こんにちは、WebクリエイタースクールデジLIG(デジタルハリウッドSTUDIO by LIG)運営スタッフの奥村です。
Webデザインを学んでいる受講生の方々とお話ししていると、「Webデザインに関する資格はありますか?」というご質問をいただくことがあります。
たしかに資格を持っていると自分のスキルを客観的に証明できますし、転職に有利な印象がありますよね。
この記事では、Webデザインに関する代表的な検定の一つである「ウェブデザイン技能検定」の概要や試験内容、その必要性について解説します!
ウェブデザイン技能検定とは?
ウェブデザイン技能検定は、Webサイトのデザイン・構築に必要な知識と技能を評価する、厚生労働省認定の国家検定です。
※なお、「ウェブデザイン技能検定」は国家「資格」ではなく、国家「検定」である点にご注意ください。
特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会が実施しており、実務経験の有無やスキルレベルに合わせて受検ができます。学科試験(マーク方式)と実技試験があり、合格者には「ウェブデザイン技能士」の合格証書が発行されます!
検定の等級は3段階。それぞれの等級について詳しく見ていきましょう。
3級:Webの基礎を学ぶ第一歩
Webデザインに関する基礎知識を習得したい方、Web業界への就職・転職を目指す初心者の方に最適です。実務経験は問いません。
試験内容 | Webデザインの基本的な知識(HTML、CSSの基礎、Webサイトの企画・設計、著作権など)と、簡単なWebサイトの制作スキルが問われます。学科試験と実技試験で構成されます。 |
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合格率と難易度 | 合格率は比較的高く、約60~70%程度で推移しています。Webに関する基本的な知識があれば、独学でも十分に合格を目指せる難易度と言えるでしょう。 |
2級:実務レベルのスキルを証明(実務経験者・ステップアップ向け)
Webデザイナーとしての実務経験が概ね2~3年程度ある方、あるいは3級に合格し、より実践的なスキルを身につけたい方が対象です。
試験内容 | Webサイトの企画・設計から、より複雑なHTML・CSSの記述、JavaScriptの基礎、ユーザビリティ・アクセシビリティへの配慮、SEOの基礎知識など、実践的な内容が出題されます。学科試験と実技試験があります。 |
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合格率と難易度 | 合格率は約30~40%程度と、3級に比べてぐっと下がります。実務経験で培った知識や、より専門的な学習が必要となるため、計画的な対策が不可欠です。 |
1級:高度な専門知識と指導力を示す最上位資格(上級者・リーダー向け)
Webサイトの設計・開発・運用において高度な専門知識と技能を持つ、経験豊富なWebデザイナーやWebディレクターが対象です。実務経験が概ね5年以上、または2級合格後に2年以上の実務経験などが求められます。
試験内容 | Webサイトのプロジェクトマネジメント、大規模サイトの設計、データベース連携、セキュリティ対策、最新技術の動向など、非常に高度で広範な知識と実技能力が問われます。企画提案書の作成やプレゼンテーションなども含まれることがあります。 |
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合格率と難易度 | 合格率は非常に低く、約10~20%程度です。Webデザインのあらゆる側面において深い理解と実践的な応用力が求められるため、難しい国家検定の一つと言えるでしょう。 |
ウェブデザイン技能検定を取得するメリット
国家検定であるウェブデザイン技能検定の取得は、キャリア面だけでなく他にも多くのプラスの効果をもたらします。検定の取得で得られる具体的なメリットを見ていきましょう。
メリット1:Webデザインの知識・スキルを体系的に習得できる
検定合格に向けた勉強を通して、Webデザインに関する基本的な知識を満遍なく学ぶことができます。協会から出ている練習問題・過去問題などを利用して習得度も確認できますし、試験対策とスキルアップを一緒に叶えることができ一石二鳥です!
メリット2:就転職やキャリアアップで有利になる可能性がある
Webデザインに関する自身の専門性と実務能力を客観的に証明できるので、就職・転職時のアピールポイントとなるだけではなく、社内での評価向上やキャリアアップにもつながるでしょう。
検定に合格した事実だけではなく、業務外でも学習をコツコツ続けられる人材であることもアピールでき、ポジティブな印象を与えられますね!
メリット3:顧客や取引先からの信頼度が向上する
検定に合格をすると「ウェブデザイン技能士」という肩書を得られるので、特にフリーランスの方は顧客や取引先からの信頼度も上がりますし、新規顧客へのアピールポイントにもなります。
また等級によってスキルレベルが明確なので、どんな仕事を依頼できるか相手もイメージしやすいでしょう。
メリット4:デザイン学習のモチベーションにつながる
デザイン学習の目的の一つに「ウェブデザイン技能検定の合格」を掲げれば、達成に向けて勉強をするモチベーションにつながります。
どうやってWebデザインの勉強を始めたらいいのか分からない場合の、最初の入り口としても最適です!
