「世界中どこにいても英語を学べる、教えられる」世界を身近にするサービス | DMM英会話

まゆこ


「世界中どこにいても英語を学べる、教えられる」世界を身近にするサービス | DMM英会話
(編集部注*2015年4月7日に公開されたインタビュー記事を再編集したものです。)

世界62カ国約2500名の外国人講師と、1レッスン99円からSkypeを利用したオンラインでのマンツーマンレッスンを受講することができるDMM英会話。お笑い芸人を起用したテレビCMでご存知の方も多いかと思いますが、2014年にはオンライン英会話ランキング8部門でNo.1を獲得するなど、ローンチから2年で先行していた競合を引き離す目覚ましい躍進を実現しました。

しかし、Webを通してさまざまなコンテンツを提供するDMM.comが、なぜオンライン英会話領域に参入したのかはあまり知られていません。今回はDMM英会話というサービスが生まれた経緯と、フィリピンを中心にグローバルな事業展開を行う上での日本との文化の違い、それを内包する組織のあり方について、フィリピン現地法人「BIBO GLOBAL OPPORTUNITY,lnc」CEO兼DMM英会話・事業部長の上澤氏、同副部長兼法人営業部長の須藤氏、商品開発責任者の嶺本氏にお話を聞きました。

7bdd9b629a4227eb05bcecdb110099cb 人物紹介:上澤 貴生氏
1978年、大阪府生まれ。同志社大学卒業と同時に起業。シンガポール、台湾、フィリピンでスタートアップを経験。現在はフィリピン、日本、東欧など各国を往来する。DMM英会話事業長兼フィリピン現地法人「BIBO GLOBAL OPPORTUNITY,lnc」のCEOを兼任。
23587f5bdebb3945e5c7027f1622b57d 人物紹介:須藤 啓太氏
1975年、富山県生まれ。慶應義塾大学卒。卒業旅行でイギリス旅行した際に現地家族と1週間過ごし英語付けの日々を送り、帰国後TOEICのスコアが250点向上。「日本にいても毎日英語を話せるサービスを人々に与えたい」との思いから旧知の仲であった上澤とともにDMM英会話の立ち上げを決意。現在は日本をメインに活動。法人営業部長兼日本側採用担当。
8c2ed15ca87e6f4ae244d22b4ceb632a 人物紹介:嶺本 高志氏
1977年、大阪府生まれ。大阪大学卒。卒業後コンシューマー向けの訪問販売営業を経験。そんな中「日本で最高のオンライン英会話を作りたい」との思いをもち一念発起し、2012年にDMM英会話の立ち上げメンバーにジョイン。現在はフィリピン、マニラに生活の拠点をおきDMM英会話商品責任者、兼講師採用統括責任者として活躍。

旧帝大の理系を出て宗教ビデオの訪問販売。怪しいなと思ったけど、面白すぎるから採用

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DMMグループ代表である亀山氏が直接雇用し、事業の立ち上げを半年間サポートする制度である“亀チョク”。DMM英会話はその亀チョクによって上澤氏が提案した事業でした。

上澤
亀チョクは社内のインキュベーションオフィスみたいな感じで、新規の事業を企画して通れば資金を出してもらえるという制度。そこで私が亀山と話をして「オンライン英会話に参入しましょう」と言って、そこからスタートしたのがちょうど2年半ぐらい前になります。

そもそも私を含めて、英会話事業にいる人間でもともとDMMグループにいた人間は誰もいなくて、全員この事業をやるために集まったメンバーなんです。

もともとは別の事業を立ち上げる予定で亀チョクに参加した上澤氏。この領域に注目した理由を次のように話します。

上澤
英会話というのはかなり大きな市場で、ただオンライン英会話はまだその中では数%しかシェアがない。英会話を身につけるには沢山話すしかないんですけど、日本に住んでいるとなかなか英語を話す機会がなくて、でも通学制の英会話というのはご存知の通り結構高額でハードルが高い。

そういう中で海外の講師とスカイプでつないで、格安で毎日話せるというのはある意味イノベーションで、単純にこのサービスというのはすごくバリューがあるなと思ったんです。市場が存在してバリューのあるサービスは絶対世の中に受け入れられる。

