はじめまして、しげちゃんです。
去年の4月にLIG Philippinesに新卒で入社しました。
オフショア開発の拠点であるセブ支社で、日々フィリピンのデザイナーやエンジニアと一緒に働いています。
ところで、みなさんはオフショア開発って何か知ってますか?
私はセブに来るまで聞いたことがありませんでした。情弱ですね。でも約1年間ブリッジディレクターとして働いたので、なんとなく解説できるようになりました。やったね!
- オフショア開発って?
- システムの開発業務を海外の企業や子会社に委託する手法のことです。国内で完結する開発形態と比べて……
- エンジニア人材が確保しやすい
- 採用・開発コストを削減できる
などの強みがあります。オフショア開発についてもっと詳しく知りたい! という方は、下の記事も読んでみてください。
オフショア開発とは?注目される理由やメリット・デメリットを解説
オフショア開発に実際に関わってみてわかったのですが、こんなに浸透してるんだ! と驚くくらい導入している企業は多いです。
でも実際に関わっている人間の声を聞く機会ってなかなかないし、「検討しているけどどうしよっかな〜」という方も多いのではないでしょうか?
そんな方々にオフショア開発の実情をお届けするべく、現地で働くディレクターが「導入するにあたりどんな課題やハードルがあるのか」「どうすれば解決できるのか」ということについて考えてみました。
目次
オフショア開発の課題〜それ拠点次第だよね? 編〜
オフショア開発はアジア圏を中心に行われておりますが、拠点になる国はさまざまです。ひとえにオフショア開発の課題といっても、どの拠点でも当てはまるのか疑問に思うものはちらほらあります。
たとえば、課題としてよく聞く言語の違いと時差は、フィリピン・セブ島においてはそこまでのハードルにはならないと思っています。
言語の違い→フィリピンではだいたいみんな英語を話せる
なんたって公用語が英語ですからね。同僚に聞いたら幼稚園から英語で授業を受けていたそうです、すごいな〜。
あと、日系の企業や留学学校が多いこともあってか、いわゆるジャパニーズイングリッシュにも慣れていて、積極的にくみ取ってくれる印象です。
「いやでもこっちが英語話せないし……」という方も心配ご無用。LIGのセブ支社には英語を話せるブリッジディレクターやブリッジエンジニアに加え、トランスレーターが常駐しています。
時差→フィリピンと日本の時差は1時間
数あるオフショア拠点先のなかでもフィリピンの時差は最小で、日本とほぼ就業時間がかぶっています。本社や日本のクライアントとの打ち合わせややりとりにも、1時間の時差を意識してスケジュールを立てていればとくに影響はありません。
オフショア開発の課題〜ここが大変! 編〜
進捗管理
国民性が違えば納期への意識も異なる、ということで進捗管理は国内の開発に比べると大変なのではないかなと思います。
入社間もないころ、定時になった瞬間あっという間に空になるオフィスに度肝を抜かれたのを覚えていますが、これが家族や私生活を第一に考える彼ら彼女らにしたら当たり前のことです。
「進捗が思わしくないから残業して間に合わせよう」といった日本だとわりと見られる姿勢も、海外では異常に映るようです。「キリの良いところまで進めてから帰ろ〜」くらいのテンションで定時後もオフィスにいると、けっこう「ジャパニーズ働きすぎ……ワーカーホリック……」みたいな反応をされます。
あと、スケジュールに余裕がないなかで「チヒロ、来週の月曜・火曜有給とりたいんだけどいい……?」みたいな報告を受けてショック死しそうになったこともあり、ここらへんの意識のすり合わせってけっこう難しいな〜と感じています(わたしの下の名前はチヒロです)。
品質管理
国や会社によっても求められる水準が違うのに、いきなり「品質バッチリでよろしく!」てわけにはいかないですね…。実際、「コードが汚い」「要件通りに実装されていない」といったオフショア開発の失敗談もよく聞きます。
逆にセブメンバーは日本の品質についてどう思ってるんだろう……? と思い、セブ支社フロントエンドチームのユニットリーダー・Sigmund(サイモン)に聞いたところ……
Sigmund:日本(LIG)とフィリピンではコーディングスタイルだったり、プログラムを作る上で使うライブラリ(=関数の集まり)の種類がぜんぜん違うから、慣れるまでは大変だし、常にキャッチアップが必要だよ。
とのこと。
学んできたスタンダードが違うんだからそりゃ大変ですよね。いつもありがとうございます……。
▼Sigmundのインタビュー記事はこちら セブ支社の守護神!いつも「自分」であり続ける(フロントエンド・Sigmund)
心理的な距離感
オフショア開発においては、日本メンバー(発注元) > 現地メンバー(受託先)という上下関係のような構図ができがちです。
そうなると、ちょっとした質問や意見もなかなかしづらい空気ができてしまうのは問題だなと思います。もちろん日本のデザイン・コーディングルールにしたがってプロジェクトを進めるとなれば、指示を出す側・受ける側に分かれるのは仕方ないのですが……!
