こんにちは、Webクリエイタースクール「デジLIG(デジタルハリウッドSTUDIO by LIG)」運営責任者の林です。
これからWebデザイナーを目指す人の中には、「AIに代替されてしまうのでは」「将来性はあるのか」などの不安を持っている人もいるのではないでしょうか。
Webデザイナーについて調べてみると、「やめとけ」「食えない」「現実は厳しい」といった意見もあり心配になりますよね。
そこで今回は、Webデザイナー職の将来性について、経済産業省の調査や求人動向などを元に徹底解説いたします。
あわせて、Webデザイナーとして活躍し続けるために必要なスキル・知識についても紹介するので、これからWebデザイナーを目指す人や、既にWebデザイナーとして活躍している人もぜひ参考にしてください。
目次
※編集部注:この記事は、2024年8月に最新情報を踏まえ再構成・編集しました。
現在のWebデザイナーの需要・市場動向
まずはWebデザイナーの需要や求人動向について、お話していきます。
Web業界の市場動向
Webデザイナーは、Webサイトに関するデザインを行う仕事なので、その需要はWebサービスの普及やWeb業界の発展に依存します。
2023年に経済産業省が発表したECサイトの市場規模*を見ると、2022年の国内電子商取引市場規模、22.3兆円で、2013年からは200%近く増加していました。(*参考:令和5年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査))
このような市場の追い風を受けて、Webデザイナーを含むIT人材の需要は年々高まっており、2019年に経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」では、IT人材の需要ギャップは今後も年々増え、2030年時点では約45万人の人材が不足すると予測されています。
つまり、市場としてはかなり追い風である考えてよいでしょう。
この後つづけて紹介しますが、求人動向を見てもWebデザイナーの需要は高まっているといえそうです。
Webデザイナーと求人動向
2024年の求人数は、前年比で増えている
予測で需要が増えているといっても、実際に求人数が増えているのかが気になるポイントです。調査の時期がずれてしまったのであくまで参考値ではありますが、調査を開始した2021年6月からは求人数は右肩あがりになっています。
2022年6月時点と比較すると、約220%増という結果になりました。
2024年7月 | 2022年6月 | 2021年6月 | |
---|---|---|---|
求人数 | 84,421件 | 42,922件 | 26,354件 |
※求人ボックスの数字を引用しています。
Webデザイナーと他職種の求人数比較
グラフィックデザイナー | Webデザイナー | Webディレクター | |
---|---|---|---|
求人数 | 22,731件(8,194件) | 84,421件(26,354件) | 50,910件(20,778件) |
年収 | 426万円 | 433万円 | 493万円 |
※求人ボックス2024年7月29日時点の情報※()内は2021年6月時点との比較。
求人ボックスで求人数と年収の比較をしてみると、年収については職種ごとにさほど差はない印象ですが、求人数をみてみると、グラフィックデザイナーはWebデザイナーの3分の1ほどの求人数でした。
さらに2021年からの求人増加数を見ても、同じデザイナーでも、Webと紙媒体のデザイナーの需要の差があることがわかります。
グラフィックデザイナーとの将来性を比較
続いてWebデザイナーとよく比較されるグラフィックデザイナーの将来性についても見てみましょう。
- ※グラフィックデザイナーとは
- 雑誌や新聞などの紙媒体の広告、パッケージや看板などのデジタル(Web)ではないデザインを行うデザイナーのこと。
紙媒体の販売額は減少傾向
出典:2020年版 出版指標 年報(公益社団法人 全国出版協会出版科学研究所)
2020年版出版指標年報によると、紙媒体の出版物の販売額は年々減少傾向にあることがわかります。現役世代の紙媒体離れやマスメディアの台頭から、現在のインターネットの普及に伴い、今後さらに紙媒体の販売額が低下していくことが予測されます。
- 書籍:1996年のピークを皮切りに長期的低下
- 月刊誌:1997年をピークに、以降22年連続低下
- 週刊誌:速報性を重視した週刊誌はスマートフォンなどの普及などが原因となり低下の傾向
紙媒体の需要とバトンタッチのような形でWebの需要はさらに増えていくでしょう。身の回りを見ても、新聞や雑誌などの出版物の電子化も急速に進んでいますよね。
Webデザイナーの将来性がない・仕事がなくなると言われる理由
