第71話
調べてみた

ししゃもを巡る謎。カペリンという名の煉獄に焼かれて。

齊藤ジョニー


ししゃもを巡る謎。カペリンという名の煉獄に焼かれて。

私の名前は齊藤ジョニー。

株式会社LIGでセールスを担う身だ。

 

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私は今…大いなる謎に直面している。

「謎」

というには、些か大袈裟なのかもしれないが、それでも私はこの奇怪なる小魚を前に、これまでの人生で培ってきた経験、知識その全てをひっくり返されそうな程の驚きを隠せないでいる。

 

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問題は此の魚である。

所謂「ししゃも」と呼ばれるものなのだが、そう。

何かが…

何かが可怪しいのだ。

 

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一体何なのだ…。

この違和感はどこから来るのだ…。

いつもそうだ。

何気なく昼食を頂こうと思った矢先に、まるで虫の知らせとでも言うように違和感が頭を擡げるのだ。

 

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何かが…違う…。

いつも食べている「ししゃも」と何かが…。

だが、その違和感がどこから来るのかが分からないのだ。

ふ…

それも己の知識の浅さ故か。

いや…

それは言うまい。

今更ながらに己の知識の浅さを知覚した所で何になると言うのだ。

 

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改めて…この「ししゃも」の外観を悉に観察してみようでは無いか。

 

 

嗚呼…。

 

まるでわからない。

見た目が…違うような…気がする…。

 

観測しているのに、違いが分からないとはどういう了見なのだ。

物理法則に反している。

 

シュレーディンガーの猫を引き合いに出すまでもなく、量子力学の世界では…つまりこの世界では「観測される事で物事が確定される」はずでは無かったのか。

何故、観測しているにも関わらず、確定していないという状態が生まれているのだ。これはシュレーディンガーの猫ならぬ、ジョニーのししゃもなのではないか。

 

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だとすると、事である…。

近世に於いて、物理学や量子力学の土台ともなっている基本原理、原則が乱れる可能性がある…という事だ。

このししゃもの違いに気がついているのは、恐らく世界で私だけであろう…。

 

恐ろしい…。

 

天才は孤独、とは能く言ったものだが今ならば心の底から理解できる。真実に近づけば近づく程に…人は孤独に身を寄せて生きねばならぬのか…。

 

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それにしても…。

今日の「ししゃも」に感じる違和感は何なのだ。

形…大きさ…香り…。

局所的に観測すれば、違いはある。

だが、その全体を像として結ぶと、違いが私には分からないのだ。

 

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何が…違うと言うのだ…。

一体…何の陰謀だと言うのだ…。

 

マヤ文明。フリーメイソン。密教。

天体の動きと…天動説?

 

 

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カペ…リン?

 

カ ペ リ ン だ と ?

 

カペリンが何だと言うのだ。何故、俺は今、そんな本件とは何ら関係の無い単語を頭の片隅に思い浮かべたのだ…?

まさか…

いや…

 

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そもそもカペリン、通称カラフトシシャモは「ししゃも」とは全く別の魚のはずだ。

グリーンランドやアイスランド周辺で大量に捕れ、見た目はししゃもと似ているが、味はししゃもに比べて随分と大雑把な筈。

 

そう…

ししゃもとカペリンは全く別の魚なのだ。

 

では何故。

何故、見た目が似ているだけのカペリンの事が頭を過ぎったのだ…?

 

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カペリン、通称カラフトシシャモ…。

 

カ ラ フ ト シ シ ャ モ だ と?

 

名称に…シシャモという字が入っているでは無いか…。

 

なるほど…。答えは既に逃げも隠れもせずに、毅然とした態度で先ほどから私の目の前に現れていたという事か…。

 

しかし何故俺は…それを知っているのだ…。

 

前世の…記憶だとでも言うのか。

 

それしか…あるまい。

でなければ可怪しいのだ。

今日の「ししゃも」への違和感も、それで概ね説明がつく。

つまり…

 

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今日の「ししゃも」に違和感があるのではなく…

これまで「ししゃも」だと思って食べてきた魚にこそ違和感があったと言うことか…。

 

あれこそがカペリン…。

なんという事だ…。

我々は知らず知らずのうちに、「ししゃも」と思い込みながら「カペリン」を食べていたのか…。

 

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まさしく…

コペルニクス的転回である。

天地が。

この世の理が。

音を立てて裏返るような。

 

1633年、ガリレオ・ガリレイが異端審問に於いて断罪された様に。

世の真理に誰よりも早くに辿り着いてしまった者の運命…。

真理は時として、異端の烙印を押されるのだ。

 

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我々が常日頃食べていた「ししゃも」は実はカペリンだった…。

これは最早揺るぎようのない事実である。

日本国政府は…。

此の事実に気がついているのであろうか…。

 

否。

 

気がついては…いまい。

気がついているのならば、カペリンをししゃもとして食する事を良しとはしないであろう。

 

また…戦うのか。

いや、それもまた齊藤家当主としての責務なのであろう。

 

「ガリレオの様にはならないで」

 

ふ…。

いつだったか、言われた気がする。

あれは…そういう意味だったのか。

 

大いなる謎。

大いなる陰謀。

 

よかろう。

その全てを解き明かそう。

 

真実を白日のもとに曝け出し、この世の理を世に伝え広めるのだ。

 

理解できぬものは恐れるだろう。

真実を知ることが正解とも限らぬだろう。

 

だがしかし。

 

それでも人類は、真実を知りながらも前に進まなければならないのだ。

 

我の肩に、人類の未来が掛かっている。

 

民よ。

 

我が声を聞け。

 

我は齊藤ジョニー。

 

真実を告げる者なり。

 

もはや、何も恐れぬ。

 

我が声は、千の否定を切り裂いて、いつか真実を伝え広めん。

 

我をどれだけ否定しようとも

 

それでも地球は回っているのだ。

 

 

(了)
参考文献:
本物の「ししゃも」と、偽物「カラフトシシャモ,カペリン」

齊藤ジョニー、我が闘争

齊藤ジョニー
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