有名事例に学ぶ人の心を動かすための「キャッチコピー」の書き方

さんぺー


有名事例に学ぶ人の心を動かすための「キャッチコピー」の書き方

NIKEの『JUST DO IT.』というキャッチコピーに脅迫されている気がします、ライターのさんぺいです。

このキャッチコピーが目に留まると、個人的には「やるかやらないのか、やらなければ死ぬぞ!」と言われているような気がして、いつもハッとさせられます。そして、何だか少し追いつめられた気分になりつつも、いろいろなことに対してのモチベーションがぐんと上がります。

このようにキャッチコピーとは、人にハッとさせることでその人の心を動かすものなんじゃないのかなー、と個人的には思っています。

というわけで本日は、コピーライターの講座に通って学んだことやプロの方から聞いたお話などをまとめて紹介していきたいと思います。
もちろんセミナーの告知やブログタイトルなどにも使えるので、「誰かの心を動かしたい!」と思っている方は、キャッチコピーの書き方を学んでみるのもいいかも知れません。

 
▼目次

  1. キャッチコピーとはなにか
  2. なぜキャッチコピーに「ハッとする」のか
  3. よくないキャッチコピーとは
  4. キャッチコピーの書き方
  5. よりよいキャッチコピーを書くためにおすすめの習慣

キャッチコピーとはなにか

まずはキャッチコピーとはなにか、ということについて説明していきます。

キャッチコピー
消費者の心を強くとらえる効果をねらった印象的な宣伝文句。 ̶
出典:大辞林

主に商品や映画などの広告、何らかの告知に用いられることが多いです。心を強くとらえることで、先ほどの『JUST DO IT.』のように、見る人をハッとさせるわけです。

「ハッとする」キャッチコピー例

もちろん「ハッとする」かどうかは人それぞれですので、ここでは有名なキャッチコピーを3つほど例として挙げたいと思います。

  • 『そうだ 京都、行こう。』(JR 東海)
  • 『おしりだって、洗ってほしい。』(TOTO)
  • 『試着室で思い出したら、本物の恋だと思う。』(LUMINE)

以下、なぜこれらが人の心をハッとさせるのかについてみていきましょう。

なぜキャッチコピーに「ハッとする」のか

先ほどの3例になぜハッとさせられるのか、1つずつ解説していきます。

『そうだ 京都、行こう。』

JR東海さんの京都観光キャンペーンのキャッチコピーです。こちらは駅コンコースの広告が目立っていたので、覚えている方も多いと思います。

このキャッチコピーの肝は「そうだ」です。

「そうだ」という言葉は何かを思いついた時に使われることが多いですよね。つまりこの『そうだ 京都、行こう。』というキャッチコピーは、思いついたその時に行けるほど京都は近いですよ、という意味があり、加えて、思いつきで旅をしてみませんか、という提案でもあります。

首都圏から京都まで、新幹線に乗れば片道15,000円前後、2時間半程度で着きます。「なんだか手軽に気分転換できるようなところへ行きたいな〜。」なんて思ったときに、『そうだ 京都、行こう。』なんて言葉が思い浮かんだのなら、それはこのキャッチコピーがあなたにとってハッとするものだった、ということになります。

『おしりだって、洗ってほしい。』

TOTOさんのウォシュレットのキャッチコピーで、1982年にはじめてウォシュレット付きの便座が発売されたときのものです。

「洗ってほしい」というのは、おしりの気持ちです。

朝起きたら顔を洗うし、外出から帰ってきたら手を洗う、だけどトイレの後おしりは洗わない。
「おしりだって洗ってほしい、と自分のおしりが思っている。」そう気付かされてハッとし、なんで今まで洗ってあげなかったんだろうと疑問に思うという心の動きが、消費者の購買行動につながります。