ここまで紹介したように、Webデザイナーの需要は今後も引き続き高まっていくことが予測されています。ではなぜ、Webデザイナーの将来性がない・仕事がなくなるといった意見があるのでしょうか。
これらの意見を見ていると、だいたい以下の意見に集約されていました。
Web制作をするだけの会社は将来性がない
Brandon K. Hillさんの記事が、今から7~8年ほど前にSNS上で話題になったようです。この記事では、アメリカにおいてはWebサイトを制作をするだけでは生き残れない、といった旨の内容が書かれていました。
その理由を要約すると、以下のような内容です。
- 多くの企業ではデザインの内製化を進めている
- デザインのコモディティ化が進み、コストの安い国外に発注する事が増えている
- 優秀なフリーランスがたくさんいる
この話が派生した結果、Webデザイナーの仕事がなくなるという考えになってしまったのかもしれません。
もし日本で同様のことが起こるにしても、逆に言えばインハウスのWebデザイナーは需要が高まるといえます。また、フリーランスとして活躍できる場がより増えるとも考えられますし、悪いことばかりではないかなと思います。
経験の浅いWebデザイナーが市場に多いから
比較的未経験からでも目指しやすい・かつ在宅でも仕事をしやすいWebデザイナーは、コロナ禍の影響もあり目指す人が一気に増えました。Webデザイナー人材の養成を目的としたスクールもよく見かけるようになりましたよね。
一気に目指す人が増えたということは、それだけ経験の浅いWebデザイナーが市場に多くいる状況と考えられます。しかし、企業はやはり即戦力を求める傾向があり、このギャップから「(経験の浅い)Webデザイナーが多すぎる」「飽和状態である」といった意見がでてきたと考えられるでしょう。
AI技術の発達でWebデザインの仕事が代替される
もう一つWebデザイナーの将来性が不安視される理由としては、AI技術の発達によりコーディングなしでデザインができるWebデザインツールがでてきているから、というものがありました。
フリーランスの人や個人事業・中小企業経営者などは、Webサイトはある程度のデザインであれば満足という人も多いです。このような状況下で、自動でWebデザインを行なってくれるツールが数多くでてきており、「Webデザイナーの仕事がなくなる」と危惧する意見もでてきているのでしょう。
- 自動Webデザインツールの例
-
- STUDIO
- Wix
- リスト
- Jomdo
- Ameba Ownd
- Weebly
- ペライチ
インバウンドマーケティングのプラットフォームの需要が上がっている
そもそもWebサイトを制作する目的は、自社の製品やサービスを知ってもらい、お客さんになってもらうことです。つまり、Webサイトを作って終わりではなく、どうやって潜在顧客から見込み顧客へ引き上げていくかを考える必要があります。(マーケティング用語では、これを「ナーチャリング」と言います。)
このような顧客主体のマーケティング手法をインバウンドマーケティングといいますが、近年は、米国HubSpot社のような、インバウンドマーケティングを一括管理できるマーケティングツールがでてきています。
このマーケティングツールでは、ほぼノーコードでサイトを制作できる機能も備わっており、簡単なサイトであればすぐに制作できてしまいます。そのため、Webデザインを外注するメリットが薄いと感じることも往々にしてあるでしょう。
以上が、Webデザイナーの将来性を不安視する声をまとめたものになります。
これらの意見を踏まえて言えるのは、AI技術などの発達によりWebデザイナーの求められる技術が上がってきている、というのは事実だということです。
ただし、これはWebデザイナーに限った話ではありません。AI技術に代替される仕事はなくなるというのは、何年も前から言われてきていました。そのため、必要以上に不安がる必要はないかと思います。
今後どんなスキルが求められるのかを理解しそれを着実に身につけていけば、Webデザイナーはこれから先も需要のある職業といえるのではないでしょうか。
Webデザイナーが今後求められる知識・スキルとは
では、Webデザイナーとして今後も仕事をしていくためには、デザインスキル以外にどんなスキルが必要になるのでしょうか。
マーケティングの知識
WebデザイナーはクライアントからWeb制作の依頼を受けた際、デザイン力だけでなくマーケティングスキルを求められることがあります。そもそもWebサイトはクライアントの課題を解決するためにあり、その目的に沿ったデザインでなくてはいけません。
例えばあなたがクライアントだったと仮定しましょう。下記のどちらのほうがお金を払ってサイトを作った甲斐がありますか?
