我が名は齊藤ジョニー。
LIGで営業を担当する者だ。
私は今、生まれてから最も身近に感じてきた「水」という存在について、思考を巡らせている。
きっかけは些細な事だった。
いつものように仕事をしながら水を飲んでいた時に、ふと違和感に気がついたのだ。
これは一体、何なのだ?
もちろん、答えは「水」である。
そうなのだ。
そんな当たり前の事は、まだ顎鬚も生え揃わない幼き頃より理解している。
だが、私はこれまで当たり前だと思っていた存在に疑問を抱いてしまったのだ。
これは、コペルニクスやアイザック・ニュートン、古くはアルキメデスを引き合いに出すまでもなく、万物の理に「疑問を抱く」事から様々な功績を残す事に成功した偉人達に共通する思考ではないだろうか。
そしてこの「水」である。
私がこの普段何気なく飲んでいる液體について疑問に思ったのには理由がある。
夏、という事もあり、私は毎日2リットルのペットボトル入りの水を3本、つまり6リットルの水を飲んでいる。
これが適量かどうがはさて置き、例えばこの水をまったく飲まないまま過ごしたらどうなるのであろうか。
恐らく、「死」である。
このうだるような暑さの中、水を一切飲まない状態では1週間と持たずに我が身は朽ち果てるだろう。
自明である。
では、逆に。
普段の100倍の量、つまり600リットルの水を毎日飲んだらどうなるのであろうか。
やはり「死」であろう。
つまり、我が気がついてしまった水に対する疑問はここである。
飲まなくても死。
飲んでも死。
つまり、どちらにせよ「死」が待っているのである。
な ん と 業 深 き 液 體 で あ ろ う か 。
太古の昔より、我々人類はこの「水」という存在に依存してきていたのは間違いの無い事実である。
何せ、飲まないと死ぬのである。
どのような依存症状の強い麻薬物質でも、「摂取しないと死ぬ」という事は無い。
しかしながらこの「水」という存在は、飲まないと死ぬのである。
これほどまでに依存性が強く、全人類を中毒状態に陥れた物質が他にあっただろうか。
我は今、大いなる畏怖の念を抱きながらも煩悶す。
この「水」という存在の偉大さ、恐ろしさの真の意味に気がついたのは有史以来、私が初めてなのでは無いか。
これもまた、運命であろうか…。
齊藤家当主として、またLIGの営業担当として。
気がつくべくして気がついた。
偶然は必然となり、必然の連続性は運命へと帰結する。
恐ろしい。
水が、ではない。
我の中に眠る、大いなる才能が。
それが恐ろしいのである。
水。
H2Oという化学式で表される、稀有なる存在。
全人類を虜にした究極の依存性。
これにまさる依存性物質など…
H…2O…だと…?
O…
Oxygen…
なんという事だ…
悲劇である…。
摂取しなければ死に至らしめる究極の物質…。
水以上の依存性。
水以上の致死性。
人類を滅亡へと導く悪魔の元素…。
Oxygen。
この物質は…
水 を 構 成 す る 要 素 で は な い か …。
真の敵は…。
こちらであったか…。
(続く)
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