2018夏のweb制作無料相談会(名古屋当日)
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2017.08.19
#18
それゆけ!カリカチュア帝国

アートとしてのグラフィックデザインとは?グラフィックアーティストに聞いてみた。

ラオウ

うぬらこんにちは!
カリカチュアの帝王、田中ラオウ(@raoutanaka)です。

突然ですが皆さん、グラフィックデザインはアートだと思いますか?
僕は違うと思います。最適化を目指して使用者のニーズに寄り添って作られるデザインと、既存の価値観の破壊や新しい概念の提案を主戦場とするアートはむしろ真逆だと思います。

ところが今、巷ではグラフィックデザインをアートとして発表するグラフィックアーティストという人達が存在するそうです。

最近グラフィックデザイナーの友人がグラフィックアーティストを名乗ってアートに手を出し始めたので、たしなめついでに話を聞きに行きました。

じり グラフィックデザイナー/グラフィックアーティスト 川尻竜一
1982年北海道留萌市生まれ。札幌在住。デザインプロダクション「デザ院株式会社」所属。ラオウとは北海道造形デザイン専門学校の同級生。札幌ADC 2011新人賞、札幌ADC2015 CI・シンボル・ロゴ・タイポグラフィー部門銀賞、札幌ADC 2014パッケージ部門銅賞、第11回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2015入選、札幌ADC2015 澁谷克彦賞、札幌ADC2015 ブック・エディトリアル部門銀賞、札幌ADC2015 TV-CM・映像・モーショングラフィック部門金賞、札幌ADC2016 ポスター部門銀賞など受賞歴多数。

1

グラフィックデザインを展示・販売する試み

ー やぁやぁ同級生。グラフィックデザイナーなのに最近アーティストとして個展をやられたそうですね。まずは個展開催おめでとう。個展の率直な感想を教えて下さい。

ありがとう。なんだかんだで、いわゆるグループ展って形になったんだけど、参加メンバーにも恵まれたこともあって、すごい濃度の展示ができた感覚があるよ。結果として、すごく満足している。

「発展」
2017年5月に大阪市浪速区のンチチビルにて開催されたグループ展。
骨董品販売から空間インスタレーションまで様々なアーティストが参加。
http://ntiti.info/dadarhythm.html

ー 今回は自身のデザイン物をアート作品として展示、販売する試みだったそうですが、そもそもデザインとアートって真逆じゃない?

うーん。まあ、真逆に位置するものなのかは正直わからないけど、もともとは性質は違うものだろうね。実際に自分の頭の中では、「グラフィックデザイン=自分にもできるもの」で、「アート=自分にはできないもの」ってかんじに両者を線引きしてきた気がする。

アーティストになったきっかけ

2

ー そんなやつがなんでまたアーティスト名乗り出した? アート舐めてんの?

(笑) たしかに「自分がやっているのは、グラフィックデザインだ」って強く意識しながらものづくりをしてきたとこあるから、自分の作品に対して「芸術的だね」と言われるのは素直には喜べなかったし、どうしてもしっくりこない感じがあった。

適当に「アーティスト」とか呼ばれちゃうのもすごく嫌で。まあ、自分のことを正しく理解してもらいたかったんだろうね。

だけど最近になって、気がついたらそのアレルギーみたいなものがすっかり無くなっていた。不思議だよね(笑)

ー マジ不思議。なんでなん?

一番のきっかけは、やっぱり大阪のダダリズムという2人組の存在かな。

ダダリズム
2008年に岡本右左無と山田厭世観で結成し、 2011年より新今宮のンチチビルを公演拠点とするダダリズムは、 リズム・メロディー・ロジックの三要素を主体とし、 二人各各の主体から一つの客体的調和を創造する営み。2015年にリズム制作所からCD『客員十六名』、2017年にCD『RHYTHMELOGIC』を自主リリース。
https://www.youtube.com/watch?v=fKnR-ZUW1JQ

彼らは自分たちの音楽を芸術作品として位置づけて活動している。楽曲や演奏の素晴らしさはもちろん、その姿勢がすごくかっこいいなって思ったんだよね。

ー なにそれ面白そう。でもそれがどうやって川尻自身のアート活動に繋がっていくの?

