LIGブログ編集長のMakoです。
弊社が運営するWebクリエイタースクール「デジタルハリウッドSTUDIO by LIG」(通称デジLIG)は、2023年3月に「リーダーズ講座」を開講しました。
- リーダーズ講座とは
- 本気でクリエイターを目指すみなさんの学びを支援すべく、業界歴10年以上のトップクリエイターを講師に迎えお届けするデジLIGだけの特別講座。詳細はこちら
大好評につき、このたび新たに2名の講師をお招きして第2クールをスタートします!
新講師のお1人目は、フロントエンドエンジニアとして大活躍されているunshiftの長谷川巧さん(@_unshift)。プロのクリエイターはどのようなマインドで仕事に向き合っているのか、ぜひご注目ください。
▲長谷川さんのポートフォリオサイト(https://unshift.co.jp/)
講師:株式会社unshift Developer 長谷川 巧 氏unshift Inc. front-end / creative developer。STUDIO DETAILS ディベロッパーチームの外部アドバイザー。2008年からFlash、フロントエンド、バックエンドの分野でWebサイト制作に携わり、数社を経て2016年にフリーランスとして活動を開始。2021年11月にunshift Inc.として法人化。WebGLなどのWebグラフィック技術を用いたWebサイトの実装を多数手掛ける。 |
聞き手:株式会社LIG Digital Education部マネージャー 林 隼平日本大学芸術学部卒業後、テレビ、ラジオ、Webメディア、プロスポーツイベントなど、複数の媒体にてディレクター職を経験。2018年9月からLIGにセールスメンバーとして入社し、教育事業部に配属(現デジタルエデュケーション部)。自身のクリエイターとしての経験を生かし、現在はマネージャーとしてWebクリエイタースクール事業「デジタルハリウッドSTUDO by LIG」の事業企画、運営を行い、クリエイター育成をミッションとしている。 |
目の前の情報は疑ってかかれ
林:長谷川さん、このたびは講師をお引き受けいただきありがとうございます! ご快諾いただけた理由をぜひ教えていただけますか。
長谷川:僕はいままで、業界内の勉強会で本当にたくさんのことを学ばせてもらってきました。なので自然と、「これからは自分が持っている知識を若い人たちに伝えていけたらいいな」「業界に育ててもらった分、恩返しをしたいな」と思うようになったんです。そこで今回もお引き受けすることにしました。
それにいまって、情報が溢れすぎていて、正しい情報を探し出すことがとても難しいと感じています。いかにも正しそうな動画のチュートリアルであっても、間違っていることがたくさんある。こうした状況に困っている人たちの手助けができればいいな、と思っています。
林:たしかに、AIの普及によってますます正しい情報の見極めが難しくなりましたよね。
長谷川:ChatGPTも平気でウソをつきますからね。だから僕はよく後輩に、「目の前の情報はすべて疑ってかかれ」と伝えています。ブログを鵜呑みにするのではなく、できるだけ公式の情報をとりにいく。この業界では「3か月前の情報でも古い」ことがよくあるので、必ず最新の情報をとりにいく。そんな習慣を身に付けてほしいですね。
リーダーズ講座ではこうした情報収集・発信方法をはじめ、デザイナーとエンジニア、どちらの道に進むとしても役に立つことをお伝えできればと考えています。もちろん、エンジニア視点での「デザイナーに身に付けておいてほしいこと」もお話しする予定です。
林:ありがとうございます! フロントエンドエンジニア視点での唯一の講座、開講がますます楽しみになりました。
好きじゃないと、仕事にできない
林:長谷川さんは新卒からフロントエンドエンジニアとして働かれていますが、プログラミングはどのようにして学ばれたのでしょうか?
▲制作実績「KUMALEON」(https://kumaleon.com/)
長谷川:初めてプログラミングに触れたのは大学の授業内で、当初から「おもしろいな」と感じていました。そんなときにちょうど、「大学の非公式ポータルサイトを一緒に作らないか」と友人に誘われたんです。でもその友人はWebに詳しくなくて、「サイトを作るのはお願い」と言われてしまって(笑)。これを機に一生懸命本を読み漁り、HTMLやCSS、PHPを独学で学ぶようになりました。
林:ご友人からのお誘いがWebサイトを作る最初のきっかけになったんですね。そこから「エンジニアとして就職しよう」と考えたのはどうしてですか?