このキャッチコピーをつくる際、コピーライターの仲畑貴志さんはウォシュレットの商品価値について悩んだ末、ウォシュレット開発工場を訪ねました。そして開発者の方に「この製品にどんな価値があるのですか」とたずねたところ、突然開発者の方が仲畑さんの手に絵の具をつけたそうです。
すぐにティッシュで拭ったものの、手にはうっすら絵の具が残りました。開発者の方はそれを指し「落ちてないでしょう?こういうことなんですよ。」と言い、仲畑さんはウォシュレットの持つ商品価値に心を動かされたそうです。

さらに余談ですが、当時は「トイレ=不浄」とされており、CMで「おしり」という言葉が流れること自体が大変な驚きだったみたいです。その常識を覆してしまったという意味でも、ハッとさせられるキャッチコピーです。

※9/15 仲畑貴志さんのお名前を間違っており、大変失礼いたしました。お詫びして修正させていただきます。

『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』

LUMINEさんの広告で、こちらもやはり当時大きな話題になっていたものです。
試着室という空間がクローズアップされることは、これまでありませんでした。

服を買うという何気ない生活のワンシーンも、恋をしている乙女にとっては一大イベントみたいなものです。彼はどんな雰囲気が好みかしら、なんて思いを巡らせたり、コンプレックスに感じている部位で誤魔化そうなものを手当たり次第に試してみたり、という人も多いみたいです。

そんな多くの人が経験したことのあるとても小さなワンシーンが、まっすぐ言葉になったキャッチコピーです。

終わってしまった恋をハッと思い出すきっかけにもなれば、恋の最中にいる人にとってはさらに気分を盛り上げてくれる起爆剤にもなります。自分だけじゃなくてみんなも同じ思いをしているんだ、という共感も生まれやすいキャッチコピーです。

※9/15 一部内容に誤りがありました。お詫びして修正させていただきます。

よくないキャッチコピーとは

人の心を動かすキャッチコピーがどういうものなのかが分かっても、よくないキャッチコピーがどういうものなのかを知らないと、いいキャッチコピーは書けません。ここでは、よくない例を挙げてみましょう。

例えば、ここに開発されたばかりの新商品があるとします。
その商品の特徴は「頭につけると自分が飛びたい方向へ自由に空を飛ぶことができるポケットサイズのプロペラ」です。
値段は1,000万円。購買できる人は限られるため、ターゲット層は30代後半の働いている男女だとしましょう。

以上の条件のもとで、キャッチコピーの案が2つあったとき、どちらがより人をハッとさせることができるものでしょうか。

  • A.『自由な空の世界を、あなたに。』
  • B.『渋滞や遅延のその時間、子どものために。』

もちろん子どものいない人にとって、B.のキャッチコピーは全く響きません。A.のキャッチコピーのほうが一般ウケを狙うことができるし、広々とした空をイメージすることができるのも、悪くないように思えます。

しかし、A.のキャッチコピーよりも、B.のキャッチコピーのほうが、より人をハッとさせることができます。
なぜなら、A.のキャッチコピーは単に商品を説明しているものに過ぎないからです。

A.のキャッチコピーがなくても、多くの人はこの新商品を知った時点で“広々と自由に空を行き来できる”ことを想像するでしょう。
この例からわかるよくないキャッチコピーというのは、商品やキャッチコピーを読んだ人にとって何の影響を与えることもなく、ただ商品を説明しているだけのキャッチコピーということになります。

また、“自由な空の世界”といった言葉はかなり抽象的な言葉なので、このキャッチコピーを考えた書き手側と、読み手側のイメージは一致しないと思われます。つまり、書き手が受け手のことを考えられていないのです。

一方で、B.のキャッチコピーは、子どものいる人、あるいは自分が子どもの頃に親が忙しかった人などから共感を得ることができます。B.のキャッチコピーに共感し、この商品を買うことを納得させることができれば、購買という具体的な行動につなげることができるのです。

キャッチコピーの書き方

ここまで、ハッとするキャッチコピーと、よくないキャッチコピーを挙げてきました。では、どのようにすれば人の心を動かすキャッチコピーが書けるのでしょうか。 分かりやすく以下にまとめてみました。