まずは、彼らの音源のジャケットをデザインすることになり、連絡を取り合うようになった。すると、ある日突然、メンバーの山田厭世観さんから「川尻くんのポスターを自宅に飾りたいんやけど、買えたりするん?」みたいな電話をもらって。

そしたら、これまでのグラフィックデザイナー人生では味わったことのなかった種類の感動がぶわーっと湧いてきてね。自分が誰に頼まれるでもなく、好きなように描いた作品を「所有したい」と思う人がいるという感覚がとても新鮮で、その体験から少しずつ「芸術」というものを意識するようになっていった気がするよ。こうやって振り返ってみるとだけどね。

その後、周りの人からも「川尻くんも絵としての作品づくりをしてみたら?」というニュアンスの言葉をかけてもらうこともあって、背中を押してもらえた感じかな。

“発展”で展示した作品に対しても、真に受けるわけではないにせよ「これはもう芸術の領域」とかって言ってくれる人たちがいたりして。そういった感想にも、以前とは打って変わって、嬉しいなって思えるようになった(笑)

川尻竜一のグラフィックアート作品

ー ほう。ではその芸術の領域とやらのデザイン物を拝ませて頂いてもよろしいですか?

PH03_TEMPT

PH04_RUN_SLIP

様々な女性の脚を描くシリーズ作品。フォルムをグラフィカルに単純化することによって、「色気」のみを抽出するという試み。

PH05_JIZU

PH06_雎。蠕エ

「字図」という独自の手法でつくられた作品。その名の通り、字と図がスイッチする。上のは「字図」で、下のは「象徴」。

PH07_蜷榊ュ怜峙

こちらは「名字図」という作品。一見、三角や四角の集合体のようなかたまりは、設定されたルールに則って鑑賞することで、そのひとつひとつが「名字」であることがわかる。ちなみに写真左は「和田」。

PH08_OBJECT_RHYTHMELOGIC

上段に並ぶのは、色紙を切り貼りした「字図」のオブジェ。下段は、ダダリズムの音源「RHYTHMELOGIC」のジャケット。

PH09_EGAO_KUJAKU

左のは、ダダリズムの山田厭世観氏が購入した作品。「笑顔」を題材としているため、大きく開いた口が描かれている。右のは、クジャク。

PH10_UMAFONT

「UMA(未確認動物)フォント」というオリジナルタイポグラフィーによる作品。「ネッシー」をモチーフとしているため、文字の半分が水に浸かっている。

ー えー斬新。まじか。なるほど。
新しい表現という意味では、たしかにかなり芸術的な感じ。ひとつひとつの形にグラフィックデザインならではの理由づけもあってコレは面白いと言わざるを得ないィィ。

デザインのこだわり

3

ー 自分のデザインでこだわってるポイントとか考え方ってあるの?

「面白く」とか「かっこよく」とかかな。なんだかすごい幼稚な感じするけど(笑)

アドバタイジングにおいては、もちろん「強く」とか「正しく」とか「速く」とか伝わりに関する部分にも気を配る。こっちはこっちで小学校の校訓みたいだね(笑)

アートのこだわり

ー アートになってからその意識に変化はある?

グラフィックアートに関しては、作品の意図が正しく伝わらなくても良いかなと思うようになったことは変化と言えるかも。たとえば「本当は男性と女性がキスしている絵だったとしても、色面構成にしか見えない人がいたなら、そう楽しんでもらえればいいかな」とか。その点では、アドバタイジングにおけるグラフィックデザインの場合より攻めることができるというか。

意図の輪郭がぼやけてしまうとしても、造形の美しさを優先したり。作品作りのテーマとして意図的に、「具象と抽象」だったり「文字と形」だったり、ふたつの要素が同一画面を共有した状態において、視覚の体重移動により、そのふたつの要素間を行き来することができる分岐点を提示しているわけだから、そもそも観る人にはやさしくないんだよね(笑)。

ー グラフィックデザインってどんなものでも突き詰めて行くとアートになるの?

どうなんだろうね。確かに気になる。これは自分も他の誰かに質問してみたい(笑)。
まあ、わからないけど、単純に「グラフィックデザイン < アート」ではないと思ってはいるかな。

告知

4

ー 最後に、今後の展示の予定などあれば教えてください。

8月に札幌の色んなエリアで同時に開催される「札幌国際芸術祭」というイベントがあって、その中の催しのひとつの「札幌デザイン開拓使 サッポロ発のグラフィックデザイン 〜栗谷川健一から初音ミクまで〜」というグラフィックデザインをテーマにした展覧会にポスターが展示される予定になっています。会場はJRタワープラニスホールです。ぜひ。

札幌国際芸術祭
http://siaf.jp/
札幌デザイン開拓使 サッポロ発のグラフィックデザイン 〜栗谷川健一から初音ミクまで〜
http://siaf.jp/projects/sapporo-design-pioneers

ー 栗谷川健一先生といえば僕らの専門学校の創設者だね。先生元気かなぁ?
※だいぶ昔に亡くなっており、そもそもラオウは面識がない。
※北海道造形デザイン専門学校。現在は廃校。

ー 川尻、今日はありがとう!

 

 
 
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