現場に飛び込む「行動力」と「熱意」だけでデザイナーになった話

現場に飛び込む「行動力」と「熱意」だけでデザイナーになった話

佐藤タカアキ

佐藤タカアキ

こんにちは、デザイナーの佐藤タカアキ(@sato_tkaaki)です。

本連載は、これからWebデザイナーを目指す人、またWebデザインへの興味を深めたい人に向けた連載。
今回よりLIGのデザイナー陣による「デザイナーへの道」というテーマでスタートいたします。本記事はその第1回目。

第1回は、制作会社でデザイナーとして働く僕が、美大やデザインの専門学校に通わずにどのような経緯でデザイナーになろうと思い、どんなことを実行してデザイナーになったのかを紹介していきます。

本題に入る前に

タイトルにもありますように、僕が現在デザイナーとして働けているのは、美術やデザインのスキルが秀でていたからではなく、少なからず「行動力」と「熱意」があったからです。
「デザイナーという職種に興味があるけど、美大とか行ってないし無理かな」という、僕自身デザイナーになる前に抱えていた不安と同じような気持ちの方々の、少しでも参考になればと思います。

もちろんデザイナーになるためにはある程度のスキルは必要ですが、今回はもっと前提にある「とりあえず作ってみよう」「なんでもいいからとりあえず現場に入ってみよう」といった まず行動すること のきっかけ作りになればと思います。

きっかけとはじめの一歩

絵描きっ子から野球少年へ

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幼少期、祖父母が絵の先生をやってて、物心ついたときからキャンバスや絵の具には触っていました。とにかく絵を描くのが好きな子どもでした。

しかし、8歳頃から野球を始めたことにより、そこからは目標が完全にプロ野球選手!ってなって、高校も大学も野球推薦みたいな感じで進学。なので”モノづくり”という概念からは遠ざかってしまいました。

高校生の頃、学校の各部活ごととか仲いいグループとかでホームページ作ってブログ書いたり写真アップするのが流行ってて、その流れに載るように野球部のケータイホームページを作りました。いま思うと多分これが初めてのデザインてきなやつでした。

野球しかやってなくて、デザインの知識はなかったけど「できるんじゃねえか」と思ってやった

大学では学校問わずいくつかの野球サークルに入ってて、その中のひとつが、友人の紹介で入った早稲田の野球サークルだったんです。早稲田って野球サークルだけでも40チームくらいあって、このチームは僕が初めて練習に行ったときには5人しかいないような弱小チームでした。新歓案内のチラシにURL貼ってあるけど、「これはダメだろう」と。

「どんな人がいるのかわからないし、どんなチームか雰囲気伝わらないし、なんかダサいし……」と思ってからは、知識はないし別にやったことないけどできるだろって思ってjimdoってサービス使って、写真集めからメンバーの紹介文から全部ひとりで作りました(結局ダサいやないか……ってところに関しては、5年前のタカアキに伝えておきます!)。

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それから当時6万円くらいするPhotoshop買って、また別のチームのサイト作ったり、タオルや横断幕を作ったりとかしていました。そのうちに、「デザイン」というものを意識していたわけではないけど、自分が作ったものが誰かの役に立って喜んでくれたり、自分の知らないところで話題に上がったりしたんです。そんなことを続けている中で「作るの楽しいな」って思うようになりました。

ホームページも作って終わりじゃなく、当時「野球サークル」で検索すると1位(今は7〜8位っぽい)に上がってて、そこから入部希望者が増えたりとIT・Webのおもしろさみたいなのもフワッと感じました。

デザイナーとして就職するまでの道

デザイナーへの憧れと諦め

前述のとおり、デザインの楽しさを体感し始めた時期もあり、デザイナーという職種への興味もありました。が、そのときの僕の頭の中では「デザイナー=絵を描く人」「絵を描く人=美大出身者」という構図が出来上がってたのもあって、早々に諦めてました。周りの友達も体育会系でほとんどが営業職だったし。

