うぬらこんばんは!
カリカチュアの帝王、田中ラオウ(@raoutanaka)です。
今回は絵が上手くなるために一番効果的な方法をご紹介します。それはズバリ……、
模写です。
模写とは読んで字の如く、既存の絵を模倣して描き写す手法のこと。
模写が作画技術の向上に有効だというのは、僕の実感に基づくものでもありますが、17世紀以降、ヨーロッパの美術アカデミーでも「模写マジでめっちゃ有効やで」と言われていたのだそうです。
実際に、欧米の美術館では今でも絵の前にイーゼルを立てて模写をしているアーティストを見かけることができます。これだけ昔から多くの絵描きが有効な方法と言っているんですから、絵が上手くなりたければやらない手はないですね。
何を模写するべきか
僕は好きな絵を模写するべきだと思います。絵画でも漫画でもなんでもいいです。超カッコイイとか、めちゃくちゃ可愛いとか思える絵を模写するべきです。
絵は、量を描けばそれだけ上手くなりますが、好きでもない絵を上達のためと我慢して模写しても、よっぽどの目的意識がないと続かないです。
やはり大事なのは、今描いてる一枚が楽しいかどうか。描いている最中は楽しくなくても描き上がったときに達成感や喜びがあるかどうか。それだけです。好きな絵のほうが、描きあがったときに嬉しいです。
模写が有効だと感じる理由
模写は「正解を横に並べて描く」ことですから、両者を照らし合わせて見ることで、バランスが崩れている部分を見つけやすいです。
たいてい本物のほうがバランスが良くカッコいいですから、自分の模写に適度に納得できない感覚を持つことができ、向上心に繋がります。
そして、一見関係なさそうなスタイルの絵でも、一度模写することにより要素が自分の引き出しに取り込まれ、あとで役に立つときが来ます。
たとえば人物の顔を描くときに、過去に模写したキャラクターのパーツがふと浮かんできて、当てはめてみるとバッチリだった、なんてことがよくあります。これは模写していなければ得られない感覚だと思います。
今日はその一例をお見せしましょう。
ラオウ実演
某女性お笑いコンビを、僕が長年模写をしてきた某漫画家さんのタッチで描きます。
僕はこの漫画家さんの描く絵が小学生の頃からずっと好きで、模写をしたり、頭の中でその世界を想像することで、空想力やクリエイティビティを育ててもらったと思っています。模写しているときは、これが将来役に立つかどうかなんて一ミリも考えていませんでした。ただ好きな世界観を自分でも描いてみたかっただけです。
今は亡き天国の先生に2000%のリスペクトを込めて描かせていただきます。
ペン入れ
線の強弱もサンプリング元になる絵をマネて描いていきます。
色塗り
今回は水彩で色を付けていきます。
画材紹介
水彩絵の具はWinsor&Newton。
特にメーカーにこだわりはありませんが、昔水彩イラストレーターのかとうくみさんに「わたしゃウィンザーアンドニュートンを使ってるよ」と教えてもらったのがキッカケで今だに使ってます。
筆。今回は細い面相一本で済ませる予定。
洗筆器。100均で買ったやつ。
ペーパーパレット。水彩には向いてませんが今回は塗りの範囲が狭いので絵の具をちょっとだけ出しながら使って、描き終わったら絵の具をティッシュで拭き取ってまた使えるようにしちゃう作戦です。
ちなみに壁には自分の絵やSAMURAI FOTOメンバーさんの写真、地元の友人の川尻竜一君のデザイン作品を飾ってます。
机には嫁さん作のドライフラワーとサウスパークのフィギュア、Hermann Mejíaから貰ったポストカードなどが置いてあります。
それでは塗りに入ります。
塗りに関しては特に書く事ありません。薄い色から描いていくということくらいでしょうか。
完成
できました。
先生のイズムが表現出来ていれば幸いです。
まとめ
今回の記事で模写をすることによって、これだけ先人の技術を取り込めるんだということが伝われば嬉しいです。
もちろん一回の模写で取り込める要素は限られていますし、技術を踏襲するだけではオリジナルに勝ることはできませんので、自分ならではの絵で勝負したい方は、自分が今まで学んできた技術を組み合わせたり、好きなスタイルに自分なりのアイデアをプラスして個性を磨いていっていただければと思います。
そっくりにマネて描く模写は、実は描いている最中はとても忍耐が必要で、細部までそっくりに描くのは結構疲れます。でも頭で画法を理解するのと実際にマネて描いてみるのでは、あとの技術力に雲泥の差が出ると分かっているので、僕は好きな絵に出会ったときは多少面倒でもあえて模写をやるようにしています。
というわけで、絵が上手くなるための一番の方法は「自分の好きな絵を模写する」という結論です。
最後にひとつ僕の考えをお伝えしておきたいのですが、絵はプロを目指さない限り、上達のために描くものじゃないと思います。
「今後の絵のための今回の絵」なんて描かなくて良いです。絵は徐々にうまくなるものでもありません。この一枚を仕上げるぞ、という気持ちで描いている一枚でいきなり上手くなります。一枚一枚にちゃんと向き合っていけば、勝手に上達します。
というわけで方法的には模写が一番ですが、考え方としては絵の上達に効率や近道なんか求めずに、目の前の一枚をワクワクしながら描きたい絵を描く、というのが上達する人の考え方かと思います。
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