  1. だれに(ターゲットのインサイト)
  2. なにを(「自分にも関係がある」)
  3. どういうか(描写よりも解決)
  4. たくさん書く、選ぶ、調える

では、1つずつ見ていきたいと思います。

1. だれに(ターゲットのインサイト)

キャッチコピーは、気付きや共感を生む方が多くの場合で有効です。そして、その気付きや共感を生むために重要となるのが、ターゲットのインサイトです。

もし自分がそのターゲット人物(層)だったらということを想像し、どのようなものに関心があり、普段どのような物事に問題を感じているのか、というインサイトを探ります。

2. なにを(「自分にも関係がある」)

先ほど例として挙げた“空を飛ぶプロペラの商品”に対して、ある1人の男性が「空を飛ぶことに興味はないし、こんな大金を払って買うものでもない。自分には関係ない。」と感じていたとしましょう。

しかし、B.の「渋滞と遅延のその時間、子どものために。」というキャッチコピー読んだことで、「確かに、自分は車通勤で都内は道路が渋滞しやすい。もっと早く家に帰れたら子どもとコミュニケーションをとることもできる」と思うようになるかも知れません。ただし、A.の「自由な空の世界を、あなたに。」というキャッチコピーでは、恐らく心は動かされなかったでしょう。

このように、人に「自分と関係があるな」と思わせることは、行動につなげることができるのです。

3. どう言うか(描写よりも解決)

先ほどのA.「自由な空の世界を、あなたに。」というキャッチコピーは描写に過ぎません。一方で B.「渋滞と遅延のその時間、子どものために。」というキャッチコピーは、何かしらの問題に対する解決を提示しているものになります。

もちろん全てのキャッチコピーにこれがあてはまるというわけではありませんが、描写しただけの言葉よりも、何かしらの問題の解決になる言葉の方が、人の心を動かしやすいのは間違いありません。キャッチコピーを書き始める前に、まずはここを意識しておくといいかも知れません。

4. たくさん書く、選ぶ、調える

これまでの1.〜3.を踏まえたうえで、キャッチコピーを書いてみましょう。ここで大切なのは、より多くの切り口からキャッチコピーを考えることです。
切り口の数が多ければ多いほど、多角的な物事の見方ができ、ターゲットが抱えている問題の解決につながるということになるので「ハッとさせる」キャッチコピーは生まれやすくなります。

たくさんの候補の中から、読んだ人が「そう言われてみればそうだな」と納得するような言葉や切り口を選んでいきましょう。そして最後に、より適切な言葉への言い換えをしたり、語調を調えたり、といった磨きをしましょう。

これらについてもっと詳しく知りたい方は、谷山雅計さんの『広告コピーってこう書くんだ!読本』を読んでみるといいと思います。


広告コピーってこう書くんだ!読本

よりよいキャッチコピーを書くためにおすすめの習慣

CMやビルの広告、駅貼りなど、私たちの生活の周りには多くの広告があふれています。
よりよいキャッチコピーを書くためのおすすめの習慣は、そういった目に留まったキャッチコピーを「見分ける」ということです。
もちろん主観で構いません。「あ、いいな」と思ったのであれば なぜそれをいいなと感じたのか。なんだかピンとこないなぁと感じたのであれば、なぜそう感じたのか。率直な自分の感想に対して、裏付けをとってみてださい。その習慣がキャッチコピーを書く力につながります。


おわりに

いかがでしたでしょうか。

私は元々「広告なんて鬱陶しいし、CMもなんだか嫌だなぁ。」と感じていたのですが、どんな風にできているのかを知るだけで、その見方が一変しました。

NIKEの『JUST DO IT.』というキャッチコピーは、きっと受け手の気持ち次第でいろいろな解釈ができると思うので、「あとはやるだけだ!」と思えるまで日々精進していきたいと思います。

それでは、また。

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