- 社内からの評価が高いおしゃれなデザインのWebサイトを制作した。しかし、コンバージョン率が低いサイト
- 社内からの評価はイマイチだが、コンバージョン率が高いサイト
結果はほとんどの方が2番ではないでしょうか?
ここでいう「評価が高いおしゃれなデザイン」とは、あくまでの社内の定性的な評価であり、実際にそれを使うユーザーにとって使いやすいデザイン・刺さるデザインとは限りません。
Webサイトを制作するときにこの視点が欠けてしまうと、目的にそぐわないデザインになってしまいます。商業的な目的のサイト制作が多いなかで目的を達成するには、デザイン力だけではなくマーケティングの知識はとても大切です。上記のようなユーザー視点に加え、さらには運用を前提としたSEO戦略も行っていく必要があります。
動画編集スキルを身につける
Webサイトを見ていくなかでも、動画が組み込まれていることをよく見るようになりました。
バナーも広告動画としてのインディスプレイ広告など、映像を使った広告の需要も年々伸びてきています。
サイバーエージェント、2020年国内動画広告の市場調査を発表
インターネット広告事業大手のサイバーエージェントの動画広告市場の統計をみると、2020年の2,954億円に対して2024年には6,856億円規模に達する見込みだと発表しています。
ネット広告などでの需要が高まることや、クライアントの要望として動画制作の要望も増えていくと見て取れるため、5G時代に突入するなかで動画編集のスキルも持ち合わせると、Webデザイナーの市場価値を高めることができるでしょう。
プログラミングのスキルを身につける
企業のWebデザイナーの場合、デザインを実装する工程はプログラマーに依頼することも多いです。
Webデザインの仕事に加えて、実装できるスキルまで一貫して身につけることができれば、フリーランスとして活躍できるチャンスにつながります。
業界の最新情報やトレンドにアンテナを貼る
Web業界は、数ある業界の中でも移り変わりが激しい業界です。そのため、Webデザインの最新情報やトレンドに常にアンテナを貼っていく必要があります。
もちろん経験も重要ですが、仮に経験だけあっても時代遅れになってしまっては、社会から求められるWebデザイナーとは言えないですよね。
日頃からWebデザインに関する情報サイトをチェックしたり、SNSなどの最新の流行を追うようにしましょう。業界の変化に合わせて、学び続けることが重要です。
Webデザイナーの将来性|キャリアステップ・キャリアパス
Webデザイナーの将来のキャリアステップとしては、「組織の中でキャリアップする」「フリーランスとして独立する」の2つのパターンがあります。
組織の中でのキャリアステップとしては、次のような選択肢が考えられます。
- Webデザイナーの将来のキャリア例
-
- Webディレクター/プランナー
- UIデザイナー
- フロントエンジニア
- アートディレクター/クリエイティブディレクター
それぞれどんな仕事なのか、詳細を見ていきましょう。
Webディレクター/プランナー
Webディレクターとは、Web制作のプロジェクトを管理する仕事です。クライアントの要望をヒアリングしたり、Webデザイナー・プログラマーなどプロジェクトに関わる人の指揮・監督を行います。
Webデザイナーと親和性の高い仕事であり、将来のキャリアステップとして考えやすい職種といえるでしょう。
Webデザイナーの仕事をする中で、「顧客とのやりとりが楽しい」「より上流工程に携わりたい」と感じた場合、Webディレクターやプランナーとしてのキャリアを歩むことも選択肢のひとつです。
UIデザイナー
UIデザイナーとは、Webサイトやアプリなどがより使いやすいように設計する仕事です。Webデザイナーの仕事と被る部分もありますが、より専門性のある仕事と理解しましょう。
Webデザイナーの知識・スキルがそのまま活用できるので、キャリアアップの選択肢として目指しやすいです。
フロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアは、デザインをもとにHTML、CSS、JavaScriptの実装や、WordPressなどのCMS構築を行う仕事です。
Webデザイナーの仕事で身につけたHTML、CSSの知識を活かすことができますし、さらにデザインのバックグラウンドがあればより幅広い仕事を行えるので、自ずと年収も高くなっていきます。
アートディレクター/クリエイティブディレクター
Webデザインに限らず、幅広いクリエイティブの制作、プロジェクトを管理する職種です。例えばブランドの広告などが該当します。
Webデザイナーの仕事と通ずるところもありますが、幅広い仕事になるので、+αでスキルや知見を身につけていくことが必須です。