営業職で内定貰ってディレクターにジョブチェンジ

ただなんとか携わりたい気持ちがあったので、新卒にはひととおり作る部分までやらせてくれる某六本木のゲーム会社を受けたんです。体育会系ノリの気合いで4次試験くらいまではいけたけど、結局落ちちゃって……。そこからもう名前も覚えてないすごく小さい会社のデザイナー職に直接メールで応募してみたり、まだ選考が始まってない会社にフライング応募してみたりしました。結果的にはフライング応募した会社の営業兼ディレクター職として内定をもらい、大学3年の終わり頃からちょくちょくインターンしてました。

未経験からデザイナーになった先輩がいたおかげで開けた道

インターンでは、主に電話営業の経験等もしていたんですが、当時クリエイティブ事業部の先輩で美大出身者じゃないけどデザイナーをやってる方がいて、そこで初めて「一度は諦めたデザイナーへの道がまだあるかもしれない」と思うようになりました。

それからは独学でスキルを磨きつつ、プライベートで作ったモノを見せながら、先輩や人事、社長に「デザイナーになりたい!」という意志を伝え続ました。そして業務としてバナーのデザインをひとりでやれるようになったところで、デザイナーにジョブチェンジすることを許してもらいました。

独学はPHOTOSHOP VIP様々

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当時の僕にとって、デザインとは何かしらの課題解決のための手段であって、その課題にはターゲットがいて、デザインコンセプトがあって……という情報設計の部分は一切考えておらず(恥ずかしながらデザインとは何かなんて深く考えてなかった)、見た目のビジュアル面だけ作れるようになる技術を磨く独学方法をとっていました。

具体的には、PHOTOSHOP VIPのチュートリアルを見て画像合成のスキルを磨きました。
自分で作りたい絵はあるのに作ることができない、まずはそこの穴を埋めるためにツールを使いこなす必要があると判断しての独学法でした。

スキルアップするために熱意だけで制作会社に飛び込んだ話

現場で学んだ方が早い

デザイナーとして働き始めて一年ほど経ち、デザイナーとして今後も仕事していくことを決めたときに、今さらですが「美大やデザインの専門学校で基礎を身につけようか」と迷っていた時期がありました。
しかし、当時制作会社でも働いたことのある先輩に「学校より制作会社に入ったほうが一気にスキルアップできる」と言われて、じゃあ制作会社に行こうと。

LIGに入りたかったけど実績がなかったから熱意だけ伝えたら入れた

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4年ほど前にLIGのことを知って、デザイナー募集記事をきっかけにLIGへ入社しました。

上の文章だけ見たら普通に履歴書やポートフォリオ送って審査してもらってLIGへ入社したように見えますが、前述のとおり僕は美大にも行ってないし、デザインの専門学校にも行ってないし、目に見えるスキルや専門知識はほとんどない状態(胸を張って言えることではありませんが)でした。
そんな僕がどのようにして制作会社に入社できたのか。それを紹介させていただきます。

能力に自信がないなら、ないなりの就活をすればいい

LIGの人気が高いことはわかっていました、しかも自分は能力が乏しい。ただ、LIGから醸し出されている「苦楽をともにしたからこそ生まれる本当の”仲の良さ”から作り上げられた文化」が好きだった、どうしても入社したい。

でも、他の応募者がいる状態で横並びにされたら勝ち目がありません。

そんな競争者がいる状態で弱者が抜きん出る方法、それは「スタート時点で一歩前に出ること」「正攻法じゃない道を進むこと」だと考えました。

ズルい行為かもしれませんが、変化や柔軟な発想を求められがちな業界なんだから、凝り固まった就職活動してても仕方がないですよね。
ゴールは入社することなんだから、やり方は人それぞれだっていいはずです(もちろんそれを許してくれる会社かどうか見極める必要はありますが)。

ポートフォリオなんて持ってなかったけどとりあえず連絡した

表口のお問い合わせから履歴書を送ったところで、規定の枠にはめられた文字だけでは速攻はねられるかもしれない。
であれば、「募集をかけた張本人に直接気持ちを伝えてやろう」と、当時部長だったそめひこのTwitterアカウントにWord2ページ分くらいのめっちゃ熱い文章を送りつけました(後々聞いたらアカウントを運営してたのは社長の吉原ゴウだったんですが)。