そしてちょっと意外かもしれないですが、フィリピンって上下関係への意識がかなり強いようです。私の肌感ですがけっこうシャイな人も多いです。
本社メンバーとの遠隔ミーティング時など、「なにか質問したいことある?」と投げかけると、一旦フィリピンメンバー間で議論が始まることがあったりするのですが、あとで聞くと「こんな質問して大丈夫かな?」という遠慮だった、なんてこともあります。
どうすれば解決できるか考えた
上にあげたような課題、だいたいPM(プロジェクトマネージャー)やブリッジディレクターのコミュニケーションによって解決するものだとは思います。具体的にどうすべきか? LIGでは実際にどうしているのか? をあげていきます。
進捗管理→めちゃくちゃ細かく確認する
LIGでは、タスク管理にAsanaを使っています。
プロジェクトのスケジュールを細分化したり、誰がなんのボールを持っているのかを可視化できてめちゃくちゃ便利ですね。
見積もり工数や実際にかかった工数を記入してもらったりもできるので、どの作業に何時間くらいかかるのか把握できて、次の依頼もしやすくなります。
ちなみに残業を想定に含めない分、オフショア開発ではスケジュールに多少の余裕をもたせることも必要です。具体的には日本に依頼する場合の見積もり×1.2くらいでスケジュールを引くようにしています。
品質管理→スタンダードを合わせる
LIGセブ支社ではデザイン・コーディングルールをマニュアル化し、入社後には必ずそれらのルールに則った研修を受けてもらっています。プロジェクトに合流してからも、経験豊富なメンバーのコードレビューをはさむことで、LIGのスタンダードをしっかり浸透させています。
もちろん個人差はありますがコーディングスピードも早いですし、「生産性が低い」というレベルの課題でないことはたしか。日本とオフショア先で足並みを揃えていくことで、品質は確実に高められていくはずです。
あとはディレクターが抜けもれなく明確に要件仕様を共有できているかどうかも、めちゃくちゃ重要ですね……。
心理的な距離感→まずは信頼関係から
プロジェクトメンバーと良い関係を築けていないと、本当に伝わっているのかどうか曖昧な状況が発生しがちだと思っています。
その結果、終盤で仕様に対する認識が違っていたことに気づいたり、「え、なんで相談してくれなかったの!」「だって聞かれてないし……」みたいなすれ違いが発生したり。実際私自身も「ちゃんとコミュニケーション取れていなかったな」という反省もたくさんあります。
初めて一緒に働く人には積極的に話しかけに行くとか、説明が難しい内容はチャットだけではなく対面でお互い完全に理解するまで話すとか、「スケジュール引いたけどこれで大丈夫そう?」と意見を聞くとか、小さな意識の積み重ねが大事だな〜と学んでいます。
あと、フィリピンの人のことをシャイという言葉で表現しましたが、みんな打ち解ければ陽気でフレンドリーで最高です。「夜ごはん作るけど一緒に食べる?」とか「週末キャンプ行こう!」とかめっちゃ誘ってくれるの嬉しい。
さいごに
今まさにオフショア開発を検討中の方や、実際に携わっていて「なかなかうまくいかないな」と感じている方にも、この記事が何かの形でお役に立てば嬉しいです。
LIGでは新しいオフショア開発の形として、「BiTT開発」を提供しています。
一方的なコミュニケーションにとどまらず、「一緒に考える」チームづくりをしていける点が強みです。
BiTT開発の概要やオフショア開発との違いについて、こちらの記事で紹介しているのでぜひ読んでみてください。 エンジニア不足を解決するLIGの新サービス「BiTT(ビット)開発」ってなんだ?
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