なのにオンライン英会話の市場自体があまりブレイクスルーできていなくて、そこはもっと大手が参入して先行投資すれば変わっていくと。

とはいえ、立ち上げ直後は上澤氏ただ一人。“旧知の仲”であるという須藤氏に声を掛けます。

上澤
最初一人でフィリピンへ行って色々準備を始めていたのですが、ちょっと信頼できる人間がいないと一人でやるのはキツいなというのがあって。例えば目をつぶってお金を預けられる人とか。

昔から知っていて信頼できるので「ちょっと須藤ちゃん、一緒にやろうよ」と。もちろん他にも立ち上げメンバーが当然必要で、でもフィリピンで働いてくれる人どうやって募集していいのかわからず、とりあえずスプレッドシートで適当に応募フォーム作って知り合いのSNSとかで広げてもらうってことをやりました。僕は運がよくて、そうしたら何とそれで300人近くも応募者が集まっちゃった。

その300人から15人を採用するに当たり、選考の基準は「フィーリングが合いそう、面白そうだなと思う人」だったと語る上澤氏。そのうちの1人、嶺本氏はまさに異色の経歴をお持ちでした。

上澤
嶺本は旧帝大を出ているんですけど、その後なぜか宗教のビデオ訪問販売してたという、すごく怪しい経歴で。「何か挙動不審だし怪しいな」と思ったのですけれど、面白すぎるので採用しました。

フィリピン法人副社長の坂根に相談したら「いや、もし布教活動されたりしたら困るので、地方のブランチにいってもらいましょう」とか言って。当時フィリピンにいきなり3つの拠点を、それもいっぺんに作っていたんですけど、一番遠いところのリーダーとして彼には赴任してもらいました。ただ、それがすごい大当たりで、一番田舎なのにブランチの業績が圧倒的に良くて。今では現場を全部彼が見ている。

チラシ配りをしていたら車に監禁されて、「うちの娘に何をさせているんだ」と

“オフィスもない、登記もできていない”状態から現地で事業に当たっていた嶺本氏は、日本と現地の違いを「すごい田舎だから、人の考え方がすごく古典的というか、伝統的で」と言います。

嶺本
講師を採用するために現地のスタッフとチラシ配りをしていたんですけど、そのお母さんにたまたま見つかってしまって。別に悪いことをしているわけではないはずなんですけど「うちの娘に何をさせているんだ」と詰め寄られて、そのまま日本から来たスタッフが車に監禁されて説教されたんです。要は、そんなチラシ配りなんか大卒のする仕事ではない、と。
須藤
捕まった瞬間に「ヤマダさんが監禁されました」ってみんなにメールが来て(笑)
嶺本
その後すぐ、そのヤマダさんから「嶺本さん、気をつけてください、オフィスに親が来ますから平謝りで謝ってください」ってメールで(笑)オフィスに待機して、謝るしかないですよね。で、実際に「すみません、この度は申し訳ございません」と。

窮地を切り抜けて「文化というか、人の使い方、人の考え方の違いというのはありますね」と語る嶺本氏。オフィスの開設も決してスムーズにはいきませんでした。

須藤
最初にオフィス構えるときに「消火器を25個準備しろ」と役人が20人くらい押しかけて来た。でも、どう考えても25個もいるような広さじゃないので「なんでや、俺は絶対に用意しないぞ」って言ったら「次もう1回来るんで、そのときまでに準備しておくように」って言われて。

で、その10分後にいきなり消火器屋さんから自分の携帯に電話がかかってきて、「今10個買ったら割引しますよ」って営業をうけました。なんか全部裏でつながっているんだなって、思わず苦笑してしまいました(笑)

このような環境下で、現地のスタッフに対して、サービスの質を担保するためにどのようなことをしていたのでしょうか。

嶺本
まず講師が実際に働き始めるまでのトレーニングで、最低限のことをきちんとできるようにする。例えば、日本人に対しては必ず「さん」を付けましょうとか、スカイプは電話と同じだから、切るときは相手が切るのを待ちましょうとか。これは日本人からすると礼儀正しいですよ、というのをキッチリ教えることで、いい印象を与えることができると思うんです。

技術的なこと、例えばどういうレッスンをしたら上手くいくかは、実際に生徒さんと話しながら身に付けていくものなので。2年前にすごく心配だった講師が、今は一流と言うか多くの生徒さんに支持されて、すごくいいレッスンをしているのを見ると、うれしくなります。

講師20人採用しろって言ったら、「バスで英語が上手そうな人に話しかけてました」とか

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グローバルな事業を行うに当たり、課題はやはり人材です。ローンチから2年で世界62カ国約2500人の講師を集めるなど、急速な拡大を実現できた理由について伺いました。