未経験からWebデザイナーへ転職するなら独学かスクールか
未経験からWebデザイナーを目指す方は多く、LIGにも未経験からの転職デザイナーが在籍しています。
しかし、スキルや知識もない状況でWebデザイナーに転職するのはハードルが高く、転職を考えたらまずはWebデザインについての勉強を行う必要があるでしょう。
今回はWebデザインスクールと独学でのメリットとデメリットをご紹介します。
Webデザインスクール
メリット
・デザインやコーディングなどを短期間で集中して学習ができキャリアチェンジを加速できる
スクールにはしっかりとしたカリキュラムがあります。充実したカリキュラムのなかでしっかりと着実に、そして短期間でのスキル取得が可能です。
・トレーナー(先生)のサポート体制がある
どんな勉強も最初は初心者のなかでわからないことや疑問を抱くことはたくさんあると思います。特にデザインは「これ!」といった正解がないなかで、デザイン知識を習得しながらツールを使いこなせるようになるために学習をするなかで、講師の方のサポートをいただけるのはスクールの最大のメリットです。
独学とは違い、しっかりとフィードバックをいただくことができる環境があるからこそ、デザインスキルを着実に高めていけます。
デメリット
・費用がかかる
スクールによっても様々ですが、学ぶためにお金がかかるのはスクールのネックな部分です。スクールに通いたいけど、金額面が心配だから費用の安いところにしたいという考えはやめましょう。費用面もそうですが、どんなことが学べるのかもしっかりと見極めてスクールに通うのが良いでしょう。
独学
メリット
・スクールに比べてお金がかからない
先ほどスクールは費用がかかるとお伝えしましたが、独学はスクールに比べると費用がかからないことが多いです。初めて学習するなかで、費用がかからないのは学習を始める上でありがたいことでしょう。Webデザインを始めたい人は、まず独学で始めてみるのが良いかもしれません。
・自分自身のペースで勉強できる
独学での学習はスクールと違って学習期間などカリキュラムの具体的な日程などが決まっていません。お仕事と並行して行うなかで、自分のペースで学習できるのは魅力の一つです。
デメリット
・フィードバックを受ける環境がない
スクールのように講師の方がサポートを行ってくれるなどの、フィードバックを受ける環境がありません。デザインは、数学や英語などと違い、答え合わせや正解がないため、フィードバックの環境がないのはかなりのマイナスなこととなります。
周りからフィードバックをもらえる環境があると独学でも学習がさらに有意義になります。
・ペースもやる気も自分自身
上記で記載した「自分自身のペースで勉強できる」はとても魅力がある反面、期間が決まっていない分怠けてしまったり、挫折してしまうことも多くあります。自分のペースのなかでもしっかりとスケジュール管理を行う必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
Webデザイナーの将来性がないという意見はありますが、実際Web業界の市場は伸びており、Webデザイナーの求人も前年比で増加していました。
AIの発展などで仕事内容は精査されるものの、市場を理解し求められるスキルを身につけて行けば、将来もWebデザイナーとして活躍し続けることができるはずです。
他のWebデザイナーにはない自分自身で誇れるプラスαのスキルを身につけていきましょう。
決して安い金額ではないですから、やるからには業界に通用するような活躍できるWebデザイナーになりたいですよね。
デジLIG(デジタルハリウッドSTUDIO by LIG)は、
- 制作会社LIGが運営しているスクールだから高いデザイン性を学べる
- 現役デザイナーが講師だから現場に通用するスキルを身につけられる
- クリエイター業界に精通した運営スタッフによるポートフォリオ添削
- オンライン + 土日・夜間開校だから通いやすい
- 受講生同士の交流が盛んだからモチベーションが持続しやすい
などの特徴があり、業界に通用するデザイン力を鍛えられるWebデザインスクールです。毎日説明会をおこなっておりますので、ぜひお気軽にお越しください!
よくある質問
Webデザイナーに将来性がないと言われる理由は?
経験の浅いWebデザイナーが市場に多くいることや、AI技術の発達でWebデザインの仕事が代替されるからといった意見があります。
Webデザイナーの将来のキャリアステップにはどんなものがある?
Webディレクター/プランナー、UIデザイナー、フロントエンジニアといったキャリアステップが考えられます。他にも制作会社からインハウスデザイナー、フリーランスとして独立する選択肢もあります。