Web制作におけるコピーライティングの価値の低さに、ぼくが思うこと。

Web制作におけるコピーライティングの価値の低さに、ぼくが思うこと。

John

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こんにちは、ブランディングチームのジョンです。
ぼくは10年近くコピーライターをやってきて、何社か経験もしてきました。Web制作を本業とする会社はLIGが初めてなのですが、この業界に身を置いてひとつ気づいたことがあります。それは、Web制作におけるコピーの価値の低さです。
※あくまでもぼく自身の日々の中で感じたことなので、以下の内容は個人的な意見になります。

なぜ、そう感じたのか。

いくつか理由はありまして、ひとつは「コピーは原則としてクライアントにいただく」こと、もうひとつは「だからコピーライターがいない」こと、さいごに「コピーの賞はいまだにグラフィックとテレビCMが盛ん」なことです。

1. コピーは原則としてクライアントにいただく

いま進めているWeb制作案件のお見積もりに、「コピーライティング費」は入っていますか? 入っていないケースは意外と多いのではないでしょうか。

なぜか?
それは、「言葉なんて誰にでも書ける」と思われているからだと推測します。ゆえに、デザインやフロントエンド、バックエンドの方々だけがWeb制作に不可欠な技術職としてみなされ、コピーライターは雇われない。結果、コピーはクライアントにいただくしかない……。こういったパターンは、少なからずあるような気がしています。

2. だから、コピーライターがいない

クライアントからいただくので、コピーライターは必要ではない。と思うのは、ちょっと違うように感じています。サイト上に掲載する文章を、その業種専門にやられているクライアントから素材としていただくのは悪くないですし、むしろ効率的だと思っています。
が、ぼくが違和感を抱いているのは、もっと前のフェーズの話です。
詳しくは後述しますが、そもそもこのサイト(コミュニケーション)は何のために、誰に向けて、何を発信するものなのかを決めるにあたって、コピーライター的思考を採り入れるべきだと思っていますし、そこが最終的なアウトプットを左右すると思っているからです。

3. コピーの賞はいまだにグラフィックとテレビCMが盛ん

結果、すばらしいデザインやアニメーションにもかかわらず、コピーだけがそのクオリティに達していないことも往々にしてあると思っています。賞を獲ることが最終目的ではないですが、コピーのレベルを測るひとつの基準としてはわかりやすいです。
受賞したコピーを見てみると、まだまだグラフィックやテレビCMの仕事が巨大勢力。少なからず、上述の背景が影響しているのではないかと思うのです。
(かく言うぼくも、大きな賞をいただいたことはないので、もっともっと頑張らないといけません。)

そこで、コピーのススメ

ぼくがお伝えしたいのは、業界にコピーライターを増やしましょう!というよりは、コピーライター的思考を採り入れることで、プロジェクトの質がグンと良くなる(かもしれない)ということです。Web制作の場合、特にディレクターさんに通じる部分が多いのかな?と思っています。
具体的には以下のようなことがあげられます。

  • ヒアリングの質が上がる(かもしれない)
  • 提案書の質が上がる(かもしれない)
  • アウトプットの質が上がる(かもしれない)

ひとつずつ、ご紹介していきます。

1. ヒアリングの質が上がる(かもしれない)

コピーはよく「誰に・何を・どう言うか」で考えるものだと教えられます。ターゲットの気持ちを深く洞察して、その人が何を言われたらどう思うかについて、頭に汗をかきながら一生懸命考えるのがコピーライターです。
「誰に・何を・どう言うか」って、大きく言えばビジネスと同じ構造です。クライアントにヒアリングをする際も、「この企業は、どんな人にどんなメッセージを発信することで共感させられるだろう?」という視点で質問が湧いてきます。
「御社の強みは?」はよく使われますが、ターゲットや競合を意識せずに出てきた強みは強みではなく、ただの特徴です。ターゲットが他社と比べてベネフィットを感じて、競合が脅威だと感じて、初めて強みと言えるわけですから、そこも同時に考えていかないといけないのではないか?と思っています。

2. 提案書の質が上がる(かもしれない)

「誰に・何を・どう言うか」を日々繰り返し考えて訴求ポイントを端的に示せるのがコピーライターです。
提案書の作り方は人それぞれあってしかるべきだとは思いますが、ぼくは割と、そのページで言いたいことを一言に集約します。「要するにコレなんです」と言われると、クライアントの理解も早いと信じているからです。
加えて、その資料を使ってご担当者が社内で上司にプレゼンする際も、極力わかりやすいほうがいいです。「で、この資料、結局何が言いたいの?」と言われないためにも、コピーライター的思考は役に立つことでしょう。
もちろん、端的さだけではありません。提案書の流れも、クライアント側の理解度に大きく影響してくると思います。「どうしたら次のページを見てみたくなるか」や「どうしたら展開がスムーズになるか」などは、ぼくも日々提案書を作りながら試行錯誤をしています。

3. アウトプットの質が変わる(かもしれない)

端的に表現するから、プロジェクトの方向性をバシっと示せるのもコピーライターです。なお、ここでいう「アウトプット」とは、最終的に納品するWebサイトやWebページ全体を指します。
再三の登場で恐縮ですが、「誰に・何を・どう言うか」は、プロジェクトの背骨になる部分です。プロジェクトの方向性や制作するサイトやコンテンツのコンセプトを決定づけるものですから、そこがキチンと示されているかどうかで、プロジェクトの舵取りに少なからぬ影響を及ぼすのではないでしょうか。
明確なコンセプトを土台に、すばらしいデザインやすばらしいアニメーションが乗っかってくれると、すごくいいものが生まれるはず。幸い、ぼくは素敵なADやデザイナー、フロントエンドの方々に囲まれています。みんなの技術を最大化できるようなコンセプトを描くことで、クライアントもエンドユーザーもグっとくるようなものを届けられればいいな、と思っています。

さいごに

コピーの価値が低いと冒頭で述べましたが、だからといって悲観しているのではなく、ぼくはLIGにどんどんコピーライター的思考を提供していくことで、会社としてのレベルアップに少しでも貢献できたら、という思いでいます。
社内にコピーライティング部を立ち上げて大喜利大会を開催してきたのも、言葉に興味を持って、言葉と仲良くなって、言葉を技術として駆使してもらえるようになってほしいから。

「言葉なんて誰にでも書ける」かもしれませんが、「機能する言葉は誰もが書けるわけじゃない」のです。だからといって堅苦しいお勉強にはしたくないので、これからもLIGらしく、楽しみながら言葉と触れ合う機会をつくっていきたいなぁと思っている次第です。

「じゃあそのコピーライター的思考とやらを採り入れて、実際の案件はどうだったのよ?」については、いつか必ず記事として紹介させていただきたいと思っています。
本日は、いったんここまで。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

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John ディレクター/コピーライター / 西山 ジョン

「いい加減ブラウザをひとつに統一しませんか?協会」で理事を務めています。 個人的な夢は吉井和哉に会うことです。

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