須藤
まずは、トライ・アンド・エラー。うちは優秀なメンバーが多くて、みんな自発的に意見を言えるので、形を作ってそこから走るんじゃなくて、まずはやってみてその結果をみんなでフィードバックし合おうみたいな。

「絶対こうやれ」と誰かの指示に沿ってやるのではなくて、まずやりたいことをやらせます。ただ、それに対しての結果をちゃんとみんなにフィードバックして、意見をもらって改善していこうよ、というマインドですね。

上澤
仕事ができる人にはどんどん任せる主義なので。例えば新卒で去年入った子がいたんですが、入社と同時に私がリトアニアに連れていきまして。はじめの2週間は一緒にいたんですが、「あとはお願いね」と。彼はリトアニアに残って、新卒なのに1人で現地の立ち上げをやりきりました。うちはやる気さえあれば若くても仕事をどんどん任せる会社なのでそういう環境を楽しめる人には、すごく向いていると思います。<
須藤
あとは2週間以内に講師20人を採用するというミッションを与えて。「どうすればいいですか?」と言うので「考えなさい」と。あとで「今日何をやった?」と聞くと、バスに乗って英語が上手そうな人に話しかけて「電話番号をゲットしました」とかうれしそうに言う。

「何かもう放任主義というか、権限委譲というか、勝手にやってください、という方針なので」と上澤氏。当然、そこには多様な人材が集まります。

上澤
日本人のメンバーでいうと、上場企業で経営企画とか資金運用のファイナンスをやっていた人間もいれば、ベンチャー企業でプログラミングをやっていた人間もいたり、あとはこういう(嶺本氏を指し)よく分からない訪問販売。

現地スタッフを合わせると、社員の国籍は10カ国以上。女性の社員比率はものすごく高いし、女性の役員もいます。あと、LGBTの割合も非常に高い。うちよりダイバーシティが進んだ会社はないのではないかなと正直思います。

世界中どこにいても英語を学ぶチャンス、英語の先生になれるチャンスを広げていきたい

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フレキシビリティの高い組織と、英会話というグローバルな領域の相性の良さについて、須藤氏は次のように語ります。

須藤
日本の会社はやはり堅苦しくて、企画書1つ出す、決裁1つ取るにしてもルールがあったりとか。だけど僕らはそういうのは一切関係なくて、これがサービスとして良くなるのだったらオッケー、駄目だったら変更ということだけで、それ以外は自由にできるのが一番違うところ。

与える仕事、ポジションもまさに実力主義。国籍に関係なく能力さえあればどんどん仕事を与えていきます。だから仕事に対する取り組み方、考え方も本当の意味でグローバルに考えられる人材を求めていますね。

ちなみに、グローバルで働く際には英語ができることが必須かと思いきや、「できなくて大丈夫。1ヶ月間もうひたすら英語だけ喋れば、なんとかなります」と上澤氏。

上澤
見ているところは、英語どうこうよりもちゃんとコミュニケーションが取れるかどうか。日本語でコミュニケーションがちゃんと取れない人は、英語で取れっこないですよね。
須藤
アジア5カ国、ヨーロッパ7カ国の社員がいます。国籍は違いますが「英語を通じて世界を身近にする」という想いでつながっているのでコミュニケーション上は特に大きな問題はないですね。

世界展開が今後の目標であるというDMM英会話。サービスの理念も交えつつ、どのような未来を描くのかを伺いしました。

上澤
私たちの理念は“Make the world smaller”。「世界を縮めよう、近くしよう」というのを掲げてやっています。つまり、世界中どこにいても英語を学ぶチャンスと、英語の先生になれるチャンスとがある、この2つを実現したいなと思っていて。

日本人以外も英語は勉強したいじゃないですか、当然。うちはもう講師がそろっているので、実はすでに他の国向けの言語のサイトを1つ作って、そこの国の人に英語を教えるというサービスをやっています。今後はそれをどんどん横展開して、日本以外の国の人に英語を学ぶ機会を提供するサービスを世界展開していく予定です。

文化の差異がもたらす無数のトラブルを、柔軟な組織風土で乗り越えてきた上澤氏をはじめとするメンバーたち。異なる国籍、セクシュアリティ、思想を持った多様な人材を巻き込みながら発展を続けるDMM英会話が、今後さらに自由に世界へ広がっていくことを思うと、興味が尽きることはありません。


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