるほど。その経験はリブセンスさんの採用の考え方にも通じそうですね。

採用においてはサービスに対する思いだけではなく、一定のスキルがあることが大前提です。スキルが一定以上あれば、あとはパッション軸が重要になってきますね。新規事業を立ち上げるときなど、何かやろうと思ったときに“やりきれる人なのか”というところを見ます。そして常に自己否定して、改善し続けられる人なのかどうかも大事。その人が若ければスタンス面の比重が高いです。

例えば、医療情報サイト「治療ノート」は新卒3年目の社員が立ち上げました。その社員自身が子供の頃アトピーに悩んでいて、母親が治療方法を調べるのに苦労したこと、友人の病気について自ら調べた際に感じた不便といった原体験があります。

「自分自身、こういうサービスがほしい」「このサービスは世の中に必要だ」っていう、彼の目の輝きに期待するところが大きいですね。

 
— 仕事の任せ方で村上さんのやり方はありますか? 僕はそれで悩むことが多いのですが。

私自身、Webマーケティングが得意だから、その領域においては細部までしっかり見られるように、チームのメンバーと一緒にやっていくスタンスを取ります。そこは自分が最大限のエネルギーを注入していくような仕事の任せ方かもしれないです。

でも、それ以外の事業を成長させるために必要な仕事は、「餅は餅屋」で強みがある人にお願いしています。逆にその仕事を自分でできるのであれば、自分でやってしまうこともありますし。

 
— なるほど。

マネジメントで意識していることは、個々の強みを活かし合おうとすること。もし、今の社員が環境でうまくいかなかったとしても、その人の強みを活かせるところは必ずあります。それぞれ芸風がありますから、上手に個々を活かし合うべき。適材適所ですね。

いわゆる個人の業務内容の適正を測るためのビッグデータは、まだまだ貯まりきっていませんが。

 
— 人事系の仕事に携わった人とは、どう連携していますか?

こればっかりは場数ですね。大企業でずっと人事をやっていた50代の社員がいるのですが、社員の仕事の適正を測るビッグデータの量が圧倒的に多くて。「この人はこういう人だから、こんな環境でこういう仕事をすると活きる」「この人の発言の背景には、こんな思想がある」とか、全て把握しています。

社員に最大限の力を発揮してもらうためには、小説をもっと読んだりするといいのでしょうね。小説には人の感情の動きや、物語の背景がちゃんと描かれていますから。私は相手の言葉をストレートに捉えがちなので、人の感情や思想をもっと勉強しようと思っています。

 
— 仕事は任せ方次第で、相手のモチベーションに与える影響が大きいからこそ?

そうです。「私はサービスを創るのが好き!」と前のめりになってずっと仕事をしてきたので、良いサービスを開発するための仕事をするのであれば、みんな幸せだと思っていました。ところがそうではないということを、会社を10年ほど経営してやっと気づけた(笑)

仕事やサービス開発にかけるモチベーションの源泉は、人それぞれです。だからこそ逆に社員のモチベーションを意識しすぎないことが、リブセンスの経営理念「幸せから生まれる幸せ」の実現に繋がるのかなと。つまり多くの人に喜んでもらえて感じる幸せを、幸せにしようということです。

 
— そうおっしゃる村上さんが、ここぞというときにがんばれるモチベーションの源泉はどのようなものですか?

サービスを創ったらそれを使ってくれる人に「どう思われるか」を想像します。現在は中古不動産売買サービス「IESHIL(イエシル)」の開発に注力しているのですが、サービスを使って「これ、いいなあ」と心の中で思ってくれている人の気持ちを妄想していると、がんばれますね。

ただ、妄想しているだけだと「それが何になるの?」とか、小さい世界で収まってしまうので数字も大事にします。

 
— なるほど。そこまでして取り組む理由は何でしょうか?

IESHILに関していうと、取り組むべき大きな理由が2つあります。

1つ目の理由は、国内の不動産の流通を活性化させるべきだから。日本はこれから人口が減っていくのに、中古の不動産を壊して新築をバンバン建てています。使えるものを無駄に壊している状態なので「新築が建つと国力も落ちるのではないか?」と考えていますね。

 
— だからこそ“国内の不動産の流通を活性化させるべき”だと。

でも、そこで2つ目の理由であり問題にぶつかります。中古不動産は手の出しづらさがありませんか? 「万が一、買ったあとに問題があったら……」「本当に正しい買物だったの?」とか。

 
— たしかに、よく聞きますね。

人生で不動産を買うなんて1度か2度かもしれません。そんな大事な買い物だからこそ、不動産の透明性の向上と流通を活性化したい。

そのためにまず、IEHSILでは不動産の市場価格を可視化し、透明性を向上しています。自治体や官公庁が公開している不動産価格指数や地価、再開発計画をはじめ、過去の売買履歴や賃貸情報まで、不動産に関するさまざまなビッグデータがありますよね。その中から中古マンションの市場価格を部屋単位でリアルタイム査定するほか、売買の参考になる物件周辺地域の利便性、治安、地盤強度、医療、交通、教育などのレイティングも公開していきます。

 
— 実際にIESHILの開発を進めてみて、新しくわかったことはありますか?

わかったことは、すごくいい情報がたくさんあること。けれどもそれらの情報は消費者に使ってもらえるような形ではないこともわかりました。

わかりやすい例でいうと、JRや東京メトロが各駅の乗降車数などの情報を開示しています。しかし情報が散らばっているから探すのも非常に大変だし、情報が要素のままでは意味をなさない。私たちがそれらの情報を集め、誰でもわかる不動産情報に加工して伝えていきます。

 
— なるほど。村上さんの熱い思いが伝わってきました。

ありがとうございます(笑)まだ掲載物件数も少ないですし、スタートできていないサービスもあります。1人でも多くの方々にIESHILを使っていただき、ベストなマイホームを心から納得して購入いただけるよう取り組んでいきます。まだまだ始まったばかりなんです。