一番重要なのは「語りたい! 語らせろ!」
何かが好きならばそれを突き詰めたほうが言葉にも説得力があると思うんです。私の文章を支持してくれる人がいるのは、たぶん知識があるからじゃなくて、熱があるからだと思うんですよ。どんな書き方にしても、そこには愛があるんですよ(笑)それがちゃんと伝わるから仕事になるんだと思うんです。だから、文字を書く上で一番重要なのは「熱量」だと思っています。
「ライターになりたい」より、「これを書きたい」という気持ちのほうが先ですよね。そして、「これを語りたい! 語らせろ!」みたいな、何を書きたいのかをハッキリ言えない人はライターになれないと思います。もちろん幅広く台湾の文化を紹介していくライターさんとかだったらいろいろ好奇心があったほうがいいとは思うんだけれど、こと音楽の話だったら一つでいいと思います。
文章の基礎は学校で習いますし、自分で声を出してちゃんと読んでみれば、それなりの文章は誰でも書けます。ただ、上手い下手っていうのは言葉のテンポなど技術的な問題もあるし、あと大きいのは、面白いか否か、でしょう。何が面白いかは人それぞれ。アカデミックに解説されたものが面白いという人もいるだろうけど、私はそうじゃない。面白いと思える文章って、その人自身を語っているものだと思う。書いている人が見えてくる、伝わる。語っているのは別の対象だし、語り手も自分を出したくて書いたわけじゃないんだけれども、最終的にはその語り手が見えてこないと面白くないかなって思います。
たとえば、何か嫌いなものを「好意的に受け取れない向きもあるかもしれない」と、ボンヤリとした話にしちゃう人もいますよね。そうじゃなくて、「私はここが嫌だ」って書いちゃう人のほうが私は面白いと思う。一般論にしちゃうと書き手がぼやけますから。もちろん、そういう文章がすべての媒体に求められているわけではないです。どっちが良い悪いじゃないけど、私はハッキリというほうが面白いと思うし、そういう書き手になりたかったんです。
フリーランスは1日にして成らず
私は初めからずっとフリーランスですけど、知り合いは会社を辞めて独立するフリーランスのライターが増えていきますね。フリーランスになると人脈は重要です。スケジュールが空いてないけどこの人ならできるかもって紹介したりもします。それでお仕事として依頼される媒体が増えていく感じです。
私の場合は、フリーランスの人たちと出会ったのは、ライブハウスでしたね。ライブを見て「ご飯でも行きますか!」って。それが編集者であれば、ライターさんを何人か紹介してくれますし、仲良いライターさんが、また別のライターさんを連れてきて飲んだり。酒ですよね。ライブハウスと酒っていう(笑)
結局家の中で書いていても人脈も広がらないですよね。人脈を作ろうと思って外に出ても作れない。そのライブが見たい! そのあと語りたい! 書きたい! っていうのがあって、現場に足を運ぶわけだから。「ライブ良かったね! ちょっと飲もうよ!」っていうだけの話です。だから人脈づくりのためって誰も思ってないんじゃないかなって思います。
【取材を終えて】 やっぱり文章は熱量が大切! 次回は、インタビューの極意を聞きます |