オフショア開発の費用はどれくらい?国ごとの価格相場を比較

オフショア開発の費用はどれくらい?国ごとの価格相場を比較

Michitoshi Kudo

Michitoshi Kudo

テクノロジー事業部部長の工藤です。

オフショア開発に興味はあっても、本当に費用が安くなるの? 品質やコミュニケーションは大丈夫? といった不安を持っている方も多いのではないでしょうか。

このような不安をもったままではなかなかオフショア開発を前向きに捉えることができません。

そこで本記事では、国別のオフショア開発の費用相場や各国の特徴について解説します。

「国別の人月単価が知りたい」、「オフショア開発はどれくらい費用削減できる?」といった疑問を持っている方や、「どの国に依頼するか迷っている」という方にも参考になる内容なので、ぜひ最後までご覧ください。

オフショア開発にはどんな費用がかかる?

オフショア開発を外注する場合、その見積もりの内訳は、ほとんどが人件費です。

  • エンジニアの人件費
  • ブリッジSE(BrSE)の人件費
  • プロジェクトマネージャー(PM)の人件費

エンジニアの人件費

オフショア開発にかかる人件費の中でも、その割合の多くを占めるのがエンジニアの人月単価です。

人月単価とは、1人が1ヶ月間にできる業務量に対する単価のこと。たとえば、「人月単価が100万円」とすると、その人が1ヶ月働くときに支払う金額が100万円であることを意味します。

なお、エンジニアと一言にいっても複数の職種があり、例えば下流工程を担当するプログラマーや、テスターや品質保証も担うシニアエンジニアなどがあります。

人月単価はスキルに応じて設定されるのが一般的です。

ブリッジSE(BrSE)の人件費

オフショア開発を進めていくうえでは、海外チームと日本のコミュニケーションを円滑にするためにブリッジSE(BrSE)をアサインするのが一般的です。

具体的には、オフショア先へのプロジェクト計画の説明や、設計書の作成などをおこないます。現地の日本語ができるエンジニアが担うこともあれば、国内のエンジニアがその役割を担うこともあります。

ブリッジSEは技術的なスキルに加えて、語学力やマネジメント能力といった高いスキルが求められるため、エンジニアよりも単価が高めに設定されていることが多いです。

人月単価は国により異なりますが、エンジニアの約2倍が目安となります。

プロジェクトマネージャー(PM)の人件費

プロジェクトマネージャー(PM)を海外拠点でアサインする場合は、その分の単価が上乗せされます(自社でアサインすることも可能)。

PMは、プロジェクトの責任者として、スケジュール管理・予算や工数の決定など、全体の指揮を担当する職種です。システム開発の経験が豊富、かつマネジメント能力に長けたエンジニアが担当することが多く、その分人月単価も高く設定されています。

人月単価はブリッジSEと同じく、エンジニアの約2倍が目安です。

国別で比較! オフショア開発の費用相場

2000年代初めでは中国でのオフショア開発が主流でしたが、人件費高騰や社会情勢の悪化等から、近年ではベトナムやフィリピン、ミャンマー、バングラデシュといった東南アジアへシフトする傾向があります。

ここでは各国のオフショア開発の費用相場や、特徴についてみていきましょう。

比較した5カ国の平均費用相場

人月単価(万円) プログラマー シニアエンジニア ブリッジSE PM
中国 42.09 52.06 84.78 85.77
ベトナム 31.73 39.88 51.34 57.94
フィリピン 36.25 49.63 71.07 65.83
ミャンマー 24.47 37.89 48.59 62.81
バングラデシュ 29.64 39.64 69.64 46.07

出典:オフショア開発白書2022年版

それぞれ詳しく解説していきます。

中国オフショア開発の費用相場

人月単価[万円] プログラマー シニアエンジニア ブリッジSE PM
中国 42.09(+1.2%) 52.06(+1.1%) 84.78(+15.4%) 85.77(-5.2%)

出典:オフショア開発白書2022年版 ※()内は前年比 

人月単価の特徴・傾向

中国はもともとオフショア開発先として人気の国でした。しかし表を見るとわかるように、現在は単価が高騰しておりコスト削減を目的とする場合はメリットを感じにくくなっています。

