オウンドメディア運営に影響大!目の前に迫ったGA4完全移行どう備えるべき?

オウンドメディア運営に影響大!目の前に迫ったGA4完全移行どう備えるべき?

Jo Ota

Jo Ota

メディアコンサルタント、太田ジョーです。企業のオウンドメディア運営に携わり、効果最大化に向けたお手伝いをさせていただいています。

オウンドメディアなどのメディア運営において欠かせないのが、Google Analyticsによるデータ収集と分析です。実はこのGoogleアナリティクスは、これまで利用されていたユニバーサルアナリティクス(以下、UA)から、新バージョンとなるGoogleアナリティクス4(以下、GA4)に切り替わることがアナウンスされています。

「UAからGA4に切り替わることで何が変わるの?」
「サイト運営者はどのような準備をしておけばいいの?」

そんな不安を抱える方に向けて、UAやGA4の大きな違いGA4を活用したKPI設定のコツについて、アクセス分析のスペシャリスト・バクリの荒川さんにお話を伺いました!

※2023年4月17日に開催されたバクリ株式会社とLIGによる共同セミナー「GA4完全移行前の準備セミナー」のレポート記事です。

ico 登壇者:バクリ株式会社 代表 荒川大史氏インターネット専門の広告代理店にて営業、マーケティング、コンサルタントとして従事した後、バクリを創業。アクセス分析のスペシャリストとして、これまでに幅広い業種の企業のWebマーケティングを手がけてきた。
ico モデレーター:株式会社LIG メディアコンサルタント 太田穣地域密着系広告会社のプランナーとして企業の広報活動を支援した後、LIGに入社。デジタルマーケティング領域を担当。

UAは2023年7月1日をもって廃止!

現状、オウンドメディア等で導入しているGoogleアナリティクスは、GA4に変更していない限りは従来のUAと呼ばれるバージョンのままになっています。

しかし、このUAは2023年7月1日をもって廃止されることが決まっており、それ以降は一切のデータを取得できなくなります。過去に取得したデータは最低6ヶ月間は閲覧できますが、いずれにしても最終的にはGA4に乗り換える必要があります。

オウンドメディアを運営している企業は、できるだけ早くGA4プロパティを作成してGA4に乗り換えましょう。なぜなら、UAデータはGA4に移行も引き継ぎもできないからです。前年同月比などのデータを比較したいのであれば、GA4で並走してデータを取っておかなければなりません。

UAとGA4の違いとは?

さらに注意したいのは、UAとGA4では取得するデータの取り方などに多くの違いがあることです。

セッションの定義

たとえば「セッション」の定義。ユーザーがアクセスして30分経つまではセッションが消えず、何度アクセスしても同一のセッションとしてみなされる点はUAもGA4も同じなのですが、気をつけるべきは日をまたいだ際のセッションの扱いが変わること。

UAでは日付が変わるとたとえ30分経っていなくてもセッションは消去され、新しいセッションとしてみなされていました。つまり、同一ユーザーが日をまたいで短時間でアクセスしても、2セッションとして計測されていたわけです。

GA4ではこの日またぎがあった場合でもセッションが切れなくなり、30分経つまでは同じセッションとして扱われます。

さらに、UAでは集客元のソースが変わると同一ユーザーであってもセッションが切れていたのですが、GA4ではこれもセッションが継続することになりました。

ユニバーサルアナリティクス(UA) Googleアナリティクス4(GA4)
滞在30分以内 同一セッション 同一セッション
日付をまたぐ 別セッション(2セッション) 同一セッション
集客元のソースが変わる 別セッション(複数セッション) 同一セッション

これらの変更により考えられる影響としては、サイトのセッション数がこれまでより少なく計測されるということです。もちろん、セッションの計測方法が変更になっただけなので、実質的な部分はそのままなのですが、数字という点でいえば変わることになります。

CVのカウント方法

また、オウンドメディアで重要なCVの取り扱いにもGA4で変更が入りました。

具体的には、同じセッション中に2回以上の同一CVがあった場合、従来のUAでは1CVとしてカウントしていたのですが、GA4からは回数分カウントされることになります。つまり、同一ユーザーがホワイトペーパーを5回ダウンロードしたら、データ上は5CVになるわけです。

CVをお問い合わせなどに設定している場合はそれほど変わらないかもしれませんが、資料請求などをCVに設定している場合はGA4で取得するCVがこれまでよりも増える可能性があります。

「直帰率」がなくなり「エンゲージメント率」取得へ

加えて、これまでUAで重要な指標として扱われることの多かった「直帰率」がなくなることも大きな変更点でしょう。データ取得の仕方が変わるのではなく、そもそも直帰率自体を取得しなくなるのです。

代わりにGA4から新しく取得し始めるのが「エンゲージメント率」です。

▼エンゲージメント率とは
以下のいずれかの場合に、エンゲージメントしたとしてカウントされる数値のこと。
  • 10秒以上閲覧を継続した
  • 1件以上のコンバージョンイベントがあった
  • ページビューが2回以上あった

