不思議なゲストハウスのオーナーってどんなひと?お話を伺ってみました
─ よろしくお願いします! さっそくですが「Pise」、つくりもデザインもかなり個性的ですよね。ダンジョンみたいでめっちゃ面白い〜!
ありがとうございます! 「自分がやってみたいこと・つくってみたいもの」を詰め込んだら、こんな感じになっちゃいました!
しかも入り口に自転車いっぱいあるじゃないですか。「自転車屋さんかな?」と思われてしまうらしく、お客さんの足が遠のきがちなのが悩みですね(笑)
─ 確かに! 私も自転車屋さんかなって思いました(笑)あれって飾りですか?
あれ実はレンタル自転車なんですよね。普段は泊まっているお客さんや、善光寺へ観光にきた方に貸してるんですけど。僕が「シングルトレイル」という、山の細い道を自転車で下って行くツアーを開催したりするので、そういうときにも活躍していますよ。
─ ツアーもご自分が主体でやられるんですね。何か、サンボさんっていろんなことされてると噂を聞いたのですが……どんなことやられてるのでしょう?
本当にいろいろやってます。ゲストハウス運営の他に、カメラマンとスキーはプロとして、趣味で狩猟・ブドウの栽培・ウェイクボード・自転車・ロッククライミング……あと大工のような動きもしていて。ここのPiseはじめ、「欲しいな〜」と思ったら何でも自分でつくっちゃうんですよ。「人間がつくったものでつくれないものなんて、ない!」と思ってて。仲間内からは「ミスター・DIY」とか呼ばれてます。
─ もはや何屋だかわからないですね(笑)Piseはいつはじめられたのでしょうか?
Piseは今年の7月にオープンしたんですけど、同じ場所で「アジアンナイトマーケット」という名前の「半分タイ料理屋、半分雑貨屋」を10年やってたんです。ゲストハウスの構想はそこをオープンする前から実はありました。
周りの流れに身を任せていたら、いつの間にかゲストハウスをはじめていました
─ 10年前! その頃ゲストハウスなんて、日本になかったのでは?
そうそう。海外に行く機会が多かったので「なんで海外にはこんなにたくさんあるのに、日本にはないんだろう?」って疑問で。
なので「表はレストラン&雑貨屋、裏はゲストハウス」という形で一緒にやろうとはしてたんけど「お客さんが24時間出入り可能」というところで、セキュリティ上問題が出てきてしまうなぁと思って。なのでその頃、ゲストハウスは諦めていたんです。
そんなこんなしてるうちに長野市にもゲストハウスも増えて、「こんなにあるんなら自分でやることないな!」と思って、その頃は満足していたんです。
─ なるほど。なんで今のタイミングで再度「ゲストハウスをやろう」となったんですか?
最初お店を閉めたときは「海外でもふらふらしたり、友達としばらく遊ぼうかな〜」と思ってたんですけど、この歳になると無職ってたのしくなくて(笑)僕今年で39になるんですけど、同じペースで遊べる友達もいなくなってくるんですよね。
お店閉めたものの、なんかあんまり面白くなくて。だったらこのタイミングでゲストハウスやってみよっかな。という感じでPiseをオープンさせました。そのほうがいろんな人と出逢えて面白いでしょ。そんなこんなで、流されるままにここにたどり着いた感じですね。
─ ちなみにPiseは全部サンボさんの手作りなんですか?
前回の「アジアンナイトマーケット」は全部自分ひとりでつくりました。
今回は職人さんにも入ってもらっていますね。僕も大工リストとして参加している、東京のゲストハウス「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」をつくった大工さんも関わってくれています。
というのが、別にひとりでやろうと思えば物理的にはできたんですけど、自分ひとりの想像力ってたかがしれてるというか。超えていかないんです。
もっとできるひとに入ってもらうことで、自分の想像を超えて僕のできない技法をみることができるのが面白いなって。何でもそうだと思うんですよね。
やってみて駄目だったらもとに戻せば良いだけ。とりあえずやってみれば良いと思うんです。
─ サンボさんの原動力って基本「まずは面白いと思う」ところにあるんですね。
もちろん! というか誰だってそうでしょう? 前のお店も、結構流行っていたんですけど「何か面白くないな」と3日悩んで閉めました。
─ 悩む時間、みじかっ! 決断はやっ!
大抵のことは5分しか悩みません(笑)
やるって決めたら、どうやってやろうかなーってすごく考えるけど、やるかやらないかの時間はもったいないと思っています。どうしよっかなって悩んでる時点で、やりたいんですよね。
やってみて駄目だったらもとに戻せば良いだけ。悩んでいることに時間を使うなら、やってみれば良いと思うんです。そうすれば考え方がどんどんシンプルになっていって、ノイズがなくなっていくかなって。
辞めよっかなって思った時点で、もうそこに気持ちはないはずなのですっぱり辞めました。
─ 「やりたいことだけやる」って結構難しくないですか? 先立つものがないとなあと感じています。
資金はそんなに問題じゃないと僕は思っています。ないならないなりに工夫してやることで、生まれるものってたくさんあるんですよね。こうやって、何でも必要なものは自力でどうにかしちゃうからこそ僕はミスターDIYって呼ばれてるんだと思うんですけど(笑)
前のお店も普通に設計いれて……とかなんやかんや考えたら2,000万くらいかかったと思うんですけど、そこを500万でつくったりしてました。お金がないなら工夫すれば良いと思うし、できる限り自分で何でもやってみたら良いと思います。
「やりたいことはあるんだけど資金が……」っていうのはもったいないと思うし、普段から「どうにかする!」という意識を持って行動していれば、資金がないことに悩むってこと自体なくなります。お金もたまるし。
ちなみに僕は家賃がもったいないんで家とかも借りたことないです。それでも何とかなる!
─ 「自分で何でもやる」というところが趣味の「狩りをする」にも繋がっているんですかね?
そこまでは深く考えなかったですね。これもなんとなく面白そうだったから始めたというところです。僕の中でカメラと銃って似ていて。カメラの撮影も英語だと「shooting」ですし。たまたまお店にきた猟師さんがキッカケで猟は始めたんですけど、そういう出会いがあるのもゲストハウスの良いところですよね。
─ 狩りはご自分でさばくところまでやっているんですよね。今いただいてる鹿カレーもサンボさんが捕った鹿ですか?
そうですね! この前、捕ってきた鹿です。うまいでしょ〜。
─ 目の前でさばいたり、命がなくなっていく過程をみながら「命のありがたさ」みたいなのをあらためて感じたことってありますか?
そういう話って良く聞くんですけど、僕はあんまりそういった感情にはならなかったですね。海外フラフラすることも多いですし、ネパールで山羊をさばいてたりするのを間近で見ていたので、あまり抵抗がなかったのかもしれない。
プロのスキーヤーをやってるって話も先ほどしましたが、ワンミスで死んじゃったりすることをやるので、人より「生きる」とか「死ぬ」とかを日常的に意識しないといけない場面が多いから。無意識に日々の日常で身近なものとして感じているのかもしれないです。
すみずみまで、成仏してねと思って食べていますね。
─ 鹿さんありがとう。本当においしいです。
ありがとう。