前年と比較すると、PM以外のすべての職種で単価が上昇する結果となりました。

  • プログラマー 42.09万円(昨年度比+1.2%)
  • シニアエンジニア 52.06万円(昨年度比+1.1%)
  • ブリッジエンジニア 84.78万円(+15.4%)
  • PM 85.77万円(-5.2%)

開発の進めやすさ

中国はもともとオフショア開発の先駆けとなった国ということもあり、日本語ができるエンジニアが多くいます

また技術力も高く、コストよりも高度な開発ができることを優先させたい場合は検討してもよいでしょう。

ただし、社会情勢の悪化により中国でのオフショア開発から撤退する法人も増えていることには注意が必要です。

また、反日感情を抱く人も一定数おり、対等な立場で仕事を進めることが難しいケースもあります。

ベトナムオフショア開発の費用相場

人月単価[万円] プログラマー シニアエンジニア ブリッジSE PM
ベトナム 31.73(-13.3%) 39.88(-7.2%) 51.34(+5.6%) 57.94(-7.5%)

出典:【2022年最新版】ベトナムオフショア開発の人月単価相場 ※()内は前年比

人月単価の特徴・傾向

オフショア開発のなかでも近年特に人気が高いのがベトナムです。人気の理由には、やはり人件費の安さがあります。職種別の単価は上記表の通りで、日本の給与と比較するとその安さが際立ちます。

なお、ベトナムは昨年比でエンジニアやプロジェクトマネージャーの単価が低下。これはIT人材の育成が進んだことが背景にあると考えられます(ベトナムでは、1998年に制定された教育法に基づき、学校全体のデジタル化や科学・技術・工学・数学の強化に力を入れてきました)。

  • プログラマー31.73万円(昨年度比-13.3%)
  • シニアエンジニア39.88万円(昨年度比-7.2%)
  • PM(プロジェクトマネージャー)57.94万円(昨年度比-7.5%)

開発の進めやすさ

ベトナムはコスト面以外にも、さまざまな理由からオフショア開発が進めやすい国と言われています。

その一つが、国民性です。ベトナム人は日本人と同様、真面目で勤勉な人が多く、学習努力を怠らない傾向があります。またIT教育も盛んで、若く優秀なエンジニアが市場に多くいるため、安定的なIT人材の確保がしやすい国です。

さらにベトナムでは日本語学習者が増えて*いたり、第一言語に日本語を採用する学校もあることから、コミュニケーション面でも開発の進めやすい国と言えるでしょう(もちろんこれは相対的な話なので、依頼時に日本語レベルの見極めは必要です)。

*海外の日本語教育の現状によると、ベトナムにおける日本語の学習人数は2015年が64,863人だったのに対し、2018年には174,521人と169%増になっています。

時差は日本より-2時間。就業時間を8時〜17時とする企業も多く、日本側が10時〜19時であればぴったりと一致します。

関連記事:ベトナムのオフショア開発におすすめの会社と国の現状

フィリピンオフショア開発の費用相場

人月単価(万円) プログラマー シニアエンジニア ブリッジSE PM
フィリピン 36.25(+6.9%) 49.63(+3.7%) 71.07(+6.6%) 65.83(-11.0%)

出典:【2023年最新版】フィリピンオフショア開発の人月単価相場 ※()内は前年比

人月単価の特徴・傾向

フィリピンは日本語を話せる人はあまりいないため、ブリッジSEの単価が高い傾向があります。今回比較した5カ国の中では中国に続き単価が高い国です。

開発の進めやすさ

フィリピンは英語の語学力が高い国です。よって英語でのオペレーションが可能であれば優秀な人材を確保できる可能性が高いでしょう。

親日国としても知られるフィリピンは、外交関係も良好。また、日本との時差がわずか1時間であることからも開発のしやすい国といえます。

関連記事:フィリピンのオフショア開発におすすめの会社と国の現状

ミャンマーオフショア開発の費用相場

人月単価(万円) プログラマー シニアエンジニア ブリッジSE PM
ミャンマー 24.47(-10.3%) 37.89(+1.6%) 48.59(+18.1%) 62.81(-2.1%)