それからメールにて正式なフローを踏むことになり、案の定「ポートフォリオないとダメだよ」って言われちゃったんですが、その日に徹夜で作って朝提出したら、「会いましょう」ってなって。

▼その当時のメールのやり取り
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▼当時のポートフォリオ画像(引くほどダサい)
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徹夜で提出したポートフォリオはすごくお粗末なモノだったんですが、今回重要だったのは「熱意があるやつと働きたい」という想いと、求められている「スピード感」が優先度として高かったため、入社することができました。
非常に稀な例かもしれませんが、デザインスキルがないからと消極的にならずに、自分が進みたい制作会社があるのであれば、その会社に入るための方法は何があるのかを模索してみてはいかがでしょうか。

現在の仕事と今大事にしている勉強方法

LIGに入社して2年ちょっと経ちましたが、ぼくがデザイナーとして大事にしている勉強方法をご紹介させていただきます。

自分の立ち位置と将来像を確認するためのイベント参加

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デザイナーとして働き始めて僕自身が感じたことは、「知らないことが多すぎる」でした。

それは技術面の話ではなくて、「Web・app業界におけるデザイナーの多様化」と「デザイナーの業務の拡大・縮小化」により、デザイナーがそれぞれ何をやっていて、自分はどこにいてどこに向かいたいのかがわかりづらいということです。

Webデザイナーと一言で言っても、ディレクター部分からバックエンドまでやる人がいたり、ビジュアルデザイン担当のデザイナーがいたり、UI専門やUX専門のデザイナーがいたり。

ネットで調べたり人から話を聞けば済む話でもあるんですが、僕は体感しないと納得しないタイプだったので、さまざまなデザイナーが集まるイベントに参加したり、たまに登壇したりして自分の立ち位置と今後なりたいデザイナー像を推し量ることができるものさしを作るための活動をしてました。
人脈はもちろんのこと、自分のレベル感と感性の幅、将来像を膨らませるのが主な目的でした。

もちろんすべてのデザイナーが集まるわけではないので、個人的に気になっている人には人づてで場を設けてもらったり、Twitterを利用して個人的に会ったりしました。そうして実際に会って話して知っていくうちに、自分の理想とするデザイナーに近しい人から、「こっちじゃないな」と自分のものさしの最端部となる人にも出会うことができました。

これが正解というわけではありませんが、自分の指標ができて技術習得に励むのと、自分が何になりたいかわからないけど時代の流れ的にこの技術が必要だと修得に励むのとでは、モチベーションで大きく差が出るのではないかと思いました。

自分の立ち位置、価値を理解しデザイナーとして確立することができれば、「あの人に依頼しよう」という個人指名でお仕事を任されることができ、それを確立できれば時代の流れに振り回されないデザイナーとして長く働いていけるのではと思いました。

おわりに

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LIGに入社してから2年ちょっとが過ぎました。
美大やデザインの専門学校へ行かず、熱意と行動力だけで制作会社に入社し、素晴らしい人格と能力を兼ね備えたデザイナーを知ることができるようになりました。圧倒的な技術レベルの差に日々プレッシャーを感じながらも、そのレベル差の場に飛び込んだことに関しては一切後悔していません。

能力の高いデザイナーになりたいのであれば、能力の高いデザイナーと一緒にいた方がいい。
特に僕と同じような境遇でしっかり基礎を学んできてない人は、まずは行動し飛び込んでみることをすごくおすすめします(最初は戦力外すぎてめちゃくちゃ迷惑かけますが)。

と、ここまでつらつらと書いてきましたが、勘違いしてはいけないのが「デザイナーになる」ことを最終目的にしてはいけないこと。
「制作会社に入る」ことは「より良いデザイナー」になるための手段であり、ゴールではないということです。

それでは、次回は別のLIGデザイナーより、「デザイナーへの道」をご紹介させていただきます。
乞うご期待!

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幸いにもデザイナーという肩書きをいただき、良くも悪くも毎日多忙な日々を送っているフリをしています。

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