みなさんこんにちは! 教育事業部のペイ(@peijmix)です。
僕はふだん「デジタルハリウッドSTUDIO by LIG」というWebクリエイタースクールの営業・運営を担当しています。おもに20〜30代の社会人の方々が転職や独立を目指し、働きながらスキルを身につける場所として、年間おおよそ500名の方に通っていただいています。
ここ最近、入学を検討している方とお話ししていると、
「在宅でも働きやすいWebデザイナー(あるいはエンジニア)に興味があるけど、将来性ってどうなの……?」
といったご相談が増えてきました。きっと同じようにジョブチェンジを考え、そして不安に感じている方は多いのではないでしょうか。
そこで今回はWebクリエイターに興味のある方へ、これからのキャリアを考えるヒントを少しでもお届ければと思い、特別企画を用意しました!
株式会社LIGの経営者でありWebクリエイターであり、そして幼馴染同士でもある代表ゴウさんとCTOづやさんに「Web制作会社とWebクリエイターのこれから」についてお話しいただきます!
代表取締役 社長 吉原 ゴウ中学校を卒業後、農家、カヤックインストラクター、雀荘、アダルトショップ店員を経て、Webデザイナーに。その後独立し、2007年に株式会社アストロデオを設立。2012年に株式会社LIGと合併し現職。 |
取締役 CTO 高遠 和也いつの間にかJavaプログラマーとしてのキャリアをスタート。C#やCurlでの開発に携わったのち、PHP、JavaScriptなどを使ったエンジニアとしての活動を開始。2007年株式会社アストロデオを設立。2012年より現職。 |
Web制作のニーズはどう変化した?
ペイ:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の広がりにより市場が大きく変化しています。LIGのWeb制作事業に影響は出ているのでしょうか?
づや:今のところ深刻な影響は出ていませんが、お問い合わせの数は昨年に比べてやはり少し減っていますね。内容としては「Webでなにかしら施策を打たなきゃいけないけど、あまりお金はかけたくない。取り急ぎ一度話を聞きたい」というご相談が増えています。
ゴウ:オフラインでなにもできないのを埋めるために、オンラインでなにかやろうっていうニーズは当然高まるよね。オンラインにシフトしないとビジネスが成り立たないって企業も多いだろうから。
づや:そうそう。あとは、どの会社も予算を絞らざるを得ないタイミングなので、今までよくあった「サイトが古くなったからとりあえずリニューアルしたい」といったご相談はこれから減っていくと思っています。どんなサイトであっても、費用対効果を一層求められるんじゃないかなと。
でも基本的にWebサイトって公開してすぐ効果がでることはないので、お客様と一緒になって作ったあとにどれだけ運用できるのかが、今後Web制作会社に求められる気はしますね。
ゴウ:づやの話もわかるんだけど、俺がクライアント目線に立ったときに今Web制作会社に求めるものは確実に納期のスピードだね。今すぐにやらなきゃ意味がない、最短でリリースしたい……と思って問い合わせているわけだから、速攻でレスポンスしてくれる会社じゃないと仕事をお願いしようって絶対に思わないよね。
ペイ:たしかに、直近は短納期案件が多そうですね。LIGは基本的に「クオリティの高いものをしっかり時間をかけて作りましょう」というスタンスかと思いますが、短納期ニーズにはどのように応えていくのでしょうか……?
づや:我々はスタンスをかなり変えないといけないですね。テンプレートや既存システムを活用した短納期・低価格のプランを今まさにまとめている最中です。
もちろん今までどおりの案件もゼロになるわけじゃないので、既存顧客を中心に大切にやっていきたいという思いも当然あるんですけど、それだけだと数十人のメンバーを抱える事業に必要な売上を上げるのが難しくて。少なくとも3〜4割は新規顧客の短納期ニーズに応えていかないといけないなと思っています。
ゴウ:世の中がこれだけ劇的に変化しているのに、半年前と同じやり方・スピード感でやっていたら俺らは生き残れないよね。
ペイ:LIGもどんどん変わらないといけないタイミングってことですね……! 緊張感が伝わってきました。ちなみに数年後まで長期的に見据えた場合、Web制作事業はどう変わっていくと思われますか?
づや:コロナの前から考えていたことではあるんですが、より二極化が加速するんだろうなと思っています。めちゃめちゃ低い予算でパッとサイトを作りたいお客様か、めちゃめちゃ高い予算をかけてブランディングやマーケティングを強化したいお客様か。
単純なコーディングで済むようなWeb制作であれば、すでにAI化も進んでいます。俺たちは人じゃないとできない領域で、お金を出してもらえるだけの価値のある仕事をしていかないといけないですよね。
ペイ:なるほど、ありがとうございます。Web制作の需要は当面なくならなそうですが、制作会社側には短期的にも長期的にも柔軟にアップデートしていかなければならないポイントが多々ありますね。
Web制作会社の働き方はどう変化した?