出典:オフショア開発白書2022年版 ※()内は前年比

人月単価の特徴・傾向

ミャンマーは今回比較した5カ国のなかでも特に人月単価が安い国です。特にブリッジSEとPMは単価が安い傾向にあります。

開発の進めやすさ

真面目で控えめな国民性で、日本人との相性も良く、開発を進めやすい国とされています。日本語の学習人数は2015年に11,301人から、2018年には35,600人と3倍以上に増加。しかしまだまだ少なく、語学力の壁は課題といえます。時差は2時間30分です。

バングラデシュオフショア開発の費用相場

人月単価(万円) プログラマー シニアエンジニア ブリッジSE PM
バングラデシュ 29.64(+25.2%) 39.64(+40.1%) 69.64(+18.2%) 46.07(-28.7%%)

出典:オフショア開発白書2022年版 ※()内は前年比

人月単価の特徴・傾向

バングラデシュは今回紹介した5ヵ国のなかでもっとも単価が安い国です。プログラマーとシニアエンジニアの職能で単価の下落が見られ、中国と比較すると約6割程度となっています。

ブリッジSEとPMは単価の上昇が顕著に見られます。

開発の進めやすさ

バングラデシュは英語が得意な国で、アメリカ企業の需要を取り込んでいる傾向が強くあります。技術面では発展途上のため、下流工程をバングラデシュで開発する進め方をする企業もあります。時差は3時間です。

オフショア開発会社の見極めポイント

得意領域を確認する

オフショア開発に依頼するときは、得意領域を確認しましょう。一言にオフショア開発ができるといっても、フロントエンド開発やアプリ開発が得意なのか、システム開発が得意なのか、得意な領域はさまざまです。

また、最近では、日本拠点と海外拠点が一緒になって開発することも多いため、それぞれの得意領域を確認するのもよいでしょう。

開発実績を確認する

次に確認すべき点は、「開発実績」です。やはり開発実績が数件の会社と数百件の会社では、信頼度が違います。

オフショア開発会社から提供される資料には、一部の実績しか記載されていないことがほとんどなので、商談でその他の実績も確認することをおすすめします。

このとき、実際に作りたいプロダクトの類似事例があるかどうかの確認は必須です。

また、件数だけでなく開発規模や期間、アサイン人数なども確認してみましょう。

依頼する開発内容が大規模な場合、トラブルシューティング時の対応方法も確認しておくと安心です。

コミュニケーションスキルを確認する

最後に、コミュニケーションスキルに関してです。オフショア開発を依頼するときは、現地エンジニアのスキルセットは確認すると思いますが、見逃しがちなのがブリッジSEの日本語能力。

発注前に面談などを実施し、コミュニケーションが問題ないか、こちらの質問にしっかり回答してくれているかを確認しましょう。

プロジェクトマネージャー(PM)は現地常駐がおすすめ

プロジェクトマネージャーは現地でアサインする会社も多いですが、依頼主側のプロジェクトマネージャーが現地に常駐するほうがプロジェクトは成功しやすいです。

なぜなら、現地でアサインした場合、心理的に丸投げしやすい傾向にあるからです。依頼主側のPMが現地常駐すれば、仮にプロジェクトが失敗したら会社はPMの責任だと評価します。

よって、「一緒に成功させよう」という心理が働き、現地で一生懸命コミュニケーションをとるようなり、結果としてプロジェクトが成功しやすいというわけです。

▼オフショア開発先におすすめの会社

さいごに

オフショア開発の費用について解説しました。

IT人材の不足がうたわれて久しい今日ですが、労働人口の減少、採用市場の激化が進む日本では、今後ますますエンジニア採用は厳しくなることが予測されます。

国内で採用をするという考えから、オフショア開発にチャレンジしてチームを作るという考えにシフトする企業も今後ますます増えていくはずです。

私たちは、ベトナムのホーチミンとフィリピンのセブ島にも拠点をもち、オフショア開発を推進する企業さまを支援しています。この記事をご覧になり、オフショア開発を検討したいという企業さまがいれば、ぜひ以下よりLIGのオフショア開発詳細をご覧ください。
 
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アクセンチュア株式会社にて、スクラッチ・パッケージ開発のデリバリー部隊に所属。100人規模のSIプロジェクトを多数経験。SI経験15年以上。経験領域はアプリ、IF、データ基盤、インフラ。クライアントファーストを信条にソリューションの提案からデリバリーまで幅広く実施。

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