エンゲージメント率を取得するようになった背景には、直帰率計測における弱点が関係しています。

たとえばそのページを訪れたユーザーが、ページの途中にあった動画を3分くらいじっくりと見てそのあとページを閉じたとします。この場合のアクセスは非常に良質なものといえるはずですが、従来の直帰率の考え方だと直帰扱いになってしまうのです。

こうした問題点を解消するために変更が加えられ、直帰率ではなくむしろ良質なアクセスかどうかを判断するエンゲージメント率という考え方が導入されました。

「平均ページ滞在時間」や「平均セッション時間」も廃止へ

さらに、「平均ページ滞在時間」や「平均セッション時間」という指標もなくなりました。かわりに「平均エンゲージメント時間」「セッションあたりのユーザーエンゲージメント時間」という指標が導入されています。

表

平均エンゲージメント時間は、Webサイトの場合はブラウザ上でフォーカス状態※にあった時間の平均値であり、アプリの場合はフォアグラウンド表示※されていた時間の平均値となります。そして、これらのユーザーエンゲージメント時間をセッションごとに取得するというわけです。

※フォーカス状態・フォアグラウンド表示・・・ともにユーザーが操作できるアクティブな状態のこと

従来の考え方だと、仮にページをいくつも遷移してサイト内を十分に回遊した場合、平均ページ滞在時間は短く計測されてしまい、良質なアクセスとはみなされませんでした。しかし、しっかり回遊してくれているということは本来ユーザーのエンゲージメントは高いはずです。

このような計測と現状のギャップを修正するために、GA4ではいくつもの変更が加えられているのです。

サイト改善に繋げるためのKPI設定方法

では、このような変更点を踏まえてオウンドメディアを育てるために何をすべきなのでしょうか。

そもそもGA4は「サイトの成果改善」に繋げるためのアクセス解析ツールです。ポイントはただ漫然と数字を追いかけるのではなく、なぜその数字になっているのかの要因を探り、改善の示唆を見出すことです。そして、改善の示唆を見出すためにはオウンドメディアのKPIが定まっていなければなりません。

ここからは、サイト改善のためのKPI設定のコツについてご紹介していきます。

セッション数・PV至上主義に陥らない

オウンドメディアのKPIとしてありがちなのが、セッション数やPV至上主義に陥ってしまうことです。ページを回遊しなくてもエンゲージメントが高いユーザーもいます。PVだけでなく質もしっかりと見るべきなのです。

表

もちろんPVやセッション数も重要な指標の1つではあります。オウンドメディアのKPIとしては、セッションやPVを基本としつつも、エンゲージメント率や読了率なども同時に見ておくのが良いでしょう。

CVのハードルを上げすぎない

KPIに関してもう1つ陥りがちな落とし穴が、「CVをお問い合わせにしてしまう」ことです。

なぜならオウンドメディアはそもそも情報収集をするために検索でユーザーが流入してくるのが一般的だからです。そうしたユーザーはもともと直帰率が高く、必要な情報を得たらサイトを離脱してしまうのが普通です。

そのようなユーザーに対して「お問い合わせ」をCVに設定するのは相当難しいと言わざるを得ません。また、お問い合わせだけでなく資料請求もハードルの高いCVです。それよりも、メルマガの登録をCVにするなどハードルを下げることが大事です。

サービスサイトへの遷移数もおすすめ

また、オウンドメディアからビジネス・サービスサイトへの遷移数もCVに設定しておくのがおすすめです。なぜなら、サービスサイトへ遷移したということは、少なくともユーザーが自社のサービスや製品に興味を持ってくれたことを意味するからです。

GTMを経由してイベント設計をする

運営者が自らイベントを設計しCVとして設定することも重要です。それも、GA4ではなくGTM(Google Tag Manager)を経由するのがポイントです。これはGTMの方がトリガーでデータ取得を制御できるなど、設定を行う上での柔軟性が高いからです。ただし、設定から反映まで数時間から数日かかることもあるため、急ぎの場合はGA4で設定することもあります。

さいごに

セミナーではこの他にもユーザーのセグメントの設定や、GA4で見るべき指標、GTMでの設定の方法など多数の具体的なノウハウが語られました。

UAからGA4への移行はもう目の前に迫っています。移行後になって慌てないためにも、今からしっかりと取り組んでいきましょう。

GA4移行含め、オウンドメディアの運営にお困りの方は、ぜひ弊社LIGへご相談ください!

 
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地域密着系広告会社のプランナーとして7年間、企業の広報活動を支援。WebディレクションやSNS運用、企業タグライン開発や広告クリエイティブ制作など、守備範囲の広い業務を柔軟に対応。コピーライターとデジタルマーケターの2つの視点を活かした提案が得意。WACA上級ウェブ解析士。地域広告賞受賞多数。週6日は水玉の服を着ている。Twitter:@jo_ota_dot

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