ペイ:コロナの影響でLIGでは2月からリモートワークが導入されましたが、実際にスタートしてみていかがでしたか?
ゴウ:Web事業部をはじめとしたリモートワークへの移行、めちゃめちゃスムーズだったよね。俺らは当たり前のようにオンライン会議ツールやクラウドストレージを使いこなしているけど、周りを見れば家にパソコンがないとかインターネット環境がないとか、移行がスムーズにいっていない会社はたくさんあった。LIGは基本的にITリテラシーの高い人たちの集まりなんだってことを再認識したよね。
俺らみたいに何の問題もなくリモートワークに適応できちゃった会社からすると、「毎日10〜19時にみんなでオフィスに集まらきゃいけない理由ってなんだったっけ?」って、マジで思う。仲良くなろう、腹を割って話そうっていうときはオフラインで会うことももちろん大事だけど、アジェンダの決まった打ち合わせであればオンラインでまったく問題ない。こうしてムダなものはどんどん削ぎ落とされていって、合理化が進むと思うな。
ペイ:僕たち教育事業部のメンバーもとくに問題なく移行できましたね。最初は戸惑いもありましたが、僕自身もすっかりリモートワークに適応できた感覚があります。合理化が進んだ結果、仕事の生産性に変化は起きていますか?
づや:今のところ良い影響も悪い影響もあまり出ていないように思います。たとえばWeb制作事業でいうと、リモートワークが影響してスケジュールが遅れている……という事態は起きていないかな。
ゴウ:現場からは「生産性は変わっていません」と報告を受けているけど、俺は通勤時間分生産性は上がっていると思う。毎日1~2時間移動してたのがゼロになるわけだからね。
ただ、俺もづやもそうなんだけど、家に家族がいて仕事に集中できずしんどい人はいっぱいいると思う。自粛生活がもう何ヶ月も続いちゃったら家族にもストレスがかかってツラいよね。
ペイ:たしかに、お子さんがいる家庭はとくに大変そうですよね。逆に一人暮らしの社員からは「人と話す機会が減り、さみしい」という声も挙がっているようですし、完全な自粛期間は早く明けてほしいところです……。
ペイ:リモートワークになって、現場間のコミュニケーションはどのように変化しましたか?
づや:いやぁ、すごい変わったなーと思います。察してあげる・察してもらえるってことがなくなった。たとえばツラい状況が続いている人がいたとしても、報連相がないとまったくわかんないんですよね。オフィスにいて様子が見えてたら「大丈夫?」って声をかけられるんですけど、それができなくなっちゃいました。
ゴウ:もちろん察し方も工夫していかなきゃいけないけど、そこはちゃんと自分で「今これが滞ってて大変です」って言えるようになっていかないといけないよね。コミュニケーションの形も変わったんだから、細かい部分も適応していかないと自分がツラくなっちゃうだけ。
ただ、雑談はこれから意識的に増やしていきたいとは思う。なんとなく一緒の部屋にいてコーヒー飲みながら最近どう? アレについてどう思う? ってダラダラしゃべる中にも有益なことってたくさんある。
づや:すでにオンラインランチで雑談の時間をとっているメンバーはいますね。あと俺は今後チーム単位でDiscord(音声チャットアプリ)を繋ぎっぱなしにする時間なんかも作りたいと思っています。そうしないとやっぱり新入社員の教育やフォローが難しいなと。いちいちチャット打たないと質問できないってハードルが高いので、気軽に「あの〜」って声をかけてもらえる環境を作りたいですね。
ペイ:雑談時間の確保は今後チーム単位で仕組み化していけるとよさそうですね。そのほか、マネジメント面はどう変わりましたか?
ゴウ:明確に、アウトプット重視になった。本来もそうあるべきなんだけどね(笑)。今まではやっぱり暗黙の了解でムードメーカーであることが一定の評価になっていたし、逆に遅刻の多いメンバーは評価が下がっていた。でも今後は「最終的になにをアウトプットしたか」だけで評価するしかないよね。
俺はそれがすごくフェアだと思っている。通勤時間もなくなるし好きなように働いたらいい、ただその代わりアウトプットで語ってねって。LIGはそうしていきたいと思っているよ。
ペイ:より成果が求められる、と……! 頑張らないとです(笑)。
これからWebクリエイターに求められるものは?
ペイ:ここからは、これからWebクリエイターを目指す人たちが気になっていることをどんどん聞いていこうと思います。ズバリこれからのWebクリエイターにはどんなスキルが求められますか?
ゴウ:うーん、働き方や企業の在り方は変わったけど、個々に求められるものはあんまり変わらないかな。一緒に仕事している人たちが不安にならないようなコミュニケーション力がいっそう必要になったことぐらい。
ペイ:なるほど。では、フリーランスに求められるスキルに変化はありますか?