知っておきたい注意点|「意味ない」は本当?
検定取得を目指す前に、以下のような点も踏まえておきましょう。
【結論】ウェブデザイン技能検定は「意味ない」のか?
ネットで「ウェブデザイン技能検定」と検索をすると、「意味ない」という意見も見受けられます。
しかし先ほど解説したように、実際にはスキルを身につける機会になったり、キャリアアップの後押しになったりと、検定取得で得られるメリットは十分にあります。一概に「意味がない」とは言えず、むしろ有用な検定であると言えるでしょう。
ただし、検定に合格したからといって必ずしも就職やキャリアアップにつながるわけではないため、注意しましょう。
検定合格はあくまでもスキルの証明にすぎない
ウェブデザイン技能検定をはじめ、Webデザイン関連の検定や資格は、医師などの国家資格のように資格を持っていれば業務ができるものではありません。たとえ検定に合格していても、実務が未経験の場合Webデザイナーへの転職が難しいこともあります。
そのため、検定の取得だけにこだわるのではなく、学んだ知識を積極的にアウトプットすることが大切です。
自主制作などのアウトプットを通して、自分のスキルを見える形で示せるようにしておくと、転職活動でも大きな武器になります。
就職・転職にはポートフォリオが重要
Webデザイナーへの転職は、必ずしも資格がなければ実現できないわけではありません。
未経験でWebデザイナーへ就職・転職を目指す場合は、やみくもに資格取得を目指すのではなくポートフォリオを作り込むことがとても重要です。
ポートフォリオ制作を通して、「誰に向けたデザインか」を意識しながら制作を行い、デザインの意図を言語化する練習を重ねることで、実践的なスキルを身につけることができます。
未経験から転職を目指す方のポートフォリオ制作に参考になりそうな記事をピックアップしてみましたので、ぜひ参考にしてみてください!
Webデザインスクール卒業生のポートフォリオ作品を23例紹介! 目に留まるポートフォリオの作り方|職種別のポイントを徹底解説!
試験内容は学科と実技! 試験内容と学習ポイント
ここからは実際に、ウェブデザイン技能検定の試験内容や学習方法について解説していきます。
ウェブデザイン技能検定の公式サイトの情報をもとに、各級の内容を確認していきましょう。
【各級共通】試験の基本情報
試験方式 | 合格基準 | |
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学科 | 筆記試験(マーク式) | 70点以上(100点満点) |
実技 | 課題選択方式(PC使用) | 70点以上(100点満点:ただし、試験要項に示す各作業分類において配点の60%以上の得点を得ること) |
学科試験の出題内容
どの等級においても、以下の10の試験科目が共通して設定されています。
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- インターネット概論
- ワールドワイドウェブ (WWW) 法務
- ウェブデザイン技術
- ウェブ標準
- ウェブビジュアルデザイン
- ウェブインフォメーションデザイン
- アクセシビリティ・ユニバーサルデザイン
- ウェブサイト設計・構築技術
- ウェブサイト運用・管理技術
- 安全衛生・作業環境構築
ただし、各科目で問われる知識の「深さ」が等級によって異なります。各等級で問われる知識レベルは、「一般的な知識」「詳細な知識」という表現で区別されています。
3級 | ・インターネットの仕組み、ネットワーク技術、標準規格、セキュリティ技術、知的財産権、各種法令などについての「一般的な知識」 ・HTML/XHTML、CSS、スクリプトのコーディング技術についての「一般的な知識」 ・Webサイトの企画・設計、デザイン、運用管理、安全衛生についての「一般的な知識」 |
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2級 | ・インターネットの仕組み、ネットワーク技術、標準規格、ウェブブラウジング、インターネット最新動向と事例などの「詳細な知識」 ・セキュリティ技術、知的財産権、各種法令についての「一般的な知識」 ・HTML/XHTML、CSSのコーディング技術、マルチメディアと動的表現についての「詳細な知識」 ・スクリプト、サーバサイドアプリケーション、ウェブ標準、データベース連携、アクセシビリティ・ユニバーサルデザインについての「一般的な知識」 ・Webサイトの運用・管理技術についての「詳細な知識」 |
1級 | ・インターネット概論、インターネットにおけるセキュリティ技術、インターネット最新動向と事例についての「詳細な知識」 ・ワールドワイドウェブ法務(知的財産権や法令)についての「一般的な知識」 ・HTML/XHTML、CSSのコーディング技術、スクリプト、ウェブビジュアルデザイン、ウェブインフォメーションデザイン、アクセシビリティ・ユニバーサルデザイン、ウェブサイト設計・構築技術、ウェブサイト運用・管理技術、安全衛生・作業環境構築などの「詳細な知識」 |
実技試験の出題内容
どの等級も「ウェブサイト構築」に関するスキルが問われますが、その範囲と複雑さが異なります。
3級 | ・ウェブサイトのデザインに関する作業ができること(HTML/XHTML/CSSによるコーディング、画像の利用、マルチメディアデータの利用、ページデザイン・レイアウト、アクセシビリティ) ・ウェブサイトの運用・管理に関する作業ができること(更新・管理) |
