講師20人採用しろって言ったら、「バスで英語が上手そうな人に話しかけてました」とか
グローバルな事業を行うに当たり、課題はやはり人材です。ローンチから2年で世界62カ国約2500人の講師を集めるなど、急速な拡大を実現できた理由について伺いました。
- 須藤
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まずは、トライ・アンド・エラー。うちは優秀なメンバーが多くて、みんな自発的に意見を言えるので、形を作ってそこから走るんじゃなくて、まずはやってみてその結果をみんなでフィードバックし合おうみたいな。
「絶対こうやれ」と誰かの指示に沿ってやるのではなくて、まずやりたいことをやらせます。ただ、それに対しての結果をちゃんとみんなにフィードバックして、意見をもらって改善していこうよ、というマインドですね。
- 上澤
- 仕事ができる人にはどんどん任せる主義なので。例えば新卒で去年入った子がいたんですが、入社と同時に私がリトアニアに連れていきまして。はじめの2週間は一緒にいたんですが、「あとはお願いね」と。彼はリトアニアに残って、新卒なのに1人で現地の立ち上げをやりきりました。うちはやる気さえあれば若くても仕事をどんどん任せる会社なのでそういう環境を楽しめる人には、すごく向いていると思います。<
- 須藤
- あとは2週間以内に講師20人を採用するというミッションを与えて。「どうすればいいですか?」と言うので「考えなさい」と。あとで「今日何をやった?」と聞くと、バスに乗って英語が上手そうな人に話しかけて「電話番号をゲットしました」とかうれしそうに言う。
「何かもう放任主義というか、権限委譲というか、勝手にやってください、という方針なので」と上澤氏。当然、そこには多様な人材が集まります。
- 上澤
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日本人のメンバーでいうと、上場企業で経営企画とか資金運用のファイナンスをやっていた人間もいれば、ベンチャー企業でプログラミングをやっていた人間もいたり、あとはこういう(嶺本氏を指し)よく分からない訪問販売。
現地スタッフを合わせると、社員の国籍は10カ国以上。女性の社員比率はものすごく高いし、女性の役員もいます。あと、LGBTの割合も非常に高い。うちよりダイバーシティが進んだ会社はないのではないかなと正直思います。
世界中どこにいても英語を学ぶチャンス、英語の先生になれるチャンスを広げていきたい
フレキシビリティの高い組織と、英会話というグローバルな領域の相性の良さについて、須藤氏は次のように語ります。
- 須藤
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日本の会社はやはり堅苦しくて、企画書1つ出す、決裁1つ取るにしてもルールがあったりとか。だけど僕らはそういうのは一切関係なくて、これがサービスとして良くなるのだったらオッケー、駄目だったら変更ということだけで、それ以外は自由にできるのが一番違うところ。
与える仕事、ポジションもまさに実力主義。国籍に関係なく能力さえあればどんどん仕事を与えていきます。だから仕事に対する取り組み方、考え方も本当の意味でグローバルに考えられる人材を求めていますね。
ちなみに、グローバルで働く際には英語ができることが必須かと思いきや、「できなくて大丈夫。1ヶ月間もうひたすら英語だけ喋れば、なんとかなります」と上澤氏。
- 上澤
- 見ているところは、英語どうこうよりもちゃんとコミュニケーションが取れるかどうか。日本語でコミュニケーションがちゃんと取れない人は、英語で取れっこないですよね。
- 須藤
- アジア5カ国、ヨーロッパ7カ国の社員がいます。国籍は違いますが「英語を通じて世界を身近にする」という想いでつながっているのでコミュニケーション上は特に大きな問題はないですね。
世界展開が今後の目標であるというDMM英会話。サービスの理念も交えつつ、どのような未来を描くのかを伺いしました。
- 上澤
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私たちの理念は“Make the world smaller”。「世界を縮めよう、近くしよう」というのを掲げてやっています。つまり、世界中どこにいても英語を学ぶチャンスと、英語の先生になれるチャンスとがある、この2つを実現したいなと思っていて。
日本人以外も英語は勉強したいじゃないですか、当然。うちはもう講師がそろっているので、実はすでに他の国向けの言語のサイトを1つ作って、そこの国の人に英語を教えるというサービスをやっています。今後はそれをどんどん横展開して、日本以外の国の人に英語を学ぶ機会を提供するサービスを世界展開していく予定です。
文化の差異がもたらす無数のトラブルを、柔軟な組織風土で乗り越えてきた上澤氏をはじめとするメンバーたち。異なる国籍、セクシュアリティ、思想を持った多様な人材を巻き込みながら発展を続けるDMM英会話が、今後さらに自由に世界へ広がっていくことを思うと、興味が尽きることはありません。