づや:フリーランスは元からアウトプットやコミュニケーション力で評価されているので、それこそあまり変わらないですよね。ただ企業として予算を削減しなきゃいけないタイミングだとフリーランスに外注する機会自体が減っていくので、より成果を出せる人でないと仕事に困る厳しい時代になっていくんじゃないかなと思います。
ゴウ:「Webクリエイターになれば在宅でも働けるかもしれない」「副業で稼げるかもしれない」ってなんとなく思っている人もいるんだろうけど、Webクリエイターの中にはアホみたいに好きでずっと作っているようなやつらが大勢いるから、そういう人たちと戦わなきゃいけないんだってことをぜひ知っておいてほしいね。
づや:バナーをひたすら量産するようなクリエイターの需要もたしかにあるんで、空いた時間ででライトにやりたい人はそういう案件を受ければいいと思うんですよ。Webクリエイタースクールを運営する我々としては、スキルと需要のミスマッチがないように導いてあげることが大事だと思っています。
ペイ:おっしゃるとおりですね。今後も入学を検討いただく方には「Webクリエイターになってどうなりたいか」を最初にしっかりヒアリングして、それを実現させるためにはどういうスキルが必要なのかをていねいにお話ししていきたいと思います。
LIG自体では、これからどんなWebクリエイターを仲間にしていきたいですか?
づや:昔から変わらないんですけど、一緒に働きたいのはWebが好き、作ることが好きな人ですね。じゃないと厳しいかなぁ。
ゴウ:俺も同じだね。Webクリエイターなんて、PC1台あれば本当に誰だってすぐ始められるんだよ。「中高生のころからWebが大好きでずっと作ってきました!」っていう人たちが集まっている業界なんだから、「仕事だから仕方なく……」みたいなスタンスでしか取り組めない人はどうやっても勝ち残れないよね。
俺もづやも趣味みたいなところからはじめて、作ることが好きで楽しくて今まで続けてきてる。情熱を注げる人じゃないと、LIGにきても不幸になっちゃうよね。
ペイ:お二人の話を聞いて、僕たちはこれからWebクリエイターを目指す人たちにもっと作ることを好きになってもらうよう働きかけていかないといけないな、と思いました。ありがとうございます。
最後に、これからこれからWebクリエイターを目指す人たちにメッセージをお願いします!
ゴウ:どんなレベルを目指すにしても、Webクリエイターになりたいんだったら「とにかく作って公開しよう」という一言に尽きるかな。
インターネットはものを作って公開することのハードルがほかの業界に比べてめちゃめちゃ低いのに、まだなにも作っていない、公開したことがないんだったら、たぶんそれWebクリエイターになりたくないんだよ。だって「料理人になりたいです! でも作ったことありません! 人に食べさせたことありません!」なんてやついないじゃん(笑)。
づや:同じく、とにかくちゃんと手を動かして一回仕上げてフィードバックをもらうっていうのを繰り返してほしいかな。完璧なものじゃないと公開したくない、っていう気持ちもわかるんだけど、学んでるときなんて100点とれるわけないんで、どんどんフィードバックをもらって20点を30点にする、50点を60点にする経験を積んでいってほしいと思います。
100点を求められることなくタダでフィードバックもらえるのなんて学んでるときだけですからね。フリーランスとして50点のアウトプット出しちゃうと見捨てられて終わりなんで。
ゴウ:俺は20代前半はとにかく作って公開して、公開した翌日にリニューアルしたくなって手を加えて……っていうのをずっと繰り返していたね。直したいっていう気持ちが湧くっていうことは、成長してるってこと。昔自分が作ってるものなんてダサくていいんだよ。だってそれは今の自分がもっとイケてる場所にいるって証拠じゃん。
あとは、公開するプロセスを自分で一通りやってみるとすごく勉強になるのよ。Web制作の一連の流れを理解することができるじゃん。一緒にはたらく仲間の仕事を想像できるかどうかは、Webクリエイターとして働く上でとても重要だよね。
ペイ:アツいメッセージの数々、ありがとうございます! 受講生の中にはひたすらインプットに集中してしまっている人も多いので、もっと気軽にアウトプットしてもらえるよう僕らもサポートしていきたいと思います。
さいごに
Web制作会社とWebクリエイターのこれからはどう変わるのか? というテーマでしたが、働き方は大きく変わったものの、Webクリエイターとして身につけておくべきマインドやスキルは普遍的であることがわかりました。
また、経営者でありWebクリエイターでもあり、そして根っからのインターネット好きである二人の言葉にはとても重みがありました。
僕個人としても、自分の働き方や姿勢について深く見つめ直す機会になりました。また、こういったことを受講生さんにいち早くアウトプットしていくことが、僕らスクール運営メンバーが求められる役割なのだと強く感じています!
LIGが運営するWebクリエイタースクール「デジタルハリウッドSTUDIO by LIG」は、現在オンラインにて個別相談を受け付けています。ご興味のある方はぜひ下記より気軽にお問い合わせくださいね。
以上、ペイでした!
LIGはWebサイト制作を支援しています。ご興味のある方は事業ぺージをぜひご覧ください。