長谷川:過去にさまざまなアルバイトを経験してきたんですが、そこでやっぱり「好きなことじゃないと仕事にできないな」と感じたことが大きかったですね。だから当時やっていて一番楽しかった「Webサイト制作を仕事にしよう」と決めました。
ただ、僕が就職活動をおこなった2008年ごろは新卒を採用している制作会社がほとんどなくて、ポートフォリオを直接送ってアプローチするしかありませんでした。そのなかで幸いにも僕に興味を持ってくれた会社があり、無事に働き始めることができました。
林:実際にフロントエンドエンジニアとして働いてみて、いかがでしたか?
長谷川:「楽しみながら仕事ができているな」という感覚は昔からずっとあります。1社目のコンセントではフロントエンドだけでなくサーバーサイドまで担当させてもらったり、2社目のソニックジャムではリーダー業務を任せてもらったりと、本当にいろんな経験を積むことができました。
しかし同時に、「フロントエンドエンジニアとしてもっとスキルアップしなきゃダメだ」という思いもありました。会社に所属しているとどうしてもプロジェクトメンバーが固定化されてしまうので、「もっといろんな人と一緒に仕事をして、スキルを磨きたい」と強く感じるようになったんです。そこで2016年にフリーランスになりました。
こうした経緯で独立したので、新しい取引は可能な限りお引き受けするようにしています。
林:十分ご活躍されているなかでも自己否定して高みを目指す姿勢、とてもカッコいいです……!!!
仕事を楽しむためのマイルール
林:長谷川さんのお話からは、「仕事を楽しもう」というスタンスがすごく伝わってきますね。
長谷川:たしかに、どんな仕事であっても自分が「楽しい」と思えるポイントを探したり、作ったりすることは大事にしていますね。
たとえば、僕はどんなプロジェクトであっても「今回はこれにチャレンジするぞ」という裏テーマを設定するようにしているんですよ。こうやって仕事に臨むと、どんな仕事であっても得るものがあり、成長につなげられるんじゃないかと思っています。
林:素敵なマイルールですね! ぜひデジLIG生にも取り入れてもらいたいと思いました。ちなみに長谷川さんは、どんな瞬間が一番「楽しい」ですか?
長谷川:やっぱり頭のなかでイメージしていたものがちゃんとカタチになって動いた瞬間が楽しいですね。昔からずっと、いまもそうです。
林:エンジニアの場合、デザイナーやディレクターの頭のなかにあるイメージを汲み取らなければいけないことも多いのではないかと思います。齟齬をなくすために、どのようなコミュニケーションを心がけていらっしゃいますか?
長谷川:きちんと参考を共有しあうのはもちろんのこと、僕が大切にしているのは「はやく、小出しにすること」ですね。間違った方向のまま実装を進めてしまわないよう、まずはすぐにモックアップを作って、フィードバックをもらい、ブラッシュアップするように心がけています。
ちなみに経験が増えれば増えるほど、「この指示どおりに実装するとちょっと動きが多すぎるかもしれないな」と、完成形を事前にイメージできるようになります。「おそらくこういう仕上がりになると思うので、一部僕のほうで調整してみますね」とこちらからアニメーションを提案することもありますよ。
林:経験によってイメージの解像度は上がっていきますよね。受講生のみなさんにもどんどん手を動かしてもらいたいな、と改めて感じました。
フロントエンドエンジニアのこれから
▲制作実績「貝印 やさしい切りかた辞典」(https://www.kai-group.com/products/special/hocho/yasashii/)
林:最後に、長谷川さんから見てフロントエンドエンジニアという仕事はこれからどう変化していくと思いますか?
長谷川:PCやスマホのディスプレイが2Dであるうちは、そこまで大きく仕事は変わらないのではないでしょうか。ただ、AIやノーコードツールといった「作る道具」が増えて、誰もが複雑なWebサイトでも比較的手軽に作れる時代になったことで、おそらく「粗いもの」が世の中にたくさん出回ることになるんじゃないかと思っています。
だから僕は改めて、「プロならばきちんとクオリティの高いものを作っていかなきゃいけないな」と感じていますね。
林:おっしゃるとおりですね。このリーダーズ講座も「プロの基準」を体感できる場となれば嬉しいです。長谷川さんの講座、とても楽しみにしています!
さいごに
私たちデジLIGは、「スクールを卒業してデザイナーになること」がゴールではなく、5年後10年後に「クリエイターとして良いキャリアを築くこと」を本気で支援したいと考えています。
長谷川さんの初回授業は2023年9月に開催予定。本気でクリエイターを目指すみなさん、デジLIGにてお待ちしております!