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2級 | ・ウェブサイトのデザインに関する作業ができること(HTML/XHTML/CSSによるコーディング、画像の作成・加工と利用、マルチメディアデータの作成・加工と利用、スクリプトの利用、ページデザイン・レイアウト、アクセシビリティ) ・ウェブサイトの運用・管理に関する作業ができること(データアップロード、更新・管理) |
1級 | ・ウェブサイト構築に関する設計・計画ができること(設計、計画、情報デザイン) ・ウェブサイトのデザインに関する作業ができること(HTML/XHTML/CSSによるコーディング、画像の作成・加工と利用、マルチメディアデータの作成・加工と利用・配信、スクリプト・サーバサイドアプリケーションの作成・加工と利用、ページデザイン・レイアウト、アクセシビリティ) ・ウェブサイトの運用・管理に関する作業ができること(データアップロード、更新・変更、チューニング) |
※実技試験は、事前に使用ソフトウェアがダウンロードされた試験用のパソコンを使用します。
合格に向けた学習のポイント
ウェブデザイン技能検定に向けた学習では、出題傾向を把握しながら効率よく学習を進めることが大切です。
公式サイトでは、学科試験・実技試験それぞれの練習問題や過去問題が掲載されています。それらを活用して、試験内容に慣れていきましょう。
特に実技試験の対策に関しては、問題集でのインプット学習だけでなく、実際に手を動かすことがとても大切です。
自主制作やスクールの課題などを活用して、知識をアウトプットしながら理解を深めていきましょう。
受検概要と合格発表までの流れ
試験日程と受検会場
2025年度のウェブデザイン技能検定は、年間4回実施されます。
実施等級 | 実施日 | 申込期間 | 受検会場 | |
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第1回 | 2級、3級 | 2025年5月25日(日) | 2025年4月1日(火)~2025年4月15日(火) | 2級:東京、愛知、大阪、福岡 3級:北海道、東京(川崎市を含む)、愛知、大阪、福岡 |
第2回 | 2級、3級 | 2025年8月24日(日) | 2025年6月30日(月)~2025年7月14日(月) | 2級:宮城、埼玉、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡 3級:北海道、宮城、埼玉、東京(川崎市を含む)、神奈川、石川、愛知、大阪、岡山、福岡 |
第3回 | 1級学科、2級、3級 | 2025年11月30日(日) | 2025年9月29日(月)~2025年10月14日(火) | 1級学科:東京、大阪 2級:北海道、宮城、埼玉、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡、沖縄 3級:北海道、宮城、埼玉、東京(川崎市を含む)、神奈川、愛知、大阪、岡山、福岡、鹿児島、沖縄 |
第4回 | 1級実技、2級、3級 | 2026年2月15日(日) | 2025年12月25日(木)~2026年1月8日(木) | 1級実技:東京、大阪 2級:宮城、埼玉、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡、沖縄 3級:宮城、埼玉、東京(川崎市を含む)、神奈川、愛知、大阪、岡山、広島、福岡、沖縄 |
※1級の実技試験は、学科試験に合格した方のみ受検できます。(学科試験の合格日から2年以内)
受検手数料
学科試験 | 実技試験 | |
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1級 | 8,000円 | 25,000円 |
2級 | 7,000円 | 16,000円 |
3級※ | 6,000円 | 8,000円 |
※受検手数料は非課税です。
※3級の場合、23歳未満の在職者は4,000円、23歳未満の在職者以外は6,000円となります。
申し込み方法
ウェブデザイン技能検定は、インターネットからの申し込みが基本となります。
受検申請期間中に、公式サイトの「受検申請」ページより必要事項を入力します。申請後に支払い手続きに関するメールが届きますので、メール内容に従って決済を行います。
その後、試験日の約2週間前を目安に受検票が郵送されます。受検票には試験会場の詳細、持ち物などが記載されていますので、必ず確認しましょう。
合格発表の日時と確認方法
合格発表は、試験日から約1ヶ月後に公式サイトで行われます。
合格発表日時に、Webサイトの「合格発表」ページにて合格者の受検番号がPDFファイル形式で発表されますので、ご自身の受検番号を確認してください。
まとめ
ウェブデザイン技能検定は、Webデザインスキルを客観的に証明するうえで非常に有効な国家検定です。転職やキャリアアップを見据えて計画的に学習を進め、Webデザイナーとしてのキャリアを切り拓きましょう!
もし、未経験から最短でプロを目指したいなら、Webデザインスクールで基礎からしっかり学ぶのがおすすめです。
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