有名事例に学ぶ人の心を動かすための「キャッチコピー」の書き方

有名事例に学ぶ人の心を動かすための「キャッチコピー」の書き方

さんぺー

さんぺー

よくないキャッチコピーとは

人の心を動かすキャッチコピーがどういうものなのかが分かっても、よくないキャッチコピーがどういうものなのかを知らないと、いいキャッチコピーは書けません。ここでは、よくない例を挙げてみましょう。

例えば、ここに開発されたばかりの新商品があるとします。
その商品の特徴は「頭につけると自分が飛びたい方向へ自由に空を飛ぶことができるポケットサイズのプロペラ」です。
値段は1,000万円。購買できる人は限られるため、ターゲット層は30代後半の働いている男女だとしましょう。

以上の条件のもとで、キャッチコピーの案が2つあったとき、どちらがより人をハッとさせることができるものでしょうか。

  • A.『自由な空の世界を、あなたに。』
  • B.『渋滞や遅延のその時間、子どものために。』

もちろん子どものいない人にとって、B.のキャッチコピーは全く響きません。A.のキャッチコピーのほうが一般ウケを狙うことができるし、広々とした空をイメージすることができるのも、悪くないように思えます。

しかし、A.のキャッチコピーよりも、B.のキャッチコピーのほうが、より人をハッとさせることができます。
なぜなら、A.のキャッチコピーは単に商品を説明しているものに過ぎないからです。

A.のキャッチコピーがなくても、多くの人はこの新商品を知った時点で“広々と自由に空を行き来できる”ことを想像するでしょう。
この例からわかるよくないキャッチコピーというのは、商品やキャッチコピーを読んだ人にとって何の影響を与えることもなく、ただ商品を説明しているだけのキャッチコピーということになります。

また、“自由な空の世界”といった言葉はかなり抽象的な言葉なので、このキャッチコピーを考えた書き手側と、読み手側のイメージは一致しないと思われます。つまり、書き手が受け手のことを考えられていないのです。

一方で、B.のキャッチコピーは、子どものいる人、あるいは自分が子どもの頃に親が忙しかった人などから共感を得ることができます。B.のキャッチコピーに共感し、この商品を買うことを納得させることができれば、購買という具体的な行動につなげることができるのです。

キャッチコピーの書き方

ここまで、ハッとするキャッチコピーと、よくないキャッチコピーを挙げてきました。では、どのようにすれば人の心を動かすキャッチコピーが書けるのでしょうか。 分かりやすく以下にまとめてみました。

  1. だれに(ターゲットのインサイト)
  2. なにを(「自分にも関係がある」)
  3. どういうか(描写よりも解決)
  4. たくさん書く、選ぶ、調える

では、1つずつ見ていきたいと思います。

1. だれに(ターゲットのインサイト)

キャッチコピーは、気付きや共感を生む方が多くの場合で有効です。そして、その気付きや共感を生むために重要となるのが、ターゲットのインサイトです。

もし自分がそのターゲット人物(層)だったらということを想像し、どのようなものに関心があり、普段どのような物事に問題を感じているのか、というインサイトを探ります。

2. なにを(「自分にも関係がある」)

先ほど例として挙げた“空を飛ぶプロペラの商品”に対して、ある1人の男性が「空を飛ぶことに興味はないし、こんな大金を払って買うものでもない。自分には関係ない。」と感じていたとしましょう。

しかし、B.の「渋滞と遅延のその時間、子どものために。」というキャッチコピー読んだことで、「確かに、自分は車通勤で都内は道路が渋滞しやすい。もっと早く家に帰れたら子どもとコミュニケーションをとることもできる」と思うようになるかも知れません。ただし、A.の「自由な空の世界を、あなたに。」というキャッチコピーでは、恐らく心は動かされなかったでしょう。

このように、人に「自分と関係があるな」と思わせることは、行動につなげることができるのです。

3. どう言うか(描写よりも解決)

先ほどのA.「自由な空の世界を、あなたに。」というキャッチコピーは描写に過ぎません。一方で B.「渋滞と遅延のその時間、子どものために。」というキャッチコピーは、何かしらの問題に対する解決を提示しているものになります。

もちろん全てのキャッチコピーにこれがあてはまるというわけではありませんが、描写しただけの言葉よりも、何かしらの問題の解決になる言葉の方が、人の心を動かしやすいのは間違いありません。キャッチコピーを書き始める前に、まずはここを意識しておくといいかも知れません。

4. たくさん書く、選ぶ、調える

これまでの1.〜3.を踏まえたうえで、キャッチコピーを書いてみましょう。ここで大切なのは、より多くの切り口からキャッチコピーを考えることです。
切り口の数が多ければ多いほど、多角的な物事の見方ができ、ターゲットが抱えている問題の解決につながるということになるので「ハッとさせる」キャッチコピーは生まれやすくなります。

たくさんの候補の中から、読んだ人が「そう言われてみればそうだな」と納得するような言葉や切り口を選んでいきましょう。そして最後に、より適切な言葉への言い換えをしたり、語調を調えたり、といった磨きをしましょう。

これらについてもっと詳しく知りたい方は、谷山雅計さんの『広告コピーってこう書くんだ!読本』を読んでみるといいと思います。


広告コピーってこう書くんだ!読本

よりよいキャッチコピーを書くためにおすすめの習慣

CMやビルの広告、駅貼りなど、私たちの生活の周りには多くの広告があふれています。
よりよいキャッチコピーを書くためのおすすめの習慣は、そういった目に留まったキャッチコピーを「見分ける」ということです。
もちろん主観で構いません。「あ、いいな」と思ったのであれば なぜそれをいいなと感じたのか。なんだかピンとこないなぁと感じたのであれば、なぜそう感じたのか。率直な自分の感想に対して、裏付けをとってみてださい。その習慣がキャッチコピーを書く力につながります。


おわりに

いかがでしたでしょうか。

私は元々「広告なんて鬱陶しいし、CMもなんだか嫌だなぁ。」と感じていたのですが、どんな風にできているのかを知るだけで、その見方が一変しました。

NIKEの『JUST DO IT.』というキャッチコピーは、きっと受け手の気持ち次第でいろいろな解釈ができると思うので、「あとはやるだけだ!」と思えるまで日々精進していきたいと思います。

それでは、また。

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5年通った大学を卒業しました。今年は、麻雀のプロ資格取得を目